商用電源(50Hz)の時差測定結果を確認
◆まえがき
GPSを使って商用電源(50Hz)の時差が測定出来るようになりました。その結果は Ambient 経由で公開していますが、1日単位のグラフしか出していないので数日間の変化をまとめて見ることが出来ません。ということで、この測定がうまく行っていることの確認を兼ねて、データーをダウンロードして数日間の挙動を見てみました。
※お断り
途中でリセットしたのでグラフが不連続になっています。最初に記事を書いた時はこのことに気付かなかったのでリセットが無かったものとして話を進めてしまい、一部が誤った表現になっています。記事を削除して全部書き換えても良いのですが、ミスを隠しても仕方が無いので該当部分を修正しました。
◆Ambient のグラフ(一部) (Ambientの最新ページはこちら)
上が10分毎の平均周波数、下が時差の値です。平均周波数ではよく見えなかった傾向が時差でははっきりと判ります。ただ、まえがきに書いたように1日単位のグラフしか出していないので数日間の変化の傾向までは判りません。
◆数日間の時差の変化
・生データー
赤矢印部でリセットしたので、以降のデーターが2.1秒上にシフトしている。
・オフセット補正後
23日に行ったリセットの影響を除くため、以前のデーターを+2.1秒しています。
おおむね中心値を維持しようとしていますが、5秒くらいは中心値から外れることがあるようです。つまり、電源周波数同期型の時計は短時間にはこれくらいの誤差が発生しているということです。
値が大きく外れてもすぐには修正しないようで、深夜から明け方にかけて修正することが多い感じです。つまり朝一番は時差が少なくなっていることが多いかも。
このグラフの縦軸の絶対値にあまり意味は無く、ロガーのプログラムを起動(再起動)したときの時差の値をゼロにセットしているだけです。(注記したように8/23にリセットしています)
◆まとめ
一般的に電力の需給が苦しくなると時差はマイナス(遅れ)になりますが、数秒以内の時差は電力会社のいろいろな事情で変化しているようです。ちなみに、東電の電源周波数の運用ルールによると平常時の時差は±15秒以内に収めることになっています。裏返すとこの条件が満足できていれば余計な調整はやらないのかも知れません。調整すれば必ずコストが発生するはずです。
今回グラフで見た期間の電力需給に大きな問題は無かったので、値の変化もあまり大きくなかったのだと思います。今年の冬の電力需給は厳しくなるようなので、その時は大きな時差の変化が現れると思います。
この時差測定は前回の記事に書いたようにGPS時刻を基準にして行っています。もし想定外の問題があればグラフの傾きとして表れるはずですが、今のところそのような兆候は無さそうです。つまり、この測定はうまくいってるようです。
この測定方法では、途中でリセットするとグラフのオフセットが変わってしまうという問題があります。その場合、時差の値が大きく変化するのである程度は自動的に検出することが可能だと思います。例えば10分で-1.2秒の時差変化があった場合、周波数の10分間平均値が49.90Hzになったはずですが、通常ではこのような変化は起こらないはずです。
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