ペルチェ温度コントローラーの製作(温度プロファイル指定機能)
久しぶりにペルチェ温度コントローラー作りの話です。基本的な機能は出来たので、ケースに入れる作業とプログラムの改良を同時進行で少しずつ進めています。
ケースや操作スイッチなどのハード作り、とプログラムは相互に関係する部分が多いので、同時にやると完成度が上がる場合が多いです。と書くとかっこいいですが、要するに出たとこ勝負の現物合わせでやっているということです。
◆現在の状態

かなり出来上がってきて、最終的な形が見えてきました。
◆プログラムの機能追加
さて、ハード製作と並行して進めているプログラムの改良ですが、温度プロファイルの自動再生機能を入れることにしました。いくつかの温度変化のパターンを用意しておいて、それを自動再生すれば便利になるはずです。
そんなことで、とりあえず用意した温度変化のパターンを実際に動かした様子をグラフで見ていきます。以下のグラフはの Sv は設定値、Pv は実測温度です。
1.ステップ昇温/降温

10℃から60℃まで10℃ステップで昇温(降温)し、各温度で5分間ホールドするパターンです。デバイスの温度特性測定に使用すると便利だと思います。特に温度がステップ変化したときの過渡応答の観察にも使えると思います。
2.昇温(降温)速度一定

10℃から60℃まで、変化速度 = 2 ℃/分で温度を上昇、降下させるパターンです。温度に対する特性の変化グラフを作りたい時に便利だと思います。
3.昇温/降温繰り返し

1分間隔で10℃と60℃を繰り返します。温度に対する特性変化の傾向確認や、PID制御のパラメーター調整に便利だと思います。
4.マニュアル
温度を手動設定するモード。ロータリーエンコーダーから温度を指定します。
◆興味深いグラフ
運転時には温度以外に各種の情報をシリアルに吐き出しているのですが、その中で面白そうなものを紹介します。
・PIDのパラメータの変化

これは、3.項の昇温/降温を繰り返した時の PID制御量計算に使っている比例(dP)、積分(dI)、微分(dD)、制御量(Mv)が変化する様子です。PIDの各要素の感度係数はこういうグラフを見ながら調整しました。
・ペルチェの入力パワー(電圧)と温度の関係

これは2.項の昇温速度一定のグラフと同時に取集している制御量(Mv)の値と、実際の温度の関係を散布図にしたもので、青いプロットがそのデーターを表しています。横軸はペルチェに加えている電圧で、100%が5Vに相当し、正側が発熱、負側が吸熱になります。縦軸は温度で、ペルチェに加えるパワーに応じて温度が変わっています。
ここで注目点は、パワーの正負でグラフの傾きが違っている点です。
ペルチェ素子ではペルチェ効果による熱の移動が行われますが、同時にオーミックな発熱を伴うのでこういう特性になるのだと思います。つまり、オーミックな発熱は電流の方向に無関係、つまり電流の絶対値に比例して発生します。一方でペルチェ効果による熱の移動は電流の方向で決まるので右上がりの直線になります。こういう特性がまとめて観察されるので、このこのグラフのようなパワーゼロを境に傾きが変わるグラフになるのだと思います。
赤い点線は私が書き加えたものですが、この直線がペルチェによるもの。ここにオーミックな発熱がV字型に加わるので、青線のような測定結果になったと考えると良いと思います。
◆まとめ
測定を行うと思いがけない特性に出くわすことがありますが、今回のペルチェの温度特性はその良い例でしょう。理屈が判ってしまうと、なるほど、となりますが、事前にこういう変曲点を持ったグラフが出てくるとは予想していませんでした。
ペルチェのパワー/温度特性カーブからヒートポンプとしての性能係数のようなものが計算出来ると面白いと思いました。でもヒートシンクから捨てている熱量が判らないし、出力側を通過している熱量となるともっと判らないので、定量化は難しいのかも知れません。
ケースや操作スイッチなどのハード作り、とプログラムは相互に関係する部分が多いので、同時にやると完成度が上がる場合が多いです。と書くとかっこいいですが、要するに出たとこ勝負の現物合わせでやっているということです。
◆現在の状態

かなり出来上がってきて、最終的な形が見えてきました。
◆プログラムの機能追加
さて、ハード製作と並行して進めているプログラムの改良ですが、温度プロファイルの自動再生機能を入れることにしました。いくつかの温度変化のパターンを用意しておいて、それを自動再生すれば便利になるはずです。
そんなことで、とりあえず用意した温度変化のパターンを実際に動かした様子をグラフで見ていきます。以下のグラフはの Sv は設定値、Pv は実測温度です。
1.ステップ昇温/降温

10℃から60℃まで10℃ステップで昇温(降温)し、各温度で5分間ホールドするパターンです。デバイスの温度特性測定に使用すると便利だと思います。特に温度がステップ変化したときの過渡応答の観察にも使えると思います。
2.昇温(降温)速度一定

10℃から60℃まで、変化速度 = 2 ℃/分で温度を上昇、降下させるパターンです。温度に対する特性の変化グラフを作りたい時に便利だと思います。
3.昇温/降温繰り返し

1分間隔で10℃と60℃を繰り返します。温度に対する特性変化の傾向確認や、PID制御のパラメーター調整に便利だと思います。
4.マニュアル
温度を手動設定するモード。ロータリーエンコーダーから温度を指定します。
◆興味深いグラフ
運転時には温度以外に各種の情報をシリアルに吐き出しているのですが、その中で面白そうなものを紹介します。
・PIDのパラメータの変化

これは、3.項の昇温/降温を繰り返した時の PID制御量計算に使っている比例(dP)、積分(dI)、微分(dD)、制御量(Mv)が変化する様子です。PIDの各要素の感度係数はこういうグラフを見ながら調整しました。
・ペルチェの入力パワー(電圧)と温度の関係

これは2.項の昇温速度一定のグラフと同時に取集している制御量(Mv)の値と、実際の温度の関係を散布図にしたもので、青いプロットがそのデーターを表しています。横軸はペルチェに加えている電圧で、100%が5Vに相当し、正側が発熱、負側が吸熱になります。縦軸は温度で、ペルチェに加えるパワーに応じて温度が変わっています。
ここで注目点は、パワーの正負でグラフの傾きが違っている点です。
ペルチェ素子ではペルチェ効果による熱の移動が行われますが、同時にオーミックな発熱を伴うのでこういう特性になるのだと思います。つまり、オーミックな発熱は電流の方向に無関係、つまり電流の絶対値に比例して発生します。一方でペルチェ効果による熱の移動は電流の方向で決まるので右上がりの直線になります。こういう特性がまとめて観察されるので、このこのグラフのようなパワーゼロを境に傾きが変わるグラフになるのだと思います。
赤い点線は私が書き加えたものですが、この直線がペルチェによるもの。ここにオーミックな発熱がV字型に加わるので、青線のような測定結果になったと考えると良いと思います。
◆まとめ
測定を行うと思いがけない特性に出くわすことがありますが、今回のペルチェの温度特性はその良い例でしょう。理屈が判ってしまうと、なるほど、となりますが、事前にこういう変曲点を持ったグラフが出てくるとは予想していませんでした。
ペルチェのパワー/温度特性カーブからヒートポンプとしての性能係数のようなものが計算出来ると面白いと思いました。でもヒートシンクから捨てている熱量が判らないし、出力側を通過している熱量となるともっと判らないので、定量化は難しいのかも知れません。