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単電源オペアンプの0V付近の挙動をシミュレーション

 今月のトラ技(2015年12月号)に、居酒屋ガレージ店主こと下間さんが単電源オペアンプにGNDレベル付近を入力した場合の特性について記事を書かれています。
 ご本人のブログの告知はこちら→単電源オペアンプの入出力特性

 片電源のオペンプのデーターシートには、「GNDレベル近くの値まで検出可能で、、、」などと書かれています。ここで問題になるのは、GNDレベル近くって、どれくらいの値なの?ということになりますが、そのあたりをはっきり書いてあるデーターシートを見たことがありません。

 実際に私も、入力電圧が30mV以下くらいからの非直線性や不感帯の問題を経験していますが、きちんと測定までやったことはほとんどありませんでした。ということで、下間さんがやられた体系的な測定結果は貴重です。
 私の経験の例:USB接続 充電容量チェッカーの特性測定

 で、ここからが今回の記事の本題です。こういう特性を回路シミュレーターで調べたらどういう結果になるでしょう。シミュレーションで事前に結果を予測できれば、いろいろと便利になります。

▼シミュレーション方法
オペアンプの特性シミュレーション
 LTspiceを使ってボルテージフォロアの特性をシミュレーションしました。オペアンプを一つずつシミュレーションして結果をまとめるのは面倒なので、上の回路図のように各種オペンプに同じ信号を入れて一気にシミュレーションして結果を比較しました。パソコンの性能が良くなったので、こんな野蛮な方法を使っても大丈夫。すぐに結果を見ることが出来ます。

 なお、シミュレーションしたのは、トラ技の記事にあった型番のうちで私の手元にデバイスモデルがあったものだけです。

▼シミュレーション結果
DC解析結果
 グラフは入力電圧を0から200mVまで変化させた(X軸) 場合の出力電圧(Y軸)です。グラフが二つに分かれているのは読み易くするためです。

 入力電圧が50mV以下の領域で直線からの外れが目立ちます。傾向としては不感帯があるもの(LMC6482, NKU7032, NJU7002)と、感度低下があるもの(TLC27M2, TLC27L2, LT1013, LM358) に分かれているようです。これはモデルの作り込みの違いが原因のような気がしますが、そのあたりは自信はありません。
 なお、LT1490とLT1498もシミュレートしましたが、結果が嘘っぽい(ほとんど理想オペアンプ特性になっている)ので、この図からは外しました。

 シミュレーションしたオペアンプの中で、Rail to RailなのはLMC6482なのでこれの電源電圧付近の特性を下記に示します。

▼参考:LMC6482のアッパーレール付近の特性
LTC6482のハイサイド特性

 話を元に戻します。一つ上のグラフをトラ技の記事と見比べると、シミュレーションの方がかなり悪い結果(不感帯や非線形領域が広い)になっています。

 念のためにトラ技の記事と同じ測定方法、つまり入力を-5mVまで引っ張ったAC解析もやってみました。

▼AC解析
AC解析結果
 入力波形(INPUT)は +60mVから-5mV の範囲でスイングし、遷移時間は4msです。

 この波形の方がトラ技の記事と比べ易いです。実測結果(トラ技の記事)と比べるとシミュレーションの結果は大幅に悪くなっています。 (LT1490, LT1498を除く)
 まさか、2日前に発売された雑誌の紙面の画像をここに掲載する訳にはいきません。興味のある方は今月号のトラ技のP190をご覧下さい。

 追記:該当のトラ技を持っていない方は、居酒屋ガレージ日記さんの下記の記事中のグラフと見比べるとよろしいかと思います。
   単電源OP-AMPの0V入力付近の挙動を調べる

◆まとめ
 どうも入力電圧がGND付近の挙動をシミュレーションで再現するのは無理なようです。たぶんそこまで特性を再現するようなデバイスモデルが提供されていないようです。

 救いは、デバイスモデルのほとんどは、現物より悲観的に作られていることです。つまり、シミュレーションで要求仕様を満足するように設計しておけば、マージン取りすぎだけど安全な設計になっている気がします。但し、LT1490やLTC1498みたいに実際より良い子を装っているモデルもあるようなので油断出来ません。

 ということで、結局は下間さんがやられたように、現物をきっちりと測定することが重要なんですよね。

【2016年3月24日追記】
 居酒屋ガレージ店主さんが、この記事の冒頭で紹介した測定結果のグラフの要点をまとめた記事を書かれました。実測結果に基づく話なので、シミュレーションでは見えてこない過渡現象まで紹介されています。単電源オペアンプを極めたい方には必見の情報だと思います。
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単電源オペアンプの入出力特性

しばらくしたら(何ヶ月か…)、原稿としての編集部に送ったデータを公開しますわ。
しばらくお待ちください。

re:単電源オペアンプの入出力特性

居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) さん、こんにちは。

シミュレーションでも同じ結果が出ることを期待してやったのですが、結果は全然ダメでした。楽しちゃいけません、ってことですね。

なお、実測とシミュレーションの結果のグラフを比べて見たい方も多そうなので、この記事に追記で、そちらの以前の測定結果のページへのリンクを貼らせていただきました。

どこまで使えるのか

度々お邪魔して、すみません。

以前から気になっている割には、真面目に考えたり調べたりすることがありませんでした。

私事ですがオペアンプだけでなく、ワンチップマイコンにA/Dの前置として内蔵されたインスツルメンテーション・アンプが、レール近くのどこまで使えるのかも、気になっております。

re:どこまで使えるのか

多摩地区住人さん、おはようございます。

GND付近の挙動はこの記事の二つ目のグラフで測定していますが、
http://radiopench.blog96.fc2.com/blog-entry-393.html
上側レールはやったこと無いです。

10ビットADCの出力が0x3FFFFになることは確認していますが、その境界となる電圧が、上側レールから何ミリボルト下なのかは確かに気になるところですね。

re~2:どこまで使えるのか

返信ありがとうございます。

リンク先のページも、読ませて頂きました。

グランド付近の電圧検出に考慮して、ワンチップマイコンのグランドに対して、そのA/Dに接続されるアナログ回路のグランドを、ショットキ・ダイオードのVf分だけ浮かせる(かさ上げする)方法をとったことがあったのを思い出しました。A/DのリファレンスがHIとLOの両方、外部から与えられるようなマイコンであれば別ですが、そうでないと温度や電流によりダイオードのVfが変化するので、これも良い方法にはならなさそうです。

お邪魔いたしました。

re~3:どこまで使えるのか

多摩地区住人さん、おはようございます。

Vrefが電源電圧の場合、アンプの不感帯の影響などでADCの出力がフルスケールの値、つまり10ビットなら0x3FFまで振れなくなりそうです。
でも実際にはそんなことは無いので、何か細工してあるのかも知れないですね。

トラ技の記事を

記事の要点をまとめておきました。
http://blog.zaq.ne.jp/igarage/article/4396/
※本を見てもらうのがイチバンなんですが・・・

re:トラ技の記事を

居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) さん、情報どうもです。

要点ピックアップ資料、色付きでとてもわかり易いです。この記事の本文にもリンク貼らせて下さい。

あと、このpdfの資料がオリジナルに近いのだと思いますが、トラ技の記事ではかなり情報を整理しているんですね。雑誌原稿作成の大変さを見た気がします。
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