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外側に回転子を持つ誘導モーターを動かす

◆まえがき
外側のカゴが回転するモーターを作ってみました。ただ回るだけでパワーはほとんどありませんが、回転磁界によって発生する渦電流でトルクが発生することを実感できると思います。

模型用のDCブラシモーターの回転子を磁界の発生源として使っているのですが、このアイディアはいわんごさん @iwango_systemさんのツイートから頂きました、ありがとうございます。

◆全景
全体
Arduino NANOで駆動パルスを発生させ。右側のカゴ型モーターを駆動しています。

◆回路図
モーター駆動回路
3相のフルブリッジでモーターを駆動する回路です。なお、使っているピンはPWM出力が可能なのですが、この実験では High/Low出力だけで動かしています。

モーターを5Vで駆動しているのでArduinoのポートでパワーFETを直接駆動出来るため、簡単な回路で済んでいます。5V電源から1.5Aくらい流れるのでPCなどのUSBポートからの給電は無理で、容量の大きなUSB電源などが必要になります。

◆モーターの構造
・回転子
回転子からの線の引き出し
たぶんFA-130型のモーターの回転子で、その整流子から線を引き出しています。

・かご型回転子モーター
かご型回転子
回転子は、いわんごさんの動画を見て形をパクリましたが、Φ1mmの銅線です。(正確にはUEW線)

モーター

・駆動方法
6ポジション励磁
矢印はコイルによって発生する磁界の向きを表わしています。3つあるコイルを上の図に示すような極性で順番に通電することで回転磁界を作っています。つまり6回状態を変えると磁界が1回転します。

コイルに通電している状態からいきなり同電位(例えば両端をH-H)に切り替えるのはちょっと乱暴な気がしますが、とりあえず問題無く動いています。パワーFETは丈夫なんですね。

◆プログラム
Arduino IDE で作ったプログラムです。
// 誘導モーターの実験(外側回転子)
// 三相矩形波駆動。6ポジション励磁
// 2022/12/26 ラジオペンチ http://radiopench.blog96.fc2.com/

void setup() {
  pinMode(9, OUTPUT);   // R相
  pinMode(10, OUTPUT);  // S
  pinMode(11, OUTPUT);  // T
  while (1) {
    stepDrive(300);     // 指定周期でモーター駆動(パルス周期はusで要調整)
                        // min.20(50万rpm)、max.1000(2万rpm) 程度
  }
}

void loop() {
}

void stepDrive(int t) {        // 1ステップ(60度)モーターを廻して指定時間待つ
  static long phase = 1;       // 位相カウンタ
  switch (phase) {             // 位相番号に合わせコイルを通電
    case 1:
      digitalWrite(9, HIGH); digitalWrite(10,  LOW); digitalWrite(11,  LOW); break;
    case 2:
      digitalWrite(9, HIGH); digitalWrite(10, HIGH); digitalWrite(11,  LOW); break;
    case 3:
      digitalWrite(9,  LOW); digitalWrite(10, HIGH); digitalWrite(11,  LOW); break;
    case 4:
      digitalWrite(9,  LOW); digitalWrite(10, HIGH); digitalWrite(11, HIGH); break;
    case 5:
      digitalWrite(9,  LOW); digitalWrite(10,  LOW); digitalWrite(11, HIGH); break;
    case 6:
      digitalWrite(9, HIGH); digitalWrite(10,  LOW); digitalWrite(11, HIGH); break;
  }
  delayMicroseconds(t);   // 指定時間待つ
  phase++;                // 位相を一つ進め
  if (phase == 7) {       // 1回転していたら、
    phase = 1;            // 先頭に戻す
  }
}
10行目のstepDriveの関数の引数で磁界を回転させる時間を指定しています。単位はμsですが、この値を1000以下にしないとモーターが回転しませんでした。6ステップで1回転なので、値が1000の時の1回転の時間は6ms。rpmで表すと1万rpmが動かすために必要な最低の回転速度でした。かごの回転速度はこれより遥かに遅いので、猛烈なすべりが発生していることになります。

なお、プログラムに示したように、この値は300μsあたりが良さそうでした。ちなみに最小は30μsにしても動いていました。

◆動いている様子
◆まとめ
実は最初はPWMを使ったアナログな3相交流波形で駆動していたのですが全く回転しませんでした。そこでPWMは止めて単純なON/OFF駆動に変更し、磁界の回転速度を思いっ切り上げたら回るようになりました。誘導モーターの回転数は速くても3600rpmという先入観から最初は高回転を試さなかったのですが、このケースでは電磁的な結合が小さいので思いっ切り滑らせないと充分な渦電流が発生しない、ということでした。

コイルには1A以上の電流が流れるのでかなり発熱します(銅損)。周波数が高いので磁極も発熱していると思います(鉄損)。それにもかかわらずコイルの部分は回転しないので風で冷却されません。ということで、連続運転は避けた方が良さそうです。
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