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ミニドローン用LiPo電池の容量を測定

◆まえがき
おもちゃ病院に持ち込まれたミニドローンのバッテリーの容量測定を行ったので、その結果を記録しておきます。なお私が担当したのは電池だけで機体は別のドクターさんが担当されています。

◆LiPo電池
ミニドローンの機体に取り付ける電池です。
752042、450mAh

752042のLiPo電池
表示されている容量は450mAh。サイズは752042、つまりセルの厚さ7.5mm、幅20mm、長さ42mm。保護回路が付くので長さは少し増え、ドローン用のためか少し丈夫な外装が施されている感じです。

◆容量測定
写真のようにメスのコネクタが付いているので、これに挿さるようにΦ0.5mmのワイヤで簡単なオスコネクタを作って測定しました。放電カーブの測定にはArduinoを使った電池容量測定アダプタを使い、結果をTeraTermで受けてエクセルでまとめました。

・初期の内部抵抗
LCRメーターを使った測定結果では、内部抵抗はBattery-A:54mΩ、Battery-B:59mΩでした。

・初期容量
初期容量
負荷抵抗=10Ωで放電させた時の電圧変化です。

あっという間に空になったのでグラフを掲載しても仕方が無いですが、ともかく上記の通りです。電圧の低下を検出して負荷を自動遮断するようになっていますが、Battery-Bで電圧が回復しているのは電池に内蔵されている保護回路が自動復旧したためだと思います。

同時に計測している電流容量は、Battery-A:2.35mAh, Battery-B:12.04mAhでした。

・充電電流
付属の充電器を使って充電を行いました。電源はUSBなのでUSBの電源チェッカーで充電の積算電流が測定出来ますが、その値は、
Battery-A:535mAh、Battery-B:565mAhでした。(この値には充電完了後の追加充電分が入っているので正確な値はこれより少し小さいはずです)

・放電特性
いよいよフル充電した状態からの放電特性です。負荷抵抗は10Ω。
放電特性
どちらの電池も1.26時間付近で空になりました。電流容量はBattry-A:480.5mAh, Battery-B:475.4mAhでした。

公称容量は450mAhなのでそれを少し上回る値で、新品と同等の容量があることが確認出来ました。

・内部抵抗
再度フル充電した状態でLCRメーターで内部抵抗を測定すると、Battery-A:50mΩ、Battery-B:48mΩでした。

5Ωの負荷抵抗を接続してその電圧ドロップから内部抵抗を測定(DC法)すると、Battery-A:112mΩ、Battery-B:111mΩでした。LCRメーターより高い値になった原因は不明ですが、フル充電した状態なので端子電圧が4.2Vくらいと高いのが影響している可能性があると思います。

◆まとめ
ミニドローンの不調の原因としてこの電池の容量不足が疑われていたのですが、今回の測定結果からは容量の低下は認められませんでした。また内部抵抗も十分低い値であると言えます。

ちなみにこのドローンの飛行時間が15分とすると電流は1.8Aくらい流れるはず(450mAh*60 /15分)で、電池の内部抵抗が50mΩとすると電圧ロスは0.09V。これは電池電圧の3.7Vに対して無視できる値だと思います。

◆参考
手のひらに乗るくらい小さなドローンのバッテリー(110mAh)の容量測定結果:超小型ドローン用のリポバッテリーの特性測定

スライドスイッチの端子折れの修理(おもちゃ修理)

◆まえがき
今回の一連のおもちゃ修理の話の最終回になります。故障の原因はスライドスイッチの端子折れで、比較的ありがちな故障モードだと思います。なお、対象のおもちゃはちょっと珍しい物なので、依頼された方が特定されないようにおもちゃ全体の写真は掲載しません。

◆故障の状態
配線の外れ
赤い線が外れていますが、この線は電源スイッチへの配線です。スイッチの根元から端子が折れてしまったようです。

ちなみにスイッチの端子の金属部で配線の被覆をクランプするような構造になっていて、なかなか凝った構造になっています。

◆修理
スイッチの根元で折れている
スイッチは3Pのスライドスイッチですが、端子が根元から折れています。

こういうスイッチの端子と言うか接点はフェノール樹脂基板に開けた穴にカシメで取り付けられていることが多いですが、このスイッチの端子はモールド整形で作られていました。そのモールドの喰い付きを良くするために端子の根元に穴が開いていて、それが原因で根元から折れ易いようです。

◆修理
スイッチを丸ごと交換するのが簡単でが、このスイッチはレバーが長いタイプで、同じ仕様のスライドスイッチの手持ちがありません。仕方ないので折れた端子へ線を接続して修理することにしました。

そのままでははんだ付けがやり難いので、残った端子の周りの樹脂を少し掘って金属を露出させ、そこにAWG30くらいのUEW線をはんだ付けしました。なおこの作業は実体顕微鏡で見ながら行っています。

UEW線を引き出し
そのままでははんだ付け部(赤矢印部)が折れ易いので、UVレジンで補強しておきました(緑矢印部)

広い場所でスプライス
引き出したUEW線は広い場所で元の線にスプライスし、接続部を熱収縮チューブで保護しておきました。これで修理完了です。

◆まとめ
接続部の保護にUVレジンを使ったので短時間で作業することが出来て良かったです。

UVレジンの絶縁性が心配ですが、今回使ったレジンは硬化の前後で絶縁抵抗が200MΩ以上あることを確認(a)しているのでたぶん大丈夫だと判断しています (a):2.54ピッチの基板の隣接の5パッド間の絶縁で評価

◆参考
UVレジンを硬化させる時に結構温度上昇があるので注意が必要です。
使ったレジンはダイソーで購入。UVライトもダイソーのマジックライトペンを使いました。

アンパンマンのクレーンゲーム(おもちゃ修理)

◆まえがき
おもちゃ修理の話の2回目、今回はアンパンマンのクレーンゲームです。

◆外観
アンパンマンのクレーンゲーム
動かないということで持ち込まれたものです。電源を入れると効果音は出ますが動きません、ただモーターが回っている音はするのでメカニカルな問題のようです。

クレーンゲームは構造が複雑で、ギアボックスまで分解して元に戻すのに30分以上はかかります。またメカに問題があった場合の修理はかなり厄介なことになりがちです。そんなことで、おもちゃ病院の開催中は電池切れ程度をチェックし、あまり深追いしないで持ち帰って修理することにしています。

ちなみに以前の修理の事例:2018年8月16日2018年3月4日

◆修理
分解してみると、クレーンを前後方向に動かすギヤに問題がありました。ラックに乗ったピニオンで前後に動かす仕掛けになっていますが、

・右側のピニオンが無い!
ピニオンが無い
シャフトだけ残っていてピニオンがありません。たぶん脱落して下の景品と混ざって捨てられちゃったのだと思います。

・左側のピニオンが割れてる!
ピニオンが割れてる
反対側の歯車は残っていましたが、割れています。これではトルクが伝わらないのでクレーンは動きません。ピニオン割れは細いステンレス線で縛って修理出来ることが多いのですが、この形状では縛る場所が無いのでそういう修理は難しそうです。

電源投入時にクレーンのキャリッジをホームポジションに戻す動作があるのですが、キャリッジが動かないので初期化動作が完了せずモーターが回り続ける状態になっていました。

・分解
分解中
クレーンゲームのレールは中央付近で間隔を広げることでこの写真のようにバラバラに分解できます。

◆修理
故障原因が判れば修理は簡単ですが、歯車は外径:Φ7.5, 歯数:9枚、軸径:Φ2.5とおもちゃの歯車としては珍しいサイズなので交換部品がありません。仕方が無いのでアルミの丸棒を削って作ることにしました。

・歯車のブランク
歯車のブランク
Φ7.5のアルミの丸棒を輪切りにして素材として使います。
割れてはいますが元の歯車があるので、現物合わせで同じ物を作れば良いので多少は楽です。

軸穴を精度良く開けるため、ワークを電動ドリルのチャックに咥え、万力に固定したドリルを使って穴開けしました。
歯の加工は金ノコと組みヤスリを使用し、最後は実体顕微鏡で見ながら形状を調整しました。

・歯車完成
歯車製作完了
ちょっと怪しげな所はありますが、ラックの上を転がして大きな引っ掛かり無く動くのでこれで良しとしました。

穴はΦ2.5のドリルで開けておき、軸はΦ2.5でローレット加工されているのでそのまま叩き込んで取り付けました。なお2枚の歯車は位相を合わせて取り付ける必要があります。

・完成
新しい歯車
新しい歯車を取り付けた状態です。金属ピニオンによる樹脂ラックへのアタックを出来るだけ減らすため、シリコングリスを塗っておきました。

◆まとめ
歯車を作ったのは初めてでしたがうまく出来て良かったです。

こういうケースのためにパルスモーターを組み合わせた簡単なホブ盤を作っておくのも良さそうです。適当なXYテーブルを見掛けたら手に入れておくと良さそうです。というかまずはボール盤が欲しいですが置く場所が無いです。

◆動いている様子
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