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電力量計(積算電力計)から計量パルスを取り出し、Arduinoに入力

 間が空いてしまいましたが、電力量計の話の続きです。前回の記事はこちら

 今回は電力の測定値をArduinoから読めるようにしてみます。読むと言っても積算カウンタに表示されている数字を画像として読むのではなく、アラゴの円盤の回転を計量パルスとして読み出すことが目的です。

 相手はガラスのケースに密封されているので検出方法は限られてきます。今回はレーザー光を使ってクリーピング防止穴を検出する方式で行くことにしました。なお、こういう方法があることは匿名さんからのコメントで教えて頂きました。

▼取り付けたレーザーと光センサー
電力量計に取り付けたセンサ
 電力量計の円盤にはクリーピング防止穴が開いていますが、ガラスケースを通してこの穴を上から下へ見通すことが出来る位置があります。それは上の写真の位置です。ここに光源とセンサーを設置することで円盤の回転を検出することが出来ます。

 ガラスケースのサイズは結構大きくて150mmくらいあります。間隔がこんなに離れている場合は、レーザー光を使うことで確実な検出が出来ます。今回使ったレーザーは秋月で売っている「赤色ドットレーザーモジュール 6mmx17.5mm 1mW 超小型 スポット調整可」、を使いました。こんなものがわずか380円で手に入る時代になったんですね。また、これレンズの焦点調整が可能で、スポットの位置を調整出来るので今回のような用途にはぴったりです。

 電力量計のガラスケースにはテーパーが付いているので、木片で作ったホルダーを加工して光が鉛直に落ちるようにしています。また、光センサーには、秋月で売っている「照度センサ(フォトトランジスタ) NJL7502L」を使いました。探せばもっと用途に合った物がありそうですが、とりあえず手持のセンサーを使いました。なお、どちらもとりあえずテープとホットボンドで固定しています。

▼円盤の穴と光センサー
円盤の穴を検出
 円盤の穴にレーザー光が通って光センサーに当たっている状態です。下の赤く光っている場所に光センサーがあります。右の緑色のLEDは動作確認用で、センサーに光が当たった時にArduinoを経由してプログラムで点灯させています。

▼回路図
接続回路図
 動作確認用のLEDの配線を書き忘れてしまいましたが、これはおなじみの13番ピンにLEDを接続しています。フォトトランジスタを使った光検出回路はヒステリシスを持たせた方が良いのですが、とりあえずミニマムの回路でやってみました。

▼スタンドの背面に回路を背負わせる
背面にArduino
 電気メーターの後ろにArduino とブレッドボードがあるのは不思議な光景です。検出は光アイソレートになっているので安心です。

▼テスト用プログラム
//
// 電力量計読み取りテスト
// 2018/8/21 ラジオペンチ http://radiopench.blog96.fc2.com/
//

#define PowSig 2

unsigned long Tlast;
unsigned long Tdiff;
unsigned long Tnow;
unsigned long HoleCount = 0;

float Watt, Wh;
const float SFw = 1500.0; // 電力換算係数 SFw / パルス間隔(s) = W 
const float SFe = 2.4; // 電力量換算係数 パルス数 / SFe = Wh

void setup() {
Serial.begin(9600);
pinMode(PowSig, INPUT_PULLUP);
pinMode(13, OUTPUT);
Tlast = millis();
Serial.println("Power(W), Enargy(Wh)");
}

void loop() {
while (digitalRead(PowSig) == HIGH) { // ホール検出待ち
}

digitalWrite(13, HIGH);
while (digitalRead(PowSig) == LOW) { // ホール通過待ち
}
digitalWrite(13, LOW);

HoleCount ++;
if (HoleCount >= 2) { // 2つ目以降の穴だったら電力計算
Tnow = millis(); // ミリ秒単位のシステム時刻取得
Tdiff = Tnow - Tlast; // 時間差計算(millisオーバーフロー対策必要)
Tlast = Tnow;
Watt = SFw / (Tdiff / 1000.0); // 電力値計算
Wh = (HoleCount-1) / SFe; // 累積電力量計算
Serial.print(Watt); Serial.print(", "); Serial.println(Wh);
} else { // 1つ目のホールだったら
Tlast = millis(); // 時刻だけ記録して何もしない
Serial.println("0, 0");
}
Serial.flush();
}
 プログラムを走らせると、光センサがONする毎に電力(W)と電力量(Wh)をシリアルに流すようになっています。センサーの検出と結果出力には割り込みを使った方がいいのですが、とりあえず動作確認したいので簡単なプログラムを書いてみました。

▼Windows PC の TeraTeramで見た出力
シリアル出力
 これは負荷に50Wの白熱電球を接続した場合の出力ですが、それっぽく動いています。なおこの負荷では、1行(=1パルス)の測定に30秒かかります。電力によって出力のインターバルが変わってしまうのがこのプログラムの難点です。

▼動画

 動いている様子です。赤い光がゆらゆらと動いているのは、円板表面にエンボス加工されているマス目状のテクスチャでレーザー光の反射位置が変わるためです。動画の終わりあたりに、検出ホールを光が通過してセンサーに当たり、緑色のLEDが点灯する様子が映っています。(久しぶりにyoutube使ったら、キャプション機能が無くなっていて、説明用の文字が入れられなくなってました)

◆まとめ
 とりあえずArduinoに接続して動作確認が出来ました。このプログラムでもシリアル経由でパソコンに測定結果を送ることが出来るので何か使い道はありそうです。

 今回は動作確認ということで簡単なプログラムになっています。記事中にも書いたのですが、やはりタイマー割り込みを使って正確な時間間隔で測定出来るようにした方が、使い易くなるはずです。今後プログラムの改良をやってみたいと思います。

 なお、この電力量計はフルスケールが6キロワットもあるので、小さな電力を測る場合は測定時間が長くなってしまうという問題があります。これは仕様上仕方がないのですが、電力量計の使っていない相のコイルを使うことで感度を2倍に出来そうです。というか、実はこの記事の電力計は既にそういう接続にしているのですが、その話も近々記事にしたいと思います。

おしゃべりバイリンガル・テーブル (おもちゃ修理)

 一連のおもちゃ修理記事の最終回。今回修理するのはおしゃべりバイリンガルテーブル(Fischer Price製)です。このおもちゃのアマゾンのページはこちら。

 なお先にお断りしておきますが、このおもちゃの故障は普通なら修理不能です。今回はどこまで直せるか試すためにとことん修理を行っています。

▼おしゃべりバイリンガル・テーブル
バイリンガルテーブル
 盛りだくさんの鳴り物が入ったかなり大きなおもちゃです。アマゾンでも1万円近くします。

 症状としては電源が入らず音が出ないということで、窓のそばに置いておいたら雨で濡れ、水没したとのことです。

▼分解
内部
 ユニット間を配線が入り乱れています。

▼メイン基板
メイン基板
 この基板に配線が集中していてこれがメイン基板です。全ての配線は色違いのコネクタで接続されているので、分解・点検が容易になっています。

 おもちゃの修理をやっていて煩わしいことの一つは、作業中に配線がはんだの根元から切れてしまう現象です。このおもちゃは配線の接続にちゃんとしたコネクタを使っているので、そういう問題はまず起こりません。また、本体側のスイッチやLEDなどの配線には収縮チューブ処理がされているので、配線が切れ難くなっています。見た目は雑然とした配線ですが、抑えるべき所はきちんとしていて好感が持てます。

 ここまで特に異常は認められないのでメイン基板を外してみます。

▼メイン基板の裏側(部品面) 全体
SMD実装面、激しく腐食

左側 拡大
左半分

右側 拡大
右半分

 うわぁー、これはだめです、あちこち激しく腐食しています。青い析出物は銅イオンの色でしょう。白い析出物は錫かな(鉛フリーです)。オレンジ色は鉄かクロムか?

▼お湯で洗う
湯洗、ブラシ洗浄
 流しに持って行ってお湯に入れ、ブラシでこすって析出物を洗い流しました。なお、ここでチップ部品を洗い流さないよう、注意が必要です。

▼観察結果
チップ抵抗部
 半田が無くなっています。ソルダーレジストで覆われていなかった部分の基板パターンが消滅しています。またチップ抵抗のメタライズ膜も消滅していて、テスターで触っても導通がありません。

トランジスタの足が消滅
 トランジスタの足が無くなっています。下のパッドのほとんど消滅しています。

 同じようなことが基板のあちこちで起きているので、このおもちゃは修理不能です。

 ということで普通ならお返しするのですが、どこまで直せるかダメ元でやってみました。なお、以下の作業は実体顕微鏡を使って行っています。

▼パターン断線修復
パターン断線の修復
 ソルダーレジストの下でもピンホールなどがあるのでしょうか、パターンが消滅している個所があるので、φ0.26の単線をはんだ付けして断線を修理しました。

▼チップ抵抗の修理
抵抗交換
 元のチップ抵抗はメタライズ膜が消滅して使用不能なので、普通のラジアル部品の抵抗に交換しました。また接続パッドも無くなっているので、別の接続場所を探してそこにはんだ付けしました。スイッチからの信号入力ピンのパッドが激しく腐食している傾向がありましたが、配線を通して電流が流れたような気がします。なお、信号の入力ピンは10本くらいあって1MΩの抵抗でプルアップされているのですが、そういう配線のパッドや抵抗は全滅してました。

▼抵抗とパターンの修理
修理の様子
 パターン断線がLSIの樹脂ポッティング内部まで及んでいる場所があったので、掘り出してはんだ付けして修復しました。

▼トランジスタの接続
モールドを削ってトランジスタの端子に接続
 足が無くなっていたトランジスタのピンはモールドを削ってリードフレームを露出させ、そこにはんだ付けしました。どのトランジスタもエミッタがやられていたのは配線の関係なんでしょう。また、他の接続部は念のためにはんだを盛って再接続しておきました。

▼修理完了
修復後 抵抗を11個交換
 修理内容としては、抵抗交換11本、トランジスタの足修復3か所、パターン断線修理7か所、はんだタッチアップ多数です。

 これで修理完了で、全機能動作OKとなりました。

◆修理の感想、TIPSなど
・RoHSの基板なので鉛フリーはんだが使われているのだと思いますが、腐食でスズが抜けたためか、フラックスを付けてはんだコテを当てると白かったはんだが茶色いヘドロ状に崩壊するので清掃が大変でした。

・修理中は基板に電源とスピーカーを接続し、修理の節目が終わるたびに動作確認を行いました。だんだんと出てくる音の種類が増えていって、修理が進んでいることが実感出来てよかったです。

・電源電流をモニタしながら動作確認を行うと状態が判り易いです。ちなみに、このおもちゃの消費電流は音が鳴っている時は15mAくらいで、待機中は3.3mAくらいの消費電流でした。音も出ずに変な状態で固まってしまう時は10mAになるとか、鉾にもいろいろなパターンがありました。うんともすんとも言わず全く動作しない回路を調べる時は、電源電流の変化に注目すると問題解決のヒントが発見出来るかも知れません。

◆まとめ
 どこまで直すことが出来るか、というチャレンジでしたが、何とか修理出来て良かったです。いい経験になりました。

 修理中に一番不安だったのは、もし原因がポッティングされているLSIの故障だったらお手上げだったことです。でも今までの経験ではLSI自体が壊れていたことはまず無かったので、それを信じてやりました。

 ちょっと不思議なのは、メイン基板があれだけ腐食していたのにもかかわらず、他の部分は無事なことです。雨で濡れたということ(水没?)なら他の部分にも同じような被害が出ていてもおかしくないと思うのですが、そちらには全く異常がありませんでした。
 メイン基板の位置だけ雨で濡れたのかも知れませんが、ひょっとしたらSMT実装プロセスで使ったフラックスや洗浄方法に何か問題があったのかも知れません。
 そんなところで、ちょっと引っかかるところがあるので、気に留めておきたいと思います。とは言っても、そもそも電子回路の基板を濡らしてはアウトです。

 ということで、おもちゃの修理記事が3連発続きましたが、これで終わりです。次回からは平常運転に戻ります。

ベビラボ アンパンマン おそらでコンサート (おもちゃ修理)

 アンパンマンのキーボードの修理の話です。おもちゃの正式名は、「ベビラボ アンパンマン おそらでコンサート 」でメーカーはバンダイです。故障モードと交換した部品が珍しいかも知れないので記事で紹介します。なお、このおもちゃのアマゾンのページはこちらです

▼ベビラボ アンパンマン おそらでコンサート
ベビラボ アンパンマン おそらでコンサート
 黒鍵が無いキーボードで、ドレミファソラシドと1オクターブの発音が可能で、右側のプッシュスイッチで電源のON/OFFとプリセット曲の演奏が出来ます。おもちゃと言っても複数キーの同時押し(ポリフォニック)が可能で、和音が鳴らせます。とは言っても黒鍵無しの音域1オクターブなのでほとんど遊べません。

 故障の症状は電源が入らなくて全く音が出ないというものでした。

 調べてみると、ヒューズ抵抗が切れていました。

▼ヒューズ抵抗断線
ヒューズ抵抗
 見掛けはアキシャルリードの抵抗ですが、実はヒューズです。これが断線していました。

 なお、このおもちゃは単三電池3本で動き、電池ボックスは2本用と1本用の二つに分かれていますが、このヒューズはその間をつなぐ配線に入っていました。

 テスターを電流レンジにしてヒューズの両端に触れると1Aくらいの電流が流れました。これは負荷(プリント基板)の電源間がショートしているということで、ヒューズを交換する前にそちらを修理する必要があります。なおこのケースのように、どれくらいの電流が流れるか判らない場合は、テスターを大電流のモード(例えば20A)にしておかないと、テスター内部のヒューズを飛ばす可能性があるので要注意です。

 プリント基板の電源間にショートが発生していないか、実体顕微鏡を使って詳細に観察すると、怪しい部品を発見しました。

▼チップセラコンにクラック発見
チップコンデンサにクラック
 電源間にまたがって接続されているコンデンサなのでこれは怪しいです。

 このコンデンサを取り外してヒューズも交換して電源を入れてみると、はい、ちゃんと音が出ました。このコンデンサがショートしていたと考えて間違いないです。最初にこのコンデンサがショートし、それが原因となってヒューズが切れたものと思われます。

 このコンデンサは電源間のデカップリングコンのようなので、省略しても大丈夫そうです。とは言っても条件が悪い時に誤動作するといけません。でもチップセラコンのストックはほとんど持ってないし、そもそもショートしているのでLCRメーターで容量を調べることも出来ません。ということで、手持ちの6.3V 47μFの電解コンデンサを付けておきました。電解コンでセラコンの役目を完全に果たせる訳ではありませんが、まあ普通は大丈夫かと。

▼代替の電解コンデンサを取り付け
電解コンデンサに交換
 幸いなことに高さ方向含め、実装スペースは十分ありました。

▼交換後のヒューズ
ヒューズ抵抗
 見た目は変わらないですが交換後で、1Aのヒューズ抵抗です。

▼ヒューズ抵抗
aitendoのヒューズ抵抗
 この写真は0.5Aの物ですが、実際に使ったのは1Aです。aitendoで売っている抵抗型ヒューズ(5個入) [RFUSE-Y] です。何か買い物をする時に一緒に買っておくと良いでしょう。あるいはポリスイッチでもいいのでストックしておくと何かの時にきっと役立に立つはずです。

▼取り外した部品
外した部品
 右上が外したチップコンデンサとヒューズ抵抗。左下は交換に使ったヒューズ抵抗です。

◆まとめ
 ということで、チップコンのショートが原因でヒューズ断になった、というちょっとややこしい故障でした。ともかく無事に修理することが出来て良かったです。ちなみに、このおもちゃまだ新しくてピカピカなので買って間もない物だと思いますが、完全に修理出来て良かったです。

 あと、最近の機器にヒューズ抵抗はよく使われているので、スペア部品をストックしておいて良かったです。

◆あれこれ雑談
 ここで最初の写真をもう一度見て頂きたいのですが、このおもちゃにはメカニカルな電源スイッチがありません。この設計の意図について少し考察してみます。実は今回の故障と少し関係がありそうなことが見えてきます。

 おもちゃの電源スイッチにはスライドスイッチがよく使われますが、そのためには当然部品としてのスイッチが必要です。さらに配線コストもかかります。ところで、どうせ電源以外にもスイッチが必要になるので、これらと混ぜて電子的に電源をON/OFFするようにすれば、メカニカルな電源スイッチが省略出来てコストダウンになります。そんな事情で、このような設計になった気がします。

 それに、電子スイッチなら一定時間経ったら自動的に電源を断にしてバッテリーの無駄な消費を防ぐ、つまり電源切り忘れ防止機能を簡単に実現出来ます。これは商品差別化のためのポイントになります。

 そんなことでいいことずくめに見えるのですが、一つ心配なことがあります。電源スイッチを電子化するためには回路に常に通電しておく必要がある点です。最近の電池は内部抵抗が低いので、ショートしたら発火する可能性が高いです。万一発火したとしても、メカ式の電源スイッチなら、「ユーザーが電源スイッチを切らなかったのが悪い。取説にもそう書いてあります。」 という言い訳が出来ます。でも電子式の電源スイッチの場合、そんなことは言えません。

 長々と書いてきましたが、そういう背景があって、このおもちゃの電源回路にヒューズが入れられたのだろうか、と思いました。

 これはちょっと偏った見方かも知れません。また電源スイッチの方式がどうであれ、このおもちゃを作ったバンダイさんでは、社内の設計基準でヒューズを入れることを定められているのかも知れません。

 ともかく、おもちゃはだんだんと増えるので、いつの間にかおもちゃ箱の中に山積みになっていたりすると思います。その山の中で電池ショートで発火なんて起こったら、えらいことになります。安全確保のために出来ることは全部やっておいた方が良いと思います。人間が頭の中で考えられる程度のことは、必ず実際に起こっているのですから。
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