google-site-verification: google3bd66dd162ef54c7.html
FC2ブログ

半波整流波形の実効値と電力の話

 かなり前ですが、ダイソーの節電タップにダイオードを入れて、はんだコテの温度を下げるアダプタを作りました。

▼はんだコテと温度調節器
はんだコテと温度調節器
 この写真の右手前のタップがそれで、スイッチでダイオードの有無を切り替えることで、通過パワーを減らすことが出来ます。中には次のような回路が入っています。(左下は普段使っているサイリスタ式のパワーコントローラーです)

▼回路図
節電タップ改造回路図
 簡単な回路なので、この半波整流方式のパワーコントローラーを作られる方は結構いらっしゃるようで、ネットで製作記事を見かけることがあります。そういう記事でちょっと気になったのは、「パワーが半分までは絞れていない感じ」、という感想が結構あることです。

 半波整流したら波形が半分になるのだから電力も半分になるはず、と思っていたのですが、理論的に調べた訳ではありません。そんなことで、ちょっと心配になってきたので、波形の実効値を確認してみました。

▼正弦波の実効値
交流波形
 実効値は瞬時値の二乗を平均して平方和を取ります。つまり、このグラフのEp^2の面積の平均値の平方和ということになって、面積の平均は 0.5なので、実効値はルートを取って約 0.7 Ep となります。まあこれは電気を習ったことがある人なら常識です。

▼半波整流波形の実効値
半波整流波形
 同じように考えると、Ep^2の値の平均は正弦波の場合の半分なので 0.25。ということは実効値は 0.5Epということになります。

 話を整理すると、正弦波では 0.7Epだったのが半波整流波形では 0.5Ep になったので、変化率としては約30%の減少です。うーんそうか、半波整流にしたらパワーが 30%減るのだから、「半分までパワーが絞れていない感じ」という感想になるんだろうなと、ずっと思っていました。(後で説明しますが、赤字部は間違っています)

◆矛盾に気付く
 半波整流波形は、ものすごく荒く考えればデューティ 50%のPWM波形と考えることが出来ます。デューティ 50%の矩形波の実効値は約0.7です。つまり 70%のパワーということになります。でもこれはおかしいです。PWMはスイッチを高速でON/OFFさせているだけなので、OFFの比率が50%ならパワーも50%になるはずです。ということで、明らかにどこかで考え方が間違っているはずです。

 色々考えた結果、間違えに気付きました。パワーは電圧の二乗で効いてくるので、実効値を二乗した値で比較しなければいけなかったのです。つまり、正弦波の場合は 0.7^2 = 0.5、半波整流の場合は 0.5^2 = 0.25 なので、パワーはめでたく半分になります。

 判ってしまえばアホみたいな話ですが、なかなか原因にたどり着けず、しばらく悩みました。実はLTspiceを使って色々な波形の実効値や電力の確認までやったのですが、恥ずかしいのでそのあたりは記事には出さないことにします。

◆まとめ
 実効値というのは、交流波形を直流とみなす時の換算係数のようなもので、電力を表してはいません。電力を求めるためには、電圧と電流を掛け合わせる必要があります。なお、電圧と電流の波形が違っている場合は、瞬時値を掛け合わせて平均を取る必要がありますが、この場合、元の波形の実効値はほとんど意味を持ちません。

 ということで、昔はきちっと理解していたはずなのですが、思わぬ穴にはまってしまいました。我ながら情けない限りです。

 以下はおまけです。ダイオードを入れた場合、つまり半波整流波形の場合、はんだコテの温度がどう変わるか、測定してみました。

▼コテ先に熱電対を固定
はんだコテに熱電対を取り付け
 温度測定のために、極細の銅線で熱電対をコテ先に縛り付けました。

▼温度測定中
温度測定中
 テスターの温度測定レンジを使って測定しました。

▼温度測定結果
はんだコテの温度上昇特性
 電源を入れてコテ先の温度が上がって行く様子です。

 半波整流の方が温度上昇速度が遅く、到達温度も低くなっています。ただ、パワーは2倍の差があるのに、温度は2倍も違っていません。このあたりが、半波整流にしてもパワーが半分になったような感じがしない原因かも知れません。温度が上がると、周囲との温度差が大きくなって放熱量も増えるので、コテ先の温度が上がり難くなっているのでしょう。

【追記】
 コメントでセッピーナさんから指摘がありましたが、パワーが半分になっても温度があまり下がらなかった要因として、ヒーターの抵抗変化の影響もありました。はんだコテの抵抗値を測定すると、常温時は188Ωだったのに対し、高温時は560Ωとかなり高くなっていました。抵抗が上がると、発熱量が減って、温度上昇を抑えることになります。これも、パワーが半分になっても温度の低下が少なかった原因の一つと考えられます。

 なお、高温時の抵抗値は、コテをコンセントから抜いた後に、すばやくテスターで測りました。もう少しヒーター抵抗の上昇の様子をちゃんと把握したいと思って、消費電流の変化の様子を測定したのが下記のグラフです。

▼はんだコテの消費電流の変化
はんだごての電流変化(セラミックヒーター)
 電流の値は、秋月で買った変流器の出力をDMMのAC電圧レンジで測定後に換算しています。

 以上で追記は終わりです。なお、はんだコテが違うと結果が変わってくると思いますが、この実験で使用したはんだコテは Goot の CXR-41 で30W。秋月の店頭にぶら下がっている普通のはんだコテです。
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

この記事で

トラ技のこの記事で、読者→著者への質問がやってきたことがあります。
http://act-ele.c.ooco.jp/toukou/handa_ondo/handa_ondo1.htm

これの「図1」。
http://act-ele.c.ooco.jp/toukou/handa_ondo/hnd_sch1.png

編集部を通じて、同じ解説を送ってもらいました。

温度係数は?

こんにちは~ ご無沙汰してます。
温度の話であればおっしゃるとおり「周囲との温度差が大きくなって放熱量も増えるので」というのが大きいと思いますが、電球やハンダゴテだと電気抵抗率の温度係数が正であることも効いているのではないでしょうか。
特にセラミックヒーターは温度係数が信じられないくらい大きいので影響は大きいと思います。

re:この記事で

居酒屋ガレージ店主(JH3DBO)さん、おはようございます


図1に「オフすると半波整流され電力1/2に」と書いてあるけど、実効値で考えるとおかしくないですか?

てな感じの質問だったんでしょうね。私と同じ考え方をした人がいたようで、安心しました。

re:温度係数は?

セッピーナさんご無沙汰してます。

記事を書いた時に、抵抗の温度係数は気になったのですが、発熱用に作られた抵抗の温度係数はかなり小さいはずなので、まあいいかと思って触れませんでした。

でも、気になるのではんだコテの抵抗を測定してみると、
常温時:188Ω、高温時:560Ω で、かなりの変化がありました。
これだけ違うとかなりの影響がありそうなので、後で記事に追記しておこうかと思います。

ご指摘ありがとうございます。

温度係数と熱の放射

「セラミックヒーターは温度係数が信じられないくらい大きい」というのは勇み足でした。メーカーの資料にある4000ppm/Kくらいの数値はふつうの金属(タングステンや白金)とたいして変わりませんでした (^^;;
この4000ppm/Kという値は(500℃近い温度とすれば)コメントに書かれている抵抗値の変化と傾向的には一致しているように見えますがいかがでしょう。
「発熱用に作られた抵抗の温度係数はかなり小さい」というのはニクロムだと400ppm/Kくらいだということですね。

re:温度係数と熱の放射

セッピーナさん了解です。

少し調べたのですが、はんだコテのヒーターは、温度の立ち上がりを早くするために、あえて抵抗温度係数を大きくしているみたいです。可能なら電流の変化カーブを測定してみたいと思っているのですが、交流なのでやっかいです。

あと、純金属の抵抗温度係数ですが、絶対零度で抵抗値がゼロΩになるとみなして比例計算すればおよそ合っていたと思います。つまり室温付近なら300Kなので、1/300 = 3333ppm/K
もちろん実際は元素によって値は違いますが、倍は違わなかったと思います。

No title

なるほど…。

モーター(電動工具)などにこの方法を使った場合、体感的には70%程度な感じがします。
エンジンなどと一緒で、馬力が半分だからといっても、最高速や登坂力が半分になるわけではないってことですね。

ところで、このような簡単な仕組みで、パワーを1/3(1/4)にする方法ってないものでしょうか?。

No title

私は半田ごての型式によると思います。
昔の半田ごてはヒータがニクロム線であった。

今私が使っているのはセラミックヒータの筈。
セラミックヒータの温度対抵抗の曲線は金属線の物と違うのでないかと思う。

町のブリキ職人の使っている半田こては大きな熱量が必要だから今もニクロム線であろうと思う、、、?。

半田こてを水の中に入れて温度が上がらないようにすれば又違った結果が出るとも思う、、、。

という事は、、、、どちらでも、でもいい事かと、、、

鍛冶屋さん、今晩は

ダイオード一つ入れるのと同じくらいの簡単さで、パワーを1/3,1/4に出来る素子があると良いのですが、ちょっと思い付かないです。
トライアックを使うと出来ますが、部品が多くなるので、そういうのは困りますよね。

Jyoさん、今晩は

そうですね、この記事のグラフは、はんだコテの抵抗体の特性に影響を受けています。そのあたりの話は、この記事へのセッピーナさんのコメントを起点に少し議論しています。

あと、昔のはんだコテのヒーターはニクロム線と雲母の板で出来てましたが、ああいう物なら、この記事のグラフはもう少し違っていたと思います。

困った、、、

前の話で申し訳ないが、、
さて私は今使っている半田鏝の事が分からない、、、温度調整付きのセラミックヒータのものですが、昔のニクロム線ヒータのものは、銅の鏝先をニッパーで削りペーストの中にジュッー入れて半田を溶かすと、鏝先が半田メッキされた(半田が載った)。

今の半田鏝は温度を調整しても、半田メッキが出来ない状態である。(当初はそんな事がなかった、、、不良品?)。
一体、、、鏝先の金属の材質は何か知らないが良い方法がないものですかね、、、。

re:困った、、、

Jyoさん、今晩は。

私も同じ経験がありますが、コテ先に何かの析出物のような物が付いて、はんだが乗らなくなることがありました。

これ、強固に付着していて、金属タワシのコテ先クリーナーくらいでは、落ちませんでした。

仕方が無いので、ルーペで見ながらマイナスの時計用ドライバーの先を使って固着物をそぎ落としました。なお、コテの先は鉄メッキされていて、このメッキ膜を削っちゃうとまずいので、慎重にやる必要があります。

あと、100円ショップのヤニ入り糸はんだを使うと、そういう現象が起きやすい気がします。(あくまでも個人的な感想です)
カレンダー
11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
プロフィール

ラジオペンチ

Author:ラジオペンチ
電子工作を中心としたブログです。たまに近所(東京都稲城市)の話題など。60過ぎて視力や器用さの衰えを感じつつ日々挑戦!
コメントを入れる時にメールアドレスの記入は不要です。なお、非公開コメントは受け付けていません。

記事が気に入ったらクリックを!
最新記事
カテゴリ
最新コメント
リンク
FC2カウンター
検索フォーム
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード