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RTCのバッテリーバックアップ回路

 マイコン工作で正確な時刻が必要な時に、リアルタイムクロック(RTC)は欠かせません。メイン電源が落ちていても時計を動かし続けるために、RTCの電源は電池でバックアップしますが、この回路の部品の選定について、電気の迷宮のFriendship 7さんが、バッテリーバックアップ回路のDiとRを厳密に選定というタイトルで詳しい解説記事を書かれています。

▼バッテリーバックアップに使うコイン電池とダイオード
コイン電池とダイオード
(この写真の電池はCR2025ですが、記事で使った電池はCR2032です)

 バッテリーバックアップ回路は、ダイオードで主電源と電池を切り替える方法が簡単です。これまで私はあまり深く考えないでショットキーバリアダイオード(SBD)を使っていましたが、Friendship 7さんの記事によると小信号用のスイッチングダイオードの方が良いそうです。

 実は2ケ月前にソーラータイマースイッチを作ったのですが、その時はSBDを使いました。良い機会なので、そのハードを使ってダイオードの違いで電池の充放電電流がどのように変わるか実測で確認することにしました。

◆測定準備
 測定する電流は10nAオーダーと微小です。テスターのテスト棒を手に持ってプロービングなどすると人体からの誘導などの影響でまともに測ることは出来ない可能性が高いです。とは言っても回路を切断して測定用の線を引っ張り出すのは面倒です。ということで、測定用に簡単な冶具を作りました。

▼電池電流測定アダプタ
電池電流測定アダプタ
 PETのシートの裏表に銅箔テープを貼り、そこに測定用のツイストペア線を接続しました。

▼使い方
電池に流れる電流測定
 電池ホルダーに入っている電池の上に測定アダプタを差し込んで電池電流を測ります。

▼電流計
バックアップ電流測定
 DMM(アドバンテスト TR6846)の電流レンジで測定しました。この写真は0.24μA(240nA)を表示中。このレベルの電流では配線を少し触っただけで値が変わるので、電流計のゼロ調(NULLセット)を頻繁に行う必要があります。なお、この写真の状態が最高感度で分解能は0.01μAですが、もうちょっと分解能の高い測定器が欲しいところです。

▼測定回路
RTCのバッテリーバックアップ回路図
 RTC-8564NBのバッテリーバックアップ関係の部分を切り出した回路図です。

◆測定結果
1) D1,D2にショットキーバリアダイオード(BAT43)を使った場合
 ・電源ON 時: Vcpu=5.19V, Vrtc=5.10V, Vbat=3.24V, iBat= -60nA
 ・電源OFF時: Vcpu=0.41V, Vrtc=3.16V, Vbat=3.25V, iBat= 240nA

2) D1,D2にスイッチングダイオード(1S4148)を使った場合
 ・電源ON 時: Vcpu=5.19V, Vrtc=4.95V, Vbat=3.25V, iBat= -10~0nA(ほぼゼロ)
 ・電源OFF時: Vcpu=0.40V, Vrtc=3.01V, Vbat=3.25V, iBat= 210nA

◆考察
・電池寿命
 電源OFF時の電池からの流れ出し電流は、BAT43を使った場合のiBat=240nAに対し1S4148を使った場合はiBat=210nAと30nA減っています。これはスイッチングダイオードにすることで、D1のリーク電流が減ったためだと思われます。なお、リーク電流が減ればその分だけ電池寿命が延びます。
 ちなみに、CR2032の容量が220mAhあるとして、BAT43を使った場合の電池寿命は 220/0.00024 = 917000h = 104年 で、全然余裕です。

・電池の充電電流
 電源ON時のiBatはBAT43を使った場合は-60nA(マイナスなので充電)です。これはSBDの逆リーク電流が大きいために電池が充電されていることになります。

 実はこうなるのは予想していて、充電されれば電池の消耗分の補給になるのでかえって好都合ではないかと思っていました。ところが、電池の充電量はライフを通じて電池の電力量の2%以内(1%、3%というSpec.もある)に抑えないといけないというスペックがあることを見逃していました。このルールを適用すると安全な期間は、(220 * 0.02)/0.00006 = 73333h = 8.4年となります。まあOKなんでしょうが、ちょっとマージンが足らない感じです。
 これが1S4148を使った場合は 充電電流は5nA程度なので、安全期間は10倍以上に伸びて全く問題無い領域になります。

・Vcpu と Vrtcの電位差
 実はこれが一番気になっていました、回路図のD1の部分です。このようにダイオードを一つ入れると普通は電圧が0.6V下がると考えます。つまりVrtc はVcpu より0.6V下がります。

 データーシートによるとRTCの入力信号(SCLやSDA)レベルはRTCの電源電圧 +0.5V までしか許容されません。ところが、CPUの電源電圧は0.6V高いのでハイレベルの信号は許容範囲を0.1V上回ることになります。たった0.1Vですが、絶対最大定格なのでちょっとでも上回ることは許されません。
 そんなことを考えて、私はD1に電圧降下が0.3Vで済むショットキーバリアダイオード使っていました。

 今回の測定結果を見ると、VcpuとVrtcの差は予想よりずっと小さくて、1S4148を使った時に0.24Vしかありません(BAT43の場合は0.09V)。これは電流が極めて少ないので、ダイオードの電圧降下も小さくて済んでいるということだと思います。これなら+0.5Vというスペックの範囲内なので安全です。

◆結論
・RTC-8564NBのバッテリーバックアップ回路に使うダイオードは、シリコンのスイッチングダイオードを使うのが正解です。SBDよりスイッチングダイオードの方が値段が安いのでSBDを使う理由は無いでしょう。

・もっと新しい設計のRTCはたぶん消費電流がもっと減っているでしょうから、この結論はたぶん変わらない気がします。

・D2がショートした場合の電池への充電電流を制限するために、抵抗を入れた方が良いそうです。アマチュアの工作なら省略してもかまわない気がしますが、判断はおまかせします。

 最後に、この件について詳しい解説記事を書いた下さった Frendship 7 さんに感謝します。とても勉強になりました。
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