SMD部品のマーキングから型番を特定する -1
◆まえがき
部品箱に型番が判らないチップ部品が増えてきたので整理を始めました。チップ部品なのでメーカーや型番の表示は無く、簡単なマーキング表示だけの物が多いのですが、そのマーキング文字から型番を特定する作業を行ってみました。種類が多いので少しずつその様子を紹介したいと思います。今回はその1です。
なお、記事に取り上げた部品のほとんどはMFT2018の秋月のブースで売られていたお楽しみ袋に入っていた物だったと思います。
◆型番不明のSMD部品
いっぱいあるけど型番が判らないので使いようがありません。
この中から今回の記事では下記の3種類を調べてみます。
◆E3,E4, E6
どれも5ピンで、ピンピッチ0.95mmのSMDです。パッケージ名としてはSOT-25になるはずです。
◆調査の内容
やったことを順番に記すと、
1) Marking smd のサイトをはじめ、あちこちネットを探したのですが型番を特定することは出来ませんでした。
2) ピン間の抵抗をテスターで当たって見るとバイポーラトランジスタでは無い感じ。またピン間が高抵抗な組み合わせが多いのでCMOSっぽいです。
3) 更にネットを調べると、マーキングが 東芝のワンゲートロジック(L-CMOS) らしいことを発見。
4) 東芝の L-CMOS でパッケージがSOP-25のデーターシートを片っ端に閲覧して下記であることが判明。
・E3 は 2入力NOR(TC7S02F) 7402
・E4 は 2入力OR (TC7S32F) 7432
・E6 は NOT (TC7SU04F) 7404 (un-buffer?)
ちなみに、7400(NAND)=E1, 7408(AND)=E2, 7404(NOT)=E5, 7486(EOR)=E8, 7414(HisNOT)=EA でした。
L-CMOSのスピードや電圧の種類によってマーキングの先頭文字はE, H, M などがあるようです。
◆動作確認
ロジックICとなると実際に動かして真理値表で確認するしかない無いので、ブレッドボードで扱えるようにピンヘッダを付けました。こういうのは市販の変換基板を使うと良いのですが、手持ちが無かったのでユニバーサル基板で作成。
データーシートと動作が一致したので型番の特定作業は完了しました。
◆整理
型番別に袋詰めして整理完了です。ORゲートが一番多くて100個以上ありましたが、これがNANDかNORだったら嬉しかったです。でも贅沢言っちゃいけませんね。
◆chatGPTに尋ねてみた
今注目されているchatGPTに尋ねてみました。以下はその問答です。
パッケージ名を変えてもダメ。メーカー名を教えてもダメ、最後は東芝のデーターシートに記載されているパッケージ名を指定してもダメでした。AIの知識に入っていないということなんでしょう。
ということで、役に立つ回答は得られませんでした。でも、自然な文章で差しさわりの無いアドバイスを作る能力はたいしたものです。というか、普通程度の文章力というのはさほど高い知能を必要としない、ということなんでしょうか?
◆まとめ
ともかく、何とか型番とメーカー名を割り出してデーターシトに辿り着くことが出来ました。
こういうことを調べるなら、Marking SMDのサイトが有名ですがこの事例では役に立ちませんでした。東芝などの日本メーカーの情報が(ほとんど)入っていないのが痛いです。
あと、注目されているchatGPTですが、残念ながらこの事例では役に立たちませんでした。ピンポイントの情報までは持っていないということなんでしょう。
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