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北海道で摩周丸の通信室を見学

先日北海道を旅行してきました。道東をゆっくり回ったのですが、青函連絡船として活躍していた摩周丸が函館で保存展示されていたので見学してきました。函館市青函連絡船記念館摩周丸のHPはこちら

実は青函連絡船は学生時代に乗ったことがあります。青森駅の構内を走って、青函連絡船の乗り場の列に並んだことを何となく覚えています。また、北海道が見えてきて感動した記憶があります。そんなことで、当時乗った船とは違うのでしょうが、何十年ぶりの嬉しい再会です。

先に摩周丸の外観です。

▼摩周丸
摩周丸
後部側面から船首方向を見た写真です。船首を撮ると良かったのですが、先の方まで行きませんでした。煙突には国鉄のJNRのロゴがあります。つまり国鉄の切符で乗船出来たと思います。

▼後部列車レール接続部
摩周丸、後部貨物列車レール接続部
ここにレールを接続して、貨車を荷物ごと積み込んで運ぶ仕掛けになっています。レールは3組みあったんですね。一隻に何両の貨車を積むことが出来たのでしょう。

摩周丸は保存船として船内が公開されていて、青函連絡船の歴史を知ることが出来る貴重な場所です。あと、通信室がそのまま公開されているので、私のような無線に興味のある人間にとってはたまらない場所です。

ということで、写真を見ながら振り返ってみます。なお、今回の記事の写真は一部を除いて、クリックすると別窓に少し大きな写真を表示します。

▼ブリッジ
摩周丸、ブリッジ全景
流石に見晴らしが良いです。それに保存状態が良くて各部がピカピカなのは、大切にされている証拠でしょう。

▼操船機器(機関関係)
摩周丸、操船機器
これはエンジンや可変ピッチプロペラ、バウスラスターなど、機関関係のパネルのようです。

ブリッジのすぐ後ろ、右舷窓際に通信室があります。

▼無線室全体
摩周丸、通信卓
もっと引いた絵で、室内全体の様子が判る写真を撮ればよかったです。
部屋の中央に大きな操作卓があり、その向こう側(船の後部側)壁面に送信機などを収容した制御架が設置されています。操作卓の上の写真は、タモリさんがブラタモリで訪問した時のものです。

以下順に見て行きます。

▼操作卓左側
摩周丸、第二装置送信機
左が第2装置送信機で、写真中央の黒い丸形の機器はブレークインリレーです。送信機らしくメーターが付いていて、メーカーはアンリツで、TYPE-T-45Cという銘板が付いています。モードはA1-AとA2-Aとなっているので電信だけのようです。

下段は電源の切り替えのようで、MAIN 100V / 700VA MG / 3kVA MG と表示があります。100Vが船内共通電源で、MGは非常用の電動発電機ということでしょうか。

その右の電話用の受話器があるあたりは、たぶんVHF?の無線機です。

▼受信機
摩周丸、全波スポット受信機 NRD-3D
全波スポット受信機と書かれているので、汎用に使っていた受信機だと思います。ちなみに日本無線(JRC)製で、NRD-3Dという型番が読み取れます。調べてみると、真空管とトランジスタを使った第一局発可変のダブルスーパーのようです。JRC Radio さんこちらのページ(NRD-3Dのカテゴリ)に詳しい解説がありました。
JHMIという無線局の呼び出し符号が写っていますが、この上に毎時2回の沈黙時間を赤く塗った時計が取り付けられています。(この写真には写っていなくてすみません。無線室全体写真には写っています)

▼ANR受信機
ARN受信機
たぶんこちらが通常の通信に使っていた受信機だと思います。あるいは、この左に4つの独立した固定チャンネル受信機があるので、そちらがメイン受信機かも知れません。
ともかくこれは、20chの選択式の受信機で、チャンネル毎にΔfと書かれた半固定ツマミ(たぶん半固定コンデンサ)で水晶の周波数微調整を行い、ゲイン調整もチャンネル毎に独立してを行うようになっています。

手前の電鍵は見学者が自由に触れるようになっていて、モニター音を聞くことが出来ます。私は電話級の免許しか持っていないのでCQCQくらいしか打てませんが、音がクリック気味で僅かにチャープがある感じだったのでCRオシレータなのでしょうか、違ってたらすみません。

後ろの架の話に移ります

▼左側
摩周丸、送信機ほか
左は「Automatic News Reciever」と表示があってアンリツ製です。これ、新聞の紙面を自動受信していたのでしょうか。

中央の架は電気時計と書いてあって時計が埋め込まれていました。これはひょっとしたら船内時計の親時計なのかも知れません。通信室でJJYを受信して時計を合わせていたのでしょうか。

▼送信機
送信機
第1装置送信機と書かれているので、これが主送信機でしょう。中を見ることが出来なかったのですが、帰ってから調べてみると、ファイナルはP球(ぴーだま)のようです。

上に付いているメーターのフルスケールは、PA-IP(たぶんファイナルのプレート電流)が1000mA、 HTはたぶんプレート電圧で 5000Vの物が付いています。プレート電流はディップした状態で使うでしょうからまあ200mA、電圧は3000Vで使っていたとすると、入力は600W。CWなので効率60%とすると、出力360Wというところでしょうか。

▼送信機とアンテナ切り替え機
摩周丸、送信機とアンテナ給電線
送信機の上から出た出力は、天井のANT SELECTOR(アンテナ切り替え機) と書かれた箱を通って、三本のアンテナ給電線に接続されています。この線は剥き出しなので、長い棒を持ってこのあたりをうろうろしていると感電する恐れがあります。そういうアホは入っちゃいけない部屋なんでしょう。

なお、左の架は送信機ですが、その右は乗組員に対する操船作業指令用のアンプ、さらに右は乗客案内用のアンプだと思います。広い船内に放送するためには、大出力のアンプが必要なので、これくらいのサイズにはなりそうです。

▼船内指令器
船内指令器
乗客用の放送アンプのようです。アンリツ製で、1965年 PUBLIC ADDRESSOR と書かれた銘板があるので放送用アンプ、いわゆるPAだと思います。乗客と言えども船長の指示に従わないといけないので、指令器なんて名前になっているのでしょうね。なお、ここにはラジオ受信機があるので、ラジオ放送を流すことも出来たようです。ニュースや相撲の実況を船内に流すと、喜ばれたでしょうね。

話が少し変わりますが、青函連絡船の洞爺丸が台風で沈没するまでに少し時間があったと思います。その時、この写真のような船内指令器が使われて、乗客に指示が伝えられたはずです。だんだん状況が悪化するなかで、どんな指示が出たのか想像すると、ちょっと胸が痛くなります。

▼FAX受信機
気象FAX?
天気図などを受信していたのでしょう。そう言えば、昔はHFの電波を使ってで天気図や新聞を送ることもやられていたような気がします。

▼上甲板
摩周丸上甲板
左舷の船尾付近から船首方向を見た写真です。通信室は前方のマストの右下付近です。アンテナ用の空中線らしきものが写っていますが、これはイルミネーションの電球の配線だと思います。ちなみに左に見える山が函館山で、この山頂から摩周丸が良く見えて、夜はイルミネーションが綺麗でした。

◆まとめ
思いがけず懐かしいものに再会出来て嬉しかったです。こんなことなら、デジ一を持って行って、高解像度の写真を撮ればよかったです。ちなみにこの記事の写真は、コンデジ(キャノン IXY640)で撮ったものです)。

帰った後で気付いたのですが、この時代はロランが使われていたと思います。摩周丸のブリッジにはロランやデッカの受信機があったはずなので、これを見逃してしまったようで残念です。

私がアマチュア無線を始めた頃はまだロランの電波がいっぱい出ていて、受信機で簡単に聞くことが出来ました。ロランの周波数は1.8MHzあたりですが、その第二高調波が3.6HHzあたりに。また、中波ラジオにはイメージで890kHz (1800 - 2 * 455 = 890 kHz)で受信出来ていたと思います。ちなみにロランはパルス波なので、その周辺の周波数にスプラッタが出まくっていました。

ロランAについてもっと知りたくてネットを調べてみると、100kHzで運用されていたロランB ロランCの情報はいろいろ出て来るのですが、ロランAについてはさっぱり情報がありません。インターネットの開始以前に停波したので、そういうことになるのでしょうね。逆に言うとインターネットの情報ってその程度のものなんですね。

グチを書いたお詫びに、もう一つ電子(電気)工作関連ネタです。

▼北海道の太陽光発電パネル
北海道のソーラーパネルは角度が立っている
東京付近と比べると設置角度が明らかに立っていて、かなり北に来たことが実感できます。なお、この写真はそんなに傾いている感じがしないのが残念です。
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