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格安デジタルオシロ DSO-SHELL (DSO150) のレビュー(特性測定編)

 DSO-SHELL (DSO-150) のレビュー記事の続き、前回の組み立て編に続き、今回は性能(特性)測定編です。

▼メーカーの仕様
DSO-SHELL Spec.

 これを疑うわけではありませんが、いや実は疑っているので、うちで出来る範囲で実際に測定して確認してみます。

1..測定レンジ (Sensivity range, Timebase range)
 これは実際に設定出来たレンジです。一般的な 1-2-5 レンジになっていました。
 ・垂直軸: 5mV, 10mV, 20mV, 50mV, 0.1V, 0.2V, 0.5V, 1V, 2V, 5V, 10V, 20V
 ・水平軸: 10us, 20us, 50us, 0.1ms, 0.2ms, 0.5ms, 1ms, 2ms, 5ms, 10ms, 20ms, 50ms, 0.1s, 0.2s, 0.5s, 1s, 2s, 5s, 10s, 20s, 50s, 100s, 200s, 500s
 たくさんのレンジがありますが、ロータリーエンコ-ダーで素早く設定出来ていいです。但し、レスポンスがいまいち。

2.入力インピーダンス (input impedance)
 LCRメーター(DE5000)で実測しました。測定周波数は1kHzです。
オシロとLCRメーター

 この写真のようにオシロの入力のBNCコネクタに短いクズ線を突っ込んで接続して測定しました。結果は入力容量=43.7pF、抵抗1.005MΩ。公称値より入力容量が倍以上大きいです。

 普通の使い方では添付のミノムシクリップ付きのBNCケーブルを使うので、この状態での入力容量を測定しました。
ケーブル込みの入力容量
 測定結果は、入力容量=89.1pF、抵抗997kΩで、入力容量がかなり大きくなります。同軸ケーブルの静電容量が入るので当然の結果なのですが、忘れがちな話です。この容量が問題になる場合は1/10のプローブを使いましょう。

3.ステップ応答
10kHz矩形波応答、立ち上がりは4μs程度
 外部から立ち上がりの速い10kHzのパルスを入れた状態です。立ち上がり時間は4μs程度です。ということは帯域幅は100kHz弱ということになると思います。

4.周波数特性
 ファンクションジェネレーターから周波数を変えた 3V P-P の正弦波を入れた場合の波形です。なお、写真はオシロをフリーランさせた状態で撮影しているので、被写体ブレしている写真があります。

・10Khz
10kHz正弦波

・50kHz
50kHz正弦波

・100kHz
100kHz正弦波
 少し振幅が下がってますが、このあたりまでは許容範囲と思います。

・150kHz
150kHz正弦波
 振幅の低下が目立ちます。エンベロープがうねっているのはサンプリングが追い付かなくなっているものと思われます。

・200kHz
200kHz正弦波
 もうだめです。サンプリングが追い付いていなので全然違う波形になっています。平均的な振幅が -3dB くらいになっている感じなので、メーカー仕様の Analog bandwidth = 200kHz というのはこういう特性のことを言っているのかも知れません。

 もっと高い周波数も試しましたが、エイリアシングが激しく出ていました。ちなみに測定に使ったファンクションジェネレーターは10MHzくらいまでフラットな特性です。

5.キャリブレーション出力
3.3V出力
3.3Vキャリブレーション信号
 0Vを基準に3.3Vのパルスが出ています。

0.1V出力
0.1Vキャリブレーション信号
 上を3.3Vに固定して、そこから下に0.1V(正確には0.13V)下がったパルスが出力されています。つまり大きなオフセットが加わった矩形波になっています。アッテネーターの位相補正コンデンサの調整に0.1V出力を使う時はACカップルにしておかないと波形の観察が難しくなります。そのあたりが組立マニュアルに全く書かれていないので、困る人が出そうです。

キャリブレーション出力周波数
キャリブレーション信号の周波数
 公称値の1kHzに対し極めて正確な周波数で出力されていました。

 以上、DSO-SHELL (DSO150) の特性測定結果でした。特に注意が必要なのは入力容量と、応答周波数だと思います。オーディオ帯域で使うにはほぼ問題無いと思いますが100kHzを超えると注意が必要です。

 あと、電源電圧の変化に対して縦軸のオフセットがかなり影響を受けます。電源電圧の下限(8V)から上限(10V)の変化で、1Divくらいオフセットが変化しするので注意が必要です。なお、オフセットはV/DIVボタンの長押しで簡単にキャンセル出来ますが、そんなことに気を使うより、きっちりと電圧が安定化された電源を使った方がいいでしょう。

 それと、特性で一番重要な測定精度の話を書き忘れていましたが、結果は縦軸/横軸とも全く問題の無い精度が出ていました。

◆まとめ
 いろいろ辛口のレポになっていますが、まあ値段が22ドルなので全然許せるレベルです。

 次回の記事では操作インプレもしくは内部回路解析結果についてレポする予定です。ちょっと忙しくなるかも知れないので、次回の記事はちょっと遅れそうです。
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コメントの投稿

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ケース付きで扱い易そうです

DSO-SHELL (DSO-150)の記事をありがとうございます。DSO138よりも使い易そうで、且つケース付きで良いですね。

いつものように詳しい解説付き記事でとても勉強になります。次の回路解析がとても楽しみです。

私は以前DSO138完成品を安く購入してしまったのでDSO150を買うことは無いと思いますが、似たような回路だと思われるので、ラジオペンチさんの今後の記事で特性を改善できる部分があれば参考にしてみたいと今から期待しています。

re:ケース付きで扱い易そうです

mytoshi さん、おはようございます。

DSO138は何度も買いそうになったのですが、ギリギリのところで踏み止まっていました。

DSO-SHELLをいじってみると、やっぱりケースがあると使い易いです。
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