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USB-A延長ケーブルを低抵抗電源ケーブルに改造(完了)

 USB-A延長ケーブルの改造の話の続編です。前の記事ではケーブル抵抗がやや大きくて、ちょっと不満が残る結果でした。ということで、使い勝手が悪くならない範囲でもっと太い線を間に入れることにしました。

▼1.25sqのケーブル
1.25sq
 写真が見づらいですが1.25mm2と表示されています。ちなみにAWG16相当です。

 もっと太い線も売られていますが、使い勝手から考えるとこれくらいが限界でしょう。

▼回路図
USBケーブル改造回路図
 一番下の改造3が今回作るケーブルです。

▼完成
1.25sq延長ケーブル
 抵抗を測ってみると、
 ・VBUS側抵抗:88.6mΩ
 ・GND側抵抗:87.5mΩ

 目標の100mΩを切ることが出来ました。ここまでくると両端の細いケーブルの部分の抵抗が半分以上を占めています。ここを切り詰める、もしくはコネクタ直結にすればもっと抵抗を下げることが出来ますが、使い勝手との兼ね合いで難しいところです。

▼使用した収縮チューブ
使った収縮チューブ
 接続部の保護のために使った熱収縮チューブです。左の二つは細い信号線の端末処理にいつも使っている物です。右はダイソーで売っている各種サイズの熱収縮チューブの詰め合わせで、これいろいろなことに使えて便利です。

◆まとめ
 長さが約2.5mで、電源線の抵抗が0.1Ωを切るUSB充電ケーブルが出来ました。往復で2倍の抵抗になりますが、それでも0.2Ω以下なので、1Aの電流を流しても電圧降下は0.2V以下に収まります。

 USB電源アダプタの出力は普通は5.2V程度ありますが、1A流したとしてもケーブル端で5V以上が供給出来ることになります。最近のスマホなどの機器は、電圧を見ながら充電電流を制御する機能があるので、供給電圧の低下を防げば、より大きな電流で充電出来ます。そんなことで充電時間の短縮になります。もちろん電源アダプタの電流容量も関係してきます。

 USBの電源供給にはもっと高い電圧で大電力を送る規格があるので、この記事のようなちょっとおバカな改造は、将来は笑い話になりそうではあります。

【参考】
居酒屋ガレージ日記さんが、USB-Aコネクタの接触抵抗 という記事を書かれました。この記事によると、USB-Aコネクタを一つ(1ピン)通過すると、12~13mΩの抵抗ロスがあるそうです。

USB-A延長ケーブルを低抵抗電源ケーブルに改造するも、、、

 USB-Aのオス/メスコネクタが付いた延長ケーブルは便利なのですが、ケーブルの抵抗が高いので、スマホなどの充電スピードが遅いのが不満でした。市販品に抵抗が低い物が無いか探してみたのですが、良さそうな物は見つかりません。

 片側がUSB-Aで、反対側がマイクロUSBなり Lightning コネクタが付いた低抵抗なケーブルは売られています。でも、当然ですが線が太いので使い難いです。それにあまり長い物は見つかりません。そもそもLightningコネクタって、根元で良く断線するので消耗品みたいなものですが、そんなんだったら、近くまでUSB-Aで延長し、先だけ短いLightingケーブルを付けて使うのが合理的です。

 そんなことを考えて、USB-A(オス/メス)ケーブルを改造し、低抵抗な充電専用ケーブルを作ることにしました。以下はその顛末です。ただ、先にお断りしておくと、満足できる物は出来ていません。ということで、試行錯誤の過程を見て楽しんで頂けたらと思います。

▼素材の候補のケーブル
USB-A 延長ケーブル
 手持ちに長めのUSB-A延長ケーブルは3本ありました。このうち1本を改造して低抵抗化したいと思います。ここで問題になるのはケーブルに使われている線の太さです。ということで詳しく見ていきます。

▼No1. (左上の2mケーブル)
左上2m
 28AWG/2C + 28AWG/2C という表示なので、電源と信号の両方にAWG28の線が使われていることになります。信号はともかく電源線もAWG28なので、これ抵抗が高すぎてダメです。

▼No.2. (右上の2mケーブル)
右上2m
 28AWG/2C + 24AWG/2C と表示されています。つまり 電源にはAWG24の線が使われているので、No1より抵抗が低いケーブルが使われています。

▼No.3, (下の3mケーブル)
下 3m
 これも28AWG/2C + 24AWG/2C です。今回は長さが2m以上のケーブルを作りたいので、このケーブルを改造することにします。

▼改造の回路図
USB電源延長ケーブル
 一番上が初期状態、以下改造1、改造2 の回路図です。

◆改造1
 改造1ではVBUS, D+, D-, GNDの4本の線を束ねてVBUS、つまり+5Vの線として使います。GNDはケーブルのシールドを使うことにしました。+5V側は4本の線を使うのでかなり抵抗が低くなるはずです。また、シースに使われているシールドには線材が大量に使われているので低抵抗が期待できると考えました。また、USB-Aコネクタの出力側のD+とD-の間は200Ωの抵抗で接続しておきます。なお、当然ですがこういう接続にするとデーター通信には使えません。またコネクタ間のシールドは接続されません。

 こういう狙いで改造を始めました。

▼ケーブルの皮むき
ケーブル皮むき
 赤と黒が電源、白と緑が信号です。信号には細い線(AWG28)、電源には太い線(AWG24)が使われています。また、シールドには大量の線が使われています。

▼電源を接続
V,G,+D,-DをまとめてVに接続
 電源の線を接続します。信号線は使わないので短く切断しておきます。あとはGNDをシールドの編組にはんだ付けすればこちら側はおしまい、のはずだったのですが、

▼シールドのはんだ付けがうまく行かない
Gを外皮に接続
 なんとシールドの編組にはんだが乗りません。なんとかはんだ付け出来た部分があったのでこのまま収縮チューブで養生してとりあえずこちら側の接続作業は完了。

 次は反対側です。基本的には同じ接続ですが、信号のD+とD-の間に200Ωの抵抗を入れます。ここはショートさせてもいいらしいのですが、とりあえず安全側で抵抗を入れてみました。

▼抵抗をはんだ付け
+D,-D間に200Ωを入れる

▼抵抗を収縮チューブで保護
メス側の接続
 あとは反対側と逆の接続にし、この後で収縮チューブ処理をして作業完了です。シールドの外皮には、はんだ付け出来ない線があります。

▼シールドのドレイン線
ドレイン線
 シールド外皮ではんだが乗らない線があったので調べてみると、外皮の内側に入っているドレイン線だけがこの写真のように、はんだ付け可能で、編組線にははんだが乗りませんでした。

 シールドの編組は、はんだ付け出来て当たり前と思っていたので意外な結果でした。銅の使用量削減によるコストダウンや、ケーブルをより丈夫にするための工夫なのかも知れません。ちなみにこのシールド線には磁石が付きませんでした。

▼改造1完成
USB電源延長ケーブル完成
 途中に変な熱収縮チューブが入っているので、充電専用という表示になっています(いるつもり)。

▼抵抗測定
直流抵抗測定
 ダミーのコネクタを差し込み、1Aの電流を流して電圧降下測定から抵抗を計算すると、
 ・VBUS側抵抗:136mΩ
 ・GND側抵抗:233mΩ

 VBUS側はほぼ許容レベルですが、GND側の抵抗が高すぎます。シールドの外皮にははんだが乗らなかったので心配していたのです、やはりダメでした。導体の断面積としては充分な量がある(φ0.127の69本構成)のですが、材料の抵抗率がかなり高いようです。たぶんステンレスのような材質が使われているのでしょう。

 これでは満足できないので、太めの線を中間に使ったのが改造2です。

◆改造2
ACケーブルで接続
 細めのAC100V用の電源ケーブルを使ってみました。この線の芯線はAWG20くらいあります。なお、これは被覆が二重絶縁になっていないので、現在ではAC100Vに使ってはいけない線です。

▼改造2完成
ACコードを使った延長ケーブル
 長さは2.5mで足りるので、改造1より50cm短く作りました。この状態での抵抗は、
 ・VBUS側抵抗:133mΩ
 ・GND側抵抗:134mΩ

 うーん、100mΩを切って欲しかったので、結果としてはイマイチです。

◆まとめ
 シールドの編組線にはんだ付け出来ない物があるとは、知りませんでした。世の中どんどん変化しているので、古い常識で考えていると痛い目に合う、ということでしょう。

 今回作った改造2のケーブルは2.5mくらいあるのに1Aくらいで充電出来るので効果はあります。でもどうせならもっと低抵抗の物を作ってみたかったです。まあ太い線を使えば良いのですが、使い勝手の問題もあるので、良さそうな線が見つかったらまた試してみたいと思います。

ダイソーの500円モバイルバッテリー (リップル対策改造)

 ダイソーの500円モバイルバッテリーの話の最終回です。前回の調査では、携帯機器の充電に使う場合、つまり普通に使う時は特に問題は無いだろうと判断しました。これは、相手の機器の電源間に普通は、比較的容量の大きなコンデンサが入っていることを考慮したものです。

 ところで、このモバブを電子工作の電源として使う場合にはそういう想定は通用しません。こういう制約があることを忘れていると、電源の大きなリップル(1Vpp)が原因になって思わぬトラブルに見舞われそうです。

 ということで、単体のままで使ってもリップルが小さくなるように改造することにしました。

▼回路図 (データーシートより抜粋、追記)
回路図
 リップルを小さくするにはC2かC3の容量を増やせば良さそうです。まずはC2の容量を増やしてみました。

▼C2を増量
コンデンサ追加テスト
 既存のコンデンサに並列に22μFのチップセラコンを入れてみました。このコンデンサはESRが小さくて特性が良い物(X7R)です。

 この対策で、ものすごくリップルが小さくなったのですが、一つ問題が発生しました。それはミニオシロのDSO Shell と aitendo で買った9Vの昇圧ケーブルの組み合わせで使うと、モバイルバッテリーの起動に失敗することです。aitendo の昇圧ケーブルの使用をあきらめて他の昇圧ケーブルを使えばいいのですが、これは気に入っているので、何とか使いたいものです。

 ということで、この対策はボツ。次はC3を増量してみます。

 オリジナルのC3が接続されている場所にコンデンサを追加することは難しいので、USBコネクタの位置に22μFのチップセラコンを接続しました。でもやはり起動不良が発生します。

 22μFでは容量が大きすぎるのか、ESRが低すぎるのがまずいのか、と考えて10μFのリード部品タイプのチップセラコンを入れると問題が解決して、正常に起動するようになりました。

▼追加したC3
出力に10μFのセラコン追加
 10μF(106)のチップコンデンサをここに入れました。

 これで aitendoの昇圧ケーブルでDSO Shellが使えるようになりました。起動不良になった原因はよく判りませんが、ソフトスタート中に過電流でトリップしていたような気がします。スイッチング電源は難しいです。

 リップルは少し大きいですが、これで電子工作でも安心して使えるようになったので、もう一度特性を測ってみます。

▼出力電流vs電圧特性
出力電流電圧特性
 前回の測定より電圧が低めなのはバッテリーが放電気味だったのだと思います。(前回のデーターは満充電時)

▼出力電流vsリップル特性
リップル特性
 この測定では負荷に47μFのコンデンサは接続していませんが、その時よりリップルは小さくなっています。なお、改造無しでは1V(PP)以上のリップルが発生します。

 グラフの負荷電流の小さい領域でリップルが大きいのは、この領域はDCDCコンバーターがバーストモードで運転されるためです。小出力時の効率低下を防ぐには仕方ない仕様でしょう。

 以下、追加情報をあれこれ書いておきます。

▼ミニオシロDSO Shellを動かす
DSO Shell
 このモバイルバッテリーは薄いので、こういう使い方が似合います。

▼使用中に充電すると
充電すると出力は遮断される
 取説には「充電中は使用しないでください」と書いてあったと思いますが、試しに使用中に充電してみると、出力が遮断されました。これはこれで有りの仕様でしょうね。

 ちなみにダイソーの300円のモバブは使用中に充電してもそのまま使えていました。というか充電と出力のコネクタは単にパラに接続されているだけなので、仮想的な5Vの二次電池とみなすことが出来てこれはこれで面白いです。でもそんなことやっちゃダメと書いてあった気がします。

 あと、出力電流が小さくなると自動遮断されますが、その閾値が約20mAと前の記事に書きました。でもこれ正しくなかったようです。というのは出力に大容量のコンデンサを接続すると自動遮断されませんでした。具体的には470μFのコンデンサだけ負荷に接続すると自動遮断されませんでした。ダイナミックなインピーダンスを見ている感じになっているようです。

◆まとめ
 あと一桁リップルを小さくしたかったのですが、どうにもうまくいかなかったのでここで妥協しました。DCDCコンバーターは難しいです。特にこれは500kHzのインバーターなので、部品の特性や取り付け位置の違いがシビアに結果に現われている感じです。

 ともかく、540円で買ったおもちゃでいっぱい遊ばせてもらいました。ダイソーさん大好きです。
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