ルビジウム発振器 FE-5680Aの廉価版と初期型
正確な周波数源としてe-bayで買ったルビジウムオレーターFE-5680A。周波数カウンターの校正用としては目的を達していますが、少し目論見が外れたのは、自在に周波数を変更出来ない点です。
このあたりは私が無知だったのが悪いのですが、どうもFE-5680Aには色々なバージョンが存在しているようです。このあたりの事情を少しまとめてみます。
▼動作チェック中のFE-5680A

◆FE-5680Aは大きく二種類ある
片方は古いバージョンで、DDSで周波数が変更可能なやつで、もう一つはe-bayで送料を別にしたら$40以下で手に入る廉価型です。おっと、古いバージョンはオーディオマニアから評価が高いみたいで、古いとか書いたらしかられそうなので、初期型と呼ぶことにします。
初期型は内部のプリント板が三段重ねになっているようで、廉価型とは内部構造が全く違います。外観では機種名などがケースに直接印刷されている物が初期型のようです(常にそうかは判らないです)
初期型の回路構成は、ルビジウムにロックした50.225xMHzをDDSで加工して目的周波数を得るという判りやすい仕組み。
一方で廉価版は、内部のプリント基板が一枚になっていて回路構成も全く違っています。具体的には以下のようになっているようです。
▼廉価型のFE-5680Aのブロック図

回路技術が進歩したので、初期型より洗練された回路構成になっているように思います。
ルビジウムに60MHzのオシレーターの高次成分を同期させ、そこからXILINXのCPLDのXC8572でいろいろな信号を作り、20MHzをDDS(AD9832)で加工して周波数のオフセット調整用に5.3MHz程度の信号を発生。これをまぜこぜにしてロックさせているようです。周波数の関係で表現すると、114逓倍 × 60MHz - 5.323MHz = 6.835GHz だそうな。
実はこう書いていて、計算式の最後がなんで引き算になるのかよく判らないです。この周波数関係で直接ヘテロダインとか難しいだろうから、ロックインアンプへのQ1の信号にDELAYをかけて、DDSを変調しているあたりがミソなんでしょうか。
こういう構成になっているので、初期型のように自由自在に出力周波数を変えることは出来なくなっています。たぶんビジネスとしては、そんな需要はほとんど無いんでしょうね。
◆廉価型の周波数設定分解能は高い
ただ、こういう回路構成になっているおかげで周波数の微調整がRS-232C経由で細かく出来るようになっています。そのステップはなんと6.808μHz。初期型は11.4mHzステップだったので、1000倍以上細かい調整が可能となっています。自分でやったことは無いのでここからは想像ですが、初期型の周波数をmHzオーダーに調整するにはトリムポットを微妙に廻すしか無いと思うのですが、正確に追い込むのは大変だと思います。
とは言っても正確な周波数源が無いとだめなんですけどね。うちからあまり遠くない場所に東京天文台があるのですが・・・、測ってくれないですよね。せめて正門の守衛所にBNCで標準周波数出しとくとか・・・、国家標準にそんなことしないだろ、バシ!
なお、廉価版でRS-232Cから周波数調整を行うにはオプション-2が入っていないとだめなのですが、今回手に入れた物は二台ともオプション-2が入っていたようでラッキーでした。そのあたりの話は別の記事で触れたいと思います。
◆お勧めのサイト
話を戻しますが、FE-5680Aの情報をWebで検索すると新旧いろんな情報がヒットしてなかなか廉価版の情報が拾えません。その中で個人的にお勧めのサイトはこちらです。
・FE-5680A Rubidium Frequency Standard FAQ
この中にいろんなリンクがありますが、ためになる情報が満載です。例えば、部分回路図とか。
◆ルビジウムオシレータを使うときの注意事項
・ルビジウムセルの吸収周波数は磁界の影響を受けるのでケースを開けたままで使ってはダメ。ケースは磁気シールドも兼ねています。ということは、シールド効果を高めるためにはFE-5680Aの周辺のネジは全部取り付けた方が良い。そうでなくても、隙間風が入るのは良くないはずです。
・FE-5680A廉価版の周波数ロック端子のシンク能力は低い。この端子にLEDなどを接続すると、電圧レベルが充分下がらなくなって1PPS出力がインヒビットされることがある。
・10MHzの矩形波はXC8572の49ピンから取り出すことが出来る。他の周波数も出ているがが、そのあたりは上のリンクの回路図参照。
このあたりは私が無知だったのが悪いのですが、どうもFE-5680Aには色々なバージョンが存在しているようです。このあたりの事情を少しまとめてみます。
▼動作チェック中のFE-5680A

◆FE-5680Aは大きく二種類ある
片方は古いバージョンで、DDSで周波数が変更可能なやつで、もう一つはe-bayで送料を別にしたら$40以下で手に入る廉価型です。おっと、古いバージョンはオーディオマニアから評価が高いみたいで、古いとか書いたらしかられそうなので、初期型と呼ぶことにします。
初期型は内部のプリント板が三段重ねになっているようで、廉価型とは内部構造が全く違います。外観では機種名などがケースに直接印刷されている物が初期型のようです(常にそうかは判らないです)
初期型の回路構成は、ルビジウムにロックした50.225xMHzをDDSで加工して目的周波数を得るという判りやすい仕組み。
一方で廉価版は、内部のプリント基板が一枚になっていて回路構成も全く違っています。具体的には以下のようになっているようです。
▼廉価型のFE-5680Aのブロック図

回路技術が進歩したので、初期型より洗練された回路構成になっているように思います。
ルビジウムに60MHzのオシレーターの高次成分を同期させ、そこからXILINXのCPLDのXC8572でいろいろな信号を作り、20MHzをDDS(AD9832)で加工して周波数のオフセット調整用に5.3MHz程度の信号を発生。これをまぜこぜにしてロックさせているようです。周波数の関係で表現すると、114逓倍 × 60MHz - 5.323MHz = 6.835GHz だそうな。
実はこう書いていて、計算式の最後がなんで引き算になるのかよく判らないです。この周波数関係で直接ヘテロダインとか難しいだろうから、ロックインアンプへのQ1の信号にDELAYをかけて、DDSを変調しているあたりがミソなんでしょうか。
こういう構成になっているので、初期型のように自由自在に出力周波数を変えることは出来なくなっています。たぶんビジネスとしては、そんな需要はほとんど無いんでしょうね。
◆廉価型の周波数設定分解能は高い
ただ、こういう回路構成になっているおかげで周波数の微調整がRS-232C経由で細かく出来るようになっています。そのステップはなんと6.808μHz。初期型は11.4mHzステップだったので、1000倍以上細かい調整が可能となっています。自分でやったことは無いのでここからは想像ですが、初期型の周波数をmHzオーダーに調整するにはトリムポットを微妙に廻すしか無いと思うのですが、正確に追い込むのは大変だと思います。
とは言っても正確な周波数源が無いとだめなんですけどね。うちからあまり遠くない場所に東京天文台があるのですが・・・、測ってくれないですよね。せめて正門の守衛所にBNCで標準周波数出しとくとか・・・、国家標準にそんなことしないだろ、バシ!
なお、廉価版でRS-232Cから周波数調整を行うにはオプション-2が入っていないとだめなのですが、今回手に入れた物は二台ともオプション-2が入っていたようでラッキーでした。そのあたりの話は別の記事で触れたいと思います。
◆お勧めのサイト
話を戻しますが、FE-5680Aの情報をWebで検索すると新旧いろんな情報がヒットしてなかなか廉価版の情報が拾えません。その中で個人的にお勧めのサイトはこちらです。
・FE-5680A Rubidium Frequency Standard FAQ
この中にいろんなリンクがありますが、ためになる情報が満載です。例えば、部分回路図とか。
◆ルビジウムオシレータを使うときの注意事項
・ルビジウムセルの吸収周波数は磁界の影響を受けるのでケースを開けたままで使ってはダメ。ケースは磁気シールドも兼ねています。ということは、シールド効果を高めるためにはFE-5680Aの周辺のネジは全部取り付けた方が良い。そうでなくても、隙間風が入るのは良くないはずです。
・FE-5680A廉価版の周波数ロック端子のシンク能力は低い。この端子にLEDなどを接続すると、電圧レベルが充分下がらなくなって1PPS出力がインヒビットされることがある。
・10MHzの矩形波はXC8572の49ピンから取り出すことが出来る。他の周波数も出ているがが、そのあたりは上のリンクの回路図参照。
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