おもちゃ病院の修理事例 (2023/8/19)
◆まえがき
先日 (2023/8/19) 開催された地元自治体開催のおもちゃ病院で私が担当した物から、電気関係の故障修理の事例を紹介します。
1.電池の接触不良(車の知育玩具 COMBI)
電源が入らないという症状で、「電池の液漏れが原因かも?」というコメント付きで持ち込まれたおもちゃです。
・外観
確かに液漏れに伴う汚れがいっぱい付着していましたが、クリーニングしても電源が入りません。よく調べると電池のプラスの接点が接触していませんでした。
・プラス端子が接触していない
一見すると接触している感じですが、実は僅かな隙間があって導通していませんでした。
電池ケースのプラス端子周辺のプラスチック部品が厚く、接点がかなり引っ込んだ位置にあるので、接触不良になったようです。昔の電池なら大丈夫だったのでしょうが、最近の電池はプラス極の出っ張り量が少なくなったのでこういうことが起きてしまいます。
修理としては、邪魔になっているプラスチックの土手を少し削っちゃう手がありますが、ミニルーターを持ってきていませんでした。ということで、配線を外してプラスの端子を引っこ抜き、裏から叩いて中央を盛り上げて少し前に出してやりました。もちろん、2か所あるプラス端子の両方を加工しました。
これで導通OKになって修理完了です。ちなみにこの症状は古いおもちゃではよく見掛けます。
2.スイッチ破損(すみっコぐらし すみっコさがしDX タカラTOMY)
シャッターボタンを押しても反応が無いという症状です。
・外観
・内部
カラーLCDにカメラやマイコンが入っている、ものすごくハイテクなおもちゃです。
・タクトスイッチ破損
強い力で押されたのでしょう、スイッチが真っ二つに割れていました。
・タクトスイッチ交換
幸い、似た仕様のタクトスイッチがジャンク箱にあったので交換しました。なお、スイッチのストローク位置が合わなかったので、ボタンの先端を削って調整しています。
再度スイッチが壊れるのを防止するため、スイッチの後ろに2液のエポキシ接着剤で土手を作って補強しておきました。スイッチと基板の間も接着しました。
ボタンの下死点をメカニカルなストッパーで受け、スイッチに無理な力が加わらないような設計になっていれば今回のような故障は発生しなかったのだと思います。側面押しタイプのタクトスイッチの耐荷重は要注意ですね。
3.電源スイッチ接触不良(ドラホッケーW's エポック社)
エアーホッケーゲームの電源が入らないという症状です。
・外観
・内部
モーターシャフトに直結された遠心ファンで空気を送り出す仕掛けです。
調べてみると、電源スイッチが接触不良になったようで通電していません。3Pのスライドスイッチなので、使われていなかった接点の方に配線を付け替え。そのままだとON/OFFの位置が表示と逆になってしまうので、スイッチを逆向きに取り付けて修理完了です。
スイッチの容量に対し流れている電流が大き過ぎるのが故障の根本原因なのでしょう。単2電池が使われているので、突入電流は大きそうです。また壊れてしまう恐れがありますが、その頃には子供が飽きてしまうことを期待です。
ネットを調べて見ると、
・220414 エアホッケー治療報告[2022年04月14日(Thu)] (おもちゃ修理「電子カルテ」)
・エアーホッケーの修理 (もうすぐ夏の太田公房)
このようなサイトで電源スイッチの不良が報告されていて、このおもちゃでは起こり易い症状のようです。はっきり言うと設計不良ですね。
◆まとめ
以上、同じような症状のおもちゃの修理を修理される方の参考になれば幸いです。