虫メガネの倍率と焦点距離の関係
簡単なLEDアレイプロジェクタを作ったのですが、口径の大きなレンズに変えれば投影画像がもっと明るくなるはずです。ということで、ダイソーで大きなサイズの虫メガネを買ってきました。
倍率は同じ2倍なので、光学位置はほとんどそのままで使えるはず、と思ってやってみたら、全然ダメでした。どうも焦点距離が大きく違っているようです。
どうしてそんなことが起きたのか、調べてみたのでその結果を整理しておきます。
▼3種類の虫メガネ

左が前の記事でLEDプロジェクターを作るのに使った物でこれをAと呼ぶことにします。中央と右の二つが今回買ってきたもので、それぞれB、Cと呼ぶことにします。どれも倍率は2倍と表示されています。
▼Aの虫メガネ

いつどこで買ったのか記憶がありません。パッケージは捨ててしまいましたが、現物の表示は口径63mmで倍率は2倍と4倍となっています。なお、メインのレンズは2倍で、4倍は小さな副レンズなので今回の記事には関係ありません。
実測してみると、口径(D)は63mmと現品の表示通りで、焦点距離(f)は125mmでした。これ、レンズの倍率を求める公式の、倍率(X)=250/f の通りになっています。(250/125 = 2倍)
▼Bの虫メガネ

今回買ってきたけど使えなかったものです。実測すると口径は96mmで、焦点距離は290mmでした。Aと比べて焦点距離が倍近く長いので、差し替えて使えないのは当たり前でした。
Aと同じ式で計算すると、倍率は 250/290 = 0.86倍 になるはずですが、パッケージの表示は約2倍となっています。誇大表示にも程があるだろうと思ったら、そうではありませんでした。
虫メガネの倍率計算方法にはもう一つあって、倍率(X)=(250/f) + 1 で計算する式があるそうです。こっちの式で計算すると、倍率は1.86倍となって、表示とほぼ合っています。この虫メガネの倍率は、こちらの式で計算されているようです。
▼Cの虫メガネ

レンズの口径はBより小さいものの、倍率が約2.5倍と少しだけ高いので、プロジェクターを小型化出来るのではないか、と思って買ってみました。
測定してみると、口径は72mmありますが、焦点距離はBと同じで290mm、つまり倍率は1.86倍しかありません。これでは全然ダメです。
◆虫メガネの倍率計算方法
虫メガネの倍率は、明視の距離である250mmを焦点距離(f)で割った値だと思っていたのですが、別の定義もあるようでこれが今回の間違いの原因でした。
a) 倍率(X)= 250/f
b) 倍率(X)=(250/f)+1
上の a) が私が思っていた倍率の計算式なのですが、b)の式で計算することもあるようです。というか、倍率が低い虫メガネでは、b) の式で計算することの方が多いようです。
ともかく、Aの虫メガネの倍率はa)の式で計算され、B,Cの虫メガネの倍率はb)の式で計算されていたようです。どちらも表示されている倍率は2倍なのですが、使われているレンズの焦点距離は倍以上違っていました。
◆まとめ
倍率表示の値が同じ虫メガネでも、焦点距離が大きく違うことがあるので、注意が必要のようです。まあ注意しろと言われても、レンズの焦点距離まで表示されていない場合が多そうなので、どうしようも無いのかも知れません。
レンズを通して向こう側が見えれば、見た感じで判断する。あるいは指で触った感触でレンズのカーブを推定するという職人技でやるしか無いのでしょうか。まあ、最初から焦点距離の判っているレンズを買えば良い話ではあります。
あと、いろいろ調べてみると、虫メガネやルーペでは b) の式で求めた倍率を表示することが多いようです。なお、顕微鏡の接眼レンズの倍率はa)の式で求めているのでご安心下さい。
一番大事な話が最後になってしまいました。100円ショップの虫メガネで、焦点距離が判っている物を買うことは難しそうなので、LEDプロジェクターをもっと明るくすることは、とりあえず諦めることにします。頭の中で考えているだけでは無く、実際にやってみることが大切、ということを再認識させられた結果になりました。
ちなみに、フレネルレンズは面白そうなのでちょっと試してみたい気は残ってます。
倍率は同じ2倍なので、光学位置はほとんどそのままで使えるはず、と思ってやってみたら、全然ダメでした。どうも焦点距離が大きく違っているようです。
どうしてそんなことが起きたのか、調べてみたのでその結果を整理しておきます。
▼3種類の虫メガネ

左が前の記事でLEDプロジェクターを作るのに使った物でこれをAと呼ぶことにします。中央と右の二つが今回買ってきたもので、それぞれB、Cと呼ぶことにします。どれも倍率は2倍と表示されています。
▼Aの虫メガネ

いつどこで買ったのか記憶がありません。パッケージは捨ててしまいましたが、現物の表示は口径63mmで倍率は2倍と4倍となっています。なお、メインのレンズは2倍で、4倍は小さな副レンズなので今回の記事には関係ありません。
実測してみると、口径(D)は63mmと現品の表示通りで、焦点距離(f)は125mmでした。これ、レンズの倍率を求める公式の、倍率(X)=250/f の通りになっています。(250/125 = 2倍)
▼Bの虫メガネ

今回買ってきたけど使えなかったものです。実測すると口径は96mmで、焦点距離は290mmでした。Aと比べて焦点距離が倍近く長いので、差し替えて使えないのは当たり前でした。
Aと同じ式で計算すると、倍率は 250/290 = 0.86倍 になるはずですが、パッケージの表示は約2倍となっています。誇大表示にも程があるだろうと思ったら、そうではありませんでした。
虫メガネの倍率計算方法にはもう一つあって、倍率(X)=(250/f) + 1 で計算する式があるそうです。こっちの式で計算すると、倍率は1.86倍となって、表示とほぼ合っています。この虫メガネの倍率は、こちらの式で計算されているようです。
▼Cの虫メガネ

レンズの口径はBより小さいものの、倍率が約2.5倍と少しだけ高いので、プロジェクターを小型化出来るのではないか、と思って買ってみました。
測定してみると、口径は72mmありますが、焦点距離はBと同じで290mm、つまり倍率は1.86倍しかありません。これでは全然ダメです。
◆虫メガネの倍率計算方法
虫メガネの倍率は、明視の距離である250mmを焦点距離(f)で割った値だと思っていたのですが、別の定義もあるようでこれが今回の間違いの原因でした。
a) 倍率(X)= 250/f
b) 倍率(X)=(250/f)+1
上の a) が私が思っていた倍率の計算式なのですが、b)の式で計算することもあるようです。というか、倍率が低い虫メガネでは、b) の式で計算することの方が多いようです。
ともかく、Aの虫メガネの倍率はa)の式で計算され、B,Cの虫メガネの倍率はb)の式で計算されていたようです。どちらも表示されている倍率は2倍なのですが、使われているレンズの焦点距離は倍以上違っていました。
◆まとめ
倍率表示の値が同じ虫メガネでも、焦点距離が大きく違うことがあるので、注意が必要のようです。まあ注意しろと言われても、レンズの焦点距離まで表示されていない場合が多そうなので、どうしようも無いのかも知れません。
レンズを通して向こう側が見えれば、見た感じで判断する。あるいは指で触った感触でレンズのカーブを推定するという職人技でやるしか無いのでしょうか。まあ、最初から焦点距離の判っているレンズを買えば良い話ではあります。
あと、いろいろ調べてみると、虫メガネやルーペでは b) の式で求めた倍率を表示することが多いようです。なお、顕微鏡の接眼レンズの倍率はa)の式で求めているのでご安心下さい。
一番大事な話が最後になってしまいました。100円ショップの虫メガネで、焦点距離が判っている物を買うことは難しそうなので、LEDプロジェクターをもっと明るくすることは、とりあえず諦めることにします。頭の中で考えているだけでは無く、実際にやってみることが大切、ということを再認識させられた結果になりました。
ちなみに、フレネルレンズは面白そうなのでちょっと試してみたい気は残ってます。