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グリッドタイインバーターの特徴、課題

 自作のグリッドタイインバーター(GTI)は快調に動いています。30Wというささやかな太陽電池パネルですが、累積発電量は10kWを超えました。

発電量が10kWhを超えた
 10月から始めて5ケ月間の累積発電量は10,493kWh。
 
 ちょうど良い機会なのでグリッドタイインバーターを使った感想や私の意見などをまとめてみます。(長文です。お暇な時にお読みください)

▼自作グリッドタイインバーター
自作グリッドタイインバーター
 容量は80Wくらいです。

1.GTIとは
 GTIは下の図のように接続して使います。つまりこれは太陽光発電の電力を自宅のAC100Vへ逆流させる仕掛けです。AC100V側に逆流させた電力は家の中の電気製品を動かす電力の一部として使われ、逆流させた分だけ電力会社から購入する電力が減るので節電になるというのが基本的な仕組みです。

▼グリッドタイインバーターの接続図
グリッドタイインバーター式

▼バッテリー蓄電式の接続図
 下図はバッテリー蓄電方式の接続図です。実際にはバッテリーに蓄えた電力を使いやすくするためのDC/ACコンバーターなどが必要になります。
バッテリー式

2.GTIのメリット
 上の二つの図を見比べると、GTIはバッテリーの役割をAC100V電源にやらせていることに気付くはずです。バッテリーの代わりにAC100V電源を使うことで以下のようなメリットがあります。

1)ランニングコストゼロ
 バッテリーを使わないので保守や交換の費用が不要です。そもそもバッテリーの購入費すら不要です。バッテリーの寿命問題は蓄電するタイプの最大の課題。バッテリー式では定期的にバッテリーの交換が必要、つまりランニングコストがずっと発生するため投資の回収は不可能になっています。しかしGTIならこの問題は一気に解決します。

2)太陽電池パネルの出力を100%利用出来る
 バッテリー式では満充電になったらそれ以上太陽電池パネルから電力を送ることはできません。つまりいくら太陽光が降り注いでいても太陽電池パネルで発電できなくなります。もちろん他に余剰電力の使い道があれば話は変わってきますが、なかなかそういう都合の良い負荷(というか使い道)は少ないように思います。

 一方でGTIなら相手はAC100Vライン、満タンになることはありません。制限内のワッテージならいくらでも電力を送り込むことが出来ます。つまり太陽電池パネルの能力をフルに使うことが出来ることになります。そういうことで蓄電式より発電量が増えるので投資の回収期間短縮にもつながります。

3.GTIのデメリット
 良いことずくめに思えるGTIですが以下のようなデメリットがあります。

1)停電時のバックアップ電源として使えない
 AC100Vが止まってしまったら使えません。DC-ACコンバーター動作が可能な物もあるようですが、バッテリー式のように夜でも電気が使えるようにはなりません。

2)運転しているという実感に乏しい
 GTIは一度設置してしまえばもくもくと動き続け、何のメンテナンスもいりません。ともすれば設置したことすら忘れてしまいそうになります。これではモチベーションを維持するのが難しいかもしれません。累積発電量などの表示が充実していれば多少なりともこの問題は軽減されると思いますが、残念ながら現在市販されているGTIの多くはそういう表示が貧弱です。

3)GTIの値段と安全性
 現在手に入るGTIは容量の割に値段が高すぎると思います。このあたりの話は始めると長くなるのでこの記事では省略します。

 GTIはAC100Vに直結する機器なので万一故障した場合の危険が大きいのですが、そのあたりの安全性に不安があります。普通の家電製品だと電取法で安全基準が明確化されており、メーカーもそういう基準に基づいて製造しています。しかしGTIにはまだそんな基準は無いので、作ったメーカー、それも中華の聞いたことも無いようなメーカーを信じるしか無いのがちょっと怖い点です。
 
4.法的な問題と発電容量
 これについては明確な見解は出ていないように思います。私の理解は「電力網に逆流させない範囲で使う分には問題無い」と判断しています。
 このあたりの話は こばさん の書かれた、太陽光利権に騙されるな が参考になります。
 
5.GTIが日の目を見る日は来るか
 ちゃんとした製品が市販されていればいいとこずくめに思えるGTI。でも残念ながら現時点ではアングラな製品の扱いとなっています。輸入販売している業者も、「実験用です、自己責任でお使い下さい」というスタンスです。
 
 背景には法律的にグレーな部分があるため、日本のまともなメーカーは手が出せないということだと思います。
 
 行政から法律の解釈と安全基準を出せば済む話だと思いますが、そういうことがいまだ行われていないのはすごく残念です。再生可能エネルギーの確保は重要な課題なのに、こんな簡単なことが出来ないなんてどうなっているんでしょう。

6.まとめ
 同じような意見を言う人がもっともっと増えればGTIの普及は前進すると思います。微力ながら現状を少しでも改善できないか、という思いでこの記事を書いてみました。
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tag : GTI メリット デメリット 問題点

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No title

こんにちは ラジオペンチさん。
自分も興味津々のGTIの総括、興味深く拝見させて頂きました。

>法律的にグレーな部分があるため、
 電気に色は付けられませんから、"絶対に"逆流していないとは証明する
 術がありません故、 逆流防止策を講じないまま使うのは現行法では
 グレーではなくアウトでせうねぇ・・・。
 一回裁判になって、”発電量が使用量を下回っていれば可”なんて
 判例が出れば良いんですが(...可能性は低いけど)、本当にそう言う
 前例を作っちゃったら困るので電力会社も訴えないでしょうしね。

GTIはとても有用なシステムだと思いますが、仰るようにまだまだ未整備、
不安な要素が多く、ラジオペンチさんのように"自己で責任が取れる"技術を
お持ちの方が(試験的に)運用するならいざ知らず、"電気代をケチりたい"・・・
もとい"エコ"だからっと安易に使ってしまうのは、時期尚早だと思います
(っと言う理由で、自分は中華製GTIは買わない事にしました^^;)。

今後も、運用状況のご報告の記事を楽しみにさせて頂いております/^^)。

鍛冶屋さん、今晩は

コメントありがとうございます。
そうですね、人によっていろんな判断がありますよね。

私、半年前はGTIなど知らなかったのですが、実際にやってみるとこれ素晴らしいです。また運転状況などを記事にしていきたいと思います。

No title

こんにちは~
GTIはかなり興味あります。私にとっての一番の魅力は電圧を監視しなくてもいい所です。バッテリー式だとどうしても電力会社のオペレーターのように負荷を調整しなければ効率よく電気を使えないですからね。逆にそれが発電している実感を味わえるっていうことでもあるんでしょうけど。

バッテリーとGTIで一長一短ありますが、2系統で併用っていうのも良さそうな気がします。
GTIに流すパネルを2枚繋ぐとしたら、直列のほうが効率がいいんでしょうか?並列ならプログラムはいじらなくてもいいのでしょうか?
GTIを自作するというのは私には無理ですが、今後もレポートお願いします。

oink!さん、おはようございます

パネルが2枚ならいろんなロスを減らすために直列にした方が有利になります。その場合、プログラムの修正も必要ですが、トランスも変更する必要があって、たぶんそれが一番やっかいです。

GTIとバッテリーの併用、実は今検討中です。GTIの邪魔にならない程度にチビチビとバッテリーに充電。非常用電源確保しつと常夜灯を点灯とかです。

No title

GTIに興味がって、
なんだかんだでここにたどり着きました^^

自作してしまうなんてすごいですね。
仕組みは理解したけど・・回路はさっぱり・・

中華製GTIとパネルをネットでポチってしまいました。

かなやんさん、おはようございます

コメントありがとうございます。

GTI購入おめでとうございます。本文中では中華製は・・・という感じで書いています。
でも現実に手に入るのは中華製しか無いので、さっさと試すならそれ買うしか無いですよね。

No title

こんにちわ。Arduino関係、GTIの関係などを特に興味深く読ませて頂いておりありがとうございます。大変わかりやすい内容で参考に頂いています。

最近、自分でも自作を始めて色々遊んでいるところなのですが、GTIについてひとつ質問と言うか教えて頂けないかと思いコメントさせて頂きました。

FETでトランスを駆動していますが、オンからオフになった瞬間にトランス(=コイルの)起電力が生じて、FETドレイン電圧は今まで0Vだった状態から一気にソーラーパネル電圧の数倍の電圧が発生するのではないでしょうか。いわゆる昇圧型(チョッパー式と言うのでしょうか)のDDコンバーターの回路と同じ構成ですよね。トランジスタ耐圧も気になりますが、さらにはこれがトランスの一次巻線側にも伝わって行き、商用電源側と逆相の電圧になるのでとても大きな電流が流れて危険、もしくわ大きな効率の低下になるのではないかと、、、、。実は、自分でも商用電源から切り離した状態で単純なインバーター電源としてまでは実験しており、負荷をつないで電圧を見て気づいたところです。

教えて頂ければ幸いです。

panaceanさん、今晩は

コメントありがとうございます。ブログの記事にはほとんど書いてませんが、お尋ねの件は大きな問題でした。

LTspiceでシミュレーションやってスナバの定数を最適化。というか効率の悪化が目立たない範囲で強力に設定とかをやっています。

最後はオシロで見て、キックバック電圧が60Vを超えないことを確認しました。トランスのインダクタンスはLCRメーターで実測しています。

ということで、すごく泥臭くやってます。

本当はArduinoのPWMで正弦波インバーターやっちゃおう、とか思ってたのですが、これすごく難しいです。

追記

何だか具体的に判りにくい回答になっていたので追記します。

サージを抑えるために、この記事の回路図のように、
http://radiopench.blog96.fc2.com/blog-entry-456.html
1μF/27Ωのスナバを入れています。

判らないところがあれば質問下さい。可能な範囲でお答えしますよ(^。^)

ありがとうございます

私も1uF,33Ωを入れてありましたが、今思うとコンデンサは50V耐圧の積層セラミックです、きっと壊れてオープンになっているんでしょうかね(抵抗には電圧が観測されなかったので)。

秋月電子で見たら「メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ1μF450V」こんなのが良いのでしょうかね。

しかし、アナログ、パワー系の回路は難しいですねーー!
私の力量でどの辺りを目指すのが良さそうか悩んでみます。これもまた楽しからずや(笑)
でも、正弦波インバーター、DC結合やトランス結合を含めてやってみたいなー。難しいんでしょうね。

re:ありがとうございます

私もパワワエレの専門家では無いので、手探りでやっています。数十ワットの容量でも火災を起こすには充分なパワーなので、安全には注意して下さい。

なお、正弦波インバーター化はArduinoのPWMを使って少し試したのですが、ドライブが大変なのとスイッチングロスが凄く大きくなって効率が悪化したので止めました。

AC電源側の容量は巨大なので、GTIを正弦波にしてやる必要は無いような気がします。

正弦波インバーター (その後)

こんにちわ。
前回から少し経ちましたが、色々とあっちこっちやりながらも正弦波インバーター試作を進めてみました。今日は少しご報告と、アドバイスを頂ければと思い書込みしています。

前回はキックバックの大きさに目眩がしましたが、その後、正弦波インバーターをnetで色々調べて取り敢えずハーフブリッジで試作している所です。まだ15V程度の低い入力電圧ですがそれなりの正弦波(24kHzのPWM制御)をarduinoで動かせるようになりました(CPUレジスタを直接たたくとこの位の速度は出せるようです)。この出力を前回と同じトランスにいれてやったらば、奇麗な?正弦波が出口側の巻線にも昇圧された電圧で出てくる所までいきました。LCのフィルターを介した上でトランスに接続するとトランスもおとなしく電圧変換してくれているようです。

今は60Hz(中部電力)に同期する部分を試している所です。ここは位相をどこまで正確に制御できるかがポイントかと思っています。

正弦波GTIインバーター完成にはまだ先は長いでしょうが、時間はありますので、、と思っております。

アドバイスなどご意見頂ければと思っています。

re:正弦波インバーター (その後)

panaceanさん、今晩は。

すごいですね、そこまでやられるとは。LCフィルタを通してトランスをドライブするところがミソなんでしょうね。

そこまでやられている方にアドバイスとかおこがましいですが、

パワー回路なので燃え出したりすると大変なことになるので慎重に。
例えば、ハンダが溶けても配線が外れないようにからげておく。ダイオードとか発熱するとリードのハンダが溶けます。

心配すると切りが無いですが、直流側はヒューズ入れとけば大丈夫、というわけにはいかないのでくれぐれも安全運転で。うちのも今のところ問題は出てないですが、温度ヒューズくらい追加しようかと思っています。

それと最後に本質的な話ですが、GTIに正弦波インバーターはいらないような気がします。相手はめちゃくちゃ大容量なのでやさしくする必要は無いと思います。
もちろん技術的な面白さはあるので、やってみる価値は充分にあるとは思います。
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