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化学反応式CO2発生装置、運転ノウハウなど

 マイコン制御の水槽用CO2ガス添加装置は順調に動いています。自分へのメモを兼ねて、ここまでの運転を通じて判ったことなどをまとめておきます。

1.配管の注意点
1) 水槽の水の逆流防止
逆流防止トラップ
 夜間の停止時などに、水槽からガス発生装置への水の逆流を防止するために逆止弁を設置しているのですが、少しリークがあるようで水槽の水が吸い上げられる現象が発生しています。リークはガスだけで、水は逆止弁のところで止まっていて重曹タンクまで入ることはありませんが、ちょっと気持ち悪い状態です。なお使っている逆止弁は、比較的高級品です(たぶんスドー製)

 対策としてこの写真のようなアンテナ状のステーを立て、途中の配管を持ち上げるようにしました。たとえ負圧で水が吸い上げられたとしても、この高さを超える(約100mmAq)圧力がなければ逆流しないはずです。ただ残念なことに、実際にはこの高さを上回る負圧が発生することがあるようで、対策としては不十分でした。でもやらないよりはましでしょう。もちろん、配管をもっと高く持ち上げればいいのですが、あまり目立つことは出来ません。

2) 重曹タンクからの飛沫混入防止
 重曹タンク内で、CO2ガスと共に発生する溶液の飛沫が配管に飛び込んで、チューブの中に薬品が析出する現象が発生しました。液面を下げて使えばいいのですが、小さなタンクで出来るだけ長時間運転したいという事情もあるのでそういう対策は難しいです。
 ということで、ボトルのキャップの内側、ガスの取り出し口に小さなプラ板で作ったバッフルを取り付けました。これで配管への薬液の混入はほぼ無くなりました。
▼飛沫飛込防止バッフル
CO2取り出し口の液ハネ除け
 ボトルのキャップの内側を見た写真です。黄色のプラ板の裏にガスの取り出し配管があります。

2.ガスの発生量
 重曹とクエン酸を反応させてCO2ガスを発生させますが、その量の関係について再度整理します。

◆反応式
 クエン酸 + 炭酸水素ナトリウム → クエン酸3ナトリウム + 水 +炭酸ガス
 C6H8O7 + 3NaHCO3      → Na3C6H5O7     + 3H2O +3CO3

 1モル当たりの質量(グラム)で表すと
 192   + 252          → 258         + 54 + 132

 この装置では重曹は充分な量を用意しておき、クエン酸で反応量を決めています。つまり上の式で言うと、クエン酸192gから炭酸ガスが132g得られることだけに着目し、他は無視しても良いことになります。

 クエン酸は溶解量36g/100ccの水溶液の状態で供給し、120秒間隔で、1ショット15msに相当する量を供給します。1ショットの液量は0.0135ccで、この中のクエン酸の量は0.00405gなので、0.00278gのCO2が発生することになります。
 炭酸ガスの比重は 0.001977g/ccなので、0.00278gはガスの容積に換算すると1.4ccになります。つまりこの条件である1ショット15msで1.4ccのCO2ガスが発生することになります。

 クエン酸のタンクの容積は200ccなので、ショット可能な回数は13333回(200/0.00278)で、ガス量は18.6ℓ(13333*1.4cc)ということになります。これは重量に換算すると37gです。ところで、液化炭酸ガスカートリッジには74gのCO2が入っているので、この約半分の量が発生出来るということになります。これが多いと思うかどうかは、人によって違うと思うので、ここでは議論しません。

3.薬液のチャージ量
 前項の計算でガスの発生量が判りました。実際の薬液のセットアップは以下のようにしています
▼薬液タンク (緑矢印が液面、赤矢印が重曹スラリー表面)
CO2発生装置の薬液タンク
・クエン酸
 右側がクエン酸のタンクで容積は200ccです。こちらにはクエン酸を60g入れ、その後水を容器いっぱいになるまで入れることで、溶解量36g/100ccの水溶液にしています。(クエン酸(比重1.67)60gの容積は36cc、水は164cc(200-34))
 なお別の大きなボトルを使って、所定の濃度のクエン酸の水溶液をまとめて作っておくと便利です。

・重曹
 左が重曹のタンクで容積は450ccです。このタンクには重曹を底から約4cmの深さになるまで入れています。(重曹の溶解度は小さく、ほとんど水に溶けません)水は底から5.5cmくらいまで入れます。

 この状態で運転すると、重曹のスラリーの底まで突っ込んだJ字型のパイプから出るクエン酸でCO2の泡が発生し、その結果として重曹スラリーの表面がお椀型に凹みます。この時、J字型のパイプ先端がスラリーの底から露出しない量の重曹を入れておくと、反応が安定しましたす。つまり、パイプの先が重曹に埋まるようにしておくと具合が良いみたいです。もしパイプの先が露出させると、未反応のクエン酸が残り、これが後でじわじわと反応するため制御性が悪くなるのだと思います。但し、この仮説にはあまり自信がありません。

 このように重曹は過剰にチャージしているため、いわゆる死に容量になっています。でも反応を安定化させるためには仕方がありません。

 なお、重曹は入れ替える必要は無く、減った分を補充するだけで大丈夫です。その場合、上澄み液にはクエン酸3ナトリウムが大量に含まれているので、これを流して捨ててしまいます。念のために、水を入れてちょっと待って沈殿させ、その後上澄み液を捨てるという操作を2-3回繰り返すといいでしょう。この時重曹が少し流れてしまいますが、安いので気にしないことにします。

4.CO2の圧力変化
 タンクの圧力計を付けたので運転状態の把握が楽になりました。圧力の値は液晶以外にシリアルにも流しているので、これを記録して一日の変化をグラフにしてみました。

▼タブレットにデーターを記録
圧力変化記録中
 シリアルデーターをタブレットに取り込んでファイルに記録しているところです。記録したデーターをPCに移すには色々な方法がありますが、今回はDropbox を使いました。ファイルをPCに移した後は、そのままではデーター量が多すぎるので適当に1/10に間引いて(windows のコマンドで findstr ,1 )エクセルでグラフにしたのが次の図です。

▼圧力の変化グラフ
圧力変化
 14時から翌日の14時あたりまでの、24時間の圧力変化グラフです。

 昼間は約800mmAqで安定しています。17時過ぎに夜間信号が入ったのでCO2の添加を夜間モードに変更したため、圧力が急降下しています。水槽内へのCO2のバブリングはこの時点で止まったはずです。

 圧力は22時頃にはゼロになり、その後負圧になっても圧力の低下は続き、明け方には -300mmAq まで下がっています。この原因は気温の低下による圧力低下とCO2の水への溶解量の増加だと思います。ひょっとしたら、CO2が吸収される化学反応が起こっているのかも知れません。なお、負圧になるまで変化しているので、単なるリークではなさそうです。

 朝の6時頃に急に圧力が上がっているのはモーニングショットの効果だと思いますが、もっと入れておいた方が良かったようです。ちなみにこの時のショット数は6でした。

 その後2時間以上かかって圧力は上昇し、8時半頃の圧力の急減のタイミングでバブリングが始まったようです。ストーンに染み込んだ水を追い出すのに少しい高い圧力が必要だったということでしょう。(その後のグラフで平坦部があるのはデーターの欠測です)

◆まとめ
 運用のノウハウめいたことを記録するために記事にまとめてみました。たぶん後で見て、自分にも参考になる情報だと思います。

 圧力の変化グラフは今回初めて作ったのですが、こんなに高い負圧になっているとは思いませんでした。夜間の冷え込み具合で結果が変わるのでしょうが、圧力維持のための夜間の反応量をもっと増やさないといけないようです。

 この記事のような圧力の変化グラフを作るのは大変なので、最大と最低圧力だけでもプログラムで記録しておいて、液晶画面から参照できるようにすると便利かも知れません。

化学反応式CO2発生装置、圧力計を追加

 圧力センサー(MPS20N0040D)の使い方が確認出来たので、いよいよCO2ガス発生装置(添加装置)に組み込んで、タンクのガス圧力を表示出来るようにします。

 ちなみに、全体はこんな物です。

▼水槽とCO2ガス発生装置
水槽と反応式CO2ガス供給装置
 左の小さな水槽に右の箱からCO2ガスを添加しています。(水槽の色が赤いのは、照明が夕日モードになっていたためです。)

 実はこの写真は圧力計を組み込んだ後に撮影しています。圧力の値は液晶画面に表示するので、外観的にはこれまでとほとんど変わっていません。

▼配管系統図
系統図
 重曹タンクの出口の配管を分岐して圧力センサーに接続しました。配管を一旦下げた後で上に上げているのは、圧力センサーに薬品が入ってしまうことを防止するためです。例え閉管の先でも、微妙な温度差で物質の移動・堆積が起こることがあるので、出来ることはやっておいた方が良いと思います。

▼回路図(図をクリックで別窓に拡大)
CO2供給装置回路図
 ちょっとずつ機能を追加していたら、こんなに大きな回路になってしまいました。今回追加したのは、下の方の圧力センサーの回路で、圧力のアナログ値をArduinoのアナログポート(A0)に入力しています。

▼圧力センサー基板
圧力センサー基板
 センサーとアンプを同じ基板に実装しました。ノイズの影響を受け易いので、後ろのプラケースで作ったシールドケースに入れて使います。なお、シールドは銅箔テープを貼って、はんだ付けで作りました。またこの銅箔は基板のグラウンドと接続しています(緑色の線です)。センサーへのコンタミ防止のため、この基板はケースの中の出来るだけ高い位置に置くようにします。

▼基板裏面
圧力センサー基板
 いきあたりばったりで配線していったのですが、うまく入りました。

 圧力の表示はソフト改造で行いましたが、その結果は以下の通りです。なお、元の表示の内容は、化学反応式CO2発生装置、ソフト解説編をご覧ください。

▼圧力の表示
通常表示(2行目に圧力表示)
 1行目はこれまでと同じで、次のショットまでの残り時間。2行目にはmmAq単位の圧力を表示させています。これはリークチェックをやっている時の写真なので高い圧力になっていますが、通常の使用状態では800~700mmAq程度です。

▼ポンプ時間と運転間隔
decボタンで2行目にポンプの動作時間と間隔
 dec (-) ボタンを押すと、ポンプの運転時間(ショット時間)と運転間隔を表示するようにしました。

 これまでは2行目にポンプの運転間隔を表示させていたのを、圧力表示に変えたので、ポンプ運転間隔が見れなくなってしまいました。この値は、Selectボタンを押してプログラムの内容を見れば判るのですが、ちょっと面倒です。そんなことで、ワンタッチで確認出来るようにするために、この機能を付けました。
 ちなみに、通常運転状態では(ー)ボタンには何の機能も割り当てていなくて、寂しかったのですが、これでメニューのバランスが良くなりました。

◆プログラムはこちら→CO2供給装置のプログラムV2.0 (Shift-JISでエンコードしています)

 これまでの記事のプログラムを合体しただけなので細かい説明は省略しますが、

 圧力計のテストの時点ではパラレルインタフェイスの液晶だったのを、I2Cインターフェイスに変更しました。このためのプログラムの変更は宣言部を修正しただけで、本体部分はそのまま使えたのは助かりました。

 readPress() の関数でADコンバーターの値を何度も読んで平均化していますが、ここの読み取り回数が892回と半端な値になっています。これは、この回数で実行時間が100msになり、電源波形の整数倍の時間になるので電源ノイズの影響を減らすことが出来る(はず)という狙いです(50Hzなら5サイクル、60Hzなら6サイクルに相当)。なお、コンパイラのバージョンによっては処理時間が変わるかも知れません。ちなみに、Arduino IDE 1.8.1 でコンパイルしました。

◆まとめ
 圧力計があると、運転状態を定量的に把握出来て便利です。特にストーンの違いやリークの有無が簡単に判ります。また、マイナスの圧力も測定出来るので、夜間にタンクが負圧になる様子も確認出来ました。

 圧力の表示の分解能を1mmAqとかなり細かくました。こんなに分解能を上げると、最小桁の値がふらつくのですが、それでも微妙な圧力の変化がすぐに判るので、これで正解でした。

 今回作った装置は、ガスの圧力をそのままストーンに供給しているので、圧力計の測定範囲の上限は約0.4kg/cm2にしています。もっと高い圧力、例えば1kg/cm2までタンクの圧力を上げ、そこからスピコンで絞ってガスを供給するのも面白そうです。でもそうすると、ホースを耐圧の物に変えないといけないし、安全弁も必要になるのでいろいろと厄介です。

 今回作った反応式CO2ガス発生装置(添加装置)の運転やメンテナンス方法については、ノウハウのような話がいろいろあるので、時期を見てまた記事にしたいと思います。

化学反応式CO2発生装置、ストーンの製作他

 重曹とクエン酸の反応を利用したマイコン制御のCO2発生装置の話の続編です。より安定したCO2の添加が行えるように、以下の改良を行いました。

1.クエン酸導入パイプ先端形状の変更
 構造解説編に書いたように、クエン酸は重曹タンクの底に差し込んだJ字型のパイプを使って注入しています。問題はクエン酸を送り込んで反応させた時に、パイプの中に二酸化炭素の泡が逆流して入ってくることです。

 たとえパイプに泡が入ったとしても、チューブポンプは一定量のクエン酸溶液を送っているので、長い時間で見れば反応量は同じになるはずです。でも、入った泡を押し出している間は反応しないので、CO2の発生が止まります。つまりCO2の発生量にムラが出てしまって好ましくありません。

 ということで、パイプ先端の形状を変更して、泡が逆流し難いような構造にしました。

▼パイプ先端形状
クエン酸導入パイプ先端
 左が従来品、右が改良品です。J 字の曲げ部を長くして、発生した泡がチューブに逆流し難くしました。なお、緑色の矢印の先端付近に小さな穴があって、ここからクエン酸の溶液が出てきます。

▼パイプ差し込み状況
重曹タンク底部
 白い物は底に溜まっている重曹です。見づらいですが、中央やや左下の黒い穴が反応部で、ここからCO2の泡が上がっています。今回の改良で、パイプ内への気泡の逆流が無くなりました。

2.ストーンの製作
 水槽内へのCO2の導入には専用のストーンを使うのですが、そんな物は持っていません。それに専用のストーンは大きくて、うちの水槽には似合いません。ということで、普通のエアー用のストーンを使っていたのですが、これでは小さな泡を安定して作ることは難しかったです。ということで、Webで作例が多いメラミンスポンジを使ったストーンを作ってみました。

▼使用材料
熱収縮チューブとメラミンスポンジ
 左は外径7.1mmくらいの熱収縮チューブ、右はメラミンスポンジを対辺間が22mmくらいの8角形になるように加工した物です。なお、この収縮チューブはダイソーの電気小物売り場で、各種サイズの収縮チューブの袋詰めに入っていた物です。

▼スポンジを収縮チューブに押し込む
メラミンスポンジを押し込む
 こんなに圧縮しても、メラミンスポンジには空気の通路が残るようです。

▼シリコンチューブを入れて収縮させる
シリコンチューブを入れてシュリンクさせる
 接続用のシリコンチューブを入れ、熱収縮チューブを加熱して収縮させます。

▼収縮後の外径
収縮後
 外径は6.53mmに縮んでいます、というかもっと縮んで欲しかったのですが、100円ショップの安物なのでこんなものなのかも知れません。ともかくチューブが縮むことで、メラミンスポンジは更に圧縮されます。

▼必要な長さに切断
ストーン完成
 ストーンの先端は鋭利なカッターで切断します。

▼使っている様子
使用状態
 極細のステンレスパイプを曲げた物を使い、ストーンが上向きになるようにして使っています。スト-ンの下のシリコンチューブを通して中が見えるので、中の気泡がミニバブルカウンターみたいに見えることがあります。

 なお、ステンレスパイプの先は熱収縮チューブを重ねて使って外径寸法を拡大し、シリコンチューブを差し込んでいます。電子工作では熱収縮チューブをよく使いますが、水槽の工作にも便利に使えます。

▼ストーン
水槽用のストーン
 左の二つの大きなストーンは空気用で、最初はこれを使っていたのですが全然ダメでした。泡が大きいのと、発生したCO2の圧力がすぐに抜けてしまいます。

 右の3つが今回メラミンスポンジで作った物ですが、どれでもうまく使えています。

◆まとめ
 最近は電子工作のネタが無くてこんなことをやってます。でもこれはこれで、やってみると改善のネタは尽きなくて面白いです。ストーンである程度の圧損を発生させることで、CO2のタンクの圧力が高くなるようにすると、長時間安定した気泡を発生出来る感じです。

 ちなみに今回作ったストーンを使った時のCO2の反応槽(重曹タンク)の圧力を測定すると70mmAqくらいでした。このあたりの話は機会があれば触れたいと思います。

 あと、メラミンスポンジのストーンは直ぐに劣化してしまうのではと思いましたが、数日間使った限りでは大丈夫そうです。まあそこそこの期間持ったのでこの記事を書いている訳です。いざとなったら強力に洗浄してしまえば復活させることが出来ると思いますが、安いので作り直した方が早いかもしれません。
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