ルビジウムオシレーター(FE-5680A)の周波数調整
さて、発注ミスでルビジウムオシレータが2台届いちゃったのですが、まあこんなチャンスはなかなか無い、と前向きに考えて2台持ってないと出来ない実験をやって見ました。
まずは2台同時に動かせるように電源を準備して、
▼2台同時動作中

オシロの波形は2台の10MHz出力で描かせたリサージュ波形。ルビジウムオシレータはかなり発熱するので右側のファンで空冷しています。
◆リサージュ観察
オシレーターの出力の波形が悪いのでしょう、綺麗な楕円になっていないです。
片方の電源を先に入れて安定させておいて、おもむろにもう一台の電源を入れてみます。当然最初は周波数ロックしていないのでリサージュは四角に塗りつぶされます。でも周波数をスキャンしてロックするポイントをソフトで探しているようで、時々リサージュ波形がくるくると正逆に回転するのが見えます。そんな状態が数分続いた後、突然波形が静止し同時にロック表示がONになります。この状態が上の写真の波形です。
ところで、一見静止しているように見えるリサージュ波形ですが、非常にゆっくり位相が変わっていました。つまり両者の周波数は完全には一致してないことになります。
◆位相差をユニバーサルカウンタで測定
どれくらいのズレがあるのかはリサージュの回転速度から求めてもいいのですが、正確を期してユニバーサルカウンターによる位相差測定を行ってみました。
測定には1秒周期で出力されている1PPSパルスを使用。2台のオシレーターの位相の変化を測ることで周波数の差の精密測定が可能になります。また、位相差は累積していくので時間をかければその分測定精度は上がっていくので具合がいいです。
でその結果は、9.5時間で、位相差は6.4μS増加。計算すると、1.875mHzほどの差があるようです。最初の写真の左をユニットA,右をユニットBとすると、Bの周波数が相対的に1.875mHzほど低いことになります。
◆RS-232Cから補正
10MHzに対して1.875mHzは1.875×10^-10という誤差で、ルビジウムオシレータの誤差としては妥当な値だと思います。けど、せっかく調整方法が判ったのでRS-232Cのコマンドで更に周波数を追い込んでみることにします。
ユニットAは欲しいという方がいてそちらに引き当て予定です。これをあれこれいじっては申し訳ないので、ユニットのBを調整します。補正量は、1.875mHz/6.80789μHz = 275ステップ。
これを補正コマンドにすると、2C 09 00 25 00 00 01 13 12 このデータをRS-232Cから送り込みます。
◆補正結果
7.8Hr経過後の位相の変化は0.19μS。これは周波数に換算すると6.77μHz。精度で表現すると6.77×10^-13の差まで追い込めたことになります。
国家標準が1×10^-15程度だったと思うのでこれは凄く良い値だと思います。と言っても数字だけではどれくらい凄いのか判り難いので時計の精度で言うと、5万年に1秒しか狂わない時計に相当します。
まあ、一次や二次標準器に対する差では無いし、時間や温度が変わったらどうなるのか判らない、いわば瞬間最大風速みたいな値。手放しで喜んでもしょうがないんですが、なんだかとても気分がいいです。
◆まとめ
ルビジウム発振器をいじる遊びはこれで終了です。
ユニットAはSunday Gamerさんが手を上げてくれたのでそちらに発送予定。あと、このオシレーターの1PPS信号を使ってアナログ時計を動かせば、ルビジウム原子時計が作れそうです。Arduinoでやれば簡単だと思うのでそのうちやってみたいと思います。うまくいったらまた記事で紹介します。
あ、このバラックのままでは使いにくいので、熱対策して何か適当なケースを探さないといけなかった・・・
まずは2台同時に動かせるように電源を準備して、
▼2台同時動作中

オシロの波形は2台の10MHz出力で描かせたリサージュ波形。ルビジウムオシレータはかなり発熱するので右側のファンで空冷しています。
◆リサージュ観察
オシレーターの出力の波形が悪いのでしょう、綺麗な楕円になっていないです。
片方の電源を先に入れて安定させておいて、おもむろにもう一台の電源を入れてみます。当然最初は周波数ロックしていないのでリサージュは四角に塗りつぶされます。でも周波数をスキャンしてロックするポイントをソフトで探しているようで、時々リサージュ波形がくるくると正逆に回転するのが見えます。そんな状態が数分続いた後、突然波形が静止し同時にロック表示がONになります。この状態が上の写真の波形です。
ところで、一見静止しているように見えるリサージュ波形ですが、非常にゆっくり位相が変わっていました。つまり両者の周波数は完全には一致してないことになります。
◆位相差をユニバーサルカウンタで測定
どれくらいのズレがあるのかはリサージュの回転速度から求めてもいいのですが、正確を期してユニバーサルカウンターによる位相差測定を行ってみました。
測定には1秒周期で出力されている1PPSパルスを使用。2台のオシレーターの位相の変化を測ることで周波数の差の精密測定が可能になります。また、位相差は累積していくので時間をかければその分測定精度は上がっていくので具合がいいです。
でその結果は、9.5時間で、位相差は6.4μS増加。計算すると、1.875mHzほどの差があるようです。最初の写真の左をユニットA,右をユニットBとすると、Bの周波数が相対的に1.875mHzほど低いことになります。
◆RS-232Cから補正
10MHzに対して1.875mHzは1.875×10^-10という誤差で、ルビジウムオシレータの誤差としては妥当な値だと思います。けど、せっかく調整方法が判ったのでRS-232Cのコマンドで更に周波数を追い込んでみることにします。
ユニットAは欲しいという方がいてそちらに引き当て予定です。これをあれこれいじっては申し訳ないので、ユニットのBを調整します。補正量は、1.875mHz/6.80789μHz = 275ステップ。
これを補正コマンドにすると、2C 09 00 25 00 00 01 13 12 このデータをRS-232Cから送り込みます。
◆補正結果
7.8Hr経過後の位相の変化は0.19μS。これは周波数に換算すると6.77μHz。精度で表現すると6.77×10^-13の差まで追い込めたことになります。
国家標準が1×10^-15程度だったと思うのでこれは凄く良い値だと思います。と言っても数字だけではどれくらい凄いのか判り難いので時計の精度で言うと、5万年に1秒しか狂わない時計に相当します。
まあ、一次や二次標準器に対する差では無いし、時間や温度が変わったらどうなるのか判らない、いわば瞬間最大風速みたいな値。手放しで喜んでもしょうがないんですが、なんだかとても気分がいいです。
◆まとめ
ルビジウム発振器をいじる遊びはこれで終了です。
ユニットAはSunday Gamerさんが手を上げてくれたのでそちらに発送予定。あと、このオシレーターの1PPS信号を使ってアナログ時計を動かせば、ルビジウム原子時計が作れそうです。Arduinoでやれば簡単だと思うのでそのうちやってみたいと思います。うまくいったらまた記事で紹介します。
あ、このバラックのままでは使いにくいので、熱対策して何か適当なケースを探さないといけなかった・・・