ダイソーのUSBブロアー(500円)の分解と性能アップ
◆まえがき
ダイソーのUSBブロアー(500円)を買いました。ベランダの細かい部分の清掃などに便利かも、と思って買ったのですが、動かしてみると期待していたほどの風量の物ではありませんでした。
そんなことで、もっと風量を増やす手は無いか、分解して調べてみました。なお、ダイソーの商品名は「ブロアー」ですが、この記事では「ブロワ」と記すことにします。

ダイソーとしては高額商品になります。ちなみに、最近じわじわと値上がりしている感があります。
【2021/5/21 追記】
記事に寄せられたコメントによると、ファンの回転方向が逆の物が出回っているそうです。ファンガード側から見て、中のファンが反時計方向 (CCW) に回るのが正しい回転です。なお、遠心ファンなので逆回転でも弱い風は出ますが、本来の性能とはほど遠いです。
◆分解
マキタカラーの方が欲しかったのですが、白しか残っていませんでした。
・吸入口

吸入口には黒色のガードが付いていますが、爪で固定されているだけなのでこじれば外れます。
これを外しても風量はあまり変わらない感じでした。
・ブロワの内部

カタツムリ型の遠心ブロワです。
・モーターと配線

USBコネクタから電源を取るようになっています。
1A近い電流が流れるのにもかかわらず使われている電線は細く、抵抗を測ると0.36Ωもありました。ここに1A流すと往復の電圧ドロップは0.72Vにもなる訳で、これではロスが大きすぎです。
なお、モーターの端子部にはコンデンサやインダクタ、バリスタ?などのノイズ対策部品が付けられているのは評価できます。
・モーターの型番

KRS140S-18085J-38V 5V とマーキングされているので、定格5Vのモーターのようです。
◆性能テスト
ブロワの性能を調べるには、流量/圧力カーブを測定すれば良いのですが、そんなことが出来る道具は持ってません。そこで簡単に出来る測定ということで、空気の吹き出しに伴い発生するスラスト(推力)を測ってみました。
・スラストの測定

言葉はかっこいいですが、やってることは貧乏くさいです。
写真のようにキッチンスケールの上にブロアの噴出口を上向きにして固定し、ファンを廻した時の重量変化からスラストを測定しました。なお、このブロアにはノズルが添付されていますが、ブロア単体の性能を測りたかったので、ノズル無しで測定しています。あと、このキッチンスケールの最小目盛は0.5gなので、これより細かい変化は判りません。
・測定結果
USBモバイルバッテリー(出力max. 2.1A)から電源供給した時のスラストは 5.5g でした。
噴出孔の内径は11mmなので、この時の吐出圧力は5g/((3.14*1.1^2)/4)) = 5.79 g/㎠ ということになります。これらの値から空気の流量を計算出来ると思うのですが、その計算式が判りません。
・6Vで給電すると、スラストは7.5gまで増加
安定化電源を使って供給電圧を6Vまで上げると、スラストは7.5gまで増えました。この時のモーターの端子電圧は5.06V、電流は0.96Aでした。これがこのブロアの本来の性能だと思います。
◆チューニング
こういう空力機械を見ると、チューニングして性能を上げてみたくなります。そこで、やったのは、
1) 内壁の研磨
ブロアケーシングの内壁にある成形バリなどの凸凹をミニルーターで削り、表面を滑らかにしました。エンジンのポート研磨と同じですね(やったこと無いです)。
2) ローター羽根の先端形状修正

風切り性能が良くなるように、ブレードの先端を薄く削りました。
3) ローターギャップの縮小

ローター羽根の側面とケーシングの隙間が大きくて循環流が発生しそうだったので、スペーサーを入れてギャップを詰めました。
4) モーター側吸気口を塞ぐ

モーターの冷却用の通気口が開いているのですが、このパスの吸気抵抗が大きそうだったので、アルミ粘着テープを貼って塞ぎました。(最終的にはモーターの冷却を優先し、この対策は止めました)
◆チューニングの効果
以上のような対策を行った結果、USBコネクタからの供給電圧6Vの時のスラストは8.5gまで上がりました。
あとはモーターの寿命に悪影響があるのは覚悟で、供給電圧をもう少し上げる手があります。まあそれはそれは最後の手段として取っておくことにします。
◆電源まわりの改良
・配線の強化

上の方で触れたように、USBケーブルの配線抵抗が高すぎるので、もっと抵抗の低いケーブルに交換しました。また、電源スイッチの配線も2回路並列に使うように変更し、出来るだけロスが少なくなるようにしました。ちなみに、オリジナルでは2回路あるスイッチの1回路だけ使う配線になっていました。
・ニッケル水素電池から電源供給

最終的には供給電圧をもう少し上げたいので、USBからの電源供給にこだわる必要はありません。18650のリチウム電池を使い、DCDCコンバーターで6Vくらいまで昇圧するのが良さそうです。
そうは言っても出力2Aクラスのコンバーターが必要なので、すぐには作れません。ということで、応急処置として上の写真のように、単三のニッケル水素電池4本直列から電源供給するようにしておきました。
◆まとめ
とりあえず簡単に出来ることはここまでです。この状態でしばらく使ってみて今後どうするか考えたいと思います。
こういう空力機械の改良は、回路いじりとは違った面白さがあります。もしキッチンスケールの分解能がもっと高ければ、より細かく改善効果の測定が可能だったと思います。工作用にもっと分解能の高いデジタル秤を買っておくのも良さそうです。
ダイソーのUSBブロアー(500円)を買いました。ベランダの細かい部分の清掃などに便利かも、と思って買ったのですが、動かしてみると期待していたほどの風量の物ではありませんでした。
そんなことで、もっと風量を増やす手は無いか、分解して調べてみました。なお、ダイソーの商品名は「ブロアー」ですが、この記事では「ブロワ」と記すことにします。

ダイソーとしては高額商品になります。ちなみに、最近じわじわと値上がりしている感があります。
【2021/5/21 追記】
記事に寄せられたコメントによると、ファンの回転方向が逆の物が出回っているそうです。ファンガード側から見て、中のファンが反時計方向 (CCW) に回るのが正しい回転です。なお、遠心ファンなので逆回転でも弱い風は出ますが、本来の性能とはほど遠いです。
◆分解
マキタカラーの方が欲しかったのですが、白しか残っていませんでした。
・吸入口

吸入口には黒色のガードが付いていますが、爪で固定されているだけなのでこじれば外れます。
これを外しても風量はあまり変わらない感じでした。
・ブロワの内部

カタツムリ型の遠心ブロワです。
・モーターと配線

USBコネクタから電源を取るようになっています。
1A近い電流が流れるのにもかかわらず使われている電線は細く、抵抗を測ると0.36Ωもありました。ここに1A流すと往復の電圧ドロップは0.72Vにもなる訳で、これではロスが大きすぎです。
なお、モーターの端子部にはコンデンサやインダクタ、バリスタ?などのノイズ対策部品が付けられているのは評価できます。
・モーターの型番

KRS140S-18085J-38V 5V とマーキングされているので、定格5Vのモーターのようです。
◆性能テスト
ブロワの性能を調べるには、流量/圧力カーブを測定すれば良いのですが、そんなことが出来る道具は持ってません。そこで簡単に出来る測定ということで、空気の吹き出しに伴い発生するスラスト(推力)を測ってみました。
・スラストの測定

言葉はかっこいいですが、やってることは貧乏くさいです。
写真のようにキッチンスケールの上にブロアの噴出口を上向きにして固定し、ファンを廻した時の重量変化からスラストを測定しました。なお、このブロアにはノズルが添付されていますが、ブロア単体の性能を測りたかったので、ノズル無しで測定しています。あと、このキッチンスケールの最小目盛は0.5gなので、これより細かい変化は判りません。
・測定結果
USBモバイルバッテリー(出力max. 2.1A)から電源供給した時のスラストは 5.5g でした。
噴出孔の内径は11mmなので、この時の吐出圧力は5g/((3.14*1.1^2)/4)) = 5.79 g/㎠ ということになります。これらの値から空気の流量を計算出来ると思うのですが、その計算式が判りません。
・6Vで給電すると、スラストは7.5gまで増加
安定化電源を使って供給電圧を6Vまで上げると、スラストは7.5gまで増えました。この時のモーターの端子電圧は5.06V、電流は0.96Aでした。これがこのブロアの本来の性能だと思います。
◆チューニング
こういう空力機械を見ると、チューニングして性能を上げてみたくなります。そこで、やったのは、
1) 内壁の研磨
ブロアケーシングの内壁にある成形バリなどの凸凹をミニルーターで削り、表面を滑らかにしました。エンジンのポート研磨と同じですね(やったこと無いです)。
2) ローター羽根の先端形状修正

風切り性能が良くなるように、ブレードの先端を薄く削りました。
3) ローターギャップの縮小

ローター羽根の側面とケーシングの隙間が大きくて循環流が発生しそうだったので、スペーサーを入れてギャップを詰めました。
4) モーター側吸気口を塞ぐ

モーターの冷却用の通気口が開いているのですが、このパスの吸気抵抗が大きそうだったので、アルミ粘着テープを貼って塞ぎました。(最終的にはモーターの冷却を優先し、この対策は止めました)
◆チューニングの効果
以上のような対策を行った結果、USBコネクタからの供給電圧6Vの時のスラストは8.5gまで上がりました。
あとはモーターの寿命に悪影響があるのは覚悟で、供給電圧をもう少し上げる手があります。まあそれはそれは最後の手段として取っておくことにします。
◆電源まわりの改良
・配線の強化

上の方で触れたように、USBケーブルの配線抵抗が高すぎるので、もっと抵抗の低いケーブルに交換しました。また、電源スイッチの配線も2回路並列に使うように変更し、出来るだけロスが少なくなるようにしました。ちなみに、オリジナルでは2回路あるスイッチの1回路だけ使う配線になっていました。
・ニッケル水素電池から電源供給

最終的には供給電圧をもう少し上げたいので、USBからの電源供給にこだわる必要はありません。18650のリチウム電池を使い、DCDCコンバーターで6Vくらいまで昇圧するのが良さそうです。
そうは言っても出力2Aクラスのコンバーターが必要なので、すぐには作れません。ということで、応急処置として上の写真のように、単三のニッケル水素電池4本直列から電源供給するようにしておきました。
◆まとめ
とりあえず簡単に出来ることはここまでです。この状態でしばらく使ってみて今後どうするか考えたいと思います。
こういう空力機械の改良は、回路いじりとは違った面白さがあります。もしキッチンスケールの分解能がもっと高ければ、より細かく改善効果の測定が可能だったと思います。工作用にもっと分解能の高いデジタル秤を買っておくのも良さそうです。