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電力量計(積算電力計)の軽負荷時の特性測定

 購入した電力量計にスタンドを取り付けたので安全に測定することが出来るようになりました。

▼スタンドを取り付けた電力量計(100V/30A、単相3線式)
電力量計
 この電力計は検定の期限内なので精度は保証されているはずです。ただ仕様書を見ると、電流がフルスケールの3.3%までの範囲しか測定精度のグラフがありません。つまりフルスケールは30Aなので約1Aまでの精度は保証されているようですが、それ以下は保証外ということになるようです。なお、この件はこの前の記事へのコメントで匿名さんからも指摘がありました。

 まあ電力の取引で、1A以下の電流域の精度なんて、あまり重要では無いということなんででしょう。でも100Vで1Aは100Wな訳で、電子工作で扱う電力としてはまだ大きな値です。ということで、この領域がどれくらいの精度になっているか気になります。

 気になるなら自分で測ってみるしかありません。ということで、手持ちの計測器を動員して精度を測定してみました。

【注】 この電力計は単相3線式なので、本来なら正相と逆相の両方を使って測定すべきですが、この記事では正相側だけを使って測定しました。

▼測定回路図 (図-1)
順接続回路図

▼測定の様子
電力量計の特性測定回路
 テスターで負荷電圧を測定し、電流はカレントトランスを使ってDMMで測定しました。また電流波形はオシロでモニタしています。白いテーブルタップの左側にカレントトランスがあります。

▼目盛りの読み取り
目盛りの読み取り
 電流が小さいので円盤はゆっくりとしか動きません。そこで円盤に刻印されている1回転を100等分した目盛りを自作のLED付きルーペを使って見て回転速度を割り出しました。

▼カレントトランスの負荷抵抗
変流器の負荷抵抗
 この抵抗は実測で298Ωです。ここがこの測定の重要ポイントなので測定器からミノ虫クリップなどが集中しています。

 CTの巻き数比は1:3000 で、一次側は5ターンにしているので、実質的な変流比は1:600となり、負荷抵抗の両端電圧を2.013倍すると一次側の電流が判ります。なお使ったカレントトランスは秋月の SR-3702-150N/14Zで特性を調べた記事はこちら。

▼電流の測定(CTの負荷抵抗の電圧測定)
電流値
 カレントトランスの負荷抵抗の電圧は4.5桁のDMMで測定しました。このDMMの交流レンジはTrueRMSでは無く、平均値測定の実効値表示なのが残念ですが、分解能は高いので小さな変化が良く判ります。
 ちなみに、ミニオシロには実効値測定機能がありますが、分解能が悪いので目安くらいにしか使えません。DMMでは172.28mVと5ケタまで値が判るのに対して、ミニオシロでは0.17Vとたったの2ケタです。まあ無いよりはずっとマシではあります。

▼使用した負荷抵抗 (R2)
使用した負荷
 測定には抵抗負荷が必要なので上の写真のような物を使いました。5W電球。10W電球、50W電球、20Wはんだコテ、40Wはんだコテです。なお、はんだコテは温度が上がると抵抗が大きく変わるので、安定するまで待って測定を行いました。

 こんな仕掛けを使って測定を行いました。以下がお待ちかねの測定結果です。

▼測定結果 (表-1)
順接続の特性

 左の表が負荷電力で、右が電力量計で測った測定結果です。電力が大きくなると測定誤差が小さくなっていきます。なおNo.7は暖房用の600Wの電気ヒーターです。
 なお、負荷ゼロ(No.1)で測定電力が3.15Wとなっているのは、電力量計の潜動によるもので、何も負荷が無くてもメーターが廻る現象です。ちなみに、この潜動は円盤に2か所設けられたクリーピング防止穴で止まるので、永久にこの電力が続く訳ではありません。

▼グラフ
順接続
 赤い点線は誤差が無い場合の理想ラインです(No.7は値が大きいので省略)。理想ラインに対して 3Wくらい上にオフセットした値が測定値となっています。軽負荷でも確実に円盤の回転が始まるように潜動トルクが与えられているのだと思いますが、そのトルクがそのままプラスの誤差となって表れている形になっています。ただ、表-1 の No7 に示したように負荷が大きくなると、この誤差はほとんど問題にならなくなってきます。
 
 ここまでで普通の使い方の話は終わりです。でも、せっかく測定出来る状態を立ち上げたので、電力量計の逆接続をやってみました。こんなこと、実際に使用中の電力量計では出来ません。

▼逆接の回路図 (図-2)
逆接続の回路図
 電力量計の入出力が逆になっています。

▼特性測定結果 (表-2)
逆接特性

 無負荷の電力測定結果(円盤の回転速度)は1.44Wとなっています。逆接続にしても潜動トルクは同じはずなので、順接続と同じ3.15Wになりそうですが、実際には半分くらいの値になっています。

 この原因は電圧コイルに流れる電流によるものだと思います。図-2を見ると判り易いですが、電流コイル(L1)には電圧コイル(L2)の電流も流れるので、その分測定結果が小さくなったのだと思います。他には、軸が正転/逆転で廻り易さが違うのかもしれません、あるいはもっと別の要因があるのかも知れませんが、私には判らない領域です。

 なお、電圧コイルには潜動トルクを発生させるためにくま取りコイルが付いているそうです。これってインダクションモーターみたいなものです。ただ、モーターとしては性能(効率)が極めて悪い物が付いていると考えておけば良さそうです。ちなみに電圧コイルは仕様書では電圧回路と書かれていますが、その皮相電力は4.2VA、損失電力は0.8Wとなっています。損失電力0.8Wとすると、ちょっと計算が合わないですが、まあこれ以上細かい話はいいかと思います。

▼逆接続のグラフ
逆接続
 負荷を増やすとメーターが逆転する様子です。結構リニアに変化しています。なお逆転防止機能付きの電力量計ではこういう逆転は起こらないはずです。

◆まとめ
 軽負荷の場合の電力量計の挙動が判りました。この電力量計の場合、約3Wくらいのプラスのオフセットが付いて値が表示されるようで、その点を注意しておけば100W以下の領域でも使えそうです。

 とは言っても電力が小さくなると円盤の回転速度が遅くなり、測定時間も増えるのでじっと見ているのは大変です。クリーピング防止ホールが2個あるのでこの穴を光学的に検出し、Arduinoで計算して電力を表示させると面白そうです。

 この電力量計を自作のGTI のコンセントに入れて、電力の流れが逆転する様子を見てみました。すると、太陽パネルの発電量が大きくなるとメーターが逆転して逆潮流する様子を見ることが確認出来ました(あくまでも設置場所のコンセントでの逆潮流です)。ただ、その送電量が予想より少なかった点が気になっていたのですが、今回の測定でその謎が少し解けました。潜動トルクの分(約3W)だけ小さく測定されていたようです。

 この記事で使った誘導型の電力計はどんどんスマートメーターに交換されています。こういう 遊び 測定 が出来るのは今だけかも知れません。

【ご注意】
1) 記事中にも書きましたがこの記事は単相3線式の片側だけを使って測定したものです。
2) 今回の測定結果は私が所有する個体に関するものです。他の個体のことは判りません。
3) この記事で行った測定は仕様の範囲外の領域なので、どんな結果が出てもメーカーに苦情など言ってはいけません。
4) AC100Vラインの配線は危険なので、何度も確認して慎重に行う必要があります。 
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