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アバランシェ・パルス・ジェネレーターの回路図あれこれ

 前回の記事でトランジスタのアバランシェ降伏を利用した高速パルス発生回路を作りました。立ち上がり時間はまずまずなのですが、波形に段付きがあって綺麗なパルスにはなっていません。

▼前回の記事の回路
回路図
 この回路は断片的な情報と記憶を頼りに作ったものです。波形の測定結果から、悪さをしている箇所はおよそ予想出来るので、試行錯誤で調整すればある程度の改善は出来る気がします。でもここはオリジナルの設計者に敬意を表し、元の設計がどうなっていたのか調べてみました。

 この回路を公開してくれているのは、リニアテクノロジー社の Mr. Jim Williamsさんです。(2011年6月に亡くなられています)

 Williamsさんは伝説のアナログエンジニアで、多くのアプリケーションノート(以下、ANと略します)を書かれていますが、その中にアバランシェ パルス ジェネレーターについての解説がたくさん出てきます。

 以下、年代順に紹介していきます。

 なお、項目のタイトルは元のANのpdfへのリンクです。詳細な解説が書かれているので興味のある方は一読されるといいと思います。図はAvalanche purse generatorの部分の回路図です。また、これらの資料はLinear Technology のデザインサポートのアプリケーションノートのページで公開されています。それと図はクリックすると拡大します。

AN45, Measurement and Control Circuit Collection (1991年6月)
AN45
 うーんC1は2pFと小さくして、パルスピークが10Vになるように調整するんだった。調整には1Ghzのオシロを使うらしいのですが、そんないいやつ持ってないです。うちの400MHzのオシロで10Vに合わせると、実際にはもっと高いピーク電圧が出ることになりそうです。

 このANでWilliamsさんは。
 昔はテクトロの111というパルジェネがあって、トランジスタのアバランシェブレークダウンを使って凄い高速パルスを作っていたんだ。そいつは、真空管まで使った大きな測定器だったんだよ。でも、今ではLT1073があるので、電池一本から簡単に高電圧が発生出来ちゃうんだ。だから、テクトロの111と同じ物がコンパクトに作れちゃうんだよね。ということを言いたかったのだと思います。

AN47, High Speed Amplifier Techniques、(1991年8月)
AN47
 高速アナログ回路のテクニック集に掲載されていて、AN45と同じ回路です。ちなみにトラ技の2012年6月号の付録になったのはこのアプリケーションノートの日本語訳です。

 実際の波形と現物の写真が以下のように紹介されています。

波形
 測定はテクトロの1GHzのサンプリングオシロ。後ろにごく僅かなばたつきがありますが、見事な孤立波になっています。

製作された回路
 BNCアダプタボックスで作られた実際の回路。クリティカルな配線は最短になっています。

AN61, Practical Circuitry for Measurement and Control Problems(1994年8月)
AN61
 自走式だったのが外部トリガ方式になっています。降伏が発生するより少し低い電圧をかけておいて、ベースにパルスを入れて、一気に降伏させているのでしょう。

 トリガ回路にはちゃんとした電源が必要なので電池駆動は無理。+5Vの電源で回路を動かすことにしましょう。+5VがあるならLT1082を使えば倍電圧整流とかやらないでも一発で高電圧が作れますよ。ということみたいです。

AN72, A Seven-Nanosecond Comparator for Single Supply Operation (1998年5月)
AN72
 具体的なトリガ回路が紹介されています。LT1394という高速コンパレーターの応用事例になっています。

AN79, 30 Nanosecond Settling Time Measurement for a Precision Wideband Amplifier (1999年9月)
AN79
 同軸のディレイラインを使ってパルスのON時間を伸ばすと共に、波形の振幅調整やトリガパルス出力も出来る豪華仕様になっています。高速で動く部分がごちゃごちゃしているので、立ち上がりの特性は不利になると思われます。

AN94, Slew Rate Verification for Wideband Amplifiers (2003年5月)
AN94
 電源を変更。コレクタ側の回路をすっきりさせています。こうした方がパルスの立ち上がりが綺麗になると思います。エミッタの200Ω4本がクロスになっているのは、出来るだけ余分な寄生インピーダンスを減らすと同時に、ぴったり50Ωに合わせるこだわりですね。ちなみにこのANはトラ技の2014年3月号のP204~で翻訳版として紹介されています。

jAN122, ダイオードのターンオン時間によって誘起されるスイッチング・レギュレータの動作不良 (2009年1月)
jAN122
 AN94とほとんど同じ回路ですが、付録-Bとして紹介されています。日本語なので読みやすいのでお勧めのANです。でもトラ技の記事のように、こなれた日本語にはなっていないです。

まとめ
 ということでJim Williamsさんはほぼ20年間にわたり Avalanche puse generatorを紹介されています。よっぽどこの回路が気に入っていたのでしょう。もちろんこれ以外の回路も大量に設計されたアナログ回路設計の巨人です。1948年生まれということで、まだお若かったのに・・ ご冥福をお祈りいたします。
 Linear Technology Staff Scientist Jim Williams Remembered
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