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アンパンマン おしゃべりいっぱい ことばずかんDX (おもちゃ修理)

 12月初めに開催されたおもちゃ病院で私が担当した案件の中で、他のドクターさんの参考になりそうな事例を紹介します。3件紹介予定ですが、最初はアンアンマン おしゃべりいっぱい ことばずかんDXです。

▼アンパンマン おしゃべりいっぱい ことばずかんDX
あんぱんまんことばずかんDX
 良く持ち込まれるおもちゃで、私が担当するのはこれで3つ目です。ちなみに、1件目は電池腐食に伴う端子の接触不良だったので開院中に修理出来ました。2件目はこの記事に詳細を書きましたが、要はセンサー不良で修理不能。そんなことで勝率は50%になっていたので、何としても直したい相手です。

 症状としては、オープニングメッセージは出るものの、ペンタッチしても何も反応が無いという状態。このおもちゃではよくある症状のようです。

▼ペンの内部
あんぱんまんことばずかんDX
 このおもちゃのペンの基板にはいろいろなバージョンがあるようですが、この基板の音声合成回路の水晶オシレーターは部品取り付けパッドだけがあって、水晶が実装されていませんでした。どうもLSIの内部オシレーターを使っているようです。

 ちなみに、水晶を使わないとクロックの周波数精度が悪くなって音楽の音程が不正確になる可能性があります。でも図鑑の内容を確認してみると、正確な音階が必要なコンテンツは無かったのでこれでいいのでしょう。ちなみに、ド、レ、ミ・・・などのコンテンツはありましたが、その音を出すのではなく、単に読みの音声を出しているだけなのでセーフです。

 修理の話に戻ります。

▼ペン先端に大量の腐食物
あんぱんまんことばずかんのペン、仮修理
 分解してみると、ペン先付近の基板に腐食生成物らしき物が大量に付着しています。どうも子供がペン先を「なめなめ」しながら遊んでいた感じです。右のペンのキャップの内側には、白い食べ物カスのような物が付着していました。

 それでも電気的に無事ならいいのですが、回路を追ってみるとLEDの駆動波形が変です。LEDは二つありますが、片方のLEDにはほとんど電流が流れていません。

▼LEDの駆動回路(センサーのデーターシートより抜粋)
LED点灯回路
 LEDはセンサー内にあるのでこの回路図には出てきませんが、アノードは電源に接続されています。カソード側がコネクタの9,10ピンに出ており、これをトランジスタでスイッチングする回路になっています。電流制限抵抗の端子がLSIに接続されているので、電流をフィードバック出来る回路になっています。(実際に使われているかどうかまでは判りません)

 オシロで見てみると、LEDはダイナミック点灯になっていて、片側のLEDには全く電流が流れていないことが判りました。更に調べると、上の回路図のエミッタ抵抗が40Ωと1.2MΩになっていて、本来の8.2Ωから大幅に高くなっていました。これではLEDが明るく光らない訳です。

▼仮配線で動作確認
あんぱんまんことばずかんのペン修理
 パターン腐食が認められる部分のレジストを剥がして導体の状態を確認しましたが、幸いなことにパターンの断線などは無さそうです(写真の赤矢印部など)。ちなみに小径スルホールの断線があると修理が厄介になりますが、こちらも大丈夫でした。ということで、基板は無事のようなので、原因は抵抗の不良に絞られました。まあ抵抗の不良と書くとメーカーが可哀そうで、正確には水濡れによる腐食破壊と言うべきでしょう。

 元のチップ抵抗を外し と並列に、この写真のようにディスクリートの抵抗(8.2Ω)を仮接続して動作確認してみると、正常に動きました。なおシルク印刷で R12, R13 と表示されているのが該当の部品です。あと、この状態でLEDをデジカメで見るとちゃんと光っているのが確認出来ました。

 これで修理方法は判ったのですが、8.2Ωのチップ抵抗は持っていません。それに対象個所のすぐ上には電池ケースがあるので、アキシャルリードの抵抗を取り付けられるような空間はありません。

▼カメラコネクタ付近に抵抗を取り付け
あんぱんまんことばずかんのペン
 幸いカメラコネクタ付近にスペースがあったので、この写真のように抵抗を取り付け、ワイヤで配線しました。なお、基板表面にはポリイミドテープを貼って絶縁処理しています。また抵抗はホットボンドで固定しています。

 この写真ではホットボンドでセンサー先端のカバーなどを固定していますが、こんなに盛っては多すぎでした。ということで、ここは最終的にはもっと削っています。

 あと、多少なりとも耐湿性を良くするために、この付近のプリント基板にはロジンフラックスを厚塗りしておきました。

◆まとめ
 この部分の回路は以前の修理で詳しく調べたことがあるので、割と見通し良く修理を進めることが出来ました。ちなみに、真っ先に確認したのはイメージプロセッサのクロック波形と、イメージセンサーの信号波形ですが、こちらには問題ありませんでした。

 それにしても基板が腐食するほど舐められているとは、ちょっと驚きです。RoHS対策品でしょうから、鉛フリーでハロゲンフリーなプリント基板なのでしょうが、微量な有害物質が溶け出してくる可能性は否定できないので、ともかく舐めない方がいいです。

 写真を撮り忘れましたが、センサーのレンズを取り外して内部クリーニングを行いました。幸い内部に大きなコンタミはありませんでした。なお、光学系を分解する時は合いマークなどを付けておいて、出来るだけ正確に元の位置に戻すようにした方が良いです。

 ネットを探すとこのおもちゃの修理事例がいろいろ見つかり、とても参考になります。どうも基板の先端付近で問題がよく起きているようで、今回の不良も先端付近で発生しています。ともかく、こんな故障モードがありました、ということで情報を公開しておきます。この記事が、どこかのおもちゃ病院のドクターさんの参考になれば幸いです。
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大変参考になりました。

当方でも、1年半前に同じおもちゃを受付け、「ペンを落としたり、舐めたりしていました。」とのことで、ラジオペンチさんのおっしゃるとおり、先端付近での故障でした。
当時は修理不能と判断して、(代替品と交換で)寄付して貰っていたのですが、1年半ぶりに治療再開、チップ部品換装による再手術(URL参照)で生き返りました。
技術志向の先輩おもちゃドクターの情報が、大変参考になりました。

re:大変参考になりました。

ToyDr.わたなべさん今晩は。

お役に立てて良かったです。そちらのブログ記事拝見しました。チップ抵抗で修理されたんですね。わたしはそこまでやった事が無いので尊敬しちゃいます。

あと、腐食の程度が酷すぎるので、ひょっとしたらですが、電池の液漏れが腐食原因のような気もします。電池から漏れた液が基板に達するのがこのあたりなのかも知れません。
もしそうだったら、舐めた子供は冤罪被害者になるので、悪いことをしちゃったのかもです。
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