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消費電力測定、力率まで測ってみました

 少し前の記事で扇風機の消費電力測定を行いました。これ以前の記事でも消費電力測定を何度かやっていますが、およその電力が判ればいいや、ということで皮相電力で測定していました。

 しかし最近の電力事情のヤバさを思うと、正味の電力を測定した方がいいように思うので、扇風機の消費電力測定では力率測定を行いました。以下は、その顛末です。

▼測定回路
測定系の回路図
 電流は、以前作ったカレントトランスで、 電圧は、ACラインを直接測るのがいやなので、電圧トランスで検出します。

▼電圧トランス、といっても普通の電源トランス
電圧センサー、といっても普通のトランス
 これは昔、何かを分解した時に取っておいたものです。こういうのが無ければ、AC-ACアダプタを探す、あるいはAC-DCアダプタを殻割りして、トランスの二次側から線を引き出せば良いと思います。

 上の回路で抵抗負荷(ナツメ電球10W)の場合の電圧と電流の位相を見てみると、電流が30度くらい進んでいました。で、原因を調べてみると電圧トランスは位相ずれ無し。カレントトランスで位相がずれていました。

▼カレントトランスの位相測定
電流センサー(カレントトランス)の位相測定
 AC100V電源で測定するのは危険なので、ファンクションジェネレーター(HP 3314A)の正弦波出力を使って測定しています。信号源にはこんな物を持ち出さなくても、AC電源トランスの二次側の低圧出力を使えばOKなのですが、AC電源は電圧が不安定なので、最近はこの手をよく使っています。
 オシロの画面にちょっと見えているのはリサージュ波形で、位相ズレがあるのでぱっくりと口が開いています。時間軸で見ると、1.9mSの位相ズレ(進み)がありました。
 ネットで調べてみると、こういう小さなカレントトランスは位相が進むようです。電力系統に使われる変流器はどうなんだろう?

 その後良く調べてみると、市販のカレントトランスでも位相の進みはありますが、定常域では30分程度、つまり0.5度程度の位相ズレしか発生しません。重電用のカレントトランスでは更に位相差は小さくて、数分程度。
 これに対して私の作ったカレントトランスは30度以上の位相ずれがある、とんでもないものであることが判りました。市販のカレントトランスでは透磁率の高いパーマロイを使っているのに対し、私のはノイズ対策用のフェライトを使っている点が良くないようです。ちゃんとしたカレントトランスなら、以下の記事に書いたような位相調整はしなくても良さそうです。
 ということで、とんだマッチポンプになってました。(赤字部 2011年7月11日追記)


 とにかく、これで測定系のオフセットが判ったので、これを基準にして、電圧と電流の位相差を測定すれば、cos(θ)で力率を求めることができます。

 ここまでで、力率測定の話としてはひと区切りです。この先は、かなりマニアックな内容になるので、興味のある方だけお読み下さい。

 測定系にこんなオフセットがあるのがいやなら、カレントトランスの出力に位相調整回路を入れれば良いのでしょう、しかし作るのは面倒。ということで、扇風機の電力測定ではちょっと工夫しました。

 その方法とは、要は位相を1.9mS(角度では34.2度@50Hz)補正すればいいので、ファンクションジェネレータ(FG)のPLL機能を使って、元の周波数にロック、さらに位相をオフセットさせた正弦波を発生させ、これを基準にして電流の位相測定を行いました。こうすることで、力率100%では電圧/電流の位相差をゼロにすることができます。信号の流れを書くと、以下の通りです。

 電圧トランス出力→FGへ入力→PLLで1倍の周波数発生・位相補正→オシロの位相基準

▼電力測定風景
電力測定
 なんだか大掛かりになってますが、役に立つ物は使わないと。
 位相はオシロのリサージュ波形で、絶対値は右上のデジタルマルチメーターのAC電圧レンジで測定しています。このDMMはアドバンテストのTR6846ですが、このACレンジは残念なことに正確な実効値が測定できる True-rms 方式ではなく平均値測定実効値表示方式です。TR6845ならTrue-rmsだったのでこちらにしとけば良かったです。

 扇風機の力率測定で観察したリサージュ波形をいくつか紹介します。

▼リサージュ波形の例
お、右回りのリサージュ
 波形歪があるので、教科書のような綺麗な楕円にはなっていません。リサージュでは位相の進み/遅れまでは判らないので、オシロの時間軸でも一応確認しています。カメラで撮影すると回転方向が見えて、位相の進み遅れが判りますが、そんな面倒なことやってられないです。でも、丸いリサージュを高速で表示させておいて、撮影すれば、カメラのシャター速度の確認ができるかも。でもレンズシャッターならともかくフォーカルプレーンシャッターでは問題あるかな・・・。おっと話が脱線してます、この波形は右回り。汗;

▼面白いリサージュ
ふざけたリサージュ
 なんじゃこれは!この波形は今年買った扇風機(日立 HEF-60R)の待機時。一応位相差は90度(力率:0%)と判断しました。しかし、こうなるともはや正弦波では無いので力率で議論はできず、電力の定義の通り電圧と電流の瞬時値を符号まで考慮した掛け算を行い、一周期分を積分するしか無いです。

 電力測定も、まじめにやると奥が深いです。
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力率の測定方法

ラジオペンチさん こんばんは、

力率の測定方法の説明ありがとうございました。
カレントトランスによる位相差は頭にありませんでした。メーカーの資料には書いてありましたが、読み飛ばしていました。
消費電流波形がサイン波からずれると難しくなっていくのが、オシロの波形でよく分かりました。
私にとっては原発事故が無ければ知ることが無かったような分野ですが、深いですね。

wire_works さん、おはようございます

ほんとうに奥が深いです。

LabVIEWって面白そうですが、ちょっと私には敷居が高いです。
このツールなら電力測定の演算をリアルタイムで出来るんじゃないでしょうか。
もちろん電圧波形を手に入れないといけないし、位相シフトもしないといけませんが、電源の1周期で100回くらい演算させて平均すれば結構いい精度で実効電力測定ができるような気がします。

あ、これがどれくらい大変か判らないで言ってます。汗;

位相ズレの件

wire_works さん、
カレントトランスの位相ズレの件、私の自作した物がヘボかったようで、市販のちゃんとした物なら問題になるような位相ズレは発生しないようです。変な情報を流してすみません。本文にも訂正記事を入れました。

URDのデーターシートで、位相差のデータの単位が、てっきり(度) だと思ってたら、(分) だったのが勘違いの原因でした。

注意いただきありがとうございます。
私も分を見落として、波形の高周波成分を気にするときは要注意だと思ったので、助かりました。

2個の電流センサーを使って、1個はナツメ球に流れる電流から電圧波形を推定して、もう1個で測定対象の電流を測定しています。
サンプリングはちょうどラジオペンチさんがコメントされた5kHzで行って一点ずつ電流と電圧の積で電力を求めています。
LabVIEWでは用意されている関数を組み合わせるだけで、汗;無しです。

オシロのまねして、リサージュ波形を描いてみようと思いました。分かりやすくてよいですね。

re:分

wire_works さん今晩は、

コメントで説明していただいたので、どんなことをされているのか、およそ理解できました。この先、疑問があればそちらのブログで質問させていただくかも知れませんが、その節はよろしくお願いします。

それにしても、すごいですね、LabVIEW。私のこの記事ではアナログ計測器のPLLで基本周波数にロックさせていますが、そんなこと、ソフトでやっちゃうんですね。
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