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おしゃべりバイリンガル・テーブル (おもちゃ修理)

 一連のおもちゃ修理記事の最終回。今回修理するのはおしゃべりバイリンガルテーブル(Fischer Price製)です。このおもちゃのアマゾンのページはこちら。

 なお先にお断りしておきますが、このおもちゃの故障は普通なら修理不能です。今回はどこまで直せるか試すためにとことん修理を行っています。

▼おしゃべりバイリンガル・テーブル
バイリンガルテーブル
 盛りだくさんの鳴り物が入ったかなり大きなおもちゃです。アマゾンでも1万円近くします。

 症状としては電源が入らず音が出ないということで、窓のそばに置いておいたら雨で濡れ、水没したとのことです。

▼分解
内部
 ユニット間を配線が入り乱れています。

▼メイン基板
メイン基板
 この基板に配線が集中していてこれがメイン基板です。全ての配線は色違いのコネクタで接続されているので、分解・点検が容易になっています。

 おもちゃの修理をやっていて煩わしいことの一つは、作業中に配線がはんだの根元から切れてしまう現象です。このおもちゃは配線の接続にちゃんとしたコネクタを使っているので、そういう問題はまず起こりません。また、本体側のスイッチやLEDなどの配線には収縮チューブ処理がされているので、配線が切れ難くなっています。見た目は雑然とした配線ですが、抑えるべき所はきちんとしていて好感が持てます。

 ここまで特に異常は認められないのでメイン基板を外してみます。

▼メイン基板の裏側(部品面) 全体
SMD実装面、激しく腐食

左側 拡大
左半分

右側 拡大
右半分

 うわぁー、これはだめです、あちこち激しく腐食しています。青い析出物は銅イオンの色でしょう。白い析出物は錫かな(鉛フリーです)。オレンジ色は鉄かクロムか?

▼お湯で洗う
湯洗、ブラシ洗浄
 流しに持って行ってお湯に入れ、ブラシでこすって析出物を洗い流しました。なお、ここでチップ部品を洗い流さないよう、注意が必要です。

▼観察結果
チップ抵抗部
 半田が無くなっています。ソルダーレジストで覆われていなかった部分の基板パターンが消滅しています。またチップ抵抗のメタライズ膜も消滅していて、テスターで触っても導通がありません。

トランジスタの足が消滅
 トランジスタの足が無くなっています。下のパッドのほとんど消滅しています。

 同じようなことが基板のあちこちで起きているので、このおもちゃは修理不能です。

 ということで普通ならお返しするのですが、どこまで直せるかダメ元でやってみました。なお、以下の作業は実体顕微鏡を使って行っています。

▼パターン断線修復
パターン断線の修復
 ソルダーレジストの下でもピンホールなどがあるのでしょうか、パターンが消滅している個所があるので、φ0.26の単線をはんだ付けして断線を修理しました。

▼チップ抵抗の修理
抵抗交換
 元のチップ抵抗はメタライズ膜が消滅して使用不能なので、普通のラジアル部品の抵抗に交換しました。また接続パッドも無くなっているので、別の接続場所を探してそこにはんだ付けしました。スイッチからの信号入力ピンのパッドが激しく腐食している傾向がありましたが、配線を通して電流が流れたような気がします。なお、信号の入力ピンは10本くらいあって1MΩの抵抗でプルアップされているのですが、そういう配線のパッドや抵抗は全滅してました。

▼抵抗とパターンの修理
修理の様子
 パターン断線がLSIの樹脂ポッティング内部まで及んでいる場所があったので、掘り出してはんだ付けして修復しました。

▼トランジスタの接続
モールドを削ってトランジスタの端子に接続
 足が無くなっていたトランジスタのピンはモールドを削ってリードフレームを露出させ、そこにはんだ付けしました。どのトランジスタもエミッタがやられていたのは配線の関係なんでしょう。また、他の接続部は念のためにはんだを盛って再接続しておきました。

▼修理完了
修復後 抵抗を11個交換
 修理内容としては、抵抗交換11本、トランジスタの足修復3か所、パターン断線修理7か所、はんだタッチアップ多数です。

 これで修理完了で、全機能動作OKとなりました。

◆修理の感想、TIPSなど
・RoHSの基板なので鉛フリーはんだが使われているのだと思いますが、腐食でスズが抜けたためか、フラックスを付けてはんだコテを当てると白かったはんだが茶色いヘドロ状に崩壊するので清掃が大変でした。

・修理中は基板に電源とスピーカーを接続し、修理の節目が終わるたびに動作確認を行いました。だんだんと出てくる音の種類が増えていって、修理が進んでいることが実感出来てよかったです。

・電源電流をモニタしながら動作確認を行うと状態が判り易いです。ちなみに、このおもちゃの消費電流は音が鳴っている時は15mAくらいで、待機中は3.3mAくらいの消費電流でした。音も出ずに変な状態で固まってしまう時は10mAになるとか、鉾にもいろいろなパターンがありました。うんともすんとも言わず全く動作しない回路を調べる時は、電源電流の変化に注目すると問題解決のヒントが発見出来るかも知れません。

◆まとめ
 どこまで直すことが出来るか、というチャレンジでしたが、何とか修理出来て良かったです。いい経験になりました。

 修理中に一番不安だったのは、もし原因がポッティングされているLSIの故障だったらお手上げだったことです。でも今までの経験ではLSI自体が壊れていたことはまず無かったので、それを信じてやりました。

 ちょっと不思議なのは、メイン基板があれだけ腐食していたのにもかかわらず、他の部分は無事なことです。雨で濡れたということ(水没?)なら他の部分にも同じような被害が出ていてもおかしくないと思うのですが、そちらには全く異常がありませんでした。
 メイン基板の位置だけ雨で濡れたのかも知れませんが、ひょっとしたらSMT実装プロセスで使ったフラックスや洗浄方法に何か問題があったのかも知れません。
 そんなところで、ちょっと引っかかるところがあるので、気に留めておきたいと思います。とは言っても、そもそも電子回路の基板を濡らしてはアウトです。

 ということで、おもちゃの修理記事が3連発続きましたが、これで終わりです。次回からは平常運転に戻ります。
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No title

ボランティア(ですよね?) ご苦労様でした/^^)。

しかし、メカから電子まで守備範囲が広いラジオペンチさんには尊敬しまくりです、
自分はメカと電気(の初歩^^;)くらいまでで、電子になるとアレルギーが出そうです。

最近、70年代の玩具を幾つか入手しました。幸い殆どは動いたのですが、やはりなかにはウンともスンとも言ってくれないモノもあります(殆どは、電池液漏れによる腐食が原因みたいですが)。そろそろと手を入れて行きたいなぁと思っておりますので、その節には是非是非お知恵をお借りしたく、なにとぞよろしくお願い致します。

鍛冶屋さん、おはようございます

ボランテイアですが、会社務めと違って何でも自分で決められるという自由があっていいです。お預かりしたものを大切にする、という重要な約束事がありますが、

あと、70年代のおもちゃですか、あのころのプリント板はディスクリート部品をひたすら組み合わせて作られてましたよね。

ある意味、現代の回路よりより難しいのかも知れませんね。

God hand

まるで天才心臓外科医のようですね。
技術の高さもさることながら、勘所も抜群。
修理依頼されたお子様の笑顔と感謝の言葉も原動力なのでしょうね。

ご教授のお願い

造詣深い記事をいつも感心しながら拝見しています。

今回の記事でチップトランジスタのモールドを削って端子部を露出して修理されていますが、どうやったらそんな芸当ができるのですか。
機会がありましたら、是非その職人技をサイトにご披露くださいませ。

まさかお名前のラジオペンチではないと思いますが。。。

No title

このおもちゃ安いものかと思っていたら、1万円もするものなら直す価値はありますね。

我々は回路図があっても直せないものを、回路図なしで直せるとは、、、、、。

私は回路図があっても理解できません想像すら出来ません。

ラジオペンチさんはメーカ以上のスキルですね。

re:God hand

老技師さん、今晩は。

実体顕微鏡を見ながら両手にピンセットとはんだごてなどを持って作業するので、確かに外科手術みたいです。

ちなみに顕微鏡を使った手術はマイクロサージェリーと呼ぶそうです。

re:ご教授のお願い

小野さん、今晩は

チップトランジスタを削るのは、普通の替え刃式のカッターの刃をノミのように使って、少しずつ削っています。ただ実体顕微鏡で見ながらの作業です。

モールドトランジスタなどのシリコンのダイはとても小さいので、かなり樹脂を削っても大丈夫です。
不要になったトランジスタを上から水平にヤスリ掛けして、中がどうなっているか見ておくといいと思います。

Jyoさん今晩は

そうんなんですよね、値段が高いおもちゃだとどうしても力が入ってしまします。

ちなみにマイコン応用のおもちゃはどれでも同じような回路になるので、何とかなりますよ。

Re:ご教授のお願い

レス ありがとうございました。
まさか、カッターとは思いませんでした。
気が短く、強近視老眼の私には難しそうですが、今度の機会にはトライしてみます。

Re:ご教授のお願い

小野さん了解です

トランジスタなどのパッケージの樹脂は混ぜ物が多いので、削るというより崩して粉にしていく感じです。

機会があれば挑戦してみてください。
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