アンパンマン おしゃべりいっぱい ことばずかん、直りませんでした(おもちゃ修理)
おもちゃ修理の話の続き、今回はアンパンマン おしゃべりいっぱい ことばずかんです。先に結論を書くと、このおもちゃはセンサーの素子が不良で修理出来ませんでした。でも、修理の過程を記録しておけば、後でどこかのおもちゃ病院のドクターさんの参考になるはずなので、記事にしておきます。
▼アンパンマン おしゃべりいっぱい ことばずかん

知育玩具として人気のあるおもちゃです。本の中の絵をペンで触ると、ペンの先端の赤外線カメラで、本に印刷されている目に見えないパターンを読んで、音が出る仕掛けになっています。
故障の現象としては、スイッチを入れるとスピーカーからオープニングメッセージが出るが、絵に触れても全く反応が無い、というものです。
調査の第一歩としてペン先から赤外線が出ているかデジカメで調べましたが、反応はありません。
▼ペンを分解

▼基板(この写真はペン先まで分解しています)


このおもちゃの故障原因として、水晶の発振不良が多いようなので、水晶端子の波形を見ました。すると、電源投入時の最初の5秒間くらいは水晶が発振したのですが、その後は発振停止しました。念のために手持ちの16MHzの水晶と交換してみたのですが、状況は変わりません。なお、水晶は二つ付いていますが、交換したのはペンの先端側にある画像処理プロセッサ用のものです。
各部の電圧を見てみると、電源投入後5秒くらいは電圧が出ていますが、その後0Vに落ちてしまいます。画像処理部の電源は、電池の電圧をDCDCコンバーターで3.6Vに昇圧した後で、シリーズレギュレーターで3.3Vに降圧して作っているようなのですが、シリーズレギュレーターにシャットダウン信号が送られているようです。
こういう現象を再度検索すると、名張市つつじが丘おもちゃ病院の大泉さんが書かれた、アンパンマンことばずかんの修理(センサーピン半田クラック)という記事と全く同じ症状であることが判りました。
大泉さんの記事から、画像処理チップのデーターシートがネットで入手できることが判り、SONIX の SN9P700FGのページの下の方からデーターシートを入手しました。このデーターシートにはリファレンスの回路図があり、ほぼ同じ回路になっているようです。なお、リファレンスの回路のチップは48ピンで、このおもちゃのチップは32ピンという違いがあります。
▼センサーコネクタの回路図(チップのデーターシートから抜粋)

センサーの信号はピン1から4までの4つのピンで送られているようです。
オシロで確認すると、ピン1(SEN_SD1)に信号が出ていませんでした。ちなみに、ピン2には次の写真のような信号が出ていました。
▼ピン2(SEN_SD0)の波形

16Mbpsの信号が出ています。
大泉さんが修理されたおもちゃのピン1に信号が出ない原因は、半田クラックだったので、再半田付けして修理されています。しかし、このおもちゃのはんだ付けに問題はありませんでした。
ということで、故障原因の究明のために、センサーを分解して行きます。
▼センサーの分解

二分割できる黄色のリングが接着されているので、これを外します

先端のキャップがねじ込まれているのでこれを緩めて外します。このキャップは接着されていて、外し方が判らなかったので傷をいっぱい付けてしまいました。このキャップはネジ込みで取り付けられているのですが、最初はそのことに気付きませんでした。後で見ると、外側がローレットになっているので、ねじ込み式になっているということを察しないといけませんでした。たぶんこのネジでカメラのピントピント調整しているのでしょう。
ここでコネクタのはんだ付けを再確認しましたが、問題は無さそうなので更に分解して行きます。
▼レンズ

ただの穴が開いているだけと思っていたら、実は穴の中に小さなレンズが仕込まれていました。レンズ位置を調整した後に接着して固定されている感じです。この穴にもしゴミが入ったら、読み取り不能になると思います。
▼センサー内部

レンズを外すとセンサーのチップが見えます。両側には赤外LEDが付いています。
▼センサー基板

センサーと基板はバンプ接合されているようなので、その接続不良を疑い、該当ピンの基板のパターンを露出させてはんだゴテで加熱してみました。でも状態に変化はありませんでした。オシロで見ると0.3Vくらいの電圧の変化が観測されていたので、導通には問題は無くて、チップ内部の問題だったのでしょう。
▼センサーチップ拡大(クリックで別窓に拡大)

せっかくここまで分解したので、イメージセンサーの写真を撮っておきました。チップサイズは3mm角くらいです。
◆まとめ
故障原因はイメージセンサーの不良だったようで、残念ながら修理することは出来ませんでした。
電源投入後に画像プロセッサーとイメージセンサー間の通信が始まるようですが、イメージセンサーから正常なレスポンスが返って来ないので、画像プロセッサーが異常を検出して処理を中止していようです。なお、初期化の失敗を検出の後には、関連部分の電源を落とす処理が入っているようです。
先端の赤外LEDは初期化処理が正常に終わって、カメラが正常に読めるようになってから点灯されているようです。つまり、このLEDが点灯していれば、画像処理プロセッサーとカメラ間の通信は正常に行われていると判断出来そうです。
今回のおもちゃ修理の記事はこれでおしまいです。次回の記事は次のおもちゃ病院の開催後になると思います。
▼アンパンマン おしゃべりいっぱい ことばずかん

知育玩具として人気のあるおもちゃです。本の中の絵をペンで触ると、ペンの先端の赤外線カメラで、本に印刷されている目に見えないパターンを読んで、音が出る仕掛けになっています。
故障の現象としては、スイッチを入れるとスピーカーからオープニングメッセージが出るが、絵に触れても全く反応が無い、というものです。
調査の第一歩としてペン先から赤外線が出ているかデジカメで調べましたが、反応はありません。
▼ペンを分解

▼基板(この写真はペン先まで分解しています)


このおもちゃの故障原因として、水晶の発振不良が多いようなので、水晶端子の波形を見ました。すると、電源投入時の最初の5秒間くらいは水晶が発振したのですが、その後は発振停止しました。念のために手持ちの16MHzの水晶と交換してみたのですが、状況は変わりません。なお、水晶は二つ付いていますが、交換したのはペンの先端側にある画像処理プロセッサ用のものです。
各部の電圧を見てみると、電源投入後5秒くらいは電圧が出ていますが、その後0Vに落ちてしまいます。画像処理部の電源は、電池の電圧をDCDCコンバーターで3.6Vに昇圧した後で、シリーズレギュレーターで3.3Vに降圧して作っているようなのですが、シリーズレギュレーターにシャットダウン信号が送られているようです。
こういう現象を再度検索すると、名張市つつじが丘おもちゃ病院の大泉さんが書かれた、アンパンマンことばずかんの修理(センサーピン半田クラック)という記事と全く同じ症状であることが判りました。
大泉さんの記事から、画像処理チップのデーターシートがネットで入手できることが判り、SONIX の SN9P700FGのページの下の方からデーターシートを入手しました。このデーターシートにはリファレンスの回路図があり、ほぼ同じ回路になっているようです。なお、リファレンスの回路のチップは48ピンで、このおもちゃのチップは32ピンという違いがあります。
▼センサーコネクタの回路図(チップのデーターシートから抜粋)

センサーの信号はピン1から4までの4つのピンで送られているようです。
オシロで確認すると、ピン1(SEN_SD1)に信号が出ていませんでした。ちなみに、ピン2には次の写真のような信号が出ていました。
▼ピン2(SEN_SD0)の波形

16Mbpsの信号が出ています。
大泉さんが修理されたおもちゃのピン1に信号が出ない原因は、半田クラックだったので、再半田付けして修理されています。しかし、このおもちゃのはんだ付けに問題はありませんでした。
ということで、故障原因の究明のために、センサーを分解して行きます。
▼センサーの分解

二分割できる黄色のリングが接着されているので、これを外します

先端のキャップがねじ込まれているのでこれを緩めて外します。このキャップは接着されていて、外し方が判らなかったので傷をいっぱい付けてしまいました。このキャップはネジ込みで取り付けられているのですが、最初はそのことに気付きませんでした。後で見ると、外側がローレットになっているので、ねじ込み式になっているということを察しないといけませんでした。たぶんこのネジでカメラのピントピント調整しているのでしょう。
ここでコネクタのはんだ付けを再確認しましたが、問題は無さそうなので更に分解して行きます。
▼レンズ

ただの穴が開いているだけと思っていたら、実は穴の中に小さなレンズが仕込まれていました。レンズ位置を調整した後に接着して固定されている感じです。この穴にもしゴミが入ったら、読み取り不能になると思います。
▼センサー内部

レンズを外すとセンサーのチップが見えます。両側には赤外LEDが付いています。
▼センサー基板

センサーと基板はバンプ接合されているようなので、その接続不良を疑い、該当ピンの基板のパターンを露出させてはんだゴテで加熱してみました。でも状態に変化はありませんでした。オシロで見ると0.3Vくらいの電圧の変化が観測されていたので、導通には問題は無くて、チップ内部の問題だったのでしょう。
▼センサーチップ拡大(クリックで別窓に拡大)

せっかくここまで分解したので、イメージセンサーの写真を撮っておきました。チップサイズは3mm角くらいです。
◆まとめ
故障原因はイメージセンサーの不良だったようで、残念ながら修理することは出来ませんでした。
電源投入後に画像プロセッサーとイメージセンサー間の通信が始まるようですが、イメージセンサーから正常なレスポンスが返って来ないので、画像プロセッサーが異常を検出して処理を中止していようです。なお、初期化の失敗を検出の後には、関連部分の電源を落とす処理が入っているようです。
先端の赤外LEDは初期化処理が正常に終わって、カメラが正常に読めるようになってから点灯されているようです。つまり、このLEDが点灯していれば、画像処理プロセッサーとカメラ間の通信は正常に行われていると判断出来そうです。
今回のおもちゃ修理の記事はこれでおしまいです。次回の記事は次のおもちゃ病院の開催後になると思います。