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ダイソーの500円モバイルバッテリー (特性測定)

 ダイソーも500円モバイルバッテリーを調べる話の続きです。前回の記事では内部回路を調べて使い方のクセなどが判ったので、今回はいよいよ特性測定です。

 まずは出力電流と電圧の関係です。

▼出力電流電圧を測定する時の回路
出力特性測定
 モバイルバッテリーの出力に接続している青色のUSBパワーモニターは、単に電流測定用のシャント抵抗として使っているだけです。その先は47μFの電解コンデンサをパラに接続しており、さらに写真中央上の電子負荷につながっています。出力電圧とリップルは、この写真のように電解コンデンサを接続した位置でプロービングしています。

▼電流電圧特性
出力電流/電圧特性
 1.2Aくらいまでは電圧低下は少なく、十分使えそうで、ともかく公称出力の1Aは出ています。なお、電流が1.42Aくらいで出力がシャットダウンされました。

▼電流/リップル特性
電流vsリップル特性
 負荷電流を変えた時の出力電圧のリップル電圧 (PP) です。これは出力に47μFの電解コンデンサを接続した状態の値です。電解コンデンサが無いととてつもなく大きなリップルが発生するのは前の記事に書いた通りです。

 ノイズが問題になる用途ならもう少し性能の良いコンデンサを使うと良いと思います。また、単に携帯機器のバッテリーを充電したい場合は、これくらいのリップルがあっても支障は無いはずです。

▼リップル波形例ー1
小出力時のリップル波形
 これは変流が小さい場合のリップル波形です。この領域では、効率を上げるためにDC-DCコンバーターがバーストモードで動くので、普通はこういう波形になります。なおリップルの、周期は500μsなので2kHz。これはオーディオ帯域なので、場合によっては耳で聞こえるかも知れません。

▼リップル波形例-2
最大リップル波形
 これはリップルが最大になった時(負荷電流0.8A付近)の波形です。振幅は250mV、周期は5μsです。

▼ついでにDDコンのスイッチング波形
内部波形
 これはインダクタの入力電圧波形です。周期は1.9μsなのでスイッチング周波数は530kHzで、データーシート通りになっています。

 次は電気容量特性です。

▼充電電流量
充電電流量測定
 簡単にUSB電源チェッカーを繋いで満充電になるまでの積算電流を測定しました。結果は2665mAhでした。

 シリーズレギュレーター方式で充電しているので、この値がそのまま電池を充電するための積算電流値とみなすことが出来ます。電池の公称容量は3000mAhなので、充電にはこの値以上の電流量が必要になるはずですが、少し小さな値になっています。

▼放電電流量
容量測定
 負荷電流が1Aになるように電子負荷をセットしてUSB電流チェッカーで積算電流量を測定してみました。結果は、1761mAhでした。重要な値なので何度か測定しましたがほとんど同じ値でした。

▼電圧変化特性
電圧の時間変化はDSO Shellで測定
 前の記事で引用した”ガチ検証”のサイトがやっていたように、放電停止までの出力電圧の変化を見てみました。簡単な測定方法としてミニオシロのDSO Shell を使いました。一番遅いレンジでは20秒間隔で記録でき、データー数は1024ポイントなので 5.6時間分の記録まで可能です。

 記録した波形を、自作の光シリアルインターフェイスを通してエクセルに入力して作ったのが、以下のグラフです。

▼電圧変化 (放電電流=1A)
出力電圧変化
 開始から終了までの間に僅かに電圧が下がっていますが、許容範囲だと思います。

 この測定で放電完了までの時間は 1.72Hr なのでUSB電源チェッカで測った値とほぼ一致しています。なお、グラフの値が少し凸凹しているのはリップルを拾っているためです。

◆バッテリー容量の計算
 USBの5Vから負荷電流1Aの時に出せる積算電流が 1761mAh という測定結果からバッテリーの容量を推定してみます。
 DCDCコンバーターの効率を91%、リチウム電池の平均電圧を3.7Vと仮定すると、

 バッテリーの推定容量は、(1761 * 5 / 3.7) / 0.91 = 2615mAh ということになります。公称のバッテリー容量は3000mAhなので約13%少ないですが、まあこれくらいは許容範囲だと思います。

◆最小出力電流
 このモバイルバッテリーは負荷電流が小さくなると自動的に出力が遮断されます。この機能のおかげで電源の切り忘れが無くなって便利でが、極めて軽い負荷の場合は電源を入れてもすぐに遮断されるので使えないということになります。この限界電流を調べてみると、約20mAでした。つまり20mAより軽い負荷の場合は電源が遮断されるということです。電子工作の電源として使う場合は要注意です。なお遮断までの時間は15秒でした。

◆まとめ
 ダイソーの500円モバイルバッテリーの特性を測定しました。出力可能な最大電流は公称値に対して20%くらい余裕がありました。一方で電池の容量は少し(13%)少ない結果となりましたが許容範囲だと思います。

 ガチ検証のサイトによると最大電流は0.6Aという評価になっていますが、実際の使用状態(負荷に大容量のコンデンサが入っている状態)ではちゃんと公称値の1A以上の出力が出ることが確認出来ました。

 今回の測定で少し疑問なのは、電池を充電する時の電流積算値が2665mAhなのに対して、放電容量の推定値が2615mAhとなっていて両者の値がとても近いことです。これだと電池の効率は98%ということになりますが、いくら何でもこの値は高すぎる気がするので、測定のどこかに間違いがある可能性があります。
 まあ、充電する時は商用電源から電力をもらう訳で、いわば親方日の丸状態。ということで、こちらの電力の心配はしなくていいのでどうでもい話ではあります。

 ダイソーの300円のモバイルバッテリーの最小出力電流は確か60mAで、これより負荷が軽いと電源の断続が繰り返されます。また定常状態でも出力電圧が2秒周期で短時間(4ms)電圧が0.3V下がるという変な動きがありました。
 一方で今回調べた500円のモバイルバッテリーは最小出力電流が20mAと小さくなっていて電子工作用には使い易いと思います。また変な電圧のディップもありません。また、一度遮断されるとスイッチを押さない限り出力は自動復帰はしないので、この点でも使い易いと思います。まあ起動するためにはボタンを押さないといけないですが。 (コネクタを差し込むと自動起動でした。)

 以上でダイソーのモバイルバッテリーの調査は完了です。結論としては、大きなリップルはあるけど実際の使用条件ではほとんど問題になることは無く、仕様通りに使える物と考えます。

◆今後の予定
 そうは言って見リップルは少ない方が良いので、自分用にESRの低いコンデンサを組み込んだスペシャルバージョンを作ってみようかと思います。うまくいったらまた記事で紹介したいと思います。

 この記事の測定結果は、あくまでも私が購入した個体に関するものであることを、ご注意ください。

ダイソーの500円モバイルバッテリー (回路調査)

 ダイソーの500円モバイルバッテリーを買って便利に使っています。300円の物と比べると薄くて持ち運びやすいので気に入ってます。

▼ダイソーの500円モバイルバッテリー
ダーソーの500円モバイルバッテリー

 この商品に対するネットの評価はさまざまですが、たまたま見た、ダイソーの「500円モバイルバッテリー」をガチ検証してみた結果 と言う記事によると、“お値段なりかそれ以下のモバイルバッテリー” という評価です。内容としては、特に出力のリップルがめちゃめちゃ大きい、というレポになっています。

 でも、私が使った限りではそんな問題は感じず、普通に使えています。とは言っても、記事には高級そうな測定器で測ったグラフ付きで報告されているので、情報の信ぴょう性は高そうです。

 こうなると自分で調べてみるしかありません。ということで、調べ始めました。

 以下報告ですが、内容がややこしいので今回は基本的な確認まで行うことにしました。実際の特性の測定は、次回以降の記事で行いますのでご了承ください。

▼殻割り
分解
 ケースの隙間を強引にこじ開けましたが、内部はプラスチックの爪で固定されていて、いくつかの爪はちぎれてしまいました。でも爪はたくさんあるので、残った爪だけでたぶん大丈夫でしょう。

 中にはラミネートタイプのリチウム電池が入っていました。電池は強力な両面テープで固定されているので、角を少し浮かせ、隙間にエタノールをアトマイザで噴霧して徐々に剥がしました。上の写真の右の半透明な容器がエタノールを入れたアトマイザです。ここでマイナスドライバーなど金属で電池を ”こじる” と、電池に深刻なダメージを与える可能性が高いので、割りばしを削った物など、柔らかい物をヘラ代わりに使って少しずつ剥がした方が安全です。

▼基板
500円モバイルバッテリーの基板
 XB8686Eというマーキングの8ピンのICと、TP4361Bというマーキングの16ピンのICが使われていました。まずはこのICの素性を調べてみました。

 いつもならパターンを追っておおざっぱな回路図を書きます。でもこの基板は電池が外せないし、ちょっとしたことでDC-DCコンバーターが起動します。テスターで導通を当たっている最中に回路が動き出すと、テスターを壊しそうです。そんなことで、今回は回路図作りは止めました。

 ただ、メーカーの推奨回路図が発見出来たので、どういう配線になっているかはほとんど判りました。

▼XB8686Eの推奨回路図 (データーシートから抜粋)
XB8686Eの回路図
 これはリチウムイオン電池の保護用チップでした。単セルリチウム電池の保護回路に入っているICと同じ物のようで、過電圧、過電流、過放電などに対する保護を行います。300円のモバイルバッテリーにはこういうチップは入っていなかったので、一段安全性が高くなったような気がします。

▼TP4361Bの推奨回路図 (データーシートより抜粋)
TP4351の回路図
 こちらがリチウム電池の充電と、5Vへ昇圧するコンバーターの制御チップで、モバイルバッテリー専用に設計されたチップのようです。細かい仕様はデーターシートを見ていただくとして、出力は5V/1A、充電電流は最大1Aで調整可能、電池保護機能、LEDを4個使った充電状態表示機能付きです。スイッチング周波数は500kHzと結構高いので比較的新しい設計の物のような気がします。

 なお今回のモバイルバッテリーの回路は抵抗などの値は異なるものの、ほぼこの通りの回路になっていました。

 少しだけこの回路を解説しておくと、充電電流はR7の値で決まり、この基板では1.2kΩだったので充電電流は0.83Aに設定されています。充電はシリーズレギュレーター方式で行われるので、USBからの入力電流が(ほぼ)そのまま電池の充電電流になります。昇圧は同期整流でやっているようで、データーシートでは効率は91%となっています。

▼出力波形
出力波形
 確かに1V以上の振幅のリップルが乗っています。雲のようにもやもやしているのはスイッチングに伴う波形です。トリガ条件をきちっと設定すればこれが綺麗な波形として見えてきます。(アナログ400Mhzオシロで見ています)

 ちなみに、これは5Vの出力波形@0.5A負荷の状態です。負荷の大きさによって波形は変わってきますが、本来のDC-DCコンバーターのスイッチング波形に加え、負荷状態によっては、間歇的にスイッチングが止まったような波形が出ています。これは何らかの保護機能が働いたか、あるいは効率を下げないための制御機能が動作しているのだと思います。

 ともかく、このリップルは、DC-DCコンバーターの出力コンデンサの容量不足が原因なんでしょう。現物の基板に載っているコンデンサの容量は不明ですが、出力端子からLCRメーターで測ってみる(電池の内部抵抗測定用のアダプタ使用)と、1μFしかありませんでした。たぶんこれでは全然足らないでしょう。ちなみに、推奨回路図では出力コンデンサは10μFが2個使われています。

 とにかく本当にこんな波形だったら、ダメなことは間違いありません。

 でも、実際の使用状態を考えると、相手の機器の電源入力には必ず大容量のコンデンサが入っています。ということは、ほとんどの場合は問題は発生しないのではないでしょうか。

 そんなことで実際の使われ方を想定して、出力に47μFの電解コンデンサを入れてみます。

▼出力に47μFの電解コンデンサを付けてみた
出力に電解コンを接続
 こうするとリップルは100mV程度まで小さくなりました。これなら問題はありません。

 また、50cmくらいの配線を入れてその先にコンデンサを入れると、配線のインダクタンスのフィルタ効果も加わり、さらにリップルは小さくなります。なお、500kHzのリップルに電解コンデンサでは頼りないので、積セラで再度試してみたいと思います。

 あと、配線のどこで、どんなプローブを使って観察したかで結果は大きく違ってくるので注意が必要です。

◆まとめ
 この500円のモバイルバッテリーには、安全性を高めるための保護チップが追加されていたりするので、300円の物より良い物に仕上がっていると思いました。

 ”ガチ検証の記事”には、とんでもない性能、と書かれていますが、実際の使用状態ではそれほど悪い物ではない気がします。記事に書かれている測定結果はまぎれも無い事実でしょう。でも、どういうふうに配線したかを明確にした上で、測定結果の考察をもう少し丁寧にやっていただくと良かった気がします。お金をもらって記事を書いている(はずの)ライターさんには、厳しめにコメントしてます。

 負荷側のコンデンサの容量を期待してこういう回路になっているのか、はたまた単に安く作るためにコンデンサの容量をケチったのかは判りません。たぶん後者のような気がしますが、結果オーライになっています。

 次回の記事では容量などの性能データーを調べて行きます。

電池の内部抵抗測定(続3編、18650リチウム電池生セル)

 コメントでリクエストがあったので、ダイソーの300円モバイルバッテリーに使われているリチウム電池の内部抵抗を測定してみました。

▼ダイソーのモバイルバッテリー
ダイソーの300円モバイルバッテリー
 これについては特性測定などいろいろ記事を書いています。

▼内部
蓋を開けた状態

▼電池と基板
電池と昇圧回路
 うまくやればこのまま単セルとして電池ホルダーに入りそうです。なお、左の変な物は接続用のクサビで、割りばしの先を削って銅テープを巻いた物です。

▼測定中
電池内部抵抗測定
 保護回路付きの18650電池が入るように接点バネを圧縮してしまったので、本来のサイズの18650の電池を入れると長さが足らず接続されません。そこで、この写真のように導電性のクサビを差し込んで導通を取りました。

◆ダイソー300円モバブに入っている18650リチウムイオン電池の内部抵抗/端子電圧の測定結果
 1) 67mΩ/4.004V 
 2) 68mΩ/4.129V
 今回は充電後の値は測定していません。電圧から判断するとフル充電に近い状態だと思います。

 前の記事に書いた、保護回路入りのリチウムイオン電池の測定結果は以下の通りでした、 
> 3) 82mΩ/3.795V → 83mΩ/4.168V 新しく買ったリチウムイオン電池(3000mAh)
> 4) 89mΩ/3.862V → 87mΩ/4.166V 同上
 新品の保護回路入りの電池より、今回測定した電池の方が15~20mΩほど内部抵抗が低いという結果です。

 この値の差の原因が何であるかは、このデーターだけでは判りません。電池の保護回路が無い分だけ内部抵抗が低いという解釈が一番判り易いですが、電池自体の素性の違いかも知れないので何とも言え無いと思います。

 ただ、ダイソーの300円モバイルバッテリーに入っている無印の電池の内部抵抗は、ブランド物 (TrustFire) と比べて遜色無い値だった、ということは言えると思います。

◆まとめ
 LCRメーターで電池の内部抵抗を測る話は、思いがけずいろいろな物を測定をすることになりました。

 私の測定の最大の問題は、測定結果に測定端子の抵抗や接触抵抗の影響が入っていることです。つまり、電池ケースなどの導体抵抗と接触抵抗が測定結果にプラスされているので、たぶん正しい値より数十ミリΩのオフセットがかかった値になっています。

 前の記事に居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) さんからコメント頂いたように、電圧と電流端子を完全に分離していれば、もっと精度の高い測定が出来たはずです。機会があれば同じようなプローブを作ってみたいと思います。
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