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4ポートのカーUSBチャージャーの特性測定

◆まえがき
車で使うUSBチャージャーの新しいのを買ったのでその性能を測定してみました。

◆カーUSBチャージャー
・商品のページ
aliExのページ
この商品のAliExpressのページ

各種のコネクタの組み合わせがあるのですが、購入したのはUSBが3つ、QC3.0が1つの物で値段は何と307円。

・外観
ラーUSBチャージャー
販売のページの写真はシャープな印象で格好良いのですが、届いた物は丸っこいプラスチックの成形品でびっくり。ツイッターで嘆いたら、AliExpressではよくあることで、3D CG の画像を使って格好良く見せると同時に商材写真を撮る手間を省くのだそうです。

・電圧表示
外観
入力電圧が表示されますが0.2Vくらい違ってました。まあ目安にはなります。

◆内部
内部、部品面
コイルが2個あり、DCDCコンバーターが2組入っていました。

この写真の左のコイルがUSB用で、ICは CX8823。
右の少し大きなコイルがQC3.0用で、ICはCX8525が使われていました。コイルのサイズから判断すると、QC3.0の方が容量が大きそうです。

コンバーターの出力コンデンサは、USB側が220uF/10V, QC3.0側は220uF/16Vの物が使われていました。

・裏面
内部、裏面
2枚の基板は90度の突き合わせではんだ付けされていてそのピン数は5。内訳は、GND、USB+5V、QC3.0+5V、QC3.0制御、入力電圧測定用でした。(出力端子のチップコンはノイズ対策用に私が追加した物です)

2つの基板間を接続しているはんだにクラックが入っていて接触不良になっていたのですが、その話は別途記事で触れる要諦です。

・前面コネクタ
前面
3つあるUSBコネクタ(青色)の電源ピンは並列に接続されているだけでした。それぞれのコネクタに2.4Aと表示されているので独立した2.4Aの電源が用意されているように見えますが、そうではありませんでした。USBの+Dと-Dのピンはそれぞれのコネクタ内で相互に接続されていました。

QC3.0(オレンジ色)はUSB用とは別のDCDCコンバーターに接続されていて、+D/-Dの信号ピンも何らかの回路を経由してDCDCコンバーターに接続されていました。たぶん仕様のネゴシエーションやってる?

7セグ3桁のLEDの裏には電圧測定/表示用のICが実装されています。

◆特性測定
自作の電子負荷を使って測定を行いました。
測定の様子
写真に写っている物以外に、電流測定用のDMMとリップル測定用のオシロ、電源として使った12Vの鉛バッテリーがあります。

◆測定結果
1)USBコネクタ
・出力電流 vs 電圧
USBの電圧特性
3.5Aあたりで出力電圧が下がり始めるので電流容量は3.5Aと見て良さそうです。
負荷電流が増えても出力電圧が下がらないのは立派な特性だと思います。なお電圧は出力コネクタの直後で測定しています。

・出力電流 vs リップル電圧(P-P)
USBポートのリップル
リップルがかなり大きいです。

・リップル電圧波形
リップル波形
出力のリップル電圧波形です。負荷条件を変えても波形は同様の三角波で、周波数は125kHzでした。

2) QC3.0コネクタ
・出力電流 vs 電圧
QC3.0の出力電圧特性
出力容量は4A以上出そうです。(電子負荷の限界でこれ以上大きな電流で測定出来ませんでした)
電圧がUSB側より少し高いのは個体差でしょうか。負荷をかけても電圧変化が少ないのは優秀です。
QC3.0なので他の電圧も出るはずですが、設定出来る機材が無いのでデフォルトの5Vしか測定していません。

・出力電流 vs リップル電圧(P-P)
QC3.0のリップル特性
USB側よりはマシですがそれでもリップルが大きいです。その波形はUSB側と同じく三角波でした。

◆まとめ
3つあるUSBの出力コネクタについては、独立した 2.4Aの容量がありそうな表示になっていますが、実際には3つ並列で容量は3.5Aでした。中華な製品では良くあることで、自分に都合の良いように判断してはいけないということでしょうね。そうは言っても、合計で3.5A出るのはまだ良心的とも言えます。

出力のリップルが大きいのが残念です。せめて100mV以下になっていて欲しかったです。平滑コンデンサの容量を増やせば良いのですが、スペース的に余裕が無いので無理っぽいです。

2系統の独立した電源が内蔵されていて、QC3.0の方が容量が大きいようです。負荷の大きな物はこちらに繋ぐと良いと思います。

嘘みたいに安いのですが、とりあえず普通に使えそうなので良かったです。なお、中華な製品の常で仕様は勝手に変更されることがあり、この記事は参考程度に考えて頂くと良いと思います。

モバイルバッテリーのリチウムイオン電池を交換

◆まえがき
ダイソーで買った300円のモバイルバッテリーの容量がほとんど無くなってしまったので、中の電池を交換しました。

◆モバイルバッテリー
5年くらい前にダイソーで買った物で値段は300円で、2000mAhと表示がある物です。
ダイソーのモバイルバッテリー

最近出力の容量測定を行うと583mAhしかありませんでした。表示容量の2000mAhは電池容量を表わしているので、出力にはその2/3の1300mAhくらいは出て欲しいのですが、もう全然ダメです。

中身は保護回路無しの単セルの18650のリチウム電池です。(電池の保護回路はコンバーターの基板に入っています)

◆電池交換
・中身を取り出し
新旧電池
下の茶色の電池に交換します。AliExpressで買った単セル18650のリチウム電池です。
容量はこのツイートの
No2で、実測で2503mAhあった物を使いました。

・タブ溶接(マイナス側)
タブを溶接(マイナス側)
電池にはんだ付けする訳にはいかないのでニッケルリボンをはんだ付け。

・タブ溶接(プラス側)
タブ溶接(プラス側)
この作業のために電池タブ溶接器を用意しておきました。

◆容量確認
念のためにArduinoで作った容量測定器で出力電流0.5A(負荷抵抗10Ω)で確認すると、
容量測定
出力容量は1664mAでした。

◆まとめ
電池交換で新品(を上廻る)容量に復活しました。直せるものは直して使った方が良いと思います。

とこで、この話は修理としてはうまく行っているのですがコスト的には問題があります。交換用の電池の値段は575円(4個で2300円)もかかっていて、それだけでモバイルバッテリー全体の購入価格を上回っています。リチウム電池の配送費は高く、それに加えて最近の 円高 円安 で値段がえらいことになっています。日本の国際競争力の低下ってことなんでしょうね。

注意:この記事ではリチウム電池の交換を行っていますが、この行為にはいろいろなリスクを伴います。類似の行為を行う方は自己責任でお願いします。

電池タブ溶接機の修理と出力波形確認

◆まえがき
前の記事で紹介した電池タブ溶接器の制御回路を壊してしまったので修理を行いました。

◆回路図
オリジナルはマイコン制御だったのですが、その部分を壊してしまいました。幸いパワーFETとそのドライブ回路は無事だったので、NE555を使ったハードウエアタイマを追加し、ここからドライブパルスを送ることにしました。
溶接器の修理回路図
上半分が元の溶接器の回路で、不要な(壊してしまった)部品を取り外した状態です。下半分が今回追加した回路です。D51とD52のLEDは動作確認のために本体側に追加しました。

オリジナルでは電極の接触を検知すると自動的に溶接パルスが出るようになっていましたが、これを作るのは面倒なので省略し、その代わりにフットスイッチを使って起動させることにしました。また、オリジナルではパルス幅がデジタルで表示されていましたが、これも省略しました。パルス幅はツマミの位置でおよそ判るし、正確に知りたい時はオシロを使えば良い話です。

フォトカプラの駆動には50mAくらいの電流が必要なので、Q50のベースはしっかりと駆動する必要があります。最初はここにデジトラを使ったのですが、ベース抵抗が高くて(50kΩくらい)充分な駆動が出来ませんでした。このフォトカプラにしっかり電流を流しておかないと、パワーFETが半端にONになってしまい破損の原因になりかねないです。

◆外観
・全体
バッテリーと溶接器
3.2Ahの鉛バッテリーを使いました。

・基板部
回路部拡大
上下にアクリル板のカバーを付けました。赤いツマミで溶接パワーを調節します。

・カバーをめくる
操作パネルを取り外した状態
基板と回路の間は3本の線で接続しています。

・本体の基板
不要部品を取り外した溶接器の基板
不要な部品を取り外してあります。

・パルス発生回路
パルス発生回路部
プリント基板を使うのが面倒なので空中配線で作りました。

◆動作確認
出力波形をオシロで確認しました。

・最短パルス、負荷抵抗10mΩ
最小パルス(RL=10mΩ)
10mΩの負荷に3.8Vくらいかかっているので、流れている電流は380Aになります。
パルスの立ち上がりは80μsくらい、立下りは少し遅くて150μsくらいかかっています。想像していたより遅いですが、溶接器として市販されている回路なのでこんなものでも大丈夫なんでしょう。

・最小パルス幅、RL=10Ω
最小パルス(RL=10Ω)
負荷抵抗を10Ωにした時の波形です。負荷が軽いので電圧は12.5Vくらい出ています。
立ち上がり時間はずっと短くなっています。立下り時間は約150μsで同じですが、パルス幅がかなり長くなっています。たぶんゲートのドライブがOFFになってもしばらく(200μs程度)は電流が流れ続け、その後で減衰が始まるのだと思います。

・パワー最大
最長パルス RL=10Ω
ツマミをいっぱいに廻した時の状態で、パルス幅は120msです。オリジナルは99msだったので少し多めに出ます。

◆ダミーロード
ダミーロード
波形測定に使った抵抗です。10Ωは5Wのセメント抵抗、10mΩはニッケルリボンを使った自作のダミーロードです。これ以外にセメント抵抗で0.1Ωの負荷も作ったのですが、パワーに耐えられず壊れてしまいました。
なお、ニッケルリボン抵抗は温度係数が悪いので短時間パルスでしか使えません。(5ms以上電流を流すと温度上昇で抵抗値が上昇します)

◆まとめ
これで溶接機の修理はめでたく完了。テスト溶接も行いましたが正常に使えるようになっていました。

実は、以前にコンデンサ式スポット溶接器を作ろうとして見事に失敗しており、ようやくそのリベンジが出来た感じです。ただ、中華な製品を改造して出来た物で、国内で手に入る物だけで作ることが出来た訳では無いのが残念なところです。

◆余談
Arduinoで制御回路を作れば、元と同じ機能の物を作ることが出来そうですが、面倒臭すぎるので止めました。

他の方法として、ファンクションジェネレーターのマニュアルパルス発生機能を使うことが考えられます。しかし、接続が面倒臭いし、設定ミスで中途半端なパルスを送るとパワーFETを壊してしまいそうなので止めにしました。頭の中で想定出来る事象は、いつかは必ず起こるものです。

話は変わりますが、この溶接機の主回路は数百アンペアの電流スイッチとして使えそうです。物騒な物しか思いつかないので、その名はここに書きませんが、スイッチの電流容量の制限から実現が難しかった物が作れるようになるかも知れません。
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