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アンパンマン カラーキッズタブレット(おもちゃ修理)

 今回のおもちゃ修理の事例紹介の2回目というかもう最終回、今回は「アンパンマン カラーキッズタブレット」です。症状としては電源を入れたら勝手にしゃべり始めて、何の操作も受け付けないというものです。 このおもちゃのアマゾンの販売ページはこちら

▼アンパンマン カラーキッズタブレット
アンパンマンカラーキッズタブレット
 勝手にしゃべり続けるのと並行して、液晶にもいろいろな画像が表示され続けます。

 原因調査のために開けて中を見ます。

▼内部
分解してキーパッドを取り出し
 11 x 7 のマトリクススイッチが小さな基板に接続されているだけです。勝手に動き続けるということから、マトリクスのどこかが押されっぱなしになっていると考えました。

▼基板拡大
内部の基板
 マトリックスサイズ(11x7)の通りに、18本(11+7=18)の線がコネクタで接続されています。

▼マトリクススイッチを外して調査中
基板単体にして調査
 マトリクススイッチのどこかが押されっぱなしになっている、と思っていたのですが、スイッチを外しても症状は変わらず勝手にしゃべり続けます。ということは、不良原因は基板側にあることになります。

 この状態でプリント基板を実体顕微鏡を使って詳しく見ましたが、おかしな所はありませんでした。カラー液晶を90度開いて、その下に隠れているLSIの周辺も調べましたがおかしな所は発見出来ません。なお、LSIはCOB実装では無くQFPのリフロー実装でした。

 小径スルホールを使った両面基板なのでスルホール断線の可能性も考え、動作させながらスルホールを押したりしてみましたが状況に変化はありません。最終確認として、手でプリント基板に曲げたりねじったりする応力を掛けました。基板不良ならこの方法で手がかりが掴めるはずですが、何の変化もありません。

 こうなると故障原因は LSI しか考えられないので修理不能という判断になります。このおもちゃは結構値段が高いし、まだ新しいのに気の毒だなーと思ったのですが、

 ひょっとするとファームが変な状態に遷移しているのかも、と考えました。何しろ、登録されているすべての音声と画像を延々と出力する訳で、これってメーカーの人が登録されたデーターを実機で確認する時に使う機能のような気がします。

 そこで仮組みして普通に操作できる状態に戻し、本来の機能に戻すキー操作が無いか調べてみました。こういう時によく使われるのは、電源スイッチを入れる前に特定のボタンを押しておく方法です。

 片っ端にボタンを試すと、割と簡単に発見出来ました。

▼「え」のボタンが犯人でした
「え」のボタン
 このボタンを押しながら電源スイッチを入れると、本来のおもちゃの機能に戻りました。電源スイッチを入れ直しても大丈夫です。

 試しに同じ操作をもう一度やると、また勝手にしゃべり始めるモードに入りました。設定したモードは記憶されているようで、電源を入れ直してもそのままです。

◆結論
 これで故障原因は判りました。子供が電源を入れる時に、「え」のボタンを押しながら、電源スイッチを入れたのだと思います。とんでもない地雷が仕掛けられていたものです。

 ちなみに、二つ以上のボタンの同時押し、もしくは複数のボタンを押す順序がキーになっていたら、組み合わせの数は猛烈に増えるので発見は難しかったと思います(ファミコンンの上上下下左右左右BAみたいなやつです)。ただそういう場合は、今回のような故障が発生する確率はすごく下がると思います。

▼状況を再現してみた
「え」を押しながら電源を入れる
 この写真のように左手で持って、右手で電源を入れれば条件が成立し、地雷を踏んだことになります。小さな子供が、こういう持ち方をすることは充分あり得ると思います。なお、この写真では左手が逆手になっていますが、順手でわしづかみに持った方が自然かも知れません。

 とにかく、たったこれだけのことで、おもちゃとして使えなくなるのでは困ります。

◆まとめ
 音声と画像を全部出力する機能は、開発時に使われたもののような気がしますが、それを製品版のファームに残しておくのはどんなもんでしょう。しかも設定は不揮発メモリーに記憶されるので、電源を入れ直しても直らないという恐ろしさです。とんでもない地雷が仕掛けられていた、ということになります。

 もし同じ症状になって困っている方がいらっしゃったら、ぜひこの記事の方法を試されると良いと思います。

 あと、このおもちゃに取扱説明書が添付されておらず、メーカーサイトにも見当たらないので、こういう動作がいわゆる「仕様」である可能性があります。店頭の販促用デモとして、自動的にあれこれ表示させるのは、隠し機能として仕込まれていることがあります。そんなことで、これがもし「仕様」なら、勝手に記事にしてごちゃごちゃ書いて申し訳ないです。ただ、簡単に起動できてしまうのは、明らかに変な仕様だと思います。

 これでおもちゃ修理の記事はおしまいです。次回の記事は、もしネタがあれば2月頃になると思います。

ファービー(おもちゃ修理)

 12月に開催された稲城市のおもちゃ病院で、私が担当した修理の中で他のドクターさんの参考になりそうな事例を紹介します。2件ありますが、この記事ではファービーの修理を紹介します。

▼ファービー
ファービー
 我が家では買ったことが無いので、現物を触るのは初めてです。症状としては全く動かないということです。

 ファービーは修理の事例がネットに沢山上がっています。ただ皆さん手慣れていらっしゃるようで、いきなり修理の核心部分の話が始まることが多いです。でも、そこにたどり着くには、毛皮を脱がして分解しないといけないのですが、そのあたりの情報が少ないと感じました。

 そんなことで、分解していく過程を最初から記事にして行きます。

▼毛皮を脱がせた状態
ファービーの毛皮
 毛皮の裾にタイラップが通してあり、本体のプラスチックの溝に締め付けることで固定してありました。タイラップのラッチに小さなマイナスの時計用ドライバーを差し込めばロックを解除出来ます。
 組み立てる時は、ラジオペンチでタイラップの先を掴んでラッチに押し込めばOKです。無理ならタコ糸などで締め上げれば良いでしょう。

 ここまで分解する前段階として、顔の部品の止めビスを外す必要があります。

▼顔の止めネジ
毛皮の止めネジ
 毛皮と顔のプラ部品は縫い合わされて一体になっています。その顔のプラ部品は両側で本体にネジ止めされています。

▼毛皮を外した後の本体上部
服を外した本体上部(接着跡)
 耳を動かすナイロン製のアクチェーター周囲のボディーと、毛皮はホットボンドで接着されています。これを剥がさないと毛皮が外れません。組み立てる時は、毛皮をかぶせた後で、最後にホットボンドで数点接着してやれば良いと思います。

 なお、このアクチェーターと耳は糸で止められていますが、分解するためにはこの糸を切らないといけません。つまり、元に戻すには、針と糸が必要になります。

 以上が毛皮を脱がす手順です。

 以下、いよいよ修理に入って行きます。

▼モーター
前から見た様子
 ファービーの故障で多いのはモーターの整流子の接触不良だそうです。この故障はモーターを手で回してやると接触不良が修復されて自力回転するようになるということだそうです。
 中のケースを開けると、この写真のようにモーターの回転子が少し見えるので、そこを何かで動かしてやると、モーターが回転を始めました。

 運が良ければこれだけで修理完了になるらしいのですが、この個体はまだ様子が変でした。リセットをかけるとモーターが廻り続けて一向に止まる気配がありません。ということで調査と修理は続きます。

▼モーターの回転センサー(フォトトラ)
回転センサーと舌スイッチ
 モーターの回転は穴開きの歯車を使って光学的に検出しているようです。その信号はこの写真のフォトトラの端子をオシロで見ることで確認出来ますが、どうも異常は無さそうです。ちなみにかなりの高速のパルスが出てましたが、すみません周波数を測るのを忘れました。

 モーターが廻らないと大電流が流れて回路を痛めてしまいそうですが、回転センサーでモータを監視しているので、異常を検出して自動的にモーターをOFFにしていたのだと思います。

 モーターに異常は無さそうな感じなので、各部のスイッチのクリーニングを行いました

▼背面側
後部
 複雑なカムの後ろに、原点スイッチと背中スイッチがあるので、細かいサンドペーパーで接点を磨いてやりました。前面にある、お腹スイッチも同じように接点をサンドペーパーで磨いてやります。

 原点スイッチには調整ネジが付いており、ゆるみ止めのロックペイントが掛かっていました。たぶんこの調整が一番クリティカルかつ重要ということなんだと思います。この接点が接触不良になると動きがめちゃめちゃになるはずです。あと、モーターの動きをを監視するパルスセンサーは付いていますが、これだけでは正確なメカの位置までは判らないので、とにかく原点スイッチは重要です。

 ここまでやるとだいぶロボットらしい動きになってきました。でも寝た状態からなかなか覚醒しません。こういう時は傾斜センサー(スイッチ)の動きが悪いそうです。

▼傾斜スイッチ
傾斜スイッチ

▼傾斜スイッチの波形例
傾斜スイッチの反応
 ファービーを何度も揺すると酸化膜が破壊されて傾斜スイッチの接触不良が直ってくるらしいのですが、いくらやってもあまり改善していく感じがしませんでした。波形を見てもごく短時間しかONになっていません。そこで思い切って傾斜スイッチを取り外して分解清掃することにしました。

▼分解した傾斜スイッチ
傾斜スイッチ分解清掃
 左が一番下で、右に向かって積み上がっています。傾斜に応じて金属球が動くことで端子間がショートして姿勢の変化を検出する仕掛けです。電極端子を左から A, B, C と呼ぶと、水平の場合は端子間のショートは無しです。センサーが(30度くらい?)傾くと金属球が移動して端子の A と B がショートします。上下逆になると B と C がショートする仕掛けだと思います。

 見た目では特に異常は無かったのですが、部品をエタノールで洗い、最後はキムワイプで拭きあげて仕上げました。拭きあげ後は指の油などが付かないようにピンセットで触ります。

▼傾斜スイッチのテスト
傾斜スイッチ動作確認中
 オシロで動作状態の確認中です。しっかりとONになるようになったのでこれで良しとしました。

 これで全ての動作がOKとなったので、組み立てて修理完了しました。

◆まとめ
 結局は、モーターの整流子まで含んで金属接点はほとんで全部ダメになっていました。唯一大丈夫だったのは、舌の動き検出のマイクロスイッチだけです。ひょっとしたら、ファービーのボディの中に有機ガスなどが閉じ込められ、それが接点に堆積するような現象が起こっているのかも知れません。

 あと、こういう電子回路のスイッチには微小電流しか流れないので、長期間経つとスイッチが接触不良になり易いのですが、そういうことまで考慮した設計にしておいて欲しかったです。

 動作テストの電源に直流安定化電源を使うと、正常に動かない場合がありました。ファービーはモーターを素早く正転/逆転させているので、短時間ですが電源に電流が逆流することがあるようです。つまり電車の回生運転状態です。こうなると直流安定化電源は電流をシンクできないのでモーターを減速出来ず、動きがおかしくなることがあるようです。安定化電源の電圧計も瞬間的に7.5V程度の高い値を示していました。安定化電源を使う場合は外部にパラに抵抗を入れてバラスト電流を流す、あるいはおとなしく電池を使った方が良いでしょう。

◆ファービーが2体
ファービー2体
 修理に当たっては、院長先生から正常に動くファービーを貸していただきました(左側です)。これと動きを比較することでスムーズに修理を進めることが出来ました。これ(彼)がいなかったら修理はもっと難航していたと思います。来てくれてありがとう、助かりました。

おしゃべりバイリンガル・テーブル (おもちゃ修理)

 一連のおもちゃ修理記事の最終回。今回修理するのはおしゃべりバイリンガルテーブル(Fischer Price製)です。このおもちゃのアマゾンのページはこちら。

 なお先にお断りしておきますが、このおもちゃの故障は普通なら修理不能です。今回はどこまで直せるか試すためにとことん修理を行っています。

▼おしゃべりバイリンガル・テーブル
バイリンガルテーブル
 盛りだくさんの鳴り物が入ったかなり大きなおもちゃです。アマゾンでも1万円近くします。

 症状としては電源が入らず音が出ないということで、窓のそばに置いておいたら雨で濡れ、水没したとのことです。

▼分解
内部
 ユニット間を配線が入り乱れています。

▼メイン基板
メイン基板
 この基板に配線が集中していてこれがメイン基板です。全ての配線は色違いのコネクタで接続されているので、分解・点検が容易になっています。

 おもちゃの修理をやっていて煩わしいことの一つは、作業中に配線がはんだの根元から切れてしまう現象です。このおもちゃは配線の接続にちゃんとしたコネクタを使っているので、そういう問題はまず起こりません。また、本体側のスイッチやLEDなどの配線には収縮チューブ処理がされているので、配線が切れ難くなっています。見た目は雑然とした配線ですが、抑えるべき所はきちんとしていて好感が持てます。

 ここまで特に異常は認められないのでメイン基板を外してみます。

▼メイン基板の裏側(部品面) 全体
SMD実装面、激しく腐食

左側 拡大
左半分

右側 拡大
右半分

 うわぁー、これはだめです、あちこち激しく腐食しています。青い析出物は銅イオンの色でしょう。白い析出物は錫かな(鉛フリーです)。オレンジ色は鉄かクロムか?

▼お湯で洗う
湯洗、ブラシ洗浄
 流しに持って行ってお湯に入れ、ブラシでこすって析出物を洗い流しました。なお、ここでチップ部品を洗い流さないよう、注意が必要です。

▼観察結果
チップ抵抗部
 半田が無くなっています。ソルダーレジストで覆われていなかった部分の基板パターンが消滅しています。またチップ抵抗のメタライズ膜も消滅していて、テスターで触っても導通がありません。

トランジスタの足が消滅
 トランジスタの足が無くなっています。下のパッドのほとんど消滅しています。

 同じようなことが基板のあちこちで起きているので、このおもちゃは修理不能です。

 ということで普通ならお返しするのですが、どこまで直せるかダメ元でやってみました。なお、以下の作業は実体顕微鏡を使って行っています。

▼パターン断線修復
パターン断線の修復
 ソルダーレジストの下でもピンホールなどがあるのでしょうか、パターンが消滅している個所があるので、φ0.26の単線をはんだ付けして断線を修理しました。

▼チップ抵抗の修理
抵抗交換
 元のチップ抵抗はメタライズ膜が消滅して使用不能なので、普通のラジアル部品の抵抗に交換しました。また接続パッドも無くなっているので、別の接続場所を探してそこにはんだ付けしました。スイッチからの信号入力ピンのパッドが激しく腐食している傾向がありましたが、配線を通して電流が流れたような気がします。なお、信号の入力ピンは10本くらいあって1MΩの抵抗でプルアップされているのですが、そういう配線のパッドや抵抗は全滅してました。

▼抵抗とパターンの修理
修理の様子
 パターン断線がLSIの樹脂ポッティング内部まで及んでいる場所があったので、掘り出してはんだ付けして修復しました。

▼トランジスタの接続
モールドを削ってトランジスタの端子に接続
 足が無くなっていたトランジスタのピンはモールドを削ってリードフレームを露出させ、そこにはんだ付けしました。どのトランジスタもエミッタがやられていたのは配線の関係なんでしょう。また、他の接続部は念のためにはんだを盛って再接続しておきました。

▼修理完了
修復後 抵抗を11個交換
 修理内容としては、抵抗交換11本、トランジスタの足修復3か所、パターン断線修理7か所、はんだタッチアップ多数です。

 これで修理完了で、全機能動作OKとなりました。

◆修理の感想、TIPSなど
・RoHSの基板なので鉛フリーはんだが使われているのだと思いますが、腐食でスズが抜けたためか、フラックスを付けてはんだコテを当てると白かったはんだが茶色いヘドロ状に崩壊するので清掃が大変でした。

・修理中は基板に電源とスピーカーを接続し、修理の節目が終わるたびに動作確認を行いました。だんだんと出てくる音の種類が増えていって、修理が進んでいることが実感出来てよかったです。

・電源電流をモニタしながら動作確認を行うと状態が判り易いです。ちなみに、このおもちゃの消費電流は音が鳴っている時は15mAくらいで、待機中は3.3mAくらいの消費電流でした。音も出ずに変な状態で固まってしまう時は10mAになるとか、鉾にもいろいろなパターンがありました。うんともすんとも言わず全く動作しない回路を調べる時は、電源電流の変化に注目すると問題解決のヒントが発見出来るかも知れません。

◆まとめ
 どこまで直すことが出来るか、というチャレンジでしたが、何とか修理出来て良かったです。いい経験になりました。

 修理中に一番不安だったのは、もし原因がポッティングされているLSIの故障だったらお手上げだったことです。でも今までの経験ではLSI自体が壊れていたことはまず無かったので、それを信じてやりました。

 ちょっと不思議なのは、メイン基板があれだけ腐食していたのにもかかわらず、他の部分は無事なことです。雨で濡れたということ(水没?)なら他の部分にも同じような被害が出ていてもおかしくないと思うのですが、そちらには全く異常がありませんでした。
 メイン基板の位置だけ雨で濡れたのかも知れませんが、ひょっとしたらSMT実装プロセスで使ったフラックスや洗浄方法に何か問題があったのかも知れません。
 そんなところで、ちょっと引っかかるところがあるので、気に留めておきたいと思います。とは言っても、そもそも電子回路の基板を濡らしてはアウトです。

 ということで、おもちゃの修理記事が3連発続きましたが、これで終わりです。次回からは平常運転に戻ります。
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