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コイルガン用の点滅LED曳光弾を作ってみた

◆まえがき
久しぶりの記事の更新です。前に作ったLED曳光弾では弾丸が光りっぱなしでしたが、その発展形として飛行中に点滅する曳光弾を作ってみます。その準備として前回の記事で点滅回路の検討が終わっているので、いよいよ実際にコイルガンの弾丸に組み込んで発射実験を行います。

◆回路図
点滅曳光弾の回路図
L1で発射コイルの磁界を使って発電し、D1を経由してC1に充電。Q1, Q2で構成する弛張発振回路を動かしています。

LEDは表面実装用の1Wクラスの物(たぶん3825)を使いました。ここは普通の20mAの物でもいけると思いますが、その場合は内部抵抗が大きいのでR3は無し(ゼロΩ)でも良いと思います。ただ普通のLEDに無理やり大きな電流を流しても、電流量に見合った光量は得られない感じでした。また、寿命の問題もあります。

大電流用のLEDではVfの上昇が少ないので発振し難くなるため直列に抵抗(R3)を入れています。このあたりは部品選定を上手くやれば、R3は不要でかつ光量が大きくなる物が作れる気がします。。

R2は無駄な電流を減らすために入れています。

説明が最後になりましたが、トランジスタは表面実装の物を使います。

◆実装
・表側
表側
1.27mmグリッドの片面ユニバーサル基板をベースに使っています。
左から、発電コイル(L1)、D1、R1、Q1、R2、Q2、LEDで全て表面実装部品を使いました。

・裏側
裏側
C1とR3が見えています。

・UVレジンで固める
UVレジンで固める
衝撃に耐えるようにUVレジンで固めてしまいました。

・収縮チューブで保護して完成
収縮チューブで外装保護
更に収縮チューブを被せて保護します。この状態で最大外形寸法はΦ5.8mmです。

◆発射テスト
・コイルガン
発射装置全景
電池タブ溶接機を電源に使ったコイルガンです。なお、電流は300A、通電時間は3ms程度です。

発射時の磁界の向きで弾丸内のC1が充電されるように極性を合わせておく必要があります。
(参考:このガンの発射時の磁界は銃口から根元に向かって発生するので、L1には右ネジの法則で電流が流れようとする)

・弾道
弾道
これはシャッター開放で撮影した写真です。写真の雰囲気でも判りますが、あまり明るくは光りませんでした。

また、目視ではこの写真のようにはっきりした点滅の様子を見ることは出来ませんでした。目で見て確認するならもっと発光間隔を長くしておいた方が良さそうです。

動画も撮っているのですが、点滅速度が速いので判り難いです。

◆波形 (以下の波形はブレッドボード上に作った回路で測定しています)
・全体波形
電源コンデンサ電圧、LED電流
上段:C1の電圧波形。下段:R2電圧(= LED電流)
発射直後の電圧は10Vくらいありますが、1発目の発光で7Vくらいまで一気に下がり、その後徐々に電圧が下がっていきます。

この例では発射後120msの間バーストでLEDが点灯しています。発射直後の発光間隔は約10msで時間経過と共にその間隔は短くなっています。

・LED電流拡大の拡大
LED電流波形
一発毎のLED電流波形をアナログオシロで重ね書きしたものです。

1発目のパルス幅は85μもあり、電圧(LED電流)も大きくなっています。徐々に電源電圧が上昇するため発光を停止できなくてこんな波形になるのだと思います。ただ弾丸が飛ぶ前にかなりのエネルギーを消費しているのはもったいない感じです。

多数の波形が積み重なっている部分が飛行中に発光している部分です。最初は電圧(LED電流)は大きいけどパルス幅は小さく、末期では電圧が小さくなるがパルス幅は大きくなっています。こうなっていると、見掛けの明るさはあまり変わらないで済むので好都合です。

◆まとめ
期待していたほど明るくは光りませんでしたが、ともかく点滅LED曳光弾の発射実験成功で原理試作完了と言えます。こんなことやった人はたぶんいないと思います。

もっと明るく光らせるためにはL1の巻き数を増やせば良いのですが、一般的なコイルガンで行われているように高電圧のコンデンサを一気に放電させる方式にすればもっと明るくなるはずです。

これってもの凄く手の込んだLチカと言えますが、もっと簡単な回路で点滅させることが出来れば弾丸への組み込みが楽になると思います。自己点滅LEDなんてのがありますが、あれがもっと高速で点滅すれば良いのですが、そんなの無いでしょうか?あとは6ピンのSMDパッケージのマイコンを使う手もありそうですが、どなたかやって見ませんか?

動画追記

トランジスタを2個使った弛張発振回路の動作解析

◆まえがき
少し前にコイルガン用のLED曳光弾を作りましたが、このLEDを高速で点滅させることが出来れば弾道が点線に見えて面白そうです。点滅させる回路は小さな弾丸の中に入れないといけないので、出来るだけ簡単なものにする必要があります。そう考えると、トランジスタ2個で作る弛張発振回路が良さそうです。

そんなことを考えて、具体的な回路の検討を始めてみました。

◆弛張発振回路
ネットにいろいろ解説があるのですが、読んでみると何だかしっくりくるものがありません。(弛張発振回路 LTspice などで検索)そんなことで、自分でもLTspiceを使ってシミュレーションして動作を確認してみることにしました。

・回路図
弛張発振回路
一般的な回路のままですがいくつか気になった点があります。

1)過大電流の恐れ
Q1からLEDを通ってGNDまでのパスに抵抗が入っていないので、過大電流が流れる恐れがあります。また、Q1のベースからQ2のエミッタまでのパスにも抵抗が入っていないので、こちらにも過大電流が流れる恐れがあります。

実際には大きな電流が流れるのは瞬間的だし、思いっきりトランジスタをONさせるようにはなっていないので、すぐに壊れることは無いのでしょうが、ちょっと気持ち悪いです。

2)トランジスタの選択
ネットの事例はQ1に2N3906を、Q2には2N3904を使われていることが多く、ポピュラーな2SA1015と2SC1815を使ってシミュレーションした例は少ないようです。その理由は「発振しない」ということのようです。また、2SA1015/2SC1815を使って発振させた事例ではデバイスのhfeをうんと下げているようですが、それはちょっとやりすぎな気がします。

以上の話はシミュレーションした場合で、実際の回路を組むと2SA1015/2SC1815でも発振するようです。デバイスモデルの精度が悪いのかもしれません。

3)R1の値
R1の値は一般的には220kΩが使われるようです。しかしそれでは前項に書いたように2SA1015/2SC1815では発振しなかったので、2000kΩに変更しました。この値なら発振します。R1の値が小さいとベース電流が大きくなり過ぎて、Q2を反転させてOFFにすることが出来なくなってしまって発振しなくなるようです。限界の抵抗値は1500kΩ付近でした。

4) C1の値
C1はシミュレーション結果が見易くなるように発振周波数を上げたかったので470pFにしています。実際に使う時は要調整。

◆シミュレーション結果
・全体波形
シミュレーション結果、全体

電源ONから350μsまでの各部の波形です。最初の山が電源ON直後、2発目がその後繰り返して発生するパルスで、パルスの周期は230μs、パルス幅(発光時間)は30μsとなっています。
波形の意味は図中に書いておいたので説明は省略します。

以下、詳しく見て行きます。

・電源投入直後の波形
電源ONから10μs後までの波形です。短時間に多くの変化があるので時間を拡大した波形で説明します。

括弧付き番号の順に事象が進んで行きます。
電源投入直後

(0) 電源ON前
GNDに対するコンデンサの両端電圧を図で示しながら説明します。赤い棒がコンデンサで、棒の左側がQ2のベース、右側がLEDのアノードです。

図B-1

当然ですが、最初は両側がゼロボルト。

(1) ベース電圧が徐々に増加。R1から電流が供給されるためにゆっくり電圧上昇があるのだと思いますが、実は理由が良く判りません。
図B-2
左から持ち上げられて、徐々に上に移動。右側はフリーなので電荷の移動は無く、左に追従して電圧上昇。

(2) 3μs後にベース電流が10μAくらいに増えています。なぜこのタイミング(電圧で)こういう現象になるのか良く判りません。

(3) ベース電流が増えたのでQ1の電流が流れ始めLED電圧が上がります。何しろダーリントン接続になっているので合成hfeは9万くらいあり、僅かな電流にも敏感に反応するはずです。

(4) LED電圧増加の影響がコンデンサを通してベース電圧を上昇させる。(たぶん)

(5) ベース電圧が0.6Vくらいまで上昇するとQ1,Q2が完全にONになりLED電圧を急上昇させ、コンデンサで繋がっているベース電圧も上がるので更にLED電圧上昇。ここまで電源ONから5.5us。
LED電圧は上がるがベース電圧は、ベースエミッタ間のダイードで電流が吸収され0.6V以上には上がりません。余剰の電荷はベース電流として消費される。これはQ2のベース電流波形にある最初の7mAのスパイクとして現れています。

(6) ベース電流が流れることでQ1がONになってLED電圧が上昇
図B-3
左側はベースのダイオードでクランプされるので0.6Vで頭打ち、右側はLEDの点灯電圧の2.7Vまで上昇して頭打ち。これでLED点灯です。

弛張発振回路としては「張」の状態になったことになります。

・電源ON以降、発振する様子
点滅繰り返し

(7) (8) LEDのフル点灯が続く

(9) コンデンサの電荷が尽きてベース電流を流せなくなるとQ1,Q2がOFF
voltage-4
右側の電圧が1.5Vまで急降下してLED消灯。C1で繋がっている左側もほぼ平行移動で下に落ちて-0.3Vまで下がる。
コンデンサの電荷が失われなければ完全に下に平行移動で-0.6Vになるはずですが、ベースをOFFにするために電荷のロスが少しあるために -0.3V になっているのだと推定。(このあたりあまり自信がありません)

回路の緊張が弛んだ状態、つまり「弛」の状態になったことになります。

(10) R1経由でコンデンサがゆっくり充電される
図B-5
LED消灯後、R1でC1が充電されるため、左側(ベース電圧)がゆっくり上昇。この時の時定数は R1*C1。
右側はLEDのVfに押さえられているので電圧上昇は無し。
ベース電圧が0.6Vに近づくとQ1,Q2がONになり始め、その後は(5)項に戻ってLEDが点灯。
以下繰り返しで発振継続。

◆考察
コンデンサの両端の電位を示す赤いバーは最初は水平ですが以降は常に右上りになっています。つまり電解コンデンサーを使うなら右側(LED側)をプラスで使います。

(10)項でコンデンサの電荷が尽きた時に、R1からの電流が大きいとQ2がOFFにならないので発振しなくなるのだと思います。(回路図の説明の3) 項 R1の値で触れた話です)

ネットの記事に、(9)項から(10)項の過程で「コンデンサの端子間電圧が減少するのだから充電と言うのはおかしい」という意見があります。静電エネルギーの収支から考えれば確かにそうです。しかし、R1を通して電荷を注入してベースの電位を上昇させているのは間違いありません。つまりエネルギーでは無く回路の電圧で考えれば充電していると言って問題無いと思います。

◆まとめ
これで弛張発振回路の細かい挙動が把握出来ました。実際の回路でのテストはまだですが、時間のある時にやって見たいと思います。

記事ではもっともらしく書いていますが、理由が判らない挙動がいくつかあります。そのあたりは判った時点で追記などをしていきたいと思います。

◆追記
コメントで居酒屋ガレージ日記さんに教えてもらった回路の一つを動かしてみました。(図をクリックで別窓に大きく表示)
居酒屋ガレージ日記さんの回路Sim
Q2のベースがHIGHになるとQ2がONになり、Q1もONになってコレクタがLOWに。そうなるとQ2のベースをLOWにしちゃうので折り合いが付かなくなって発振!てな感じでしょうか。

R2とR3でQ1を能動領域に誘導しているのがポイントだと思います。ただパワーを取り出すには向いてない感じです。

C1の片側がGNDに落ちているので「コンデンサに充電」というのが、電位でもエネルギーで考えても成り立っています。というか、こっちの回路が弛張発振回路の元祖で、この記事で取り上げたLED点滅回路はその応用と言うことになるのでしょう。

コイルガン用のLED曳光弾の製作

◆まえがき
12月に電池タブ溶接機を使ったコイルガンの実験を行いましたが、その仕掛けを使って光る弾、つまり曳光弾を作ってみました。

※ コイルガン関係の記事が増えたので、ブログにコイルガンのカテゴリを作りました。

◆原理
本物の曳光弾は火薬を使うようですが、そんなことするといろいろ厄介な問題が起こります。ということ、熱も煙も出ないLEDでやることにしました。LEDをどうやって光らせるかが問題ですが、コイルガンを発射する時に発生する強力な磁界を利用することにしました。

・回路図
Scheme of LED tracer bullet
L1 が鉄製の弾丸の周囲に巻いたコイルで、発射時の磁界を電流に変換します。当然ですが、弾丸の発射コイルとL1の極性は合わせておきます。(極性が違っていても弱く発光します)

発生した電流は逆流防止ダイード(D1)を経由してC1に充電します。発射された後はR1とC1の時定数で定まる減衰カーブでD2のLEDを点灯させる仕掛けです。

この回路図では時定数は0.112秒になっています(11.2uF x 10kΩ = 112ms)。この時定数の3倍の0.3秒後の光量は初期の明るさの25%程度まで減衰しますが、これくらいだったら許容範囲だと思います。ちなみに、私のコイルガンの弾速は15m/sくらいしか出ないので、0.3秒後の弾の位置は4.5m前方になります。室内で遊ぶなら、これくらいの発光時間があれば充分だと思います。

◆製作
・コイル巻き
コイル巻き
鉄の弾丸(Φ5mm)の外側に保護用のポリイミドテープを巻き、その上に外径Φ0.12mm(芯線径はたぶんΦ0.1)のポリウレタン線を約50回巻きました。なお巻き始めの線はポリイミドテープの下を通して巻き終わり側に引き出しています。

手巻きは大変なので写真のように電動ドリルを使って巻きました。そのままではコイルが巻き戻ってしまうので、木工用ボンドを水で薄めたものを塗っておき、少しべたつく状態で巻いていきました。なおコイルの線が重なると直径が大きくなってバレルに通らなくなるので平巻き(一層巻き)にしています。

・接続基板
基板
配線のベースとして使うため、両面スルホールのユニバーサル基板を写真のように切り出した物を用意しました。2枚で弾丸一つ分です。

・配線
配線完了
回路の前後にプリント基板を置いて部品をはんだ付けしました。この写真ではD1,C1,D2はチップ部品。R1だけリード部品を使っています。本来ならR1にもチップ抵抗を使いたかったのですが手持ちが無かったのでこうしています。なおC1には2.8uFのチップセラコンを3段積みで使っています。

完成例-2
この2個は3mmの砲弾型のLEDを付けてみました。(C1がセラコンを4段積みになっています)

部品を立体的に取り付けないといけないのではんだ付けの作業はかなり大変でした。この構造でいっぱい作るなら、前後の基板の位置を固定する治具を用意した方が良いです。

回路と弾体部は両面テープで仮止めしています。

・完成
完成
保護用に透明な収縮チューブを被せて完成です。

外径はΦ5.9mmで、何とかΦ6mmのバレルを通すことが出来る物が出来ました。上から、赤(Red)、白(White)、緑(Green)の3色を作ってみました。

◆Twitter
動画で弾の軌跡が途切れていますが、これはたぶん1/30秒(1/60秒?)の動画のフレームが見えているのだと思います。この現象を利用すると弾速の測定が出来そうです。

◆まとめ
何とか曳光弾らしきものが出来ました。弾丸が光の筋を引いて飛ぶのは綺麗です。

この実験ではコイルガンの電源に電池のタブ溶接機を使っています。一般的なコイルガンはコンデンサを高電圧に充電した電源が使われますが、その場合はコイルの巻き数などを変更する必要があるかも知れません。

全部チップ部品にしてプリント基板で配線すればもっとコンパクトな物が作れると思います。さらに例えば 1/1000秒周期で発光するような物が出来れば、光の軌跡が点線に見えるので面白そうです。

◆動画


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