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トランジスタをアバランシェブレークダウンさせて高速パルスを発生させる

 今回は高速パルス発生の実験です。サーボモーターで動く物を作るのも楽しいですが、やはり純粋な電子工作もやりたくなります。ということで、今回取り組んだのは以前からやってみたかった超高速パルスの発生です。

 高速パルスの発生方法で面白いと思っていたのは、トランジスタのコレクタ/エミッタ間のアバランシェ降伏を利用したパルス発生回路です。ちなみに最近はアヴァランシェ降伏と書くようです。やり方はトラ技に時々出てきて、最近だと2014年の3月号の204ページ以降の記事で紹介されています。これ以外にやはりトラ技で、2年前くらいに別冊付録の記事の中でリニアテクノロジーの方が書かれた記事が翻訳で紹介されています。

 で、どういう回路か、自分なりに脚色してこうやってみました。

▼回路図
回路図

 R4より左側は単なる直流電源で、どうやってもいいから直流で200Vくらいを可変で発生出来ればOKです。DC/DCコンバーターを入れればいいのですが、作るのが面倒なのでファンクションジェネレーターの出力をトランスで昇圧して整流してすませました。

 R1から右が高速パルス発生回路。正確に言うと高速立ち上がりパルス発生回路です。

 動作としては、R1を経由してC1を充電。Q1のコレクタ電圧が耐圧を超えるとコレクタ/エミッタ間が導通。この時、トランジスタの内部ではアバランシェ降伏が発生して、極めて短い時間で導通状態に遷移します。ということで、エミッタ側に立ち上がり時間が短いパルスが得られるという仕組みです。

 C1の電圧が下がるとパルスは止まり、次のパルスのための充電が始まります。これって大昔にネオン管を使った弛張発振回路というのがありましたがそれと同じです。

 ちなみに、トランジスタを降伏させるといっても、エネルギーが少ないのでジャンクションが破壊されるようなことは無く、連続的に動作可能となっています。なお、C1の容量を少しずつ増やせばどこかでQ1が壊れると思います。

 使ったのはおなじみの2SC1815。どうもこういう用途に向いたトランジスタがあるようで、参考にした文献では2N2501/2N2369が使われています。でもこのために調達するのも大変すぎるということで、おなじみの2SC1815を使ってみました。

▼発振波形
発生パルス
 電圧を170Vまで上げると上の写真の波形で発振が始まりました。画面の横軸は5ns/Div. 縦軸は1V/Divです。

 文献の回路では80V程度で発振したようですが、2SC1815はもっと高い電圧でないとブレークダウンしないようです。回路図に書いてあるようにオシロには50Ωの同軸で接続し、オシロの入力は50Ω終端にしています。

 一番重要な話が後になっちゃいましたが、1nsで4.5Vの電圧上昇になっていて、これはかなりの高速パルスです。R2の位置では振幅はこの10倍あるので、スルーレートは45000V/μsというとんでもない値になります。こういうぶっ飛んだ特性のオシレーターを所有出来るのは、この回路を作った人だけの特権です。

▼立ち上がり部拡大
立ち上がり部拡大
 500ps/Divなので立ち上がり時間は約1nsということになります。このオシロはテクトロの2465Bで帯域は400MHz。つまり立ち上がり時間は0.85nsなので、オシロの性能の限界が見えているのだと思います。たぶん実際の波形の立ち上がりはもっと速いはずですが、確かめるすべがありません。

 波形にジッタが多いのは電源ノイズのせいだと推定しています。つまり、電源電圧がちょっと変化すると発振のタイミングに影響するわけで、何しろ50psのジッタがあってもこのレンジでは目立ってしまいます。

▼オシロの入力は50Ω終端を使用
オシロを50Ω入力に設定
 こういう高速パルスになるとオシロのプローブもへたな物は使えません。400MHzで10MΩのパッシブプローブも売られていたと思いますが、その性能を生かすにはGNDを最短で接続する必要があります。GNDをミノムシクリップの線で繋ぐなんてのでは全然ダメです。
 結局は上の回路図のように観測したい位置にアッテネーター抵抗(R4)を入れて50Ωの同軸で引き出するのが一番確実です。また、そういう時にオシロに50Ω終端入力機能があると便利だし、インピーダンスのマッチングが良くなるので測定精度の点でも有利になります。

▼実際の回路
高速パルス発生部の配線
 オシロの立ち上がり時間が1ns程度なのでこれくらいの配線でもたぶん大丈夫でしょう。もっと高速にしたい場合はリード線を限界まで切り詰め、GND強化などの対策が必要になります。

 以下は性能には関係ない部分ですが、

▼直流高圧発生
バラックの高圧電源
 ここはつながっていれば良いし、ましてや実験なのでハンダ付けは適当です。

▼電源(1KHz/10V)
ファンクションジェネレーター
 電源というかファンクションジェネレーター(HP 3314A)です。これで1kHzの正弦波を発生させて、小さなトランスを駆動しました。50Ω負荷を10V P-Pまでドライブできるので結構パワフルです。

 ということで高速パルス発生に実験は成功です。実は最初はなかなかブレークダウンが発生しなくて悩みました。2SC1815のコレクタ耐圧(VCEO)は50Vということになっていますが、実際は相当大きなマージンがあるようで、170Vくらいかけないと降伏しませんでした。

 こういうのはやってみないと判んないんですよね。だからやめられないですw
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tag : パルスジェネレーター 自作 立ち上がり時間

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No title

30ps, 100ps., 1nsが実現できたらプローブやオシロスコープ用の立ち上がり時間の校正基準発生器ができますね。

charlsさん今晩は

この方法で実現できる立ち上がり時間の限界はよく分かりませんが、たぶん500psくらいのような気がします。

100ps以下の領域だと昔はトンネルダイオードが使われていましたが、最近はどうやっているんでしょう。そういう世界はちょっとしたロマンですね。
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