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LED電球の故障解析 (Panasonic LDA6L-E17)

 前回の記事の続きです。点灯しなくなったLED電球(Panasonic LDA6L-E17)からLEDモジュールだけを取り出し、他のことに使えないかと考えました。まあ持って生まれた貧乏性は死ぬまで直らないです。

 しかしこのLEDモジュールを点灯させるには50V以上の電圧が必要で、こういう電源を用意するのは大変です。ということで、方針変更です。新たに電源を作ることは止めて、LED電球の元の回路を修理して使えないか調べることにしました。とは言っても、修理するためには故障個所を特定しないといけません。

▼LED電球の点灯回路基板
点灯回路基板
 使われていたのは MIP551A という IC で、調べてみるとスイッチング方式のLED用定電流ドライバでした。たぶん Panasonic のオリジナル設計品でしょう。
 電解コンデンサが高い位置に置かれているのは、熱劣化対策のためだと思いますが、実装レイアウトの問題かも知れません。ともかくE17電球という限られたスペースに入れるために苦労した様子が伺えます。
 なお、書く順序が後になってしまいましたが、外観上に異常は認められませんでした。

▼はんだ面
点灯回路基板(はんだ面)
 右側の黒い正方形の部品がブリッジダイオードで、ここでAC100Vを整流しています。ピン間の白いシルク印刷は、少しでも絶縁性を良くするために入れているのだと思います。

 幸いなことに、部品を押すとLEDが点灯することがあるので故障個所の調査は楽です。AC100Vのコンセントで動かせるように仮配線しておいて、不良個所の特定作業を始めます。

▼AC100で動かせるように仮配線
調査用に仮接続

 感電しないように注意しながら、基板のあちこちを樹脂の棒で押して不良個所を絞り込んで行きました。最後は実体顕微鏡で見ながら調べて、とうとう故障原因を特定しました。

▼不良発生場所
故障発生個所
 R3 (510kΩ)の左側のはんだにクラックが入り、ここで断線していました。

▼はんだクラック拡大
はんだクラック(熱疲労破壊)
 
 ここまでが調査結果です。以下は私の考察というか推定なので異論があるかも知れません。

◆故障発生のメカニズム
 点灯するたびにLEDの熱で基板が膨張し、はんだに応力が加わることで疲労破壊したのだと思います。高温になることではんだの結晶が成長して破壊されやすくなった、という現象もあるのではないかと思います。

◆修理
 ここまで判れば修理は簡単です。はんだゴテを当てて再度はんだ付けして修理は完了です。元は鉛フリーはんだが使われていますが、共晶はんだを追加してしっかりとはんだを溶け込ませておきました。

 せっかくなので、他のはんだ付け個所にも同じ処置を施しました。元のはんだが SAC (Sn, Ag, Cu) だとして、ここに共晶はんだ (Sn, Pb)を混ぜると4元合金になりますが、この性質がどうなるか一抹の不安はあります。

◆考察
 ところで、なぜこの部品 (R3) にはんだクラックが発生したか考えてみます。この記事の二つ目の写真が判り易いですが、R3は基板の下側の外形すれすれの位置に取り付けられています。おまけに、ここは基板の切り欠き部です。こういう場所では、温度変化による基板の変形が大きくなって、はんだに大きな応力がかかります。電球を点灯するたびにこういう応力が加わったため、はんだの疲労破壊が発生したのだと思います。

 ちなみにこのLED電球はカウンターキッチンのカウンターの上の照明に使っていました。一日3回の食事の前後に点灯したとして、1日6回。それが、4年続くと8700回の温度サイクルがかかったことになります(たぶん実際はその数割増し)。これくらいで壊れては困りますが、サイクル寿命としては少し不利な使われ方だったとは言えるでしょう。

 ところで、この基板は両面スルホール基板で、一見するとガラスエポキシ基板のように見えます。しかし基板の切断面を見ると、ガラス繊維が入っているのは表面だけで、コア部には樹脂と何かの介在物しか入っていません。こういう基板だと熱膨張の問題はより厳しくなるでしょう。

 鉛フリーはんだでなければこんな障害は発生しなかった可能性が高いと思いますが、そもそもこんなに基板の外形ぎりぎりに部品を配置するのは危険です。もしやるなら十分な検証が必要だと思います。

 ということで、技術的な話としてはこんなところでしょうか。もっと突っ込むと、どうしてこんな品質の商品が出荷されてしまったの? という会社の仕組みの話があります。

 ともかく点灯回路の修理が完了したので、LED照明ユニットとしてまとめておきます。

▼LED照明ユニット完成
LED照明ユニット完成
 点灯回路は100Vに充電されていて危険なので、LED電球で使われていたプラケースに入れておきます。電解コンの頭の金属が露出していて危険なのでカプトンテープを貼っておきました。この写真の配線はLANケーブルの中のペア線を使っています。この線はテフロン被覆なので耐圧が高く、比較的丈夫なので安心です。とは言っても、この線を外部に露出するところに使ってはダメです。

 あと、LEDは発熱がすごいので手持ちのヒートシンクを付けています。

▼LEDとヒートシンク
LEDとヒートシンク
 なかなか恰好いいです。熱の通路になる金属の接触部にはシリコングリスを塗っておきました。

▼LED電圧測定
LED電圧
 最近買ったミニオシロ (DSO-Shell) でLEDモジュールの端子電圧を測ると、約64Vでした。僅かにリップルがありますが、ほぼ直流点灯と言っていいと思います。
 このオシロはアースから浮いているので、AC100Vの充電部分に接続しても安全です。なお、このオシロの許容入力電圧は50Vなので、スペック違反の使い方です。

▼LED電圧のリップル観察
LED電圧の拡大
 ACカップルにしてリップルを拡大して見ると、周期は約46kHでした。なお、Vpp = 6.89Vとなっているのは、この表示されている波形がAC電源周期で上下に揺すられているためです。
 こういう周波数でスイッチングすることでLEDは定電流ドライブされています。LEDまでの配線をむやみに長くすると、制御が不安定になる恐れがあるので注意が必要だと思います。また、LEDまでの配線は不要輻射を出来るだけ減らすために、ツイストされたペア線を使うべきでしょう。

◆まとめ
 あまり自信は無かったのですが、案外簡単に故障原因を発見することが出来て良かったです。

 実は叩くと一時的にLEDが点灯するので、最初はパターン断線かはんだ付け不良を疑っていました。こういう問題が原因なら偶発的な故障なのでこの個体特有の問題ということになり、他の製品への波及まで考える必要は(ほぼ)無くなります。しかし、この分解調査結果が示すように、設計起因のはんだの疲労破壊が発生していたとなると、コトはちょっと深刻です。

 中華な製品の品質が悪いとよく言われますが、Panasonic のようなメーカーの製品でも同じような問題が出るとは残念です。とは言っても保証書に記載された期間(1年)を超えて4年間は動いているので、まあいいのですが。

 このあたりまで書いていたら、みかんさんから前の記事にコメントが入り、Panasonic はLED電球が5年以内に故障した場合は無料交換していることを教えて頂きました。流石はPanasonic、顧客本位の対応です。一時的なロスは出ますが、回収したLED電球を故障解析することで、今後の製品の改良が出来るなら安いものではないでしょうか。

 実は同じ電球があと3個あり、一つはちらつきが始まっています。保証期間は今年の12月までなので、どうせならさっさと逝っちゃってもらった方がいいですw。
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