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DBMのトランスにコモンモードチョークコイルを使う (JJY受信機)

◆まえがき
自作JJY受信機のローカルオシレーターに使う水晶は何とかなったので、次はダブルバランスドミキサー(以下DBMと記します)に使うトランスを調達します。
トランス式のDBMなんて使わなくても半導体のDBMチップ、あるいは普通の周波数変換回路を使えば良いのですが、以前からトランスを使ったDBMを作ってみたいと思っていたのでチャレンジしてみることにしました。

◆トランスを使ったダブルバランスドミキサ
回路は以下のようになります。
ダブルバランスドミキサ
DBMはSSBの変調や周波数変換回路などに使われますが、その出力周波数は数メガHz程度がほとんどだと思います。今回作りたいJJY受信機は、40kHzのキャリアをダイレクトコンバージョンしてAFに変換したいので、低い周波数成分が出力出来る必要があります。

低い周波数まで扱うためにはインダクタンスの大きなトランスが必要になります。ただどれくらいのインダクタンスが必要になるか良く判らなかったので、まずは実験して確かめてみることにしました。

◆メガネコアでDBMを作ってみた
手持ちにテレビアンテナの平衡/不平衡変換用のメガネコアがあったのでこれにコイルを巻いてみました。
メガネコア
トリファイラ巻きで、インダクタンスを出来るだけ稼ぐために出来るだけ多く巻いてみました。左が30ターン、右は35ターン巻いてあります。(トリファイラ巻きなので実際の線の数は3倍)

・インダクタンス測定結果
値はトリファイラ巻きにしたコイル1つの測定結果です。

メガネコアのインダクタンスとQ
コイルを目一杯巻いたのにもかかわらずインダクタンスは100μH台で、思ってたより小さな値でした。

試しに入力周波数 (Fin) = 40kHz, 局発周波数 (Flocal) = 40.5kHzの条件でDBMとして動作を確認したところ、出力端子にはFlocal-Finに相当する500Hzの成分はごく僅かしか現れませんでした。なお Flocal + Fin の80.5kHzはしっかりと出ていました。

・トランスの周波数特性の確認
出力インピーダンス50Ωのファンクションジェネレーターでトランスに電圧を加え、入力と出力電圧の周波数特性を測定してみました。
測定回路

・周波数特性測定結果
35Tコイルの周波数特性
100kHzから下の周波数で左下がりのグラフになるのは、コイルのインピーダンス変化を考えれば当然なのですが、500Hz付近では数Ωのインピーダンスしかありません。これでは普通のオペアンプなどで駆動するのは無理です。

あと、グラフを見ると、5kHz以下で入力電圧に対して出力電圧差(落ち込み)が目立っています。周波数が下がるとロスが目立ってくるのでしょう。

ここまでの結論としては、「このメガネコアで作ったDBMでは、IF出力500Hzを得ることは難しい」と言うことになると思います。

◆コモンモードチョーク
メガネコアでうまく行かなかったのでトランス式のDBMはほとんど諦めていたのですが、ネットを徘徊していて気付いたのが、スイッチング電源のAC側のノイズフィルタとして使用されるコモンモードチョークコイル(以下CMCCと記します)です。

ネットで参考にさせていただいた情報:トラ技記事で見た記憶が:コモンモードチョークを絶縁トランスとして使う(居酒屋ガレージ日記さん)

手持ちのCMCCのインダクタンスを測ると20mHくらいありました。またコイルが分割巻きになっているタイプの物もあり、中間タップを引き出すことで、DBM用のトランスで必要なセンタータップを作ることが出来そうです。

・CMCC (角型)
角型CMF
分割巻きの乗り換えの配線からタップを出し、中点をピンに引き出しました。(中点のピンはモールドに新設しました)

・CMCC(丸型)
丸型CMF
分割巻きの中点から端子を引き出しました。(ピンを固定する適当な方法が無かったので宙ぶらりんです)

・インダクタンスとQ
CMFのインダクタンス

22mHや44mHあって、これなら500Hzにおけるリアクタンスは数十Ωあるので、一般的なオペアンプで駆動出来そうです。
表の右の数字は中点タップの実際の位置を%で表したものです。(インダクタンスの平方根 ∝ 巻き数 で計算)センターから1.5%くらいズレていました。

・周波数特性
CMCC(角型)の周波数特性です。
CMF周波数特性
測定方法は前に説明したのと同じです。インダクタンスが大きいので低い周波数まで振幅の低下が無くなり、500Hzでも使えそうな感じです。

2.5Mhz付近で出力の振幅が急増しているのは、コイルのインダクタンスと分布容量で二次側が共振しているのだと思います。よく見ると一次側のレベルが少し落ちてますが、これはディップメーターのような現象でエネルギーが吸収されるためでしょう。ちなみにこれはコイルが分割巻きになっている物ですが、もし分割巻きになっていなかったら、もっと低い周波数で共振していたと思います。

参考:コイルのインダクタンス=22mH、共振周波数=2.5MHzから逆算すると、静電容量は約0.5pFということになります。サイズから考えるとコイルの静電容量はもっと大きい気がするので、フェライトコアの透磁率が低下してコイルのインダクタンスが減少する現象が同時に起きている気がします。

◆DBMとして動作OKを確認
前述した条件でIF出力500HzのDBMとして使ってみたところ、問題無く動作することが確認出来ました。詳細は別途記事で紹介予定です。

◆フェライトの透磁率
今回の実験結果で一番実感したのがフェライトコアの種類による透磁率の違いです。CMCCのコイルの巻き数はさほど多くはありませんが、そのインダクタンスは予想外に大きなものでした。少い巻き数(=低抵抗)で大きなインダクタンスを得るために高透磁率のコアを使う、という考え方なんでしょう。
一方で、テレビのアンテナ端子用のメガネコアに目一杯線を巻いてみても、インダクタンスはさほど大きくはなりませんでした。100MHz以上の周波数で使うので、コアの透磁率が低くても、コイルの巻数は元々少ないので大丈夫、ということなんでしょう。そもそもこのあたりの周波数用のコアの透磁率はさほど大きくないようです。

いろいろ調べてみると、そのあたりの違いは、フェライトコアの透磁率の違いから発生しているようでした。次の図はTDKのノイズ対策用フェライトの基礎という資料に掲載されていたものですが、

TDKのフェライトコアの資料
フェライトにはMn-Zn系とNiZn系があり、それぞれ得意な周波数が異なり、透磁率も大きく異なっているようです。

CMCCにはMn-Zn系が使われ、透磁率は5000以上ある。一方でテレビアンテナの整合器のように100MHz以上で使われる物にはNi-Zn系のフェライトが使われ、この透磁率は場合によっては数十程度の場合がある。ということのようです。

私は、フェライトコアは単純にめちゃくちゃ透磁率が高い物、と言う先入観を持っていたのですが、どうもそういう認識は改めた方が良さそうです。適材適所で特性が異なった物が使われていて、特にMn-Zn系フェライトのように低い周波数に特化した物や、高い周波数まで使えるけど透磁率は低目の物があるようです。ちなみに、Mn-Zn系フェライトは電気抵抗が低く、テスターで測るとほぼゼロオームなので識別可能です。

◆まとめ
CMCCの中でコイルが分割巻きになっている物は、中点タップを引き出すことでDBM(ダブルバランスドモジュレーター)のトランスとして利用出来そうです。特に低周波出力が必要な場合に有利になると思います。

スイッチング電源のノイズ対策によく使われているコモンモードチョークコイル(CMCC)のインダクタンスは数十mHでした。100kHz程度までならインダクタや巻き数比1:1のトランスとして使い道がありそうです。なお、2つのコイルの極性を揃えて直列に接続すればインダクタンスが4倍になります。

ジャンク基板からハイエナのように部品を回収することがありますが、AC電源周りの部品は使い道が無さそうなのでそのまま廃棄することが多いと思います。でもコモンモードチョークは1:1のトランスとして使えることがあるので、小型の物なら回収しておくと良いことがありそうです。
関連記事

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トラ技記事

コモンモードチョークを1:1のトランスとして使うお話、ここをどうぞ。
トラ技記事で見た記憶が:コモンモードチョークを絶縁トランスとして使う
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2023/12/post-8f4c30.html

トランジスタ技術2011年12月号p.86
中野正次さんの記事、即席回路(14):
  ノイズにまみれた2点間の微少な電位差を
  確実に取り出せる平衡-不平衡変換回路
この中で、トランスとして使ったらどうだ(特性など)を
解説されています。

re:トラ技記事

情報ありがとうございます。
コモンモードチョークを使う手は、居酒屋ガレージ日記さんのその記事に大きく影響されています。
記事の中にもURLを追記しておきました。

トラ技記事を

こちらのブログ記事の最後に、件のトラ技記事の一部を貼り付けておきました。

私の製作では「圧電素子が出す衝撃パルスの絶縁」という用途なんで、パルスの有無が伝わればOKでした。
周波数特性やらは関係なし。

でも、ラジペンさんのようにDBMとなると、リニアリティとかダイナミックレンジとかバランスの具合が気になるところです。
ちゃんと測ろうとすると、ちょいたいへんか・・・。

re:トラ技記事を

情報ありがとうございます、感じが判りました。
近所の図書館にはトラ技が無いので当然バックナンバーも無くて、どんなことが書いてあるんだろうと思っていました。
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