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商用電源(50Hz)の時差の変化データーを分析した

◆まえがき
商用電源の周波数に加え、8月の終わり頃から時差も記録出来るようになりました。その時差のデーターがかなり集まってきたので挙動を分析してみました。

・電源周波数モニタ
電源周波数モニタ
ESP32を使って測定を行っています。これ以外にGPSのレシーバーを使っています。
測定結果のグラフは、Ambientのこのページでリルタイムで公開中

◆時系列の変化
8月21日から10月9日までの時差のデーターです。
時差変化

・グラフの読み方
グラフの上が時差がプラス(進み)、下がマイナス(遅れ)です。電源周波数に同期している時計ならこのグラフに示した量だけ進み/遅れの誤差が発生したはずです。なお、記録を開始した時点の時差をゼロとしているので、このグラフの値がそのまま時差の絶対値ではありませんが相対的な変化は表現出来ているはずです。

・変化
短時間、と言っても半日程度の期間に数秒のずれが発生することがありますが、すぐに平常状態である ±2秒程度の誤差範囲に修正されているようです。

10月2日の前後に時差がマイナス2秒を下回る状態が長時間続いていて他の期間と明らかに挙動が違っています。何か理由があるはずで中の人にはそれが判っているのでしょうが、教えてくれないでしょうね。

・電源周波数はUT1に同期?
上のグラフを見ると変動の中心がごく僅かだけ上昇しているような気がします。もし本当なら電源周波数はUT1に同期していると言えるかもしれません。もちろん、計測エラーでそういう傾向が出てしまったのかも知れないし、そもそもそういう傾向は現れていないのかも知れません。このあたりの話はややこしいので、もっとデーターを集めてから別途記事にしたいと思います。

◆ヒストグラム
データーの分布を確認するためにヒストグラムを作成しました。
ヒストグラム

・平均値、中心値
最頻値は +0.5秒付近にあるようです。(データーの平均値は+0.44秒、標準偏差は1.35秒)
このデーターでは時差は+0.5秒付近を中心に調整されていると考えれば良さそうです。

・時差は進み/遅れが均等になるように調整?
時差は正の時も負の時もありその出現する割合がほぼ等しくなるように調整されているようです。

単純に考えると、時差は一般的に負荷が重い時に負の方向に発生するので、その遅れを取り戻す方向の操作だけ行えば充分では無いかと思います。しかし実際にはプラスになるような制御も行われていて、時差の変動の中心がゼロになるようにコントロールされているようです。つまり、「時差は遅れていることも進んでいることもあり、その平均値がゼロになるように制御されている」ようです。こっちの方が時計を使う人の立場になって考えると嬉しいと思います。

想像ですが、調整を行うにもコストがかかるので、時差をプラスにする操作は発電量の少ない夜間に行われているのではないかと思います。

◆時刻別分布
1日の変化の様子です。
1日の変化
朝の7時から8時頃は比較的ばらつきが小さいようです。但し例外の日もあります。

15時から16時にかけて時差が大きくマイナスになることがあります。たぶん暑い日で需給が苦しくなったためだと思います。

時差の遅れは夜間に取り戻し、更に時差分布をバランスさせるために深夜にはプラスの時差に持って行って徐々に戻して朝を迎える、というのが標準的なパターンになっているようです。

◆曜日別変化
1週間毎にグラフを折り返して傾向を見ました。
週別分析
月曜日の4時から8時あたりで時差のずれが小さくなっているようです。週の初めと言うことで意図的にきっちり合わせている気がしますがどうなんでしょう?(金曜と土曜の初めにも値が集まっているポイントあり)

祝日を別にして分析すると、別の傾向が見えるのかも知れません。

◆まとめ
GPSを使った商用電源波形の時差測定はうまくいってるようです。短期間(数分間)の変動に対しては周波数の方が感度が高いのですが、数時間の状況なら時差の方が判り易いようです。

もちろん周波数の測定結果から時差を計算で求めることは出来ます。でも、僅かな測定誤差が時差の計算結果に累積してしまうので、結果の扱いが難しくなります。そんなことで、GPSなどの正確な時刻を基準に測定した方が高確度の測定が可能になります。

この測定ではシステムをリセットすると保持していたタイミングが失われてしまい、新しい時間軸で測定を再開するしかなくなってしまいます。出来るだけリセットしないで連続測定するように努めていますが、突然の停電があれば無力です。別の場所で同じような測定を行う方がいれば、相互参照することでデーターの連続性を保つことが出来るようになるはずです。どなたかやってみませんか?

ともかく、もっと長期間測定を続けて変動の傾向を把握しておきたいと思います。
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No title

まさに「継続は力」で、さまざまな推論や分析の基盤ができつつあるように思います。商用電源とGPS信号というだれにも等しく届いているもので、というところがとくに素晴らしいと思います!

喜多充成さん、おはようございます

この記事が気に入っていただいたようで、ありがとうございます。

電源周波数の変動を

Gigazineにこんなニュースが。
電源周波数のわずかな変動をタイムスタンプとして用いる「The Hummingbird Clock」
 (2022年10月11日 17時00分)
https://gigazine.net/news/20221011-the-hummingbird-clock/

re:電源周波数の変動を

おー、面白い情報有難うございます。
電源周波数の変動波形見てて、これを使って暗号を送信出来ちゃうな、と思ったことがあるのですが、なるほど、時刻の証明にも使える可能性がありますね。

電気時計

クォーツが出る前、壁掛けの電気時計がありました。商用電源で2箇コイルを励磁し振り子を動かしていました。運針の動力は不明。商用周波数を使うことで時計が正確になったという話を聞きました。その頃、電力会社の講演で、時計が狂わないように周波数が遅れたらその分早くして積算が零になるようにすると聞いた覚えがあります。ゆっくり変えるのだそうです。
ラジオペンチさんの電源周波数の話題で、どうなっているのか興味があって注目していました。今では時刻精度を商用周波数に求める人はいないでしょうが。

re:電気時計

電源周波数同期型の時計は無くなりそうですが、電気温水器など時刻同期が必要な機器は結構あるので、電源周波数の時差は今後も正確に調整されていくのでしょうね。

時計遅れ

友人から貰った40年前のオーディオタイマーを時計代わりに使おうかと電源入れて半年位使ってますが、なんかかなり遅れる。
何でかなと思って、ググって見たらなるほどなと。
今時、電源周波数同期の時計なんぞ使ってないと思ってるか、それどころじゃ無いってところでしょうね。

re:時計遅れ

1ヶ月くらいの期間の平均値の精度は高いですが、瞬間的には数秒の誤差があようです。ちなみに、電力会社の規程では平常時には±15秒にコントロールしているようです。
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