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水晶発振子を使っていないトイラジコン(おもちゃ修理)

 8月末開催のおもちゃ病院で私が担当した物で、他のドクターさんの参考になりそうな事例を記事で紹介します。なお、事例は2件あり、今回はトイラジコンです。

 故障の原因は単なるパターンショートで、よくあるモードだったのですが、プリント基板の様子がちょっと変というか、私が知らない方式だったので、この記事で紹介したいと思います。

▼トイラジコン
トイラジコン
 BMW M3 です。購入後あまり使われて(遊ばれて)いないようで、ピカピカです。

▼裏面
トイラジの周波数表示
 コントローラーには、27Mhz Band, 05 というラベルが貼られています。 5 という表示が、5チャンネルということなら、周波数は27.075MHz ということになりますが、実際には違いました。

 故障の現象は、電波の到達距離が極端に短いというものです。早速分解してみると、

▼内部
トイラジのコントローラー内部
 アンテナ端子がグランドパターンとショートしています。

▼ショート発生個所
アンテナがショート
 アンテナの取り付け金具が近くにあるドーナツ状のパターンに接触し、運の悪いことにそのパターンがアースとショートしていました。最初はレジストなどで薄皮一枚で絶縁されていたのが、遊んでいるうちにショートしたのでしょう。これ、初期不良というか設計不良じゃないかと思いますが、ともかくショートしているパターンをカットして修理は完了です。

 ここからが本題です。気になったのは、基板のシルクには、水晶のマーキングがあるのに、実際には水晶が実装されていないことです。

▼基板拡大
コントローラー基板拡大
 使われていたのは、SCT2010 YL6H98 とマーキングされている、16ピンのICでした。 

 X1の位置に9.0469とマーキングされているので、ここに水晶を実装するのでしょうが、見ての通り何もありません。他にもシルクがあるのに、部品が実装されていない個所が沢山あります。(黄色の丸印部)

 9.0469という値は、これを3逓倍した27.1407MHzを送信キャリアに使う、という設計だと思いますが、何故か水晶が付いていません。でも、ラジコンの電波は出ていて、正常に動いています。何じゃこれは?

 但し電波が出ていると言っても、無線用の受信機で受信すると、激しい周波数変動 (QRH) があり、例えば27.195MHzからあっという間に27.215MHzまで周波数が上がっていきます。コントローラーのスイッチによっても周波数は変わり、50kHzくらいの範囲に散らばっている感じです。そもそも周波数がこんなに動くと、普通の受信機ではまともに受信出来ません。

◆現象の考察とまとめ
 これらの現象から考えると、元は水晶を使う設計になっていたプリント基板に、水晶レスで動くピンコンパチのICを実装しているのではないかと思います。このピンコンパチのICは、水晶以外の外付け部品の数も少ないので、コストダウンが出来る、ということだと思います。

 水晶は使わないけど、それに匹敵するほど、周波数精度の高いオシレーターがICの中に入っているのかと思ったのですが、実際にはかなりの周波数変化があります。とは言っても27MHzのバンド内に入る程度には収まっているようなので、何らかの周波数の補償は行われている感じです。

 水晶を使わなければ、送信キャリアの周波数精度が悪化します。事実、無線用の受信機ではまともに受信出来ないほど周波数が変化しています。でも、ラジコンの受信側(車側)は超再生で受信しているので、多少周波数が動いても支障なく通信出来る、というでしょう。

 ところで、ラジコンに使える27MHz帯の周波数はきっちり決められているはずなのに、こんなに周波数が動く電波を出しても良いものか?という疑問があります。これ電波法違反じゃないの、という気がしますが、いや、規制無しで使える微弱電波の範囲です、ということかも知れません。ただそれなら、27MHz Band という表示は不要なはずです。

 あと、記事の最初に書いたようにコントローラーの裏側には 05 というラベルが貼ってあって、あたかも 27メガバンドの ch-5 を使っているみたいに見えますが、実際にはその周波数で送信されていません。まあ、これは単に表示しているだけで、何の意味もありません、と言われればそれまでですが。

 ともかく突っ込み所がいっぱいあるのですが、こういう仕様のラジコンの送信機があるとは知らなかったです。中華なメーカー、無茶しやがって、という気がしたので記事にしました。ただ、そんなのは常識で、私が知らなかっただけなのかも知れません。

 トイラジコンで使う周波数は2.4GHzに移行するのかと思っていたら、27MHz帯でもこんな改良(改悪?)の余地があったとは、恐れ入りました。
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No title

なるほど、水晶発振を省いても、ラジコンとして成立するから、それでやろうということですか。
「結果オーライ」、「やってみたら、できたから、これでいいや」的なものになっていたという良い例ですね。

SG さん今晩は

そうですね、日本人には出来ない発想です。たとえ思い付いたとしても、製品化など無理でしょうね。

受信側も広帯域なのでは?

送信側でコストダウンを追求するなら受信側にも、ということはないでしょうか。つまり、QRHする送信機に対しては、受信をうんとブロードにする。極論すれば、ゲルマニウムラジオでもAF信号さえ出るのなら、増幅かませて4系統くらいのオンオフ信号だけの命令は復調できそうです。

こういうおもちゃは室内の、せいぜい数メートルの範囲で届けば遊べるし、競技会のような複数台同時走行なんてまずありませんから混信も気にしない(混信したら子供も面白がるでしょう)。その程度の性能でも動けば売れると思います。

かのダイソーには、時々600円(!)のラジコン車が入荷します。この辺りはそんな構成かもしれません。

今回は受信側には問題がなかったので、精査されなかったと思いますので、もしかしたら、だけですが、600円ラジコン、調達して解体してみたくなりました。

macosway (青森酸ヶ湯温泉にて)

re:受信側も広帯域なのでは?

macoswayさん、おはようございます。

そうですね、受信側はブロードな受信帯域になっているのでしょうね。
ちなみに、受信側の回路をちょっと見たのですが、可変インダクタがあったので、これを調整して周波数を合わせるのだと思います。

RC車は安価で作れるようです

遅まきながらコメントさせていただきます。

ダイソーの600円ラジコン、ちょうど入荷があったので、人柱になってみました。箱には27MHzと書いてあります。

都合で内部探索が遅くなりましたが、送信部は水晶は(パターンも含め)なく、コア可変のコイルが1つだけ。受信部も同様のコイルが1つと、モーター制御らしい16ピンのIC。同調回路はこのコイルだけの様子で、やはりゲルマニウムラジオと復調制御だけのようです。

周波数の安定度や変調信号などは確認してませんが、混信やQRHなど構うことのない機器らしいです。

でも、外装は真っ赤なフェラーリ風で、前進時には高輝度白色LEDがひかります。これが600円で遊べるなら、楽しいですよ。

re:RC車は安価で作れるようです

なるほど、やはり水晶を使っていないんですね。

普通の家の室内で使うなら、高性能の送受信機はいらないということですね。

送信はLCを使ったオシレーターでキャリアを作り、それをロジックで断続しているだけなんでしょうね。

受信側ですが、同調回路一つで出来るだけ選択度を稼ぐために、超再生くらいはやっていそうな気がします。ICなので、他励クエンチ回路なんてのは簡単に組み込めると思います。

もし超再生なら、漏れ電波が出ていると思います。オシロで見るのは難しいかも知れませんが、スペアナなら検出出来そうです。とは言ってもスペアナ持ってませんが。
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