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電源の時差測定結果のオフセット拡大とその対策

◆まえがき
電源周波数モニタ(50Hz)の時差測定結果にオフセットが目立つようになってきたので、原因の調査と対策を行いました。

◆時差測定結果の状況
2022年の8月の終わり頃からGPSの1PPSパルスを基準とした時差測定を開始しました。快調に動いていると思っていたのですが、最近の時差の平均値が+2秒付近になっていて負の値になることはめったに無くなっていました。本来ならゼロを中心に正負に振れていて欲しいのでちょっと残念な状況です。

時差の値がゼロの状態は電力会社の中の人にしか判らないので、相対的な変化が判ればとりあえずは良いのですが、それでも徐々に値が上にずれていくのはやっぱりまずいです。

・時差の測定値の変化
過去4か月の時差の変化
グラフがギザギザしているのは電源の需給状況を反映していて、矢印で示すような大きなピークは周波数の変動の時間が長かったことを表わしています。

測定開始から10月中旬あたりまでは、ばらつきの中心はほぼ一定で、10月10日時点の分析では、平均値は+0.5Hz付近にありました。

10月23日以降は中心値が僅かに右上がりの傾向に変わっていて、直近では+2Hzも中心値が上にズレていることが判ります。140日で平均値が1.5秒増加していますが、これを周波数の精度に換算すると 4E-8 の誤差に過ぎません。でもGPSがこんなにズレていることは考えられないし、東京電力の実力がこの程度である訳は無いので、うちの測定系に何か問題がありそうです。

◆調査
GPSモジュールの位置を変えたりしていると、1PPSの確認LEDが激しく点滅することがありました。このGPSモジュールは衛星をロストしたらすぐに判る様に、1PPS信号を8PPSで出力するように設定しています。つまり、衛星をロストしていたようです。簡単にロストすることは無いと思っていたのですが、たまたま衛星の位置が悪かった?あるいは感度劣化があるのかも知れません。

8PPSで信号が出るとソフト側は無視するようになっているので時差変化無しと見なす、つまり同じ時差の値が報告されるはずです。だったら値が変化しなかった回数をカウントしてグラフで確認してみました。

・変化ゼロの回数の変化
ゼロ発生回数の累積


普通に測定していても時差の値が変化しない場合もあるので右上がりのグラフになります。ただ赤矢印のタイミングで明らかに変化が認められます。つまりこのタイミングで衛星をロストしていた可能性があります。

10月半ばから異常が始まっていることから思い当たるのが、窓に付いている虫よけ網のアルミサッシの位置です。気温が下がったことで窓の開け方が変わり、防虫ネットの位置変わったためにGPSのアンテナの視界を遮るようになった可能性がありそうです。

細かい話になりますが、8PPSで信号が来るとソフトで異常を検出して測定を行わない仕掛けになっています。つまりそれだけでは時差が増えたり減ったりはしないはずです。ただその切り替えのタイミングでは不正確な1PPS信号が出来てしまうので、その影響を受けてプラス側に誤差が出易くなるメカニズムが存在しているのだと推定しています。

◆対策
GPSモジュールの取り付け状態
GPSモジュールを窓に貼り付ける位置を少し内側に移動しました。そのままではモジュールのケースにぶつかって窓が全開出来なくなるので、ケースを薄型の物に作り直しました。なおここは普段はカーテンの影になるので目立たない位置です。

・網戸の枠の干渉
網戸の枠が干渉
この位置に網戸が来るとGPSアンテナを遮っちゃうのですが、そういう使い方はしないので気にしないことにしました。

◆測定系をリセット
リセット実施
対策が出来たので測定系をリセットしました。リセット直前の前の時差は+1.66秒だったのがゼロになりました。つまり、2023年1月10日 9:30の時点で測定結果には-1.66秒のオフセットがかかったことになります。

なお、リセットは商用電源とUTCの時差が少ない時に行った方が測定結果のオフセットが小さくなって好都合です。実は、休日明けの火曜日の朝の8時から10時はこれまでの経験からUTCに対する商用電源の時差が少ないことが判っているので、このタイミングを狙ってリセットを行いました。

・リセット後
電源周波数モニタ
本体に表示されている時差の値もゼロになりましたが、すぐに値は変化します。

◆まとめ
完全な対策にはなっていない可能性があるのですが、とりあえずこの状態で様子を見たいと思います。

予備として屋外にアンテナを設置出来るタイプのGPSモジュールを入手しておこうと思います。ただ、数年ぶりにAliExpressでGPSモジュールを探すとずいぶん値段が高くなっていて、「外れでも良いから買っちゃえー」なんて気楽に注文出せない値段になっていました。だんだん遊び難い世の中になってきて困ったものです。

休日の翌朝は商用電源周波数の時差が少ない?

◆まえがき
前の記事に、月曜日に時差が少なくなる傾向があるけど、ひょっとしたら月曜日では無くて休日の翌日と考えた方が良いかも知れない、ということを書きました。そこで実際にどうなっているのか調べてみました。

◆調査対象期間
2022年8月21日~10月11日まで。この期間で月曜日が休日となったのは9月19日と10月10日の2回あります。

◆時差変化
・月曜日の時差変化
月曜日の時差
月曜日の時差変化のグラフで8日分あります。この中で9月19日と10月10日は月曜日ですが祝日なので休みの日ですが、この両日とも集団から線が外にはみ出していました。

・休日の翌日の時差変化
月曜日ではなく休日の翌日を取り出してグラフを描いたのが次のグラフです。つまり 9/19→9/20、10/10→10/11と変更。

休日の翌日の時差変化
はみ出していた線が無くなり、赤い点線の円内に線が集まりました。

特に6:00から8:00の範囲は 0から1秒の間に時差が集まっています。

測定データー全体(約80日分)の時差の平均値は0.5秒なので、この値だけ真の時差よりずれがあると考えられます。休日の翌朝の時差の中心も0.5秒付近になっているのは偶然では無い気がします。つまり、この値の集まりは電力会社が想定している時差ゼロの状態を示しているような気がします。

◆まとめ
商用電源の時差は、休日の翌朝の4:00から10:00頃は時差が小さく、6:00~8:00は特に時差が小さいという結果になりました。新しいワーキングデイの開始の合わせ、時差をゼロでスタートさせようとしているのでしょうか。

最近の時計は電波やGPSなどから時刻情報を取得していますが、電気温水器や産業用の機器では電源周波数を時刻源として使っている物も多いと思います。このような装置で、週の最初の稼働日に時刻のズレをゼロでスタートするのは意味のある事のような気がします。

この記事は8回のデーターを調べただけなので、データー量が増えれば結論が変わってくる可能性があります。それでも、途中でも良いから調べて分析しておくことは意味のあることだと思います。

◆追記
居酒屋ガレージ店主(JH3DBO)さんからのコメントで、下記の記事を教えて頂きました。
電源周波数のわずかな変動をタイムスタンプとして用いる「The Hummingbird Clock」
イギリスでは政府が電源周波数変化を記録しているのだそうで、いろいろと興味深いです。ちなみに、ハミングバードと言うとギブソンのギターを思い出します。

商用電源(50Hz)の時差の変化データーを分析した

◆まえがき
商用電源の周波数に加え、8月の終わり頃から時差も記録出来るようになりました。その時差のデーターがかなり集まってきたので挙動を分析してみました。

・電源周波数モニタ
電源周波数モニタ
ESP32を使って測定を行っています。これ以外にGPSのレシーバーを使っています。
測定結果のグラフは、Ambientのこのページでリルタイムで公開中

◆時系列の変化
8月21日から10月9日までの時差のデーターです。
時差変化

・グラフの読み方
グラフの上が時差がプラス(進み)、下がマイナス(遅れ)です。電源周波数に同期している時計ならこのグラフに示した量だけ進み/遅れの誤差が発生したはずです。なお、記録を開始した時点の時差をゼロとしているので、このグラフの値がそのまま時差の絶対値ではありませんが相対的な変化は表現出来ているはずです。

・変化
短時間、と言っても半日程度の期間に数秒のずれが発生することがありますが、すぐに平常状態である ±2秒程度の誤差範囲に修正されているようです。

10月2日の前後に時差がマイナス2秒を下回る状態が長時間続いていて他の期間と明らかに挙動が違っています。何か理由があるはずで中の人にはそれが判っているのでしょうが、教えてくれないでしょうね。

・電源周波数はUT1に同期?
上のグラフを見ると変動の中心がごく僅かだけ上昇しているような気がします。もし本当なら電源周波数はUT1に同期していると言えるかもしれません。もちろん、計測エラーでそういう傾向が出てしまったのかも知れないし、そもそもそういう傾向は現れていないのかも知れません。このあたりの話はややこしいので、もっとデーターを集めてから別途記事にしたいと思います。

◆ヒストグラム
データーの分布を確認するためにヒストグラムを作成しました。
ヒストグラム

・平均値、中心値
最頻値は +0.5秒付近にあるようです。(データーの平均値は+0.44秒、標準偏差は1.35秒)
このデーターでは時差は+0.5秒付近を中心に調整されていると考えれば良さそうです。

・時差は進み/遅れが均等になるように調整?
時差は正の時も負の時もありその出現する割合がほぼ等しくなるように調整されているようです。

単純に考えると、時差は一般的に負荷が重い時に負の方向に発生するので、その遅れを取り戻す方向の操作だけ行えば充分では無いかと思います。しかし実際にはプラスになるような制御も行われていて、時差の変動の中心がゼロになるようにコントロールされているようです。つまり、「時差は遅れていることも進んでいることもあり、その平均値がゼロになるように制御されている」ようです。こっちの方が時計を使う人の立場になって考えると嬉しいと思います。

想像ですが、調整を行うにもコストがかかるので、時差をプラスにする操作は発電量の少ない夜間に行われているのではないかと思います。

◆時刻別分布
1日の変化の様子です。
1日の変化
朝の7時から8時頃は比較的ばらつきが小さいようです。但し例外の日もあります。

15時から16時にかけて時差が大きくマイナスになることがあります。たぶん暑い日で需給が苦しくなったためだと思います。

時差の遅れは夜間に取り戻し、更に時差分布をバランスさせるために深夜にはプラスの時差に持って行って徐々に戻して朝を迎える、というのが標準的なパターンになっているようです。

◆曜日別変化
1週間毎にグラフを折り返して傾向を見ました。
週別分析
月曜日の4時から8時あたりで時差のずれが小さくなっているようです。週の初めと言うことで意図的にきっちり合わせている気がしますがどうなんでしょう?(金曜と土曜の初めにも値が集まっているポイントあり)

祝日を別にして分析すると、別の傾向が見えるのかも知れません。

◆まとめ
GPSを使った商用電源波形の時差測定はうまくいってるようです。短期間(数分間)の変動に対しては周波数の方が感度が高いのですが、数時間の状況なら時差の方が判り易いようです。

もちろん周波数の測定結果から時差を計算で求めることは出来ます。でも、僅かな測定誤差が時差の計算結果に累積してしまうので、結果の扱いが難しくなります。そんなことで、GPSなどの正確な時刻を基準に測定した方が高確度の測定が可能になります。

この測定ではシステムをリセットすると保持していたタイミングが失われてしまい、新しい時間軸で測定を再開するしかなくなってしまいます。出来るだけリセットしないで連続測定するように努めていますが、突然の停電があれば無力です。別の場所で同じような測定を行う方がいれば、相互参照することでデーターの連続性を保つことが出来るようになるはずです。どなたかやってみませんか?

ともかく、もっと長期間測定を続けて変動の傾向を把握しておきたいと思います。
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