ACACアダプタとNJM2360を使ってESP32を動かす
◆まえがき
前の記事でESP32を動かすためのAC-ACアダプタとNJM2360を使った電源を作りました。この電源は0.33Aくらい流すとリップルが目立ち始める非力な物です。ESP32はこれをはるかに上回る0.6Aくらいの電流が流れることがあるようなので、これに耐えることが出来るか確認してみました。
◆テストする回路

左側のACACアダプタを電源に使い、右側のESP32の回路を動かすのが目標です。なお、この回路ではWiFi経由でネットに接続しているのですが、その内容は別途紹介予定です。
◆電圧波形
電源投入後の電源電圧(5V出力)を観察したのが次の波形です。
・5V電源電圧

5Vの電源が立ち上がった後、0.4秒後に電圧が4.3Vまで下がっています。このあたりのタイミングでWiFiの接続を行っていて、0.6Aくらいの電流が流れるのだと思います。
・電圧低下部拡大

5ms程度の間に電圧が下がっていて、最低で4.2Vまで電圧が下がっています。なお、この現象は電源電圧の位相のタイミングと関係があるようで、上位機の波形はワーストの場合です。
ESP32のモジュールは3.3Vで動いていて、間にはシリーズレギュレーター(1117)が入っているので、この電圧のドロップがそのままESP32に影響することはありません。念のために3.3Vの電圧変化を見てもその変化はわずかで、問題になるようなものではありませんでした。
ESP32に大きな電流が流れるのは瞬間的なので、電源のデカップリングコンデンサの効果などで、電圧の低下が抑えられているのだと思います。ということで、ESP32の動作には問題無さそうでした。
但しちょっと気になるのは、シリーズレギュレーターの動作電圧が十分確保できていない点です。データーシートによると1117を正常に動作させるためには1.0V以上の電圧差が必要になりますが、現状ではこの電圧が確保できていません。
◆対策
対策としては、トランスのタップを24Vに上げて供給電圧を倍に上げるのが手っ取り早いです。しかし、この場合、整流後の電圧が38VくらいになるのでNJM2360の耐圧の40Vギリギリになってしまいます。それに基板の中に高い電圧の場所があると、間違ってショーとさせた時の被害が大きくなるので、あまり気が進みません。
他の手として、整流用の平滑コンデンサの容量を上げる方法があります。つまり、瞬間的な負荷変動をコンデンサで乗り切ってしまおうという作戦です。
◆対策した回路図


C5の容量を100μFから330μF(25V)に増量しました。ちなみに、最初の100μFのコンデンサはトランスのタップを上げた場合を想定して耐圧50Vの物を使っていたので、部品のサイズとしてはほとんど同じです。
◆特性

負荷電流0.5Aまではほぼ一定の電圧が得られるようになりました。これなら安心して使うことが出来ます。
◆まとめ
電源の整流回路のコンデンサ容量を増やすだけで特性が改善されて、めでたしめでたしでした。元の回路のC5の値は小さすぎで、他の部品の性能を100%引き出すことが出来ていなかったということだと思います。
AC電源を整流して直流を作る場合、どうしてもリップルが残ります。そのリップルの谷間ではコンバーターは出力電圧を維持しようとしてより多くの電流を吸い出します。もし供給力が不足していると支えきれなくなり、出力電圧が低下するという現象が発生していたようです。電源は奥が深いです。
前の記事でESP32を動かすためのAC-ACアダプタとNJM2360を使った電源を作りました。この電源は0.33Aくらい流すとリップルが目立ち始める非力な物です。ESP32はこれをはるかに上回る0.6Aくらいの電流が流れることがあるようなので、これに耐えることが出来るか確認してみました。
◆テストする回路

左側のACACアダプタを電源に使い、右側のESP32の回路を動かすのが目標です。なお、この回路ではWiFi経由でネットに接続しているのですが、その内容は別途紹介予定です。
◆電圧波形
電源投入後の電源電圧(5V出力)を観察したのが次の波形です。
・5V電源電圧

5Vの電源が立ち上がった後、0.4秒後に電圧が4.3Vまで下がっています。このあたりのタイミングでWiFiの接続を行っていて、0.6Aくらいの電流が流れるのだと思います。
・電圧低下部拡大

5ms程度の間に電圧が下がっていて、最低で4.2Vまで電圧が下がっています。なお、この現象は電源電圧の位相のタイミングと関係があるようで、上位機の波形はワーストの場合です。
ESP32のモジュールは3.3Vで動いていて、間にはシリーズレギュレーター(1117)が入っているので、この電圧のドロップがそのままESP32に影響することはありません。念のために3.3Vの電圧変化を見てもその変化はわずかで、問題になるようなものではありませんでした。
ESP32に大きな電流が流れるのは瞬間的なので、電源のデカップリングコンデンサの効果などで、電圧の低下が抑えられているのだと思います。ということで、ESP32の動作には問題無さそうでした。
但しちょっと気になるのは、シリーズレギュレーターの動作電圧が十分確保できていない点です。データーシートによると1117を正常に動作させるためには1.0V以上の電圧差が必要になりますが、現状ではこの電圧が確保できていません。
◆対策
対策としては、トランスのタップを24Vに上げて供給電圧を倍に上げるのが手っ取り早いです。しかし、この場合、整流後の電圧が38VくらいになるのでNJM2360の耐圧の40Vギリギリになってしまいます。それに基板の中に高い電圧の場所があると、間違ってショーとさせた時の被害が大きくなるので、あまり気が進みません。
他の手として、整流用の平滑コンデンサの容量を上げる方法があります。つまり、瞬間的な負荷変動をコンデンサで乗り切ってしまおうという作戦です。
◆対策した回路図


C5の容量を100μFから330μF(25V)に増量しました。ちなみに、最初の100μFのコンデンサはトランスのタップを上げた場合を想定して耐圧50Vの物を使っていたので、部品のサイズとしてはほとんど同じです。
◆特性

負荷電流0.5Aまではほぼ一定の電圧が得られるようになりました。これなら安心して使うことが出来ます。
◆まとめ
電源の整流回路のコンデンサ容量を増やすだけで特性が改善されて、めでたしめでたしでした。元の回路のC5の値は小さすぎで、他の部品の性能を100%引き出すことが出来ていなかったということだと思います。
AC電源を整流して直流を作る場合、どうしてもリップルが残ります。そのリップルの谷間ではコンバーターは出力電圧を維持しようとしてより多くの電流を吸い出します。もし供給力が不足していると支えきれなくなり、出力電圧が低下するという現象が発生していたようです。電源は奥が深いです。