ダイソーの500円モバイルバッテリー (リップル対策改造)
ダイソーの500円モバイルバッテリーの話の最終回です。前回の調査では、携帯機器の充電に使う場合、つまり普通に使う時は特に問題は無いだろうと判断しました。これは、相手の機器の電源間に普通は、比較的容量の大きなコンデンサが入っていることを考慮したものです。
ところで、このモバブを電子工作の電源として使う場合にはそういう想定は通用しません。こういう制約があることを忘れていると、電源の大きなリップル(1Vpp)が原因になって思わぬトラブルに見舞われそうです。
ということで、単体のままで使ってもリップルが小さくなるように改造することにしました。
▼回路図 (データーシートより抜粋、追記)

リップルを小さくするにはC2かC3の容量を増やせば良さそうです。まずはC2の容量を増やしてみました。
▼C2を増量

既存のコンデンサに並列に22μFのチップセラコンを入れてみました。このコンデンサはESRが小さくて特性が良い物(X7R)です。
この対策で、ものすごくリップルが小さくなったのですが、一つ問題が発生しました。それはミニオシロのDSO Shell と aitendo で買った9Vの昇圧ケーブルの組み合わせで使うと、モバイルバッテリーの起動に失敗することです。aitendo の昇圧ケーブルの使用をあきらめて他の昇圧ケーブルを使えばいいのですが、これは気に入っているので、何とか使いたいものです。
ということで、この対策はボツ。次はC3を増量してみます。
オリジナルのC3が接続されている場所にコンデンサを追加することは難しいので、USBコネクタの位置に22μFのチップセラコンを接続しました。でもやはり起動不良が発生します。
22μFでは容量が大きすぎるのか、ESRが低すぎるのがまずいのか、と考えて10μFのリード部品タイプのチップセラコンを入れると問題が解決して、正常に起動するようになりました。
▼追加したC3

10μF(106)のチップコンデンサをここに入れました。
これで aitendoの昇圧ケーブルでDSO Shellが使えるようになりました。起動不良になった原因はよく判りませんが、ソフトスタート中に過電流でトリップしていたような気がします。スイッチング電源は難しいです。
リップルは少し大きいですが、これで電子工作でも安心して使えるようになったので、もう一度特性を測ってみます。
▼出力電流vs電圧特性

前回の測定より電圧が低めなのはバッテリーが放電気味だったのだと思います。(前回のデーターは満充電時)
▼出力電流vsリップル特性

この測定では負荷に47μFのコンデンサは接続していませんが、その時よりリップルは小さくなっています。なお、改造無しでは1V(PP)以上のリップルが発生します。
グラフの負荷電流の小さい領域でリップルが大きいのは、この領域はDCDCコンバーターがバーストモードで運転されるためです。小出力時の効率低下を防ぐには仕方ない仕様でしょう。
以下、追加情報をあれこれ書いておきます。
▼ミニオシロDSO Shellを動かす

このモバイルバッテリーは薄いので、こういう使い方が似合います。
▼使用中に充電すると

取説には「充電中は使用しないでください」と書いてあったと思いますが、試しに使用中に充電してみると、出力が遮断されました。これはこれで有りの仕様でしょうね。
ちなみにダイソーの300円のモバブは使用中に充電してもそのまま使えていました。というか充電と出力のコネクタは単にパラに接続されているだけなので、仮想的な5Vの二次電池とみなすことが出来てこれはこれで面白いです。でもそんなことやっちゃダメと書いてあった気がします。
あと、出力電流が小さくなると自動遮断されますが、その閾値が約20mAと前の記事に書きました。でもこれ正しくなかったようです。というのは出力に大容量のコンデンサを接続すると自動遮断されませんでした。具体的には470μFのコンデンサだけ負荷に接続すると自動遮断されませんでした。ダイナミックなインピーダンスを見ている感じになっているようです。
◆まとめ
あと一桁リップルを小さくしたかったのですが、どうにもうまくいかなかったのでここで妥協しました。DCDCコンバーターは難しいです。特にこれは500kHzのインバーターなので、部品の特性や取り付け位置の違いがシビアに結果に現われている感じです。
ともかく、540円で買ったおもちゃでいっぱい遊ばせてもらいました。ダイソーさん大好きです。
ところで、このモバブを電子工作の電源として使う場合にはそういう想定は通用しません。こういう制約があることを忘れていると、電源の大きなリップル(1Vpp)が原因になって思わぬトラブルに見舞われそうです。
ということで、単体のままで使ってもリップルが小さくなるように改造することにしました。
▼回路図 (データーシートより抜粋、追記)

リップルを小さくするにはC2かC3の容量を増やせば良さそうです。まずはC2の容量を増やしてみました。
▼C2を増量

既存のコンデンサに並列に22μFのチップセラコンを入れてみました。このコンデンサはESRが小さくて特性が良い物(X7R)です。
この対策で、ものすごくリップルが小さくなったのですが、一つ問題が発生しました。それはミニオシロのDSO Shell と aitendo で買った9Vの昇圧ケーブルの組み合わせで使うと、モバイルバッテリーの起動に失敗することです。aitendo の昇圧ケーブルの使用をあきらめて他の昇圧ケーブルを使えばいいのですが、これは気に入っているので、何とか使いたいものです。
ということで、この対策はボツ。次はC3を増量してみます。
オリジナルのC3が接続されている場所にコンデンサを追加することは難しいので、USBコネクタの位置に22μFのチップセラコンを接続しました。でもやはり起動不良が発生します。
22μFでは容量が大きすぎるのか、ESRが低すぎるのがまずいのか、と考えて10μFのリード部品タイプのチップセラコンを入れると問題が解決して、正常に起動するようになりました。
▼追加したC3

10μF(106)のチップコンデンサをここに入れました。
これで aitendoの昇圧ケーブルでDSO Shellが使えるようになりました。起動不良になった原因はよく判りませんが、ソフトスタート中に過電流でトリップしていたような気がします。スイッチング電源は難しいです。
リップルは少し大きいですが、これで電子工作でも安心して使えるようになったので、もう一度特性を測ってみます。
▼出力電流vs電圧特性

前回の測定より電圧が低めなのはバッテリーが放電気味だったのだと思います。(前回のデーターは満充電時)
▼出力電流vsリップル特性

この測定では負荷に47μFのコンデンサは接続していませんが、その時よりリップルは小さくなっています。なお、改造無しでは1V(PP)以上のリップルが発生します。
グラフの負荷電流の小さい領域でリップルが大きいのは、この領域はDCDCコンバーターがバーストモードで運転されるためです。小出力時の効率低下を防ぐには仕方ない仕様でしょう。
以下、追加情報をあれこれ書いておきます。
▼ミニオシロDSO Shellを動かす

このモバイルバッテリーは薄いので、こういう使い方が似合います。
▼使用中に充電すると

取説には「充電中は使用しないでください」と書いてあったと思いますが、試しに使用中に充電してみると、出力が遮断されました。これはこれで有りの仕様でしょうね。
ちなみにダイソーの300円のモバブは使用中に充電してもそのまま使えていました。というか充電と出力のコネクタは単にパラに接続されているだけなので、仮想的な5Vの二次電池とみなすことが出来てこれはこれで面白いです。でもそんなことやっちゃダメと書いてあった気がします。
あと、出力電流が小さくなると自動遮断されますが、その閾値が約20mAと前の記事に書きました。でもこれ正しくなかったようです。というのは出力に大容量のコンデンサを接続すると自動遮断されませんでした。具体的には470μFのコンデンサだけ負荷に接続すると自動遮断されませんでした。ダイナミックなインピーダンスを見ている感じになっているようです。
◆まとめ
あと一桁リップルを小さくしたかったのですが、どうにもうまくいかなかったのでここで妥協しました。DCDCコンバーターは難しいです。特にこれは500kHzのインバーターなので、部品の特性や取り付け位置の違いがシビアに結果に現われている感じです。
ともかく、540円で買ったおもちゃでいっぱい遊ばせてもらいました。ダイソーさん大好きです。