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アンパンマンのキーボード(おもちゃ修理)

 久しぶりにおもちゃの修理の話です。おもちゃ病院で私が担当した物の中で、他のドクターさんの参考になりそうな修理を取り上げていきます。まずはキーボードです。

▼アンパンマン NEW いっしょに ステージ ミュージックショー
アンパンマン NEW いっしょにステージミュージックショー(本体部分)
 スタンド付きの大きなおもちゃらしいですが、本体部分だけの入院です。このおもちゃのAmazonのページ

 症状としては音が出ないそうです。

▼内部
内部(全体)

▼出て来た配線 (逆"つ"の字型の黒い線)
出て来た配線
 分解した時にこの写真の黒い線が出てきました。後で混入した可能性もありますが、質感はこのおもちゃの中で使われている配線と同じなので、遊んでいるうちに脱落した可能性が高いです。なお、この写真の線を置いてある場所に特に意味はありません。

 ともかくこの線が接続されていた場所さえ判れば、修理は簡単に終わるはずです。ところが、いくら探してもどこから外れて来たか判りません。もう少し小さなおもちゃなら、実体顕微鏡で詳しく見ることが出来ますが、これは大きすぎて無理です。

 となると、正攻法で回路を追いかけて行くしかありません。

▼基板を外して調査
分解して調査中
 でかいので作業机いっぱいです。クロックは出ているので、マイコンは動いてそうです。キースキャンやオーディオ信号っぽい波形が出ているピンもあるので、完全に死んでいる訳では無さそうです。

▼アンプ廻り
アンプ廻り
 この写真の8ピンDIPのICは、TDA2822Mと言う型番の 2-chオーディオパワーアンプでした。このデーターシートをネットで見ることが出来たので、どのピンで何をやっているのかが判りました。さっぱり訳が分からない基板でも、こういうふうに機能が判る部分があれば、そこを手掛かりに調べて行くことが出来ます。

 オシロで見るとこのICの出力ピンにはオーディオ信号らしきものが出ていました。リズムボックスボタンを押すと明らかに波形が変わります。それなのに何で音が出ないか調べると、何とスピーカーへの配線がスピーカーボックスの中で切れていました。これはすぐに修理しました。

 これで音が出るようになったのでモチベーションが上がります。いろいろ動かしてみると、「ランプが光るので、、」とか言ってきますが、全くそんな気配はありません。それに、音が出るようになったのは片側のスピーカーだけで、反対側からは音が出ていません。

 調べてみると、反対側のスピーカーのリターン側の電位がほぼ電源電圧になっていて、これは明らかにおかしいです。パターンを追ってみると、GNDになっているはず(なっていて欲しい)部分を接続するパターンが基板上にありません。

 これがたぶん最初に出て来た、脱落した配線に相当する部分だろう、と考えて接続してみたら。

▼ジャンパー線追加
外れた配線を修復
 青い線が修理のために追加した配線です。

 これで完璧に動くようになりました。反対側のスピーカーから音が出るようになり、鍵盤の裏側から位置を示すLEDが光るようになりました。それに人形まで踊り始めました。

 この上の写真に写っている基板の、左半分の範囲がこれまでは動いていなかったようです。 

 これで修理は出来ましたが、同じような故障が起きないように、配線のはんだ付け部をホットボンドで固定しました。振動の影響を受け易い長い配線は途中の要所もホットボンドで固定しておきました。

▼人形を動かすモーター
人形駆動モーター
 ベルトがすごくたるんでいるので、交換したくなります。でも、ここで伝達トルクを制限している感じなので、このままにしておきました。幼児が触る物なので、強い力で動くのは危険と判断しました。ちなみにベルトは結構太くてしっかりしたもので、伸びた感じはしませんでした。但し、ベルトがプーリーのフランジに擦れて、シュルシュルと音が出ていたので、モーターを回しながら、カッターの刃でフランジ側面を軽く切削しておきました。

 これで修理完了です。このキーボードは、口径大きめのダイナミックスピーカーが二つ付いているので音が良いです。それに人形が動いたり、録音機能があったりするので高級機という位置づけなんでしょう。ただ、キーボードの発音数を調べると、3音同時押しまでしか対応していませんでした。まあ、おもちゃだからこんなものか。

◆最後に
 このキーボードが故障した原因は、配線を基板にはんだ付けした部分の芯線切れでした。よくある話ではありますが、ちょっと引っ掛かるところがあるので、そのあたりをもう少し書いておきます。

▼脱落していた配線
外れていたワイヤ
 この記事の三番目の写真の線を丸めたものですが、サイズを無視すると自転車のブレーキワイヤみたいな印象です。この線は被覆のサイズに比べて芯線径が細い気がします。あと、触るとすぐに判りますが、被覆がすごく堅いです。いわゆるビニール電線でこれくらいの芯線径だと、指に馴染むような感じでかなり柔らかいのですが、この線はちょっと違います。

 中国で作られた物は、こんな感じの堅い線が使われていることが多いような気がします。こういう堅い線は振動にすごく弱いので、固定をしっかりしておかないと、はんだ付けの根元から簡単に切れてしまいます。実際問題、配線が切れて動かなくなったおもちゃをよく見かけます。

 話を戻して、この線をノギスで測ると、被覆の外径は1.05mmくらいでしょうか。芯線のサイズを正確に測る道具がすぐに出てきませんが、たぶん 7/0.12 か 7/0.10 あたりだと思います。このプロポーションってちょっと太り過ぎな気がします。

 中国では銅資源が高騰しているらしいので、その影響がある?、伸線した後のアニールちゃんとやってないんじゃないの?とか気になることはいっぱいあります。ともかく、昔の感覚ではダメ、ということなんでしょう。
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高級品ですね

お見事です。線が外れた箇所を探すのではなく、回路を追いかけて正常異常を確かめて回るとはさすがですね。

切れていた黒被覆の線は、最初に見つけたSP-BOX内の断線とは違う場所のようですが、期せずして両CHのSP結線が切れていたわけですね。「両CHとも音が出ない」と、つい、全体を支配する部分の故障を疑ってしまいますが、こういう同時多発ゲリラ戦だと面食らいますね。

》発音数を調べると、3音同時押しまでしか

おもちゃで3音同時というのはレベル高いと思います。私の周りには、そう新しい鍵盤はありませんが、楽器屋で売るような遊び道具でも、カシオ製は同時2音が多かったです。ヤマハ製の子ども練習用のような機材はさすがに同時4音で、和音+7thが出せましたが、これはチャラさのない真面目な機材でした。

和音を出せるということは、少なくとも発振部は複数持ってるということだと思います。これを単一IC内部に備えるというのは、まあ最近の素材低価格化の恩恵かもしれませんが、進化したものです。

音色はどうでしょうか。いかにも電子音という音なら安心ですが、楽器に近いしっとりした音色が出せてたりしたら、楽器屋が困っちゃいますね。

おもちゃシリーズも溜まってきて、ますますのご活躍期待しています。

re:高級品ですね

macoswayさん、おはようございます。

1万円くらいする物なので、せめて4音出れば、7thの和音が出せて楽しいのにと思ったのですが、まあおもちゃですからしょうがないですね。
それに適当にキーを押したら伴奏付きで演奏、とか楽しい機能がいろいろ入っているので、そっちに力が入っているんでしょう。

あと、音色に関しては、ピアノ、ギターなど4種類が選べてそれなりに聞こえるのでけっこうまともだと思います。
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