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おもちゃ修理、「音の出る絵本」のフレキ断線修理

◆まえがき
久しぶりの記事の更新です。12月16日に開催された稲城市主催のおもちゃ病院で、当日の修理が難しかったために持ち帰ったおもちゃの修理を紹介します。

◆音の出る絵本
音の出る絵本 裏側
1ページと2ページのボタンを押しても音が出会ないという症状です。なおボタンは表紙(0ページ)から6ページ目までの7つあり、他のページは正常に音が出ます。

音の出る絵本の中のページ
Φ10程度の穴の奥にメンブレンスイッチが付いていて、そこを押すとそのページの音楽が流れる仕掛けです。

◆背表紙を開く
背表紙を開く
ここまでは他のドクターさんが調べられていました。

各ページに設けられたスイッチからの配線は背表紙の内部を通って音の出る箱(この写真の上の中央やや左)に接続されています。

フレキの配線で、ベースフィルムはPET樹脂のものなのではんだ付けが出来ません。ということで、私が持ち帰って修理することにしました。

◆状態調査
・断線部拡大
パターン腐食
PETフィルムに茶色いシミ状の物質が付着しています。たぶん導体が腐食して出来た生成物なのだと思います。

ちなみに、一つ前の写真を見ると判り易いですが、背表紙の裏側に、上から下(写真の右から左)に向かってシミが付いています。たぶんジュースのような電解質の多い液体をこぼして、上から下に向かって浸み込んだのだと思います。なお、音が出ないのは上から2つの配線ですが、液によるダメージが大きかったのだと思います。

◆修理
そのままでは修理出来ないのでフレキを切り離すことにしました。

・フレキの内側
腐食部拡大
右の3本が1ページ目、左の3本が2ページ目のスイッチへの配線です。

3本ある配線の中央が信号で、両側の2本がコモン(GND?)になっていました。なお、コモンの線はスイッチ側でパラに接続されていました。

・パターン断面
写真では判らないので想定断面図を示します。
パターン断面
ベースのフィルム(たぶんPET)の上にスクリーン印刷でパターンが形成されており、その上に透明な樹脂で保護コート(オーバーコート)されていました。この保護コートは、極薄のフィルムをラミネートしているのだと思っていたのですが、よく見るとエッジにはスクリーン印刷のメッシュの跡がありました。ということは、印刷で作られているということでしょう。酢酸ビニル系の樹脂なのでしょうか、あまり丈夫な膜ではありませんが、無いよりは全然マシだと思います。

◆修理
・スイッチ側の配線
細い線を引き出す
保護コートを削ってフレキの導体を露出させておき、先端の被覆を除去したΦ0.1mmのUEW線を所定の位置にUVレジンを使って仮止めし、その後、銀ペーストで導体パターンに接続しました。

本を開閉した時に加わる応力が出来るだけ少なくなるようにするため、この写真のように配線は横向きに引き出すことにしました。

銀ペーストを12時間くらい掛けて乾燥させ、最後に接続部全体にUVレジンを盛って硬化させて補強して作業完了です。なお、銀ペーストは乾燥させないと導通はありません。

スイッチ側の処置が終わったら、翌日は本体側の接続作業に入ります。

・本体側の配線
スイッチ側の配線が終わったら、本体側に線を接続します。
本体に接続
ヒンジ部を通過する配線には十分な余長を取って、本を開いた時に無理な力が掛からないようにしておきます。

銀ペーストが固まるのに1日待って、その後UVレジンで補強して接続作業完了です。

以上のように2日がかりで接続作業が完了。最後に、開かれていたヒンジ部を両面テープで接着して元の形に戻して修理完了しました。

◆副資材
UVレジンと導電ペースト
銀ペーストとUVレジン
使用したUVレジン(ダイソーで購入)と シリンジはAliExpressから買った導電性接着剤 です。

・導電ペースト (購入先は上記リンク参照)
導電ペースト
導電ペーストは0.4ML入りの物を購入、送料込みで325円でした。
このような袋(ガスバリア性が良い?)で密封された状態で送られてきました。シリンジの口はオレンジ色のキャップが差し込まれている状態。キャップを取って中身を押し出すと、先端は少し固まった状態でしたがその内側は問題無く使えました。
注射針(外径Φ0.45)が2本添付されていましたが、すぐに詰まりそうな気がしたので今回は使っていません。

◆まとめ
文字も音もフランス語で、大切にされていた感じの絵本だったので、修理出来て良かったです。

銀ペーストは熱を掛けずに接続が出来るので便利ですが、室内放置だと硬化するのに12時間くらい掛かるのが難点です。恒温槽でもあれば50℃くらいに設定して放り込んでおけば1時間くらいで固まると思うのですが、めったに使わないから邪魔ですよね。

銀ペーストが固まるまでは(固まっても)力を掛けることは出来ないので線の固定が重要になります。その点、UVレジンを使えば瞬間的にその状態で固定出来て便利です。

この修理では、線の位置決めやコーティングの除去などほとんどの作業は実体顕微鏡で見ながら行いました。

おもちゃ病院の修理事例 (2023/8/19)

◆まえがき
先日 (2023/8/19) 開催された地元自治体開催のおもちゃ病院で私が担当した物から、電気関係の故障修理の事例を紹介します。

1.電池の接触不良(車の知育玩具 COMBI)
電源が入らないという症状で、「電池の液漏れが原因かも?」というコメント付きで持ち込まれたおもちゃです。

・外観
音の出る車
確かに液漏れに伴う汚れがいっぱい付着していましたが、クリーニングしても電源が入りません。よく調べると電池のプラスの接点が接触していませんでした。

・プラス端子が接触していない
20230825S09-F33ZCN2aAAASVPd.jpg
一見すると接触している感じですが、実は僅かな隙間があって導通していませんでした。

電池ケースのプラス端子周辺のプラスチック部品が厚く、接点がかなり引っ込んだ位置にあるので、接触不良になったようです。昔の電池なら大丈夫だったのでしょうが、最近の電池はプラス極の出っ張り量が少なくなったのでこういうことが起きてしまいます。

修理としては、邪魔になっているプラスチックの土手を少し削っちゃう手がありますが、ミニルーターを持ってきていませんでした。ということで、配線を外してプラスの端子を引っこ抜き、裏から叩いて中央を盛り上げて少し前に出してやりました。もちろん、2か所あるプラス端子の両方を加工しました。

これで導通OKになって修理完了です。ちなみにこの症状は古いおもちゃではよく見掛けます。

2.スイッチ破損(すみっコぐらし すみっコさがしDX タカラTOMY)
シャッターボタンを押しても反応が無いという症状です。

・外観
すみっコ

・内部
全体
カラーLCDにカメラやマイコンが入っている、ものすごくハイテクなおもちゃです。

・タクトスイッチ破損
シャッタースイッチ破損
強い力で押されたのでしょう、スイッチが真っ二つに割れていました。

・タクトスイッチ交換
タクトスイッチ交換
幸い、似た仕様のタクトスイッチがジャンク箱にあったので交換しました。なお、スイッチのストローク位置が合わなかったので、ボタンの先端を削って調整しています。

再度スイッチが壊れるのを防止するため、スイッチの後ろに2液のエポキシ接着剤で土手を作って補強しておきました。スイッチと基板の間も接着しました。

ボタンの下死点をメカニカルなストッパーで受け、スイッチに無理な力が加わらないような設計になっていれば今回のような故障は発生しなかったのだと思います。側面押しタイプのタクトスイッチの耐荷重は要注意ですね。

3.電源スイッチ接触不良(ドラホッケーW's エポック社) 
エアーホッケーゲームの電源が入らないという症状です。

・外観
エアーホッケー

・内部
ホッケーゲーム
モーターシャフトに直結された遠心ファンで空気を送り出す仕掛けです。

調べてみると、電源スイッチが接触不良になったようで通電していません。3Pのスライドスイッチなので、使われていなかった接点の方に配線を付け替え。そのままだとON/OFFの位置が表示と逆になってしまうので、スイッチを逆向きに取り付けて修理完了です。

スイッチの容量に対し流れている電流が大き過ぎるのが故障の根本原因なのでしょう。単2電池が使われているので、突入電流は大きそうです。また壊れてしまう恐れがありますが、その頃には子供が飽きてしまうことを期待です。

ネットを調べて見ると、
 ・220414 エアホッケー治療報告[2022年04月14日(Thu)] (おもちゃ修理「電子カルテ」)
 ・エアーホッケーの修理 (もうすぐ夏の太田公房)
このようなサイトで電源スイッチの不良が報告されていて、このおもちゃでは起こり易い症状のようです。はっきり言うと設計不良ですね。

◆まとめ
以上、同じような症状のおもちゃの修理を修理される方の参考になれば幸いです。

ミニドローン用LiPo電池の容量を測定

◆まえがき
おもちゃ病院に持ち込まれたミニドローンのバッテリーの容量測定を行ったので、その結果を記録しておきます。なお私が担当したのは電池だけで機体は別のドクターさんが担当されています。

◆LiPo電池
ミニドローンの機体に取り付ける電池です。
752042、450mAh

752042のLiPo電池
表示されている容量は450mAh。サイズは752042、つまりセルの厚さ7.5mm、幅20mm、長さ42mm。保護回路が付くので長さは少し増え、ドローン用のためか少し丈夫な外装が施されている感じです。

◆容量測定
写真のようにメスのコネクタが付いているので、これに挿さるようにΦ0.5mmのワイヤで簡単なオスコネクタを作って測定しました。放電カーブの測定にはArduinoを使った電池容量測定アダプタを使い、結果をTeraTermで受けてエクセルでまとめました。

・初期の内部抵抗
LCRメーターを使った測定結果では、内部抵抗はBattery-A:54mΩ、Battery-B:59mΩでした。

・初期容量
初期容量
負荷抵抗=10Ωで放電させた時の電圧変化です。

あっという間に空になったのでグラフを掲載しても仕方が無いですが、ともかく上記の通りです。電圧の低下を検出して負荷を自動遮断するようになっていますが、Battery-Bで電圧が回復しているのは電池に内蔵されている保護回路が自動復旧したためだと思います。

同時に計測している電流容量は、Battery-A:2.35mAh, Battery-B:12.04mAhでした。

・充電電流
付属の充電器を使って充電を行いました。電源はUSBなのでUSBの電源チェッカーで充電の積算電流が測定出来ますが、その値は、
Battery-A:535mAh、Battery-B:565mAhでした。(この値には充電完了後の追加充電分が入っているので正確な値はこれより少し小さいはずです)

・放電特性
いよいよフル充電した状態からの放電特性です。負荷抵抗は10Ω。
放電特性
どちらの電池も1.26時間付近で空になりました。電流容量はBattry-A:480.5mAh, Battery-B:475.4mAhでした。

公称容量は450mAhなのでそれを少し上回る値で、新品と同等の容量があることが確認出来ました。

・内部抵抗
再度フル充電した状態でLCRメーターで内部抵抗を測定すると、Battery-A:50mΩ、Battery-B:48mΩでした。

5Ωの負荷抵抗を接続してその電圧ドロップから内部抵抗を測定(DC法)すると、Battery-A:112mΩ、Battery-B:111mΩでした。LCRメーターより高い値になった原因は不明ですが、フル充電した状態なので端子電圧が4.2Vくらいと高いのが影響している可能性があると思います。

◆まとめ
ミニドローンの不調の原因としてこの電池の容量不足が疑われていたのですが、今回の測定結果からは容量の低下は認められませんでした。また内部抵抗も十分低い値であると言えます。

ちなみにこのドローンの飛行時間が15分とすると電流は1.8Aくらい流れるはず(450mAh*60 /15分)で、電池の内部抵抗が50mΩとすると電圧ロスは0.09V。これは電池電圧の3.7Vに対して無視できる値だと思います。

◆参考
手のひらに乗るくらい小さなドローンのバッテリー(110mAh)の容量測定結果:超小型ドローン用のリポバッテリーの特性測定

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