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ラズピコを外部の電源レギュレーターで動かす

◆まえがき
Raspberry Pi Pico(以下ラズピコ)はADコンバーターのノイズが大きいので精密な測定を行う時に問題になりがちです。その原因はボード内に実装されている昇降圧コンバーターで、特にインダクタが周囲に磁界を撒き散らしているので、アナログ入力ピンが影響を受け易いようです。

その対策として、ラムさんは搭載されているコンバーターのチップを外してシリーズレギュレーターに交換するという荒技を使われていますが、これをやるのは結構なテクニックが必要になります。

そんなことで、ラズピコ本体には手を付けないで同じようなことが出来ないか考えた結果、うまい手を見付けました。

◆ラズピコの電源回路
Pi Picoの電源回路

3V3ENの端子をLOWにするとRT6150Bをスリープモードに入れて停止させることが出来ます。この状態でVBUSから別の3.3Vのシリーズレギュレーターを使って3V3に電圧を送り込んでしまおう、というのがアイデアです。

普通はそんなことすると、RT6150Bの出力端子に電圧が印加されるので予期しない動作をする恐れがあります。しかし実際にやってみると特に問題は起きませんでした。RT6150Bは昇降圧コンバーターなので4スイッチ構成になっていて、スリープ時にはすべてのスイッチをオフにするので、主回路が完全に切り離されるのではないかと思います。

◆実際の回路
前項に書いた内容を回路図にするとこうなります。
外部シリーズレギュレーター
接続が必要な端子が近くにあるのでコンパクトに配線することが出来ます。なお、シリーズレギュレータには手持ちのHT7333を使いました。

3V3ENピンがRP2040に繋がっているとまずいので、念のためにGNDに接続した時の電流を測りましたが、50μAだったので大丈夫そうです。

この回路図の状態から3V3ENをGNDに落としている線を外すと、内部の3.3Vコンバーターが起動して2つの電源の出力をショーとさせた状態となります。こうなるとどちらかが壊れる可能性があるので要注意です。なお、僅かな電圧差なので何も起こらない気もしますが、どうなんでしょう。ともかく自分で試す気はしません。

・実際の接続
ブラッドボード

TO-92がHT7333ですが、あまり場所を使わないで配線することが出来ます。なお、シリーズレギュレーターで作った3.3Vをブレッドボードの電源ラインを経由してラズピコのボードに戻す配線になっています。

◆効果確認
実際にどれくらいの効果があったか、簡単なプログラムを使って測定してみました。

・測定用の回路
ADCノイズ測定回路
3.3Vを抵抗で半分に分圧してGP26(AD0)に入力する回路です。
この図を見ているとパスコンを追加したくなりますが、素の特性を見たいのでそのような処置は止めました。

・プログラム
Arduino IDEで動かすプログラムです。
#define RT6150_PS 23 // Pico電源コンバーターPower Save Pin
void setup() {
  Serial.begin(115200);
  //  pinMode(RT6150_PS, OUTPUT);    // 電源モード指定ピン
  //  digitalWrite(RT6150_PS, HIGH); // 電源コンバーターをPWMモードに設定(ノイズ対策)
  //  digitalWrite(RT6150_PS, LOW);  // 電源コンバーターをPFMモードに設定(ノイズ対策)
  analogReadResolution(12);        // ADCのフルスケールを12ビットに設定
}

void loop() {
  int d;
  for (int i = 0; i < 1000; i++) {
    d = analogRead(26);
    Serial.println(d);
    delay(100);
  }
  while (1) {}
}
◆効果
特性測定結果
100回ADCを行った結果を折れ線グラフに重ね書きしたものです。フルスケール4095に対し、約1/2の値が得られています。

青がラズピコのオリジナルの状態でPFMモード、橙色は電源をPWMモードに設定。赤線がこの記事の対策を行った状態です。

オリジナルではP-Pで25くらいあったノイズが、5くらいまで減っていて、明らかに効果があります。

赤い線のレベルが少し上にズレていますが、その原因は良く判りません。電圧が少し違うのに伴いADCの前段の回路の特性が見えている可能性があると思います。

話が前後しますが、以前の経験ではラズピコの電源をPWMモードに設定した時のノイズ低減効果はもっと大きかったはずなので、パスコンを省略した影響などがあるのかも知れません。

◆まとめ
この方法ならラズピコ本体には手を付けずにローノイズ化出来ます。ノイズが問題になった時に試すと幸せになれるかも知れません。

こうやったらもっと簡単だよ、とか何かお気づきの点などあればコメントで教えて頂けると幸いです。
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No title

こんにちは、いつも拝見しております。
最近ラズパイピコをいじりだしたので、こちらの記事を参考にして実験してみました。
確かに外部電源だとローノイズになりますね。

edyさん、今晩は

確認テストありがとyございます。
そちらのサイト確認しましたが、同じ結果が出ているようで安心しました。
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