テレビ用サブウーハーアンプの製作、完成編
◆まえがき
このところ取り組んでいる、小さなデジタルアンプ(PAM8403)を使ったテレビ用サブウーハーアンプが完成しました。ポップ音対策のためにいろいろな回路を試しその都度記事で紹介してきたのですが、最終的にはもう少し違った回路を採用することになりました。この記事ではそのあたりの話と最終的な実装の状態を紹介します。
これまでの記事
◆回路の検討
上記の記事の 2) 3) でポップ音対策を検討したのですが、残念ながらどちらも完全な対策にはなっていなくて、電源によってはOFF時に小さなポップ音が出ていました。電源OFFと言っても、電圧降下速度や電流をシンクするかどうかで状況は変わるので、あらゆる条件でポップ音が出ないようにするのは大変です。
それでも実用上は支障無かったのですが、どうせやるなら少しでも良い物を作りたいです。ということで、最終的にはスピーカーリレーを使った方式で行くことにしました。白状すると、部品箱を探したら5Vで動く手頃なリレーが出て来た、というのが一番大きな理由です。
◆回路図
上側がアンプの回路で、サブウーハー用に2次のアクティブLPFが入ってます。中点電位を作っているLED1(白色)は330kΩの抵抗でも良いのですが、メインアンプの動作に伴う電源電圧の変動で中点電位が揺すられて超低周波で発振することがあったので、LEDのVfを利用した方式に変えました。
右下がスピーカーリレーの駆動回路で、リセットICを使ってスピーカーの接続を制御しています。動作としては電源ONの約3秒後にスピーカーを接続し、電源断を検出したら直ちにスピーカーをOFFしてポップ音を出さないようになっています。
◆実装状態
秋月のポリカ―ボネートケースに入れました。私の工作ではこのケースばかり使っていますが、丈夫で無理な加工しても割れないので安心です。
秋月のC基板を使いました。左上がスピーカーリレーです。
いつものようにAWG30のETFE線で配線しました。なお普段なら信号は青線、電源は赤線で配線するのですが、切らしてしまったので色使いがでたらめになってます。
◆ポップ音
スピーカー端子の電圧をオシロで観察しました。
・ON時
耳には聞こえないのですが、オシロで見ると50mVくらいのスパイク波形が出ていました。
・OFF時
リレーを使ったのにかかわらず、残念ながらスピーカーからポッと小さな音が出てしまい、完全なポップ音対策は出来ませんでした。
波形は上の写真のようになっていて、最大で0.33Vの振幅がありました。前の記事の対策では振幅は0.13Vだったので、単純に波形を比較すると悪くなっています。なお、何も対策しないとピークで1.7Vくらいの電圧が出ます。
ただ、この波形はスピーカーの電圧を測っていますが、リレーの接点の後の電圧を測っているのでこの波形がそのまま音になる訳ではありません。音量はスピーカーに流れる電流で決まるはずですが、この波形が出た時にはリレーがOFFになっていて電流は流れないはずです。そんなことで、この波形が全部ポップ音になる訳では無いと思います。
ちなみに、この波形は振動しながら減衰してますが、その周期は約23msとなっています。たぶんこの電圧変化はスピーカーのボイスコイルの振動で発生しているのだと思いますが、そうだとするとスピーカーボックスを含んだ系の振動周波数を測っていることになるはずです。つまり低域共振周波数(f0)を反映しているはずで、値を計算すると 1/23ms = 43.5Hzとなってもっともらしい値が出て来ます。
◆テレビへ取り付け
完成したアンプをテレビ (REGZA 55Z740XS) に取り付けた状態です。アンプの電源はテレビのUSBコネクタから取っているので電源が連動します。アンプは、テレビの裏にある壁面取り付け用のネジを使って紐でぶら下げておきました。
◆まとめ
約半月がかりで取り組んできたテレビへのサブウーハーの取り付けですが、これでやっと完成にこぎつけました。アンプいじりは電子工作の原点みたいなものなのでやってて楽しいです。3Wもない非力なアンプですが、自宅のリビングで使うなら十分な音量が出ます。
これでよく伸びた低音が出るようになって満足です。実は、こんなことやらなくてもAVアンプがあるのでそっちを使えば良いのですが、操作が少し面倒です。ということで、テレビ自体の音質を良くしておくのも悪くないと思います。
アンプのOFF時に小さなポップ音が出るのですが、このテレビはリモコンで電源を切っても実際に電源が切れるのは数分後です。また普段はタイムシフト録画をやっているので実際にUSB電源が切れるのは深夜誰もいなくなってからです。そんなことで実はOFF時のポップ音は問題にならない、と言うか実は聞いたことがありません。
【追記】
コメントでミュート時にリレーのB接点を使ってスピーカーをショートしてみれば?というアドバイスを頂いたので早速やって見ました。比較用に同じ条件でスピーカー端子の波形を見たものを示します。
左がスピーカーのショート無し、右がショート有りです。
ウーハーから出る音は、左がポ!、右がパ!と言う感じ。どっちでも良いけどエネルギーが少なくなる右にしときます。
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