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DVDのメディアで簡易分光器を作る-その1

 セッピーナさんがDVDで作った分光器をいろいろ試されています。(現時点のセッピーナさんの書かれた簡易分光器関係の最新記事はこちら)。光のスペクトル分析が簡単に出来るなら、ぜひともやってみたいと思っていたので早速真似してみました。

▼段ボール箱で作った簡易分光器
段ボール回折格子
 セッピーナさんが作られた物と比べると、えらく雑な作りになっています。箱の左の面に貼り付けたアルミフォイルにカッターで切り込みを入れてスリットにしています。スリット高さは0.5mmくらいだと思います
 
▼内部 (上の写真と向きが逆になっています)
簡易段ボール分光器
 スリットから入った光を回折格子に当て、その回折光を箱の上の覗き窓から観察する仕掛けです。

▼回折格子
回折格子を少し傾けて取り付け
 マスキングテープで一端を止め、割り箸を枕にして角度を変えられるようにしています。

 セッピーナさんのサイトに行くと正確な寸法や角度が記載されているのですが、とりあえず回折光が確認出来ればいいので適当な寸法で作ってみました。

▼iPhoneを取り付けて分光
iPhoneで分光測定
 観察窓にiPhoneのカメラのレンズが来るようにしてマスキングテープで本体を固定し、窓の外の光のスペクトルを見てみました。曇り空の屋外光をなのですが、太陽光のスペクトルらしきもの見えました。

 これで連続スペクトルの観察は出来ているはずですが、これではあまり面白くありません。ということで、もう少し特徴のあるスペクトルを見たくなります。ということで蛍光灯を見てみます。

▼iPhoneで蛍光灯のスペクトル取得
iPjoneで測定した蛍光灯のスペクトル
 それっぽく撮れています。

 こうなるともう少しちゃんとした物を作りたいのであれこれ改良を試みました。ここで一番厄介なのはDVD-Rの円盤を切断して回折格子を作る作業です。

▼DVD-Rから切り出した回折格子
DVD-Rを切断して回折格子を作る
 ハサミで切り出すのですが、どうしても切断部に剥離が発生して綺麗に切り出すことが出来ません。お湯に漬けて暖めておいて素早く切る手もあるらしいのですが、はてどうするか。

 ピラニアソーで切っても剥がれは防げない気がします。「バカとハサミは使いよう」、と言う言葉がありますが、この場合は違う気がします。

 ところで、無理やり剥がした面を見ると記録用の色素が残っているようです。だったらこれを綺麗に除去出来れば回折格子として使えるじゃん、と考えてお湯で洗って見ましたがダメ、洗剤付けて洗ってもダメでした。

 ところが、エタノールを使うと、色素が簡単に溶けるではありませんか!

▼エタノールを使ってDVD-Rを剥離
DVR-Rをアルコールで剥離中
 少し剥がして、その間に無水エタノールをスプレーし、すこしずつ隙間を拡げていきます。隙間が拡がれば割り箸を差し込んでエタノールを補充して更に剥がして行きます。無理に剥がすと下地の反射膜が剥がれるのでゆっくりやった方が安全です。

▼エタノールを浸したティッシュペーパーでクリーニングして完成
色素をクリーニング
 ティッシュにアルコールを浸み込ませて丁寧に拭くと完成です。

 DVDーRは2枚の円盤が接着されていますが、回折格子として使うのはラベル(白ベタ)が印刷されているの円盤の記録面側です。記録面にはサーボ用のトラック溝が付けられた後で、反射膜が蒸着され、その後で色素膜でコーティングされているはずです。色素膜を除去しちゃえば、反射率の高い回折格子が手に入るはずです。

 こうやって作った回折格子は、DVD-Rを切って作った物と比べて以下のようなメリットが期待出来ます。

 剥がす前の状態では、回折格子の前に0.6mmのポリカーボネートの板があるので、この表面の反射による光のロスがかなりあったはずです。ちなみに入射角は20度くらいなので反射量はかなり大きかったものと思われます。また、記録用の色素による吸収も大きかったはずです。ところが、剥がして色素膜を除去することにより、このようなロスが無くなり、感度が上がる(たぶんスペクトルのコントラストも上がる)のはすごく嬉しい話です。

▼無水エタノールに感謝
無水エタノール
 エタノールは電子工作好きの人なら持っている人が多いと思います。私はこの写真の左に写っているアトマイザに入れておいて、すぐにプシュプシュして使えるようにしています。

▼剥がした回折格子を使って得られた蛍光灯の光のスペクトラム
蛍光灯のスペクトル
 iPhoneでは自由に撮影条件が設定出来ないので、コンデジ(Canon S-100)を使って撮影しています。

 スリットだけでレンズは使っていません。またカメラをきちんと固定していないのでベストな撮影条件まで追い込めていないのですが、細かいスペクトルの構造が見えています。

 もう少し改良して太陽光のフラウンホーファー線が撮影できるとこまで持って行きたいと思います。

【注意】
 こういうことやるとDVD-Rに使われている色素の安全性が少し心配になるのですが、あまり詳しく調べていません。色素にはシアニンやAZO色素などが使われているようです。MSDSをざっと見た限りでは危険性は少ない気がしました。ただし、添加物として危険な物質が使われていないとも限りません。

 まあ、大量に消費されていて特別な廃棄方法の指定も無いようなので、ものすごく有害な物質は入っていないと思います。でも、この記事のように溶剤で溶かしたりする時、つまり普通の使い方では無いことをやる場合は、目や口に入らないように注意し、作業が終わったら、すぐに手をよく洗うことをお勧めします。ということで、追試される場合は自己責任でお願いします。
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アルコールできれいになりました

じつははがしたあと石鹸で洗ったのですが色(色素)が落ちなかったのでそのまま使ってました (^^;;
アルコールで拭いたらきれいになりました。
記事を参考にさせていただきまた作ってみようかと思っています。
リンクもしていただきありがとうございました m(._.)m

re:アルコールできれいになりました

セッピーナさん、こんにちは、コメントありがとうございます。

DVD-Rを切断しただけでそのままお使いだと思っていたのですが、剥がして使われていたんですね。

エタノールで拭いた効果がどうなるのか、興味深いです。

DVD分光器ですね。

ラジオペンチさんも、セッピーナさんの分光器を始められますか…。
現在、スペクトロマスター C-700を買うべく、積み立て中です。
連続光なら、プリズムで観察できるんだけど、プリズムの良いやつは高いよね。
安価になんとかできないか?とで検索してたら、セッピーナさんのDVDって話で、チェックはいれていたんですよw。

ラジオペンチさんも、されるのなら、大いに参考にさせていただきます。

re:DVD分光器ですね。

SGさん、ご無沙汰です。

スペクトロマスター C-700って知らなかったのですが、楢の木技研さんの、ezSpectra 815V
http://oaktree-lab.com/products/ezSpectra.html

に仕様が似てますね(分解能 11nm)

No title

おお、楢の木技研でって、ノーチェックでした
これで、欲しい物リストにいれておきます。

SGさん、こんにちは

ezSpectra 815V の初回販売分は売り切れになったと思います。

次回分のアナウンスはありませんが、中の人がツイッターやられているのでチェックしておくのも手かと。
やまねこ 楢ノ木技研 あたりで検索すると出てくるツイッターで、電子工作のネタがいろいろ流れてくるので参考になります。私、twitterやらないのでROM専

No title

了解です。こういうガレージキットというか、個人の企画商品は、初期ロットはスルーが原則なんで、次、か次を狙います。
Twitter ブラウザの目立つところに入れておいたので、毎日チェックします。

アルコール洗浄の必要性

下記の資料を読むとDVD-Rを使った場合0.65μmで吸収が起きるようなことが書いてあります。おそらく色素がこの波長を吸収するということだと思います。となるとアルコール洗浄は必須なのかもしれません。
ほんとうに吸収が起きるのか試してみたいのですが面倒で (^^;;

天文月報2006年10月 - 天球儀 - コンパクトディスクを使った簡易分光器の製作
http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/2006_99_10/99_576.pdf

それから、ちょっと考えるとコリメータなしでは実現できないくらいの色分解能が出ているので不思議に思っていろいろ計算していたら(狭い波長域に限れば)簡易分光器でもコリメータがあるのと同じくらいの色分解能が出せる設計(位置関係)があるように思えてきました。今紙の上(=Excel)でひたすら検討中です。

re:アルコール洗浄の必要性

セッピーナさん、今晩は。一連の回折格子の記事、興味深く拝見しています。

DVD-Rの色素の件ですが、以前アルコールで洗浄してもさほど効果が無かったということから想像すると、

DVD-Rを剥離した場合、回折格子として都合の良い位置で剥がれるのかな?これはどうなっているのか電子顕微鏡(SEM)で見てみたいものだと思いました。とは言っても現役を退いた今ではSEMを使うことは出来ませんが、

あと、DVD-Rの色素はレーザー光を当てると光の吸収度が増す方向だったと思うので、未記録の楳田なら光の吸収は少ないような気がします。とは言っても定量的なデーターは持ち合わせませんが。

アルコール洗浄の必要性

なるほどそういうことなんですか。ぜんぜんわかっていなくて (^^;;
国立天文台の場合は「ž†毎年の企画を持ち帰っても楽しめるようにデータ化してCD-Rで配布していた」とあるので書き込んだ後の話かもしれませんね。こうなると書き込み前、書き込み後で実際にどんなものだかますます試してみたくなります。0.65μmはちょうどHα線があるところなので。

まだ結果の解釈や検算が不十分ですが、ラジオペンチさんの撮影条件で予想される半値幅は0.2~0.3nmくらいだろう、というような結果が出始めています。正しければ(というかある程度妥当性があれば)設計段階で性能の予測をしたり、製作後の性能改善の方向性・限界がわかるようになりそうです。
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