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安物のノギスに自動スリープ機能を付ける

◆まえがき
Amazonで買った安物のノギスの電池がすぐに空になるので、外部の単三電池で動かすように改造しました。それをツイッターで紹介すると、単に電源スイッチを付ければ良かったのでは?という指摘をいくつか頂きました。

言われてみると確かにその通りで、重たい電池を背負わせないで済むので使い易いはずです。ただ、新たに電源スイッチを取り付けるためには、ちょっと面倒な工作が必要になります。ということで、既存の電源スイッチ(プッシュスイッチ)で電源を入れ、一定時間経ったら自動的にパワーオフする回路をノギスの中に組み込むことにしました。

◆電源制御の考え方
このようなことをやる場合、MOS FETを電源スイッチとして使うのが一般的ですが、1.5V動作のFETが必要で手持ちがありません。ということで、昔ながらのバイポーラトランジスタを使うことにしました。

以下開発の経緯を順に示します。2回目の試作でやっとうまく行っています。

◆最初に試した回路
前述のようにPNPのトランジスタを電源スイッチとして使い、そのベース電圧をCRタイマーで制御してみました。

・回路図
最初の試作回路
Powerスイッチはノギスに付いているONスイッチをそのまま使います(要パターンカット)。但し導電ゴム接点のスイッチで接触抵抗が高いので、Q1を使ってC1を放電させる方式にしました。

Powerスイッチを押すとQ1が導通してC1を放電。これでQ2のベースがR3経由でGNDに落ちるのでQ2が導通してノギスに電源が入ります。

C1はR3,R4で徐々に充電されるのでその間はノギスのON状態が続き、C1の電圧が0.9V(1.5 - 0.6V)くらいまで上がるとQ2がOFFになってノギスの電源が切れる、と言う仕掛けです。

・実装
最初の試作
全てチップ部品で作りました、配線はUEWです。

・テスト結果はダメ
動かしてみるとタイマーは正常に動いて自動的に電源が切れるのですが、再度ONにしようとしてもノギスに電源が入りませんでした。

パワーOFFの際に電圧がゆっくり下がるため、ノギスの内部の回路のどこかが変な状態にラッチされてしまうのではないかと思います。10分くらい待ってから電源スイッチを押すと電源が入りますが、それでは使い物になりません。

負荷(ノギス)に並列にダミー抵抗を付けて電圧が下がる速度を上がてやったのですが、33kΩくらいでは効果はありませんでした。もっと重い負荷を付ければ電圧の低下が速くなって対策出来るのかも知れません。でも、その分Q2のベース電流を増やす必要があり、そうなるとタイマーの時定数が短くなって、C1を増やさないと時間が確保出来なくなる。ということになって、あまり筋の良い対策では無い気がします。

・対策案
ツイッターに状況を書くと、時計などの回路で電源OFFした時に回路が変な状態に嵌る現象は良く知られているそうで、対策としてはOFF時に負荷側の電源間をショートさせるのだそうです。そう言えば、電源スイッチに3Pスイッチを使っている回路で、OFF時に負荷側の回路をGNDに落としている物を見たことがあります。たぶん同じ問題を回避するための処置だったのでしょう。

また、対策としては、リセットIC(SII S5470)を使う手、低電圧動作のタイマーICを使う手など対策の提案を頂きました。いずれもCMOSのICなので消費電流は小さくて済みます。

確かにそういうチップを使えばスマートに解決出来そうですが、新たに部品を調達する必要があるのが面倒です。ということで、手持ちの部品だけで何とかするために、以下のような回路を考えてみました。

◆対策回路
LTspiceを使って以下のような回路の検討を行いました。

・回路図
ノギスの自動電源OFF回路、最終
出力スイッチ(Q3)をスパッとOFFにすれば良いので、タイマーの回路との間にQ1,Q2で構成するシュミットトリガ回路を入れました。

消費電流を出来るだけ減らしたいので各部の抵抗値を出来るだけ高くしています。

電池電圧が1.0Vまで下がっても、問題無く動くようにチューニングしています。

・各部波形
Sim波形

各部の波形を示します。一番上のグラフはC1の電圧変化で、シュミットトリガ回路の動作により電圧が引き戻されている様子が見えます。

一番下は各部の電流変化です。シュミットトリガの動作に伴い、R2とR4の電流が反対方向に変化していることが判ります。なお、待機時の消費電流(R3の電流)は0.92μAと非常に小さくなっています。というかそういう状態になるようにチューニングしました。

・実際の回路図
実際の回路図
トランジスタはチップトランジスタを使うため、シミュレーションした時の物と変わっています。(2SA1015→2SA1162、2SC1815→2SC2712)

・実装状態
ノギスのパーツ
ノギス内部の基板に部品を実装しています。

実装状態
狭い空きスペースに入れるため、全部チップ部品で作りました。配線はAWG30のUEWです。なお部品を実装する場所の基板面には絶縁用にポリイミドテープを貼り、はんだ付けは実体顕微鏡で見ながら行いました。

・動作確認
電流測定
安定化電源から電源を供給し、問題無く動くことを確認しました。

自動電源OFFになった後に電源スイッチを押せばすぐに表示を再開して使用可能になります。ということで、対策前の問題が解決されていることが確認出来ました。なお、電源ON後2分50秒で自動的にパワーOFFになりました。

最初の回路では電源電圧が徐々に低下するので液晶表示もゆっくりと薄くなり、最後は点滅を始めてから消灯していましたが、この回路ではスリープに入る直前まで液晶表示の濃さが変わらなくなりました。

・動作時電流
動作時
23.8μAです。改造前の回路は20μA程度だったので少し増えています。

・待機時電流
待機時
0.86μAでした。シミュレーション結果(0.92μA)とほぼ同じ電流になっていることが確認出来ました。

元の回路では18μA流れていたので、約1/20に消費電流を減らすことが出来ました。

◆まとめ
ノギスに自動パワーOFF回路を追加することが出来ました。待機時の消費電流は0.86μAなので80mAhのボタン電池で10年はスタンバイ状態を維持できるはずです。なお、1日10回使うと仮定すると平均消費電流は1.33μAに増えて電池寿命は6.8年という計算になりますが、まあ私はそんなには使わないと思います。

このような低消費電流の回路はFETで作るのが定石だと思いますが、マイクロアンペア程度ならバイポーラトランジスタでもなんとかなることが判りました。ただ、そうは言っても1.5V駆動のチップFETは手に入れておいた方が何かと便利そうです。

デジタルノギスを外付けの単三電池で動かす

◆まえがき
安物のデジタルノギスを使っているのですが、半年くらいで表示が点滅して電池切れ表示になってしまいます。そのまま使うのは不安なので新しい電池に交換するのですが、面倒臭いです。電池はLR44なので安いのですが、そもそもノギスを使う頻度が少ないので、使おうとした時に電池切れになっていることが多いので何とかしたくなりました。

そんなことで、解決策としてかなり強引ですが、ノギスの電源を外付けにした単三電池から供給してやることにしました。以下その作業内容の紹介です。なお、この話は記事の末尾に示すツイートの詳細説明でもあります。

◆ノギス
デジタルノギス
たしかAmazonで1000円くらいで買った物です。

◆分解
静電スケール
ケースを開けると副尺用のクシ歯電極が見えてきます。この電極と本体側の目盛板の裏にある電極を使って静電容量の変化から位置を検出しているのだと思います。

◆配線
内部と電源配線
基板を外し、電源を引き出します。データー出力用のコネクタに電源が出ていたのでそこのパッドから引き出しました。
ちなみにこのピンのデーターをArduinoで読んだことがあります。そのためのスケッチなども公開しています。

◆改造完了
単三電池を外付け
ノギスの裏側に両面テープで単三の電池ホルダーを貼り付け、電源を配線すれば完成です。

◆消費電流
・動作時
消費電流
20.47μAです。(値はばらついています)

・電源OFF時
電源OFF
電源OFFなのにあまり減ってなくて18.40μA流れていました。LR44の容量は80mAhくらいなので181日で電池が空になる計算になります。これは実際に使った感じと合っていそうです。

このノギスは電源OFFの状態でもジョウを動かすと自動的に表示を再開し、新しい位置の値を表示するのですが、そのような動作を行うために回路を完全に止める訳にはいかないのでしょう。まあ、技術力があれば電源OFF時の消費電力をもっと減らすことはできるんでしょうが、コストとの兼ね合いなんでしょう。

◆まとめ
ノギスに単3の電池が寄生することになったので、少し重くなりました。また奥行き方向の寸法が増えたので保管場所も変えないといけなくなりました。それでも、これで10年くらいは電池交換しないで済むはずなので、ノギスの使用頻度が高くない私のような人には悪くない改造だと思います。

ただ、どうせなら単4か単5の電池にしておけばもっと軽く作れたはずです。気が向いたら交換しようかと思います。

この話は下記ツイートの詳細説明になります。

Xiaomi の体組成計 mi scale2 の修理

◆まえがき
シャオミの体重・体組成計の mi scale2 を使っているのですが、体重は測れるけど体組成が測定が出来なくなってしまったの修理しました。

◆外観 (Photo-1)
xiaomi mi scale2

◆情報収集
ネットを調べると、前の機種の mi scale は体組成測定用の電極と本体側の回路を接続しているスプリングコンタクトの接触不良が発生し易いようで、その修理方法について解説している記事がいくつかありました。

しかし、今回故障したのは mi scale 2 で構造がかなり違っています。ただ幸いなことに mi scale2 の分解方法の動画 をYoutubeに公開している方がいたのでそれを参考に分解しました。

◆分解
下側のケースはプラスチックのラッチで止まっているだけなので、隙間を少しずつ拡げていけばケースを外すことが出来ます。但しこのラッチはかなりきつく数も多いです。

・中が見えた (Photo-2)
センサ部の配線
赤矢印の部分にラッチがあります。

ラッチを外せば上の写真のようにケースを開けることが出来ますが、配線の余長がほとんど無いので、そのままでは上の写真程度にしか開くことが出来ません。実は以前ここまで分解して断念してました。

・配線の固定を外して大きく開く (Photo-3)
mi scale2 をこじ開け

赤矢印部で固定されている配線を外すとこの写真の状態まで開くことが出来、こうなれば中の状態を調べることができます。上側がガラス板で、下側がプリント基板が付いている本体側です。なお、配線は亜科矢印部で両面テープとスポンジで挟み込んで固定されているだけでした。

この写真は基板を外して上向きに置いた状態になっています。緑の丸で示した部品は7セグLEDのライトガイドで、特に固定されていないので傾けると自然に外れます。なお、LED自体は基板側に実装されています。

配線の余長が無いので、変な角度で開くと配線を痛めてしまいます。そこで、ガラス板が動かないように牒クリップ(写真の上の方に見える)を使い、紐で縛って固定しました。

◆不良原因調査
内部を点検したところ、断線などはありませんでした。となると怪しいのは mi scale と同じく測定電極との接触不良です。

測定電極との接続は、ガラス板に開けられた小さな穴を通してスプリングを押し付ける方式で行われていました。この穴底で接触不良が起こっている可能性が高いのですが、確認するためのはロードセルを固定している両面テープを剥がす必要があり、あまりやりたくない作業です。元の位置に貼り直すには位置決め治具が必要になると思います。

◆修理
以上のように故障個所を直接見て原因を完全に特定出来た訳ではありませんが、接触不良の復旧を目指して以下の処置を行いました。
1)接触部に接点復活剤をスプレー(と言っても直接見えてるわけではないので穴をめがけてスプレー)
2)バネを上下に動かして接触部を少し動かす
3)バネの後ろに1mm程度の詰め物を入れてバネ圧を上げた

・バネ圧UPの処置 (Photo-4)
バネ圧アップ改造
外径1mmくらいの被覆線をバネの後ろに差し込んでスペーサー替わりとし、バネ圧を上げました。なお、オリジナルの引き出し線は青色ですが、大きく開けるようにするため茶色の線を継ぎ足しています。

◆組み立て
元通りはめ込めば修理完了です。再分解が楽になるようにラッチにシリコングリスを塗っておきました。

7セグLEDの導光体がガラス板と出来るだけ密着するように黒い両面テープが付いています。この粘着力が下がると隙間が空いてしまって表示がぼけるので、新しい両面テープに交換しておいた方が良いです。

◆ついでにプリント基板の写真 (Photo-5)
mi scale2 の基板
こんな基板でした。

◆まとめ
今回接触不良が発生した箇所は、構造こそ違うものの前の機種で問題になったのと同じでした。アルミ板に導通させるための接点用の表面処理などはやっておらず、金属同士をバネで押さえておけば電気は通るだろうくらいの感覚で設計してるんでしょう。このあたりのノウハウは、中華なメーカーにはまだ無いみたいです。

この体重計の前はオムロンの体組成計を使っていたのですが、ドコモの私ムーヴというソフトのサポートが停止されてしまったために自動取り込みが出来なくなってしまいました。2万円以上もする高級機なのにふざけた話です。そんなことがあって国産の体組成計品には愛想が尽きたので中華な体重計を買った訳ですが、こっちはこっちで問題があったということになります。まあ3000円くらいしかしないのでまた買えば良いのですが、個体が変わると測定値が微妙に違ってきそうで心配なんですよね。


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