ネオジム磁石に線をはんだ付けして、ミノムシクリップもどきを作る
◆まえがき
以前の記事で、おもちゃの修理に使うと便利そうなDC電源を作りましたが、その記事へのコメントで、線の先に磁石をはんだ付けした物を作っておくと、電池ケースの+端子に簡単に接続出来て便利ではないだろうか、という話が出ました。
それだったら簡単に出来るので早速作ってみました。
◆使い方
先に使い方を説明します。

こんなふうに電池ケースから直接給電するために使います。
プラス側の端子はのっぺらぼうになっているので配線を固定することが難しいですが、この写真のように先端に磁石をはんだ付けした線(赤い線)をくっつければ簡単に接続することが出来ます。
マイナス側はコイルバネになっているのでミノムシクリップで掴めば良いのですが、この写真のように磁石で接続することもできます。
◆磁石の調達
これを作るためには小さなネオジム磁石が必要になります。確か磁石単体で売っていたと思うのですが見つからなかったので、
・プラスチックピン型磁石

ダイソーでこれを買ってきて、樹脂をばらして中の磁石だけ使うことにしました。
・ネオジム磁石

直径5mm、厚さ3mmのネオジム磁石が6個手に入りました
◆失敗した
磁石の表面はニッケルメッキなので簡単にはんだ付け出来ます。ということで、より線をはんだ付けしてみたら、
・磁力が弱いものが出来た

写真のように丸い面に線をはんだ付けしてみたら、磁力ががっくり落ちてしまいました。強さで言うとゴム磁石よりマシな程度です。
熱による減磁が起きてしまったのだと思います。調べてみると、ネオジム磁石のキューリー点は320℃くらいしか無いので、はんだ付けの熱で着磁がほとんど消えてしまったようです。
◆対策して再チャレンジ
温度を上げないで接続するならスポット溶接でやるのがベストではないかと思うのですが、そういう道具は持っていません。ということで、出来るだけ熱減磁が起こり難い状態ではんだ付けして見ることにしました。以下、その手順です。
1) 予備はんだ

磁石をペンチで咥え、その状態で予備はんだします。はんだ付けは出来るだけ短時間で行い、はんだが乗ったらすぐにペンチごとコップに入れた水に入れて冷却します。
ペンチで挟むことによって磁路が閉じるので減磁が起こり難くなるはずです。小学校で習った 「磁石を使わない時は鉄片をくっつけておきましょう」 というやつです。
また、熱がペンチに逃げるので磁石の温度上昇が抑えられる効果もあるはずです。なお、ペンチの先は磁力で自然に閉じるので、握っていなくても大丈夫です。
2)線のはんだ付け

あらかじめ予備はんだしておいた線を、磁石にはんだ付けします。この作業も出来るだけ手早く行います。
3)水に入れて冷却

すぐにペンチごと水に入れて冷やします。ペンチから磁石を外している時間がもったいないので、そのまま水の中に入れてしまいます。氷を入れた冷たい水を使うのも効果的だと思います。
4)着磁
着磁機を作れば良いのですが、大変なので以下のような作業を行いました。なお、この項はやらなくても大丈夫です。

気休めですが、他の磁石を使って着磁しておきます。万力で挟んでいるのは、磁器回路を閉じることで通過する磁束密度が上がることを期待しています。

大きな磁石を使えば着磁の効果が上がるかもしれません。
最後にはんだ付けの根元に接着剤を塗って養生してやれば完成です。
5)完成、

右が完成した物で、はんだ付けの根元を接着剤で養生してあります。
左は直径13mmの磁石にはんだ付けした物です。これくらいサイズが大きければ、手早くはんだ付けすることで磁力が低下しない部分が残るので、実用的な吸着力が得られます。但し、単四サイズの電池ケースの中には入らないので使い難いと思います。
◆まとめ
電池ケース端子の接続以外にミノムシクリップのような使い方が出来るので便利です。時間がある時に作っておくと良いと思います。特に、おもちゃ病院のドクターさんにはお勧めの小物です。
熱による減磁というのは磁気材料の授業の中に必ず出て来る現象なので、知識としては知っている人が多いと思います。でもこのような形で実感できるとは思いませんでした。自然科学は面白いです。
この記事の接続方法は端子が銅系の材料で出来ている場合は使えません。でも、最近の端子は鉄系の材料で作られていることがほとんどなので問題無く使えると思います。
こうすればもっと良くなるよとか、ここは危険じゃないの?など、お気づきの点があればコメントでアドバイス頂ければ幸いです。あ、ニッケルメッキされた磁石を加熱すると、内圧が上がってガスが突出する可能性があるので、保護メガネは必ず使いましょう。というか、はんだ付けする時には必ず保護メガネを使いましょう。
以前の記事で、おもちゃの修理に使うと便利そうなDC電源を作りましたが、その記事へのコメントで、線の先に磁石をはんだ付けした物を作っておくと、電池ケースの+端子に簡単に接続出来て便利ではないだろうか、という話が出ました。
それだったら簡単に出来るので早速作ってみました。
◆使い方
先に使い方を説明します。

こんなふうに電池ケースから直接給電するために使います。
プラス側の端子はのっぺらぼうになっているので配線を固定することが難しいですが、この写真のように先端に磁石をはんだ付けした線(赤い線)をくっつければ簡単に接続することが出来ます。
マイナス側はコイルバネになっているのでミノムシクリップで掴めば良いのですが、この写真のように磁石で接続することもできます。
◆磁石の調達
これを作るためには小さなネオジム磁石が必要になります。確か磁石単体で売っていたと思うのですが見つからなかったので、
・プラスチックピン型磁石

ダイソーでこれを買ってきて、樹脂をばらして中の磁石だけ使うことにしました。
・ネオジム磁石

直径5mm、厚さ3mmのネオジム磁石が6個手に入りました
◆失敗した
磁石の表面はニッケルメッキなので簡単にはんだ付け出来ます。ということで、より線をはんだ付けしてみたら、
・磁力が弱いものが出来た

写真のように丸い面に線をはんだ付けしてみたら、磁力ががっくり落ちてしまいました。強さで言うとゴム磁石よりマシな程度です。
熱による減磁が起きてしまったのだと思います。調べてみると、ネオジム磁石のキューリー点は320℃くらいしか無いので、はんだ付けの熱で着磁がほとんど消えてしまったようです。
◆対策して再チャレンジ
温度を上げないで接続するならスポット溶接でやるのがベストではないかと思うのですが、そういう道具は持っていません。ということで、出来るだけ熱減磁が起こり難い状態ではんだ付けして見ることにしました。以下、その手順です。
1) 予備はんだ

磁石をペンチで咥え、その状態で予備はんだします。はんだ付けは出来るだけ短時間で行い、はんだが乗ったらすぐにペンチごとコップに入れた水に入れて冷却します。
ペンチで挟むことによって磁路が閉じるので減磁が起こり難くなるはずです。小学校で習った 「磁石を使わない時は鉄片をくっつけておきましょう」 というやつです。
また、熱がペンチに逃げるので磁石の温度上昇が抑えられる効果もあるはずです。なお、ペンチの先は磁力で自然に閉じるので、握っていなくても大丈夫です。
2)線のはんだ付け

あらかじめ予備はんだしておいた線を、磁石にはんだ付けします。この作業も出来るだけ手早く行います。
3)水に入れて冷却

すぐにペンチごと水に入れて冷やします。ペンチから磁石を外している時間がもったいないので、そのまま水の中に入れてしまいます。氷を入れた冷たい水を使うのも効果的だと思います。
4)着磁
着磁機を作れば良いのですが、大変なので以下のような作業を行いました。なお、この項はやらなくても大丈夫です。

気休めですが、他の磁石を使って着磁しておきます。万力で挟んでいるのは、磁器回路を閉じることで通過する磁束密度が上がることを期待しています。

大きな磁石を使えば着磁の効果が上がるかもしれません。
最後にはんだ付けの根元に接着剤を塗って養生してやれば完成です。
5)完成、

右が完成した物で、はんだ付けの根元を接着剤で養生してあります。
左は直径13mmの磁石にはんだ付けした物です。これくらいサイズが大きければ、手早くはんだ付けすることで磁力が低下しない部分が残るので、実用的な吸着力が得られます。但し、単四サイズの電池ケースの中には入らないので使い難いと思います。
◆まとめ
電池ケース端子の接続以外にミノムシクリップのような使い方が出来るので便利です。時間がある時に作っておくと良いと思います。特に、おもちゃ病院のドクターさんにはお勧めの小物です。
熱による減磁というのは磁気材料の授業の中に必ず出て来る現象なので、知識としては知っている人が多いと思います。でもこのような形で実感できるとは思いませんでした。自然科学は面白いです。
この記事の接続方法は端子が銅系の材料で出来ている場合は使えません。でも、最近の端子は鉄系の材料で作られていることがほとんどなので問題無く使えると思います。
こうすればもっと良くなるよとか、ここは危険じゃないの?など、お気づきの点があればコメントでアドバイス頂ければ幸いです。あ、ニッケルメッキされた磁石を加熱すると、内圧が上がってガスが突出する可能性があるので、保護メガネは必ず使いましょう。というか、はんだ付けする時には必ず保護メガネを使いましょう。
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