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赤外線放射温度計を買ったのであれこれ調べてみた

Aliexpress に安い赤外線放射温度計があったので買ってみました。

▼赤外線放射温度計
赤外線放射温度計
手のひらにすっぽり収まるくらい小さな温度計です。表面はゴム系の感触ですが、あの加水分解でベタベタになるプロテイン塗装とは違った感じで、すべすべしていて清潔感があります。

▼Aliexpress の商品のページ (図をクリックで別窓で商品のページ)
Aliexpressのページ
DT8220という型番がプリントされていますが、商品説明の詳細を見ると、モデル番号:C0970-01、メーカー:Inperlanyu です。

ガンタイプの赤外線温度計だと、レーザーマーカーで測定の中心位置が判りますが、そういう機能はありません。温度の測定範囲は、-50~220℃と書いてありますが本当はどうなんだか判りません。ちなみに値段は送料込みで $5.5 でした。
なお、Amazonにもそっくりな形の物が出ていましたが、URLはここには書かないでおきます。

▼温度測定部
受光部
テーパー状の金属パイプの奥に受光窓があります。パイプの内壁で赤外線を反射させて受光窓に送り込むことで、感度を稼ぎながら指向性を出しているのだと思います。広い波長範囲の赤外線を集める光学系をローコストに作るため、こいう金属表面の反射を利用した光学系になっているのでしょう。マイクロ波のホーンアンテナみたいなものと考えれば良さそうです。

Aliexpress の商品説明には検出距離は1~8cm と表示されているだけで、スポットサイズの表記がありません。でもAmazon の同等品?と思える商品の説明には測定距離とスポット径との比率は 1:1 との記載がありました。つまり、例えば距離が1cmならスポット径は1cmと考えれば良さそうです。実際に使ったみてもそんな感じでした。

さて、ここまでが外観のレポですが、こういう面白そうな物が来たら、中まで見るのがうちのしきたりです。

▼内部
放射温度計の内部
電源はボタン電池の LR44 が2個使われていました。COBの横の8ピンのICは、マーキングが24C02となっているので EEPROM でしょう。ここにはセンサーのキャリブレーションの値が入ってそうです。

基板のどこかに温度測定結果がシリアルの信号で流れている場所が無いか探したのですが、残念ながら発見出来ませんでした。信号が引き出せればPCに接続していろいろ面白いことが出来るのですが、とりあえず断念。

▼内部
放射温度計の内部、液晶取り付け側
液晶と受光光学系の金属テーパー管を外した状態です。

▼センサー
放射温度計センサー
センサーは4ピンのハーメチックシールのパッケージに入っていました。この窓の材質は何でしょうね。

▼消費電流測定
赤外線放射温度計の消費電流測定
電源の線を引き出して消費電流を測ってみました。

▼消費電流
電源OFF時の消費電流
この写真は待機時(液晶表示無し状態)で、消費電流は0.8μAでした。LR44の容量が120mAhあるとすると、10年以上電池が持つ計算になります。でも、たぶん電池の寿命、あるいはお漏らしの方が先に起きそうです。

動作時の消費電流は約1mAだったので、連続動作時間は120時間という計算になります。なお、測定後15秒で自動的に待機状態に移行して消費電流 0.8μAの状態になるので、電池の消耗は考えなくても良いのではないかと思います。

ここまでは回路や電気特性の話でした。以下は一番重要な温度の測定結果です。なお、温度測定はボタンを押してる間は繰り返し行われ、ボタンを離して15秒間は測定結果がホールドされ、その後はOFFとなります。

▼50℃のアルミ板の温度を測定
50℃を測定
ペルチェ素子を使った一定温度発生装置があるので、その熱板の温度を測ってみました。

結果は、50℃の熱板の温度を測ると、24.5℃と出ました。それじゃダメじゃんと言われそうですが、この結果は予想通りです。熱板の材質はアルミで、放射率が低いためこういう測定結果になります。ちなみに放射率が低いということは反射率が高いということで、反対側に手のひらをかざすと、体温が検出されて測定値が上昇します。

こういう時は対象物にマスキングテープなどを貼ることで正しい温度が測定出来るようになります。

▼10℃の熱板
10℃を測定
アルミ板の温度は10℃なのですが、上の測定結果と同じ理屈で、温度計の表示は22.2℃と出ました。部屋の壁や天井から出ている赤外線が、アルミ板で反射されて検出されているのだと思います。

そんなことで、電子工作で放熱に良く使うアルミの温度測定には注意が必要という結果になりました。

もう一つ、今度は実用的な温度測定の事例を紹介します。

▼水草水槽
水槽
リビング小物として小さな水草水槽を置いています。この水槽は太陽時計算に基づく照明の明るさと色調制御に、チューブポンプを使った化学反応式CO2供給装置が付いていて、無駄に凝った仕掛けが付いています。

この水槽にはレッドビーシュリンプを何匹か入れているのですが、温調をしていないので冬は水温が下がるため、エビ君の動きが少なくなっていました。ヒーターで加温してやれば良いのですが、こんな小さな水槽(水量2.4リットル)には仕掛けが大げさすぎます。

そんな問題の対策として、今年の冬は水槽の下に、WiFiのアクセスポイントを置いて、その発熱で水槽の温度の低下を防ぐようにしています。水槽の下にわずかにLEDが光っているのが見えますが、これがWiFiのアクセスポイントです。これならどうせ無駄に捨てていた熱を利用することになるので、追加のランニングコストはゼロの対策になります。

▼加温の効果の測定
水槽のベース温度測定
水槽と下の布製の敷物の境界付近の温度を測定しているのが上の写真で、30.4℃あります。ここから外れた場所の温度は25℃程度なので、差分が加温の効果ということになります。こういう温度測定を接触式のセンサーでやるのは面倒、というか布製品の表面温度なんて接触式ではうまく測れません。しかし、放射温度計を使えば簡単に測定することが出来ます。

◆まとめ
安いので面白半分で買った放射温度計ですが、結構正確な温度が判るので十分役に立っています。何しろ非接触で測定出来るし、手でスキャンすれば温度分布もおよそ判るのでとても便利です。

ただこの記事の事例のように、金属の表面は放射率が低いために大きな誤差が発生するので注意が必要です。

DSO Shell のファームをバージョンアップ (v113) たぶんこれで最後

 特にやりたい工作も無いので、JYEtech製のミニオシロ、DSO-Shell (DSO-150) のファームのバージョンアップを行いました。これまでにバージョンアップは2回やっています(V054→V055V055→V111)が、最近のJYEtechのDSO Shellのフォーラムを見ていると、ほとんど書き込みが無くなってきて、バグ潰しも終わった、つまり枯れて来た感じです。ということで、ここらで最新版のファームを入れることにしました。

 ちなみにv111のファームは、波形のパラメーター情報の左側が、波形の振幅が小さいと表示されないという問題があります。写真で説明すると以下のような現象です。テスト信号として三角波を入力しています。

▼波形の振幅が4Div. 以下だと一部の情報が表示されない
振幅が4Div以下では左側の項目が表示されない
 緑の四角で囲った範囲の情報が表示されません。

 もう少し信号の振幅を増やしたのが次の写真です。

▼波形の振幅が4Div. 以上あれば表示される
4Div以上あればOK
 振幅が4Div. 以上あれば情報が表示されます。表示されるのは時間軸に関係する情報です。なお、私の個体がたまたま4Div.を境に表示の有無が別れましたが、他の個体でどうなっているのかまでは判りません。

 私はこの画面はほとんど使わないので、あまり問題は無いのですが、ファームを v113にすれば直るようです。なお、この問題はV110 頃から発生しているようで、このバグフィックスに、nekosan が協力されています。詳しくはこのあたりから始まる一連の記事の中に状況が書かれています。

 そんなことで、遅まきながらファームの書き換えを行います。

▼ファーム書き込みの様子
ファーム書き換え中
 これで3回目なのであっという間に完了しました。電子工作好きが持つべき物は、信頼できるUSBシリアルアダプタです。

▼v113へアップデート完了
ファームV113
 なお、JYEtech のサイトにはもっと新しいバージョンの v120が公開されていますが、これはLCDコントローラーのST7789Vに対応したものらしいものらしく、あまり関係無さそうなのでパスしました。

▼動作確認
ファームアップデート後
 ファンクションジェネレーターから、振幅の小さな信号を入れて確認している様子です。表示の振幅が 0.2Div. 以上あれば、情報が表示されるようになりました。あと、v113ではEEPROMのリードエラー対策などの改良が行われているようです。

◆まとめ
 たぶんこれで、ファームのバージョンアップは最後になると思いますが、良いオシロになりました。このまま故障せずに、動いてくれることを期待します。

 なお、DSO Shell には模造品が出回っており、そのような物ではバージョンアップ出来ない、というかバージョンを上げると使えなくなるようなので要注意です。

2.4GHz対応のRFチェッカーをケースに入れた

 ラジコンのおもちゃの修理に使う2.4GHzに対応した電波チェッカー作りの続きです。前回の記事では受信部だけを作りましたが、そのままでは使い難いので、アンプとスピーカーを付けてケースに入れました。

 先に完成品の写真です。

▼RFチェッカー
2.4GHzRFチェッカー
 RFセンサーの出力信号を手前の端子に出して、オシロなどの測定器を接続出来るようにしました。ケースは秋月で売っているポリカーボネート製のケースです。(ポリカーボネートケース 117-中 P-00358)

 100円ショップのボリュームアンプが手に入れば、それを土台にして改造するのが手っ取り早そうなのですが、どこにも売っていなくて手に入りませんでした。そんなことで、秋月のケースを使いました。

 また、小さなアンプ基板があれば、少し手抜きが出来るのですが、これも手持ちはありません。仕方が無いので、トランジスタで適当なアンプを作ることにしました。回路は「名張市つつじが丘おもちゃ病院」さんが公開されている、2石アンプをベースに、大きな音が出るようにアレンジしました。

▼回路図
AD8314を使ったRFチェッカー
 トランジスタを能動領域で使っているので、消費電流は無音時で21mAと少し大きくなっています。

▼ブレッドボードで検討中
ブレッドボードでテスト
 いきなり上の回路図になった訳では無く、ブレッドボードであれこれカットアンドトライしました。スピーカーは100円ショップのミニスピーカーから、スピーカーをベゼルごと引っこ抜いた物です。

▼基板
基板
 センサーのAD8314の部分は以前の記事で作った基板をそのまま使いました。ベースの基板が大きいので内部はスカスカです。

▼ケース内部
RFチェッカーの内部
 電源は単4電池を2本使っています。スピーカーはホットボンドで固定しています。

▼裏側
裏側
 こういう小さな物の電源スイッチにトグルスイッチを使うと、持ち運ぶ時に、誤ってONにしてしまう恐れがあるので、スライドスイッチを使いたいところです。でも、手持ちが無かったので、トグルスイッチを使いました。お詫びの印に、この写真の状態を電源OFFにしています。これなら、スイッチに何かぶつかった時はOFFになる可能性の方が高いので、少し安全側です。

▼ミニオシロと組み合わせ
RFチェッカーとミニオシロ
 スピーカーだけでも電波が出ているかどうかは判断できますが、オシロを接続すると得られる情報が増えます。

 この写真のように、ミニオシロの DSO-Shell と組み合わせて使うと良い感じです。オシロの後ろの黒いケースはダイソーの300円モバイルバッテリーで、この組み合わせなら、AC電源が無い場所でも使えて便利です。

 これをあちこちに持って行って、自宅のWiFiの電波の到達具合などを調べると面白いです。一番興味深かったのは、

▼電子レンジの漏洩電波
電子レンジの漏洩電波
 かなり強力な電波が漏れていることが判ります。数百ワットのパワーなので、完全に閉じ込めることなど出来ないでしょう。電波はこの写真のようにAC電源を全波整流した波形で出ていました。ちなみに、このレンジはPanasonic の割と高級機なので、インバーターを使った直流出力になっていると思っていたのですが、意外な結果でした。なお、この波形の周波数は100Hzとかなり低いので、小さなスピーカーではほとんど音は出ないので見逃しそうです。でも、オシロなら確実に検出出来ます。

 あと、電子レンジのスタートスイッチを押してもすぐにはパワーは出ず、2秒くらい遅れて電波が出ます。この理由がすぐに判らなかったのですが、よく考えると当然でした。マグネトロンは一種の真空管なので内部にはヒーターがあり、ここが温まらないと電子が出ないのですぐに動かなかった訳です。

 真空管なんてとっくの昔に絶滅したと思っていたのですが、こんなところにしぶとく残っていました。たぶん1軒に1個は(マグネトロンの)真空管があるということになりそうです。

◆まとめ
 これで2.4GHzのラジコンおもちゃの修理が来ても大丈夫です。 

 先輩ドクターさんのWebを見ると、RFチェッカー以外に赤外線リモコンのチェックなど、いろいろな機能を付けていらっしゃるようです(それにはるかに小さく作られています)。まだ基板には余裕があるので、もう少し機能を追加してもいいかなと思います。

 本文中に書き忘れたのですが、このRFチェッカーをスイッチング電源に近付けると、信号のバックグラウンドが上がることがありました。スイッチングに伴う輻射ノイズを検出しているのだと思いますが、電源のDCDCコンバーターやD級アンプをセンサーのRF検出チップの近くに実装しない方が良さそうです。
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