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電子負荷の製作。最終型が完成

 製作中の電子負荷が完成しました。

▼完成した電子負荷
電子負荷
 放熱フィンは何かを分解した時に回収しておいたものです。スイッチのCCは定電流(Const Current)、CRは定抵抗(Const Resistance)のモード切替です。

▼裏面
電子負荷 裏面
 基板は秋月のC基板。放熱フィンは2mmくらいのタッピングネジで固定しています。

▼回路図(図をクリックで別窓に拡大)
電子負荷の回路図
 入力端子側から順に説明します。

・M2は入力の正逆を間違えた場合の保護回路です。ここはダイオードでもいいのですが、Vfの分だけ最低動作開始電圧が上昇してしまいます。そこでロスのほとんど発生しないPチャンネルパワーMOS FETを使った保護回路にしました。この回路についてはエアーバリアブルさんの解説記事を参考にしました。

・C2はレスポンスが悪化するので入れたくなかったのですが、電源との組み合わせで発振してしまうことがあったので10μFを入れました。

・通電表示のLEDは定電流回路で点灯させています。定電流回路なので電源電圧が変わってもLEDの明るさは変わりません。LEDに流れる電流は0.6mAです。

・電子負荷は定抵抗と定電流モードをスイッチで切り替え出来るようにしました。U2のプラス電圧を入力電圧に比例させることで定抵抗モードに、入力に無関係で一定に保つことで定電流モードに、スイッチで切り替えています。

・LM385-Z2.5は消費電流の少ないシャントレギュレーターです。ここは定番のTL431でもいいのですが、1mA以上のシャント電流を流す必要があるのでロスが増えます。そろそろTL431は引退の時期だと思います。

・U1はレール to レールオペンプのLMC6482を使っています。ここは定番のLM358でも動きますが、出力電圧の上限はオペアンプの電源電圧のマイナス1.5V以下なので、最低動作開始電圧の点で不利になります。なお、LMC6482の電源電圧の上限の16Vがこの回路で扱える限界の電圧になります。三端子レギュレーターでオペアンプの電源を作ればもっと高い入力電圧に対応出来ますが、面倒なのでとりあえずはこのままで行こうと思います。

・M1は2SK2232の手持ちがあったので使いましたが、ここはもう少し容量の大きな素子を使いたいところです。

・R1のシャント抵抗の電圧は端子に出しておいて電流のモニタが簡単に出来るようにしておくと便利です。

▼定抵抗特性
定抵抗特性
 できるだけ低い電圧から動くように回路に注意を払った結果、2.3V以上で定抵抗モードになっています。

▼定電流特性
定電流特性
 2.8V以上で定電流モードに入っています。 1.25Vのシャントレギュレーターを使えば定抵抗モードと同じく2.3Vから定電流モードになったはずです。 なお2つのグラフはシミュレーション結果で実測ではありません。
 
◆まとめ
 とりあえず使い勝手の良い電子負荷が完成しました。無負荷状態の回路の消費電流は1mA程度なのでほぼ無視できる値です。

 放熱フィンが小さいので連続運転では10Wくらいが限界です。短時間なら20Wはいけそうですが、FETが飛ぶかも知れません。2SK2232はフルモールドタイプなので熱的には不利です。ここは放熱用の金属が剥き出しになっているタイプのパワーFETに入れ替えたいところです。

 ちなみに電子負荷があると、例えば10ワットはどれくらいの発熱量になるのかが実感出来ます。そういう点では、初心者の方にこそ製作をお勧めしたいアイテムです。
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CC、CRモード切替はナイスです

いつもアイデア満載の製作記事をありがとうございます。
今回の「電子負荷」は私の用途にピッタリなので、手持ち部品を利用して真似させていただきます。

CC、CRモード切替は考えてもみませんでしたが、目的に合わせて切替出来るのは良いです。
逆接防止回路はロスが少ない上にシンプルで良いです。エアーバリアブルさんの記事を改めて読み直しました。

マルツオンラインに「LM285Z1.2-N」が有ったので、こちらを利用して作ろうと思います。10μAから動作と省電力なので他の用途にも活用出来そうです。

又、シミュレーションソフトは敷居が高そうで使った事は無いのですが、製作前に予測出来てとても便利ですね。

re:CC、CRモード切替はナイスです

mytoshiさん、こんにちは。
この記事が気に入ってもらえたようでよかったです。

ここまで作ると今度はもっと大容量で電圧と電流の表示付きの物を作りたくなっちゃいます。

回路公開感謝!

公開、ありがとうございます(コメントが遅くなりました)
 早速、LM385Z-1.2と2.5を発注しましたので、到着後Copy制作させて戴くつもりです。
 で、自分も同じ発想でPICでLCD表示する電流・電圧計を一緒に組み込むことにしています。0.1Ωの電位降下が充分電流が測定できるので
...負荷なのに電源が必要になっちゃいますけど(笑

re:回路公開感謝!

旧人類さん、おはようございます。

そうですね、電圧/電流表示があると使い勝手が大幅に向上しますよね。オペアンプが半分残っているのでこれ使えば電流の測定が楽になる。表示は液晶にすれば消費電流を最小に出来る。なんて思っていました。

あと、LM385Z-2.5は昔秋月で買ったのですが、今見てみるとカタログから無くなっているんですね。気付きませんでした。

別電源使用の可否について

はじめまして。
何度もブログを拝見し、勉強させて頂いています。分かりやすくためになる記事を有り難うございます。ラジオペンチ様よりも 10 歳以上若いはずなのですが、老眼が進んでパーツの印字が読めません。

初心者の例に漏れず、電源回路の製作を行い、その性能テストに本ブログの電子負荷を使用したいと考えています。当面の目標としては、乾電池と HT7750A/HT7733A を用いた昇圧回路でカタログ値 (200mA) にどれだけ近づけるかを試行錯誤したいと思っています。

非常に根本的なことで恐縮ですが、この電子負荷に供給されるべき電源 (Vcc) はどのようなものを用意したらいいのかお教えください。ブログ内容から LMC6482 の動作電圧の 3V 以上の電圧を必要とするものと推察しますが、完成写真では Vcc の入力コネクタを見いだす事が出来ませんでした。Pch-MOS-FET による逆説防止回路についてはまだ不勉強で全く理解できていないのですが、回路図の (+) に接続した電子負荷が Vcc の役割も担っていると考えてよろしいでしょうか?

仮に、電子負荷から電源供給されているとした場合、私が製作しようとしている HT7750A/HT7733A 昇圧回路では電力不足になりそうな気がします。一方、3V 以上の安定化電源を別途用意して Vcc に接続した場合には、HT7750A/HT7733A の出力電流が不充分な場合にも Vcc からの電流が 2SK2233/2SK1122 へと流れてしまうような気がします。その結果、自作した昇圧回路が十分な出力電流を流せないにもかかわらず R1 のシャント抵抗には (Vcc からの) 電流が充分に流れてしまい、自作回路の不具合を発見できないのではないかと危惧しているところです。

オペアンプへ供給する電源 (Vcc) と、電子負荷の出力 (V+) を別電源にすればよいという拙案も浮かんだのですが、どうにも理解が追いつかず、ここ1ヶ月ほど悩んだ末、ご教示をお願いする次第です。

どうぞよろしくお願いいたします。

re:別電源使用の可否について

ひげぼりんさん、記事を読んで頂いてありがとうございます。

この電子負荷は消費電流の大きな領域で使うことを想定しているので、お尋ねのような用途で使う場合は手直しした方が良さそうです。

この回路ではお気付きのようにオペアンプやLEDの電源を(+)端子から取っています。別電源を用意するのが面倒なのでこうした訳です。ただその代償として、電圧が約3V以下の領域では使えないし、電流を絞ってもオペアンプなどの消費電流はゼロに出来ません。

解決策としては、おっしゃるようにオペアンプの電源と電子負荷の電源を分けるのが良いと思います。

具体的には、この回路図のM1(2SC2232)のドレインの線を切って、そこ(ドレイン)に相手を接続します。オペアンプなどの電源は(+)端子、あるいはVCCから別電源で供給すればOKです。逆接防止のM1は省略しちゃってもいいでしょう。

なお、この別電源と相手の回路はGND端子のところで接続されているのを忘れないでください。

あと、電流の小さな領域ならこういう面倒な物を使うより、固定抵抗を使った方が簡単です。私もそうしています。

特にスイッチング電源では、負荷のコンデンサによって挙動が大きく変わるので、抵抗負荷で特性を見た方が良いです。
電源をいじるなら、5Wのセメント抵抗で1Ω、5Ω、10Ωくらいのものをいくつか買っておくと、何かと便利です。

Re: 別電源使用の可否について

ご教示有り難うございます。
セメント抵抗はいくつか持ち合わせているのですが、やはり連続的に変化させられる電子負荷が欲しいと思った次第です。それになによりも「作ってみたい」というのが本当の理由です。LED 駆動のための定電流回路や、シャントレギュレータ + オペアンプ + パワー MOS-FET など、回路のひとつひとつが大変勉強になりました。
別電源にするとその分煩雑になりますが、オペアンプやゲートに入力すべき電圧はどちらもそれほど大きくないため、乾電池と HT7750A でオペアンプに電源供給できればデメリットもいくぶん軽減できるのではないかと思っています。卵と鶏問題、というよりも捕らぬ狸の皮算用なのですが。
スイッチング電源をテストする場合の注意点、誠に有り難うございます。ご指摘の通り手持ちのセメント抵抗でまずは HT7750A の回路を製作したいと思います。
5V 以上、1A 以上はまだ怖くて手が出せずにいるのですが、徐々に大電流を扱う回路にも挑戦して行きたいと思います。
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